Infinite stratos / False prophecy 作:✕せんたくだま
「よっ、元気してるか会長。茶化しにきたぜ」
「まあ、ぼちぼちね……」
「らしくねえじゃねえの、あんな滅茶苦茶な試合。……何があった?」
夜。
案の定というべきか。散水用タンク内の水にナノマシンを仕込んだことが千冬にバレた楯無は、試合で受けたイメージインターフェースの負荷で頭痛にふらつく頭を抑えながら、アリーナ内の整地・清掃を命じられていた。要するに罰である。
額にペタリと貼られた冷却シートは、念の為と行かされた医務室でアリア*1に「どいつもこいつも試合になった瞬間に無茶するんだから……バカって感染するのかしら?」と怒られた名残りだ。
未だに頭が痛くて、時々目尻に涙が少しだけ浮かぶ。
そんな、萎びた表情で一人淋しく整地用ローラーを動かす楯無の下にやってきたのがダリルだった。
「彼の近くにいれば何となくは分かるわよ。絶対オススメはしないけど」
「もっと具体的に答えてくれよ、何がなんだかサッパリだ」
「言葉にしづらいのよねえ……まあ、
それ、オレが聞いていい話なのか……? と引き気味のダリルは、楯無から少し離れたところで整地の様子を眺めている。
彼女はアメリカの代表候補生。一応2人の男についての情報収集をそれとなく命じられてはいるが、諸々のこと──恋人と仲睦まじく過ごすとか──で忙しい本人にそこまでのやる気がないのが実情であった。
とはいえ、である。
学園における全生徒のトップが、その片割れに対して首輪だなんだと壮絶なカミングアウトをかましているのを聞き逃すわけにはいかなかった。
「聞いたってどうにもならないから言ってるだけよ。
……
「
「ええ。ある程度格が低いなら祓える悪霊。それを上回るなら、お帰りいただくか鎮まっていただくまで我慢するしかない神様の類ってことになる。
──私にとって彼は、沢村ショウは、後者なのよ」
「よく分かんねえなあ……まるでそのサワムラが人間じゃないみたいじゃねえの」
「生物学的には間違いなく人間……というのは
ローラーを動かす手を止めた空色の髪の少女は、ゆらりとダリルの方を向いた。妙に落ち着いた目だった。
呆れたような、達観したような。自発的に何かしてやろうといういつもの野心的な色がその赤い瞳から抜けている。普段と違うのはすぐに分かった。
「まあ、目の前に信管の抜けた核爆弾が置かれてるようなものかしら。誰かが無理やり整備し直すような真似をしなければ、何も起こらなそうだと分かったのが今日の収穫ね。
……ごめんなさいね、ちょっと気弱になってる」
いつでも自信満々にトップを張るこの女を、ここまで変えてしまう人間。果たして本当にそんなものがいるのか、ダリルにはとても信じられなかった。
しかし、彼女がそう言うのなら……。
「……なんつーの、どうしようも無くなったら呼べよ。その立場じゃ相談相手にも困るだろ、一度くらいは腹芸抜きで話聞いてやるよ」
付け込まれちゃったわね、と力なく笑う楯無を背に、ダリルはその場を後にした。
謝らなければとは思っていた。
勝手に因縁を付けての、あの仕打ち。それからついに1週間が経ったところ。
もう十分に頭は冷えただろうから。
だというのに。
だというのに。私の心はそうしようとしない。
「あれで正しかった」
「もっとするべきだ」
「あの女の痕跡を探し出してすべて潰さないと」
これ以上私に何をしろと言うんだろう。
ハッキリ言って異常だった。内から湧き上がるこの声が自分のものだなんて思いたくなくて。けれど、罪悪感がそれを許さない。
沢村くんを殺しかけたのは私だ。謂れのない彼を憎んだのも私だ。
だから、これは私の中で解決しなきゃいけないことなのに。
彼が出張から帰ってきて、クラスで顔を合わせるようになって、全く状況が変わっていなかったことに驚いた。マトモだと思っていられたのは、あるいはそういうフリが出来ていたのは、結局彼が目の前にいない瞬間だけ。
きっと千冬先輩にはバレているだろう。
