Infinite stratos / False prophecy 作:✕せんたくだま
突き立てられる機体は針の筵
夜中に雄鶏が鳴いた
「ん゛ん゛……っ」
木曜の夜7時50分。学生寮の一室では、一夏が机の前で伸びをしていた。
つい先程数学の課題を片付けたところで、ノートの紙面に擦り付け続けた右手の小指側側面が、シャーペンから出た黒鉛で薄っすら黒くなっている。
不等式の問題を大量に解いた直後なので、一夏には何だか身の回りの物が不等号に見えてきていた。ええと、そこの洗濯バサミの右辺と左辺を入れ替えて……半ば糖分切れのぼーっとした思考で部屋を見渡した。
「――風呂、出たぞ一夏。お前も入れ」
脱衣所から寝巻き姿で現れたのは、一夏のルームメイトである箒だ。
初日は呑気にもバスタオル姿で出てきた結果、一夏に肌を晒す結果になった箒だが、もうそんなことはして堪るかと髪までしっかり乾かしている。結果として風呂場の専有時間は伸びたが、その間には課題でもしていれば良いだろと一夏は気にしていない。
思えばあの時は酷かった……と一夏は思い出す。
入学初日の夜、遅れて部屋に入ってきた一夏が箒のバスタオル姿を見たことで複数回、「同室の希望はお前が出したのか」という箒を一夏が「そんなわけないだろ」とバッサリ切り捨てたことで一回、その後何故か剣道用の竹刀入れに引っ掛かっていた箒の下着を見ての一夏のセクハラ的発言により一回……これは箒の素振り用木刀が一夏に振り下ろされた回数である。結局のところ数えられていないが、同じだけ一夏は死に掛けたと言っても過言ではないだろう。一夏は無事だったが、二次被害として入口のドアがボロボロになった。
素振り用とはいえ何で生身でドアに穴を開けられるんだ……? 6年で人間とはここまで成長出来てしまうのかも知れないと、命の危険だったのに一夏は感心さえしていた。
「え? あ、ああ……」
箒に促されるまま、一夏は自席からゆらゆらと立ち上がる。着替えもタオルもベッドの上に揃えてあるので、後はこれを持っていくだけだ。
しかし、一夏はそこへ行く前に足を止めてしまう。そのまま、何か考え込むように俯いた。
「……どうした?」
「うん……これ昨日も話したけどさ、まだレポートのテーマが決まらなくてさ。立ち上がったら、急に思い出しちまって」
「いつまでもウジウジと……さっさと授業のことでも何でも書いてしまえばよかろうが」
「それは、そうなんだけどさ……」
呆れたように天を仰いだ箒は、ずいずいと一夏の目の前まで詰め寄った。元々血色が良いとは思っていたが、風呂上がりで上気した箒の肌は仄かに赤みがかっていて、一夏は生唾を飲み込んだ。
「お前はあれか? 夏休みの宿題を何時やるか延々迷った挙げ句、最後の最後に徹夜で追い込む小学生か!?
言っておくがな、もし日曜までに何も進捗がないところを見せてみろ、千冬さんに言いつけてやるからな。道場時代のあの人のことはよく覚えているぞ、さぞ厳しいだろうな!」
ぷい、とそっぽを向いて、箒は自分の机に行ってしまった。
箒は自分のことを心配してくれている。徹頭徹尾、正論しか彼女は言っていないのだ。そうだと分かっていても、ぐうの音も出ない一夏は俯くだけだった。
打ち明けづらい内心が、どこかの内臓を締め上げているようで苦しい。
――じじっ、じじっ。
「ん?」
そんなときだった。机の上に伏せてあった、一夏のスマホが震えた。
訝しみながらも画面を開くと、学内用のチャットアプリからの通知が飛び出した。
――「ヤマダ先生と」。
一夏は妙な胸騒ぎがした。昨日の様子が変だった真耶を見た一夏にとって、それがこれから戦うというのは、どうにも嫌な予感がした。あの調子がショウに向けられるかも知れないし、そうでなくとも真耶がもっと酷いことになるかも知れない。
気分の優れないときは休むべきであって、戦うなど以ての外ということくらい、一夏にも分かることだ。
しかもわざわざ夜間に、なぜ?
