好きな死際シチュ 作:紅茶と珈琲
焚火を
パチパチと爆ぜる空気。煙と共に火の粉は舞う。
焚火の前で火を眺める彼はとても若々しく。
されど、大きく年輪を重ねた大樹のようにも見えた。
「忘れ去られた事を話すには相応しい場所だ」
彼はそう言い、同座する私に語り始めた。
◆
幾千、幾万の殺戮。
大いなる力に、災いは引き寄せられる蛾の如く。
終わらぬ闘争は新たな闘争をもたらした。
しかし、長きに渡る闘争に次第に己は飽いてしまったのだ。
立ち塞がる諸共を灰燼へと帰し、人の身では到底辿り着けない高みに至った。
しかし、己を殺し得る全てを殺し、得られたものは、心乾く程の退屈。
この身を焦がす程に燃え盛っていた闘争の炎が、殺せば殺す程に熱を失って。
己は己の死に場所を失くしたのだと気付いたのだ。
◆◆
「今思えば、己は彼処で死ぬべきだったんだな」
「このように、薄ぼんやりと呆けてしまう前に」
彼は静かに焚き火の炎を眺めていた。
しかし彼の心は、炎を通して遠い過去を眺めているようにも見えた。
私には何故だか、その様が寂しそうに見えた。
……だからだろうか。つい口走ってしまったのだ。
「……なれば私が、貴様を殺して進ぜよう」
「お前が……? 己を……? くっ、ははははは。そのように幼い
腹を抱えて彼は笑った。
「面白い。やってみせろ」
彼は佩いていた刀を抜刀し、乱雑に投げ渡した。
その刀を受け取った瞬間、身動き出来ない程の圧力が私を襲った。
「うぅ」
まるで龍に睨まれているような、一歩でも動いたら死んでしまうと錯覚する程の重圧。
受け取った刀を地に突き立てて、杖のようにしなければ、立っているのも困難だ。
「どうした。己を殺すんじゃなかったのか? 」
後悔先に立たず。あんな軽口叩くんじゃなかった。
というか、今の私でお前を殺せる筈が無かろうが。
この早とちり野郎が。十年早いわ。
時間感覚も消え失せ、意識が朦朧となれど、彼の目をただ只管に睨み続けた。
意識を失うその時まで。
◆◆◆
「少しは見所あるじゃねぇか」
餓鬼は己の殺気を受け続けて、立ったまま気絶した。
コイツ、気絶する直前まで此方を、殺気の籠もった目で射抜いて来やがった。
ったく、偶には里の近くまで降りてみるもんだ。
この餓鬼は強くなるだろう。己が言うんだから違いない。
「闘争に生き、闘争にて死ぬ」
死に場所が無いってんなら、己で作ってみるのも悪かねぇかもな。
◆キャラ設定・背景設定
・男
闘争に生き、闘争にて死ねなかった男。
男の燃え盛る闘争の炎を止められる者はおらず、遍く全てを打っ手切った。
男を殺しに来た昔なじみの師匠と妹弟子を殺した後、暫くして山奥の隠者となる。
鍛え上げられた体は老いる速度すら緩めており、男が山奥に暮らし始めてから、
およそ数十年の月日が流れている。
男が里に程近い場所で休んでいたある日、里は魔性に襲われていた。
見かねた男が魔性をぶった切った後、さっさと元いた山奥へと帰ろうとしたが、
危険を顧みず追いかけてきた子供が居たので腰を落ち着けて話を聞いた。
・子供
魔性退治を生業としている家の子供。親は数年前に里を襲った魔性に殺されている。
里を再び襲った親の仇である魔性を討とうとしたが、全く歯が立たず、
代わりに討ってくれた男のその強さに惹かれて追いかけ弟子入りを願ったが、
男は当然聞き入れなかった。
子供は押しかけ女房ならぬ押しかけ弟子を行ったが、
男は別にその行動を気にも留めず今まで通りの暮らしを続けた。
数日経った後、子供は何故そんなに男は強いのかと問うた。
男は己の強さの所以である過去を静かに語った。以後本編。
10年後、果たして最後に立っているのはどちらとなるのか。
大体が多分、男が死に場所に満足して死ぬが七割。
子供が強く成り過ぎて本気の死闘で両方死ぬが二割。
なんやかんやあって両方生き残るが一割。
子供だけが死ぬルートはありません。
全クリ後のゲーム主人公みたいな話し。
次は食べる系にしようかな……?