クラスで私がどれだけ必死に彼を視界から追い出そうとしているかを。
それを生徒たちに気付かせないように振る舞っているのを。
それでも何も言ってこないのは、きっと私を信じているから。あんな仕打ちをしておいて、何もせずのうのうと過ごせる人非人だと思っていないから。
だから、私が解決すべきことなんだ。
To: s.sawamura@gz_inds.com
先日の模擬戦について
お世話になっております、山田です。
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
謝罪にしたって、いきなり押し掛けるわけにもいかない。かといってメールで何かしようにも、どうしていいか分からなかった水曜日の夜。
連日山積みの仕事を片付けた遅い時間。職員棟から自分の部屋に戻る道すがらに、沢村くんと出くわした。
白いLED式の街灯に点々と照らされた遊歩道を、手ぶらでゆらゆらと歩いている彼。来た方角からしてアリーナから帰るところかな。
その姿はどこかやつれて見えた。少し猫背ぎみで、虫か何かから逃げようとするような姿勢。曰く、出張の帰りに災害に遭ったらしいから、少し不安定になるのも無理はないのでしょう。
そんな時に詰め寄るのも困りものだろうけど、挨拶くらいはするべき……彼まで20mくらいのところでそう思った、そのとき。
殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしまえ殺してしま
「──ゔ、ゔぅ……っ」
ひどい吐き気と頭痛。その場に立っていられなくて、膝を突いて、ぐわんぐわんと世界が揺れるのを感じた。
街灯の白い光の手前、視界の端を琥珀色の風が駆け抜けたような感じがして。
何よりも恐ろしいのは、この不調の膜1枚後ろ側に、何故か微睡みのような安堵を覚えている自分がいること。
怖いのに。安らかなのに。
心が車裂きに掛けられているような感じがして、痛みがないのに激痛が走るような、怖気。
「は、ぁ……はぁ……ぁ、あ゛ぁ……」
「……」
気配を感じて、目の前を見た。いつの間にここまで歩いてきたのか、彼が目の前にいた。
沢村くんは跪く私の前にしゃがみ込むと、両肩に手を置いて、ぐっとと力を込めて私を押し倒した。セミロングの黒髪がふわりと揺れた。
驚くほど簡単に私の体勢は崩れて、ドサリと背中から地面に倒れ込んでしまう。
「ぁ……」
真上の街灯が逆光になって、その顔は真っ黒に染め上げられて分からない。
彼はそのまま、ゆっくりと動きの鈍い私の上に馬乗りになって、首に両手の指を這わせてきた。
この場で私を絞め殺すんだよね。
「──ぅ、が、ぁは……っ!」
喉仏を親指で押し潰すようにして、すぐに力が込められる。息が出来なくなった。
全身が危険信号を出していて、私の意思とは関係無く手足がバタついた。空気を押し出す先の無くなった横隔膜が暴れて、まるで別の生き物みたい。
ごめんね。ごめんね。
これは私が招いたこと。あの仕打ちを黙って堪えるなんて、そんなことあるわけないのに。
一度は殺そうとまでしたんだもの。殺されもするよね。
末端から痺れと共に這い寄る罪悪感に任せるまま、私は結果を受け入れようと目を閉じた。
最期に、目頭からするりと温かい涙が零れ落ちるのを感じて──、
────
「…………え?」
痺れで鈍っていた全身の感覚がウソのように戻って、鮮明に強まっていく。
特に手指は顕著だ。何か、太くてゴツゴツとした芯のある生暖かい物を握っているようで。
恐る恐る目を開けた。
「ぁ……」
真逆だった。
彼が私を殺そうとしていたんじゃない。
「あぁ……」
私だ。私が、沢村くんに馬乗りになって、彼の首を握りつぶそうと力を込めていたんだ。
「──ひぃっ」
咄嗟に手を離したが、べったりと両手にへばり付いた肉と骨の感触が否応なしに教えてくる。
脈拍が無かった。
その首筋には、私の手の跡が赤々と刻み込まれていて。
「う、うぅ……っ!」
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