幸い今は制服姿。寝間着でもなんでもない、いきなり外に飛び出せる格好。
一夏は廊下に続くドア――初日のときに空いた穴がまだ残っている――の前に立った。
「……ん? どこへ行くんだ、一夏」
自分の机の上に広げたスキンケアアイテムを横目に、保湿クリームをぐりぐり顔に塗っている箒が一夏の背中を呼んだ。
「ちょっと、千冬姉のところに行ってくる」
「課題の相談か? 遅くなるなよ」
嘘は言っていない。嘘は。
千冬の元に行くのは真実だ。それが寮長室ではないというだけで。
一夏は自室のドアを静かに閉めると、早足で廊下を進んだ。
「――おやおや?」
そんな一夏の姿を、廊下の角から覗く女子が一人。
胸元の黄色いリボンは2年生の証。赤みがかった髪を後ろでまとめ、リムレスフレームのメガネと首にかけた日本製の一眼レフが特徴的だった。
「この身に流れるジャーナリストの血が言っている……今ここでネタを逃す
――よし、追っかけちゃえ!」
彼女の名は「
薫子は左腕に白と緑の腕章――新聞部の証にして自身のトレードマークを取り付けた。取材開始である。
「――
午後7時過ぎ。
第6アリーナのピットには、架台の上で制服姿のままサンデーストライクを纏ったショウの姿があった。所々が紫で彩られた純白の装甲に緑色のラウンドバイザー、背面に取り付けられた2基の大型スラスターと1基の補助スラスターが特徴のISが、天井の照明に照らされている。
架台の近くには移動式のラックが複数並んでいて、その中には大きな銃や大量の弾薬、グレネードといった武器が積まれている。今、グレネードの中の一つが白い粒子となって消えた。
ショウがここへ来た頃には、前日に申請しておいた武器類とサンデーストライクが搬入されていた。それから銃火器の
入学してからは全く経験のない作業。だがショウに難なくそれが出来たのは、グランゼーラでの経験とマニュアルの読破によるところが大きい。
これがよく分からない他社製品の機体だったなら、ここまで上手くは行かないだろう……目の前で白色の粒子に分解されていく大型ショットガンを眺めながらショウは思った。
「――随分手慣れているな、実はもっと前からISに乗っていたんじゃないのか?
例えば一年程早く適性に気付いていて、秘密裏に搭乗経験を積んでいた……とかな」
管制室の方から歩いてきたのは千冬だ。夜でも日中と変わらぬパンツスーツ姿のままなのは、普段の激務を考えれば通常運転と言っていいだろう。
この試合に然程の重要性を感じていないショウは、もっと楽な格好で良いのにと思いながら作業を続けた。何せ単なる模擬戦だ、金曜日の代表決定戦と違って勝ち負けすらどうでもいい代物にそこまで真面目になる必要があるのだろうか。
「そんなことしてたらコアの搭乗履歴とかでソッコーバレるんじゃねえの。まあ、昨日のうちに
……それで、何か用事か? 試合時間が前倒しになったとかならもう少し待ってほしいんだが」
「いやいや、単に暇になったから来ただけさ。試合時間も予定通りの8時スタートだ。真耶も来ているぞ、向こう側のピットにな」
ショウがそうかと短く答えると、今度は交換用のマガジンが白い粒子となって消えた。千冬はそれを見て、機体の周囲に並んだラック群を見渡すと、少し訝しげに呟いた。
「随分詰め込むな……集合時間をこちらで決めておいてアレだが、間に合うのか?」
「倉庫番*1だか箱入り娘*2みたいなもんだよ、こいつも急ぎでやらされたことがあるんだ」
眼の前に浮かぶ空中ディスプレイで目まぐるしく変化する
読み出しの順番さえきちんとしていれば、ミキサーに掛けたようにぐちゃぐちゃに断片化させても呼び出しが効く量子化だが、素早く物の出し入れをするには最初の入れ方が重要になる。問いより先に答えを想像しながら進める、ある種の禅問答のような作業だが、結局は数学のお話である。
「なら良いが……それはそうと使いこなせるのか? 昨日今日でいきなりかき集めた装備だろうに、数が多いと取り違えそうだが」
「さあな。俺は狙いが下手だから、こんだけあっても足りないくらいかも知れない」
「やる前から無駄撃ち宣言か」
「そうとも言う」
ショウの宣言通り、恙無く進んでいく
サンデーストライクは現役時代に千冬が使ったことのある機体でもある。昔、親友に作ってもらった専用機が完成するまでの短い期間に代車よろしく使っていた機体だが、今でも変わらぬ見た目に千冬は少し懐かしくなった。
足の先から胴、胸、頭へと視線を動かしていくと、丁度緑色のラウンドバイザー越しにショウと目があった。
思えばISに乗らなくなってどれほど経っただろうか。当時の専用機は封じられ、それからは教えるばかりで自分が飛ぶ機会はほとんど無くなってしまった。とはいえ乗るべき理由も無く、
