似非神父が行く   作:芋洋館

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プロローグ

気が付いたら真っ白な空間にいた。

本当に気が付いたらここにいた。

もうしばらくこの空間にいるけどさっぱり分からない。

体がないみたいなのに視界だけはあるし、どうなんてるんだこれ。

いや、少し語弊があるな。

体はある。

下に。

血塗れだけどな。

 

「お、もう来てた」

 

ん?

 

「さて、早速だが君には転生してもらいたい」

 

てんせい?

というか誰だこの白いじい様は。

ようやく変化があったと思ったら髪も髭も肌もとにかく全身が白いじい様が目の前に現れた。

一体何が起きたんだ。

「まあ確かに見た目爺だけどね。こっちの方が威厳が出るかと思ってね」

 

見た目は、か。

ファンタジー臭がプンプンする。

見た目の理由が威厳というところもそこはかとなく香しい 。

 

「あっはっは。言うねえ。これでも君たちからすれば神という存在なんだけどね。まあいいや」

 

かみ、髪?

いや神か。

え、マジで?

というか、今さら思ったけど声出てないのに通じるのか。

ますます謎だな、今の俺。

 

「今の君は魂そのものだね。死んじゃったから魂が出たのさ。こう、ぽんって」

 

あ、魂なんだ。

というか下にあるのはやっぱり死体なのか。

出血死確実の量垂れ流してるしね。

 

「まあ、まずは体治そうか。ほい」

 

え、うわ気持ち悪い!

血が巻き戻って体に入っていってる!

もっとファンタジーチックにやってくれよ!

 

「こうやってまざまざと見せつけられた方が奇跡って感じがしない?」

 

いや、どっちかっていうと禁じられた邪悪の秘法って感じがする。

 

「ええっ、そう? 人間の感性が分からないな。ってもういいや」

 

いいのか。

というか、体治ったけど入れないな。

どうやって入るんだこれ。

 

「ああいや、入らなくていいよ。それ今は君の体じゃないしバキバキになるよ。で、本題なんだけど、何か特別な力を付けてもらえるとしたら何がいい?」

 

バキバキってなんだ。

というか、なにそれ。

いきなり言われても思い付かないな。

 

「さっき転生させるって言ったでしょ? 別の世界に飛ばすんだよ。で、何がいい? あ、世界の特徴知っとく? 魔法が存在して、世界消滅の危機があったりするんだ」

 

なにそれ怖い。

そんな魔境行きたくないんだけど。

普通に地球に戻してもらえると嬉しいな。

 

「それは無理。だって君は死んだからね。死んだら同じ世界は行けないようになってるからさ。ささ、早く決めてよ」

 

えぇ……。

なら仕方ない……のか?

うーむ、そうだなー。

あ、そうだ。

無敵とかはどうだろう。

お前の攻撃など効かん! みたいな。

 

「おっ、いいねー。じゃあまずそれがひとつ目ね」

 

え、いいのか。

というか、いくつかあるのか。

 

「三つだね。あと、無敵は構わないけどこうさせてもらうよ。『身体的接触による攻撃の無効果』っとね。要するに、半径何メートルに入ったら消えるとかいうものじゃないだけ」

 

三つもかー。

っていうか、修正されても制限らしい制限じゃないんだけどそれは。

 

「いいんだよ。範囲設定は大事だからね。ほら次次」

 

ハンイハダイジダネー。

あー、そうだ、あれでいこう。

すげえ! ってくらいの剣捌きが出来るようにしたい。

切られてるのに気が付かない魚とかテレビで見てさ。

あれやってみたくなった。

 

「……まあ、いいけど。魔法の世界って言ったのに、これがロマンとかいう精神か」

 

いいじゃないか。

魔法世界を剣で生きるとか、最高にハイってやつだ。

んで、最後か。

……そうだな、教会が欲しい。

 

「…………はい? あ、ごめん。もう一回言ってくれる? ちょっとよく聞き取れなかったみたい」

 

だから、教会が、欲しいと。

神を、じい様を信仰する教会をね。

 

「聞き間違いじゃなかったか……。これでも僕は正真正銘神でね、君が僕を神だと信じてないってことくらい分かるんだよ? なのに僕を信仰する教会って、何考えてるの?」

 

ああ、そんなこと分かるのか。

でも俺が考えてるのが分からないのはどういうわけだ。

 

「君がそうやってハッキリと認識したことじゃないと分からないんだよ。だから聞いているんだ」

 

へえ、そうなのか。

あ、じゃあ理由だけど、知っている通りぶっちゃけ神だと信じてないんだよね。

でも、この白い空間から抜け出してここのことが夢や幻じゃないと分かったら、神は実在していたのか! ってなる予定だからさ。

ろくな態度を取らずにバイバイは失礼だから、せめて信仰をと。

神社じゃなくて教会なのは、何か日本っぽくないから。

 

「ふーん。随分殊勝な態度だね。生前もそうだったのかな?」

 

さてねえ。

というか、どういうわけか生前の記憶とやらがないのは何でなんだ。

洒落じゃなく普通に記憶がございません状態なんだけど。

 

「ああそれ? 僕が消したからだよ。郷愁の念は邪魔だからね。あと死んだときのことなんか知りたくないでしょ」

 

あ、なんか目の前にいるのが邪神に思えてきた。

でも確かに死んだときの記憶は要らないし、助かったな。

ただ全部消すのはやりすぎだけどな!

 

「あっはっは。さてと、全部聞いたしもう送るね。ちょっとおまけしとくよ」

 

おまけ?

 

「そう。おっと、忘れるとこだった。君以外にも転生者がいるから気を付けてねー」

 

他にもいるのか。

って、え? 気を付けてってどういうこと?

 

「何か偉そうなやつらだったし、もしかしたら君に襲いかかってくるかも」

 

え、なにそれ怖い。

通り魔か何かかよ。

ていうか複数!?

 

「じゃあ行ってらっしゃい」

 

ちょ、うおおおおおお吸い込まれ…………

 

 

 

 

 

 

 

神side

 

行ったか。

随分と個性的な人間だったなー。

いや、他の人間も個性的だと言えるけど、あいつらは駄目だな。

すぐ死にそう。

まああいつらはいいや。

それよりも彼の準備をしないとな。

ふふふ、それにしても僕のことを信仰するための教会か。

良いこと言うじゃないか、素晴らしい!

彼に死なれるのは困るし、ちょっとオマケにオマケをしておこう。

驚くかな、彼は。

 

 

神side end

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