こんなこと、欠片だって望んでなかったのに。
彼は、沢村くんは私の憎むべき相手でも何でもないのに。年齢こそ違えど生徒なのに。
あの女がどうとか、トラウマがどうとか、もうとっくに関係の無いことだったのに。
彼にはなんの罪もなかったのに。悪いのは全部私なのに。
人を殺した。たったそれだけの現実が目の前に広がっている。
見たくない景色だった。けど、目を閉じたって網膜に焼き付いてしまったものは消えてくれない。
喉奥が酸っぱくて、涙が止め処無く溢れてくる。
声帯が胃酸で焼かれたかのように声が出なくて、それでも泣くのはやめられなくて。
──ひどく、周りが静まり返っているのに気付いた。
突然冷静になって、目撃者がいないか見渡してしまう自分を殺してやりたくなった。
けれど、私はもう一度目を疑った。
体温の残った沢村くんの亡骸も、彼に馬乗りになったままの私も。
「……ぇ?」
まるで始めから居なかったかのように沢村くんの姿も無くて、真夜中の遊歩道に私一人だけが苦しんでいる。
殺し殺されも一切無かった。そもそも何一つ起きていない。
けれども、欠片も安堵の気持ちが浮かばない。
自分の首に他人の指が這い回る感触も、皮膚越しに触れた彼の頚椎の感触も、自分の肌にハッキリと残っている。
だからこそ、あれが夢か真か分けられない。今見ている景色だって……。
一つだけ、思ったことがある。
今まで、彼にしてしまうこと全て、自分のことだと思っていた。それが責任だと。
あの模擬戦で嫐ってしまったのは他でもなく事実だから。
けど、これは
謂れなき彼に向かって、勝手に湧き上がる殺意も、害意も。
もう止めたいと思っているのに、自分の身体が自分のものじゃないみたいに振る舞う感覚。
外から、全く違うルールや価値観が流し込まれている。
理由なんて一切無い。ただただ、目に付いたものに向けて敵意と害意を向けようとしている。たまたま、そのターゲットが沢村くんになっているだけで。
私じゃない。
絶対に、私じゃない。
「こ゛ん゛な゛の゛っ、わ゛た゛し゛じゃ゛な゛い゛っ……!」
……しゃりしゃり。
しゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃり。
金曜の真夜中にも関わらず、寮長室のキッチンは賑やかだ。
「……」
表現を改めよう。厳かな雰囲気が漂っていた。
例えるならば、儀式で神主が祝詞を大声で唱えるときみたいな。音こそ大きいが真面目でふざけの挟まる間の存在しない瞬間というやつは、どういうわけか日常のワンシーンに突然生えてくる。
しゃりしゃりしゃりしゃり……。
「お前、ただのツマミ作りにそんな真面目くさった顔すること無いだろう」
「『ただの』なもんかよ。山葵だぞ山葵」
いい加減に詳しい描写を挟まねばなるまい。
今現在、キッチンではショウによる夜の罪深き夜食錬成の儀が執り行われている。もはや神事も斯くやというレベルに触れ難いアトモスフィアを纏わせるその手に握られているのは……生山葵。
真耶との試合の参加賞ということで千冬に約束されていた生山葵。受け取るべき本人が試合の翌日から出張でいなくなったり、戻ってきたかと思えばこの世の終わりみたいな表情で過ごしているものだから渡すに渡せなかった千冬の苦難を想像出来る人間がどれほどいようか。
何せ生モノである。冷蔵庫で何日も眠らせて鮮度の落ちたものを、参加賞とはいえ贈るわけにはいかなかった。
昨日知らぬ間に企画されていた楯無との試合で行われた不正のこともあって、楯無に説教と罰を言い渡した足で食堂の知り合いに貰ってきた超高級品。
しかしショウは急に降って湧いた
いつものようにパック山葵をキメるのとはワケが違う。摩り下ろすときの温度やおろし金の刃の並びで山葵は如何様にも味を変える。
しかも貴重な生。薬味という立場を無視してそのまま味わうだけというのは、もしや冒涜に値しないだろうか。