「そういえば、新機体の引き渡しが明日に控えているんだったな。しかも2日掛かりとは大変そうだが、この前みたくこちらに機体だけ持ってくることはしないのか?」
「お披露目みたいなことするらしいぞ、ウチのお偉方がやってくるから機体だけ貰ってオシマイとは行かないんだと」
わずか半月程でショウが戻ることになったグランゼーラの施設は北陸にある。車での移動が計画されている以上、移動時間だけでも大した物になることは明らかだ。動作テストなどの諸々を考えれば、往復の移動で丸半日取られてから残り少ない体力でそれをこなすのは望ましくない。
向こうで何が行われるにしろ、2日掛けるのは仕方のないことだった。
「なるほどな。明日明後日のことは公欠で話を通してあるから……まあなんだ、気楽に行ってくるといい」
「お気遣い痛み入ります……ついでにワルキュリアの姿も拝んでくるよ」
「そんなに好きだったんだな、あの機体」
「そりゃあもうね。長らくアレの中でシミュレーターばっかやってたんだ」
「元々はISじゃなかったのか?」
「フレームだけっていうか、シミュレータの筐体みたいなもんだった……のかな? 実のところ
――っと、全部入れ終わったぞ」
千冬が見渡すと、ラックに一つだけ残されていた赤い鍔の実体ブレードが粒子へと分解されていくところだった。
そう、これがサンデーストライクなのだ。
現役時代はこの異様な
それら全てを斬り捨て勝ち進んできたとは言え、流石の千冬でも驚くことは何度も経験している。
時計を見ると、時刻は7時40分。試合まではもう少し時間がありそうだ。
「本当に全部収めるとはな、ここまでのは久し振りに見たぞ」
「お褒め頂きドーモ。この後はどうする?」
「私は管制室に戻るから、ここでも、アリーナの中でも、時間まで適当にゆっくりしていてくれ。8時になって両者揃ったら、合図で試合開始だ」
「了解。それじゃあまた後で」
ショウの言葉を聞いてから、千冬はスタスタと元来た方へ歩き去った……
「――ああ、最後にこれだけ聞いておこうか」
……かに思われたが、突然千冬が足を止めて振り返った。
「勝算のほどは?」
「
「ふん、ならばせいぜい胸を借りてくることだな」
慢心の見られないショウに少しだけ満足した様子の千冬は、今度こそ戻っていった。
真っ白いLEDが照らすピットには、ショウが一人残された。
明度で言えば昼間も同然のはずなのに、誰もいないと少し暗く感じるのはどうしてだろうか……そんなことを考えながら、ショウはサンデーストライクのUIを弄る。
「ええと、マニュアルだと確か、ここを選択するんだっけか……」
数年前のことだ。
当時の真耶はISバトルの国内強化選手の一人として活動していた。
高校3年生だった真耶は強化選手の中でも上位の実力者に数えられていた。多彩な武器を使いこなし、手数と自己流の拘束戦術で勝率は高く、一部の選手からは恐れられてさえいた。
強化選手、序列第2位。それが真耶の勝ち取った立場だった。
千冬が人類最強の異名を得て、世界中で引っ張りだこの状態になってしまったため、漸く日本政府は「代表候補」の枠組みを作ることになった。国内での新機体開発プロジェクトのテストパイロットや、次代の国家代表の模索……多くの目的と思惑の重なったこの一連の流れの中で、「如何にして代表候補とするか」という問いは不可避である。
そうして、強化選手に登録されているパイロット全員による総当たり戦が企画された。完成したばかりの国立アリーナを使い、約2週間の長さで開催されたこの大会においても、真耶は強かった。
一度の敗北を除けば、真耶は完勝してみせた。
――マヤちゃんってさ、戦術の割にお行儀良すぎるんだよね。強くないよ、それじゃあ。
問題はその一度。
霞ヶ関にいた企画側たちの思惑で、「美味しいものは最後まで取っておこう」として一番最後に実施された、序列1位と2位の戦い。事実上の決勝戦。
――それさ、一度折っとこうか。
その一戦が、後の真耶を作り上げたと言っても過言ではない。
すぅ……、はぁ……。
第6アリーナの乾いた砂地の上に、教員仕様のラファール・リヴァイヴを纏った真耶の姿があった。斜め上の四隅から照りつける、強力なナイター照明が眩しい。
「あはは、何やってるんだろう私……柄にもなく興奮してるのかな」
どくんどくんと、心臓が普段よりも強く拍動しているのを真耶は感じていた。動悸がして、叩き出される血流が頭蓋の中で響いている。
ISのバイタルチェッカーを見るに、決して心拍数が高いわけではない。けれど、何時でもそうなれるように身体が準備をしているようで、真耶は呆れたように、少し引き攣った笑みを浮かべた。
りぃぃん……!
鼓膜を揺らしたのは忘れもしないスラスターの駆動音。真耶が見上げると、向こうのカタパルトから純白のISが飛び出してきた所だった。そのIS――サンデーストライクはアリーナの外周ギリギリを一周、二週と飛び回ってから、真耶の前方30mのところに着地する。
その搭乗者は勿論、ショウである。
「――まずは、他人越しな上に、こんな時間にお呼びしちゃってごめんなさい。アリーナが自由に使える時間がここくらいしか無くて……でも、来てくれて良かった」
真耶は真っ先に謝罪を口にした。自分で誘いに行く勇気も持てず、しかも己の身勝手にこれから付き合わせようというのだ。どれほどの非礼か、普段から礼儀正しい真耶は理解していた。
それでも、やらねばならなかった。
「一番最初の、入学テストのこと、覚えてますか? 正直な話、あまり思い通りにISを動かせてないみたいで、『やっぱり初心者なんだな』って思ってしまったんですけど……。
……なんですか、あの戦い方」
「……」
「セシリアさん相手にあんなに戦えたなら、どうして最初は
……色々考えたんですけど、納得の行く答えが見つからなくて」
「……」
口数の多い真耶に対して、ショウは瞑目したまま押し黙るばかりだった。だらんと両手を垂らして脱力し、うつむき加減のその様子は、ただ時間が過ぎるのを待っているだけのようだ。
「だから私、気になって仕方がないんです。入学テストと、代表決定戦、
今後のためにも、私に確かめさせてください」
「――
真耶の言葉に被せるようにして、突然ショウが呟いた。両手はぐわりと開かれ、始めからそこにあったかのように白色の粒子が何処からともなく現れ、収束していく。
やがてショウの両手に現れたのは、左右で2丁のショットガン。
「その武器、その名前……ッ!」
だが真耶にはそんなことを気にする余裕は無い。指摘する気も起きなかった。
ショウが握るのは米国マクガイヤー社製の8ゲージショットガン「
普通のものと違ってボックスマガジンが突き刺さっているのは、借りられたのが整備科がお遊びで作った改造品だからだろうか。
そして、真耶にとっては因縁の武器の一つ。
アレの銃口を鼻先に押し付けられたときの衝撃は、今になってもその時のように思い出せてしまう。烈日を覗いてしまったときの残像のように、暗いものがこびり付いて離れない。
唐突にトラウマを刺激されて、真耶は危うくショウに掴みかかりそうになった。それが行動に移されなかったのは、
『――よし、両者揃ったな。双方、問題があれば直ちにこの場で申告するように』
真耶は無言で自分の武装を呼び出す。右手に現れたのは、米国クラウス社製の51口径アサルトライフル「
『……沈黙は是と判断する。ではカウントの後に試合開始だ。5、4――』
ここでショウが目を見開いた。目こそ合わなかったが、真っ直ぐ自分の方へ視線が向けられているのを真耶は感じ取った。ショットガンを持った両腕は相変わらずだらんと垂れ下がっていて、構えとか予備動作とか、そういうものとは全く縁の感じられない様子だった。
『3、2、1――』
真耶はライフルを構えた。姿勢は少し腰だめに、背面のスラスターを
ここでケリを付けなければならない、確かめなければならない。あの日から続く恐怖に、憎悪に、蘇るような余地を与えてはいけない。真耶の脳はその思考に支配されていた。あるいは、その思考で脳を支配していると言えるだろうか。どちらが正確かなど、無意味な議論だが。
『――スタート』
パッ、とショウの背後に虹色の光が舞った。
おぞましい程の速度でサンデーストライクの姿が、ショウの顔面が急激に拡大されていく。
「イグニ――!?」
――
スラスターの噴射に使われるエネルギーを一旦外部へ排出し、再度スラスター内に充填されたエネルギーと合わせて圧縮、点火することで瞬間的に爆発的な加速を得る、言わずと知れたテクニックだ。危ういメカニズム故に一度でスラスターを破損させ得るリスクと、その成功率の低さから半ば博打のような扱いを受けるこれを、この男は初手で成功させてきた。
――マズい。どうしよう。
様子見がてら間合いを取ろうと後ろに推進力を働かせていた真耶は、真っ直ぐ自分の下へ向かってくるショウに対して左側に避けようとする。あの加速が乗った状態で射撃を受ければ、回避などできるはずもない。今すぐにでもショウの動軸から離れなければどうなるか――。
――ゆらりとショットガンの銃口が2つ、真耶の顔面に向けられた。
そのチョーク*3のない、暗い穴の奥にどれほどの恐怖と破壊が詰まっているかなど、ここ暫く考えたことはなかった。考えなくても分かってしまうから、考えないようにしていたのに。一瞬だけ、真耶の身体は硬直した。
どどん……っ!!
直後、アラートが鳴るよりも先に真耶の顔面で閃光が2度炸裂した。当然バリアで防がれているとは言え、轟音が真耶の顔を揺らした。
(――ミニグレネード!?)
何よりも視界が爆炎で遮断された。
ショットガン向けに製造されているミニグレネード弾は、その小さいショットシェルの中に信管と爆薬始め諸々を詰め込んだ、火薬の弁当箱のような代物。形を保ったままターゲットへ飛ばす関係上、チョークがあっては使えない弾種だ。
ショットパターンを考えればチョークを取り付けて使うのが普通のはず……その疑問と答えはほぼ同時に提示された。
このままではマズい。即座に垂直上昇を試みる真耶だが――、
「――がぅあッ!!」
即座に名状し難い程の轟音と胸部への衝撃。真耶は仰向けの状態でガリガリと擦り付けられるようにして地面に叩きつけられた。
こんかいのまとめ
・一夏
昨日に引き続き課題のテーマが決まらない。箒が心配してくれているのが心に刺さる。
ショウが真耶と戦うと聞いて嫌な予感が。速攻で部屋を飛び出した。
後ろを追っかけてくるパパラッチには気付いていない。
・箒
スキンケアは乙女の嗜み。
課題に追われているというのに煮えきらない態度の一夏がどうも不自然な感じ。
一夏がなんか急に部屋を飛び出してしまったが、まあすぐ戻って来るでしょ。
・薫子
ジャーナリズムは死なんよ。
先日のクラス代表決定戦のパーティー以来、一夏のことを追い続けているが、今日もなんだかいいネタが拾えそう。夜でもレンズは輝いていた。
・千冬
やたらとISを扱うのが上手いショウに不自然さを感じているが、今ひとつ尻尾が掴めていない。
ショウは試合の翌日からいきなり出張ですって、大変だわね。
・ショウ
勝ち負けなんてどうでもいいし、好き勝手やれるだけやっちゃえな精神で大量の武器を申請。サンデーストライクでもなければ収まりきらないその物量で拡張領域はパンパン。
マニュアル通りにやれば結果は出せる。それが決定されたものだとすれば尚更。
・真耶
過去と現在の区別が付かなくなりつつある。
バラバラに切り刻んでも、今更ミミズのように這い出てくるそれを、今日この場で焼き払ってしまおう。
本当はね、今回で真耶戦の大部分を書き切る予定だったんですよ。導入書いてたらあっという間に膨れ上がってこのザマです。
オリ主が最初に起動させた機体としてサンデーストライクを登場させてから、必ずこれの活躍シーンを入れようとは考えていました。FINAL2で個人的に気に入っている機体だったからというのもありますが、特別な兵装のぶつけ合いになりやすいISバトルの描写において、量産機同士が鎬を削るような戦いがあったら楽しいだろうなと。
サンデーストライクは装甲などの諸々を必要最低限まで削って拡張領域の容量を確保した、「当たらなければどうということはない」を地で行く機体です。お陰で大抵の装備は積めますし、パイロットが扱える限りの範囲で手数をいくらでも増やすことが出来ます。
前回に引き続き真耶の振る舞いがどんどん暗くなっています。彼女の抱える因縁が一体何なのか、戦闘の合間にもう少し踏み込めればと考えていますので、どうぞ次回をお待ちください。
ところであの、普段ほわほわしてる優しい人が突然ドス黒い感情とともに執着心剥き出しにしてくるのって、なんかゾクゾク来ません?
あ、ご理解頂けないですか、ごめんなさい……。
戦闘シーンは……
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なんぼあっても困りませんからね
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戦ってねえで話進めんしゃい
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そんなことよりおなかがすいたよ