そんな心底どうでもいい重要な悩みにV8エンジンの如く唸るショウに向かって、千冬が「じゃあツマミにたこわさびでも作ってくれよ」と何の気無しに言い放ったのが事の始まりである。
白だしとみりんと醤油を混ぜ合わせた耐熱容器を電子レンジに放り込み、粗熱を取るために冷凍庫へシュート。
刺身用のタコは一口サイズに切り揃えられてまな板の上に並んでいて、その横でこれまた食堂から借りてきたおろし金でショウは山葵に向き合っている。
(コイツ、こんな真面目な顔するんだな……)
出会ってから2ヶ月程度。千冬が見たことのあるショウの表情といえば、気味の悪い爽やかスマイルと、営業フェイスの無表情に、普段の眠そうな瞑目、出張から帰ってきてからのこの世の終わりみたいな怯えた顔……せいぜいがそれくらい。
それがどうだろう、今のショウには見たこともない神がかり的に真面目な表情が宿っている。その全神経が、両手に持った緑と黒のゴツゴツとした棒と銀色の板に向けられているというから信じがたい。
力を込めて、しかしゆっくり確実に。山葵という植物の細胞壁を確実に壊して、中にある成分を引きずり出す。これを実現するためにショウが少なからず独学していたことなんて誰も知らない。別に知らなくていいのだが。
そんなこんなですりおろし始めてから約1分。必要量が用意できたショウは、余った山葵をジップ付きのビニール袋に入れて空気を抜いた。
そこからは実に早かった。冷凍庫から引っ張り出した容器に山葵とタコを放り込んで混ぜる混ぜる混ぜる。
普通ならここに刻み大葉でも乗せるのだろうがそんな脇役不要ッ。この”山葵”さえあればいいっ。
そんなこんなでハイ完成。サーバースプーンを差し込んだら小皿2つと一緒に持って行く。
テレビ前のソファに戻ってビール缶を傾ける千冬は既に若干出来上がっていた。
「おー、ついにか」
「へいお待ち……いやしかし何時振りかなあ、お宝だよマジで」
千冬は自分の小皿に盛られたたこわさびを一切れ、箸で摘んでパクリ。
鮮度が良いのだろう。仄かな甘味がふわりと舞った直後、すぐに約束された刺激が頭を突き抜ける。前頭葉をゾワリと撫でられるような感電が広がって、一気に目が覚める。
「くーっ、キくなあこれ。ツマミで言うのも何だが、生活力あるよな沢村」
「そりゃ一人で生きるために色々考えてきたからな。今はこうして一人じゃないが」
一方のショウも同じように一切れを口に入れる。そして瞑目、感動、落涙。
人間、喜びというやつは目から溢れるものらしい。
「あーマジで涙止まらねえ……そうだよ、こういう涙なんだよ」
「薬味にそこまで感動出来る人間、初めて見たぞ。……にしても何だ、大分マシな顔になったな」
「どういう理屈か知らんけど、イチカのお陰で欲しいものが手に入ったからな」
「ガルーダ……だったか? そんなに変わったのか、お前の専用機」
「大違いだね、あれくらい俺の思い通りに動いてくれないとこの先やっていけないよ」
今度はたこわさびを大量にかき込んでみる。口の中を山葵の風味で埋め尽くすのだ。うまい。
ショウの好む山葵の成分は揮発性だ。楽しむにしたって早くしなければ飛んでしまう。
そういうこともあってショウはどんどん食べ進めた。
……明日は料理しないでそのままいこう。うまいに決まってる。
「まあ、同居人が辛気臭い顔でなくなったのは喜ばしいところだな」
「……迷惑掛けちまったことは、申し訳ないと思ってる。けど、俺にはどうにも出来なくてさ」
「また顔が戻り掛けてるぞ。そういえば今日は夜のアリーナは使わんのか?」
「ああ、暫くはもういい。後はイメージファイトで鍛える。ここからはどれだけ俺を仕上げられるかに掛かってるからな」
「お前が何を目指してるかは知らんが……確かにあのシミュレータは凄いな。ISを動かしていないのに乗っているときみたいだった」
夕刻のことだ。
前日から急に元気になったショウを案じて、彼がいるという整備室を訪れた千冬は、架台の上に立位で佇むガルーダを見付けた。声を掛ければ中からショウが出てきて、やはり元気そうに「何しに来たんだよ」と聞き返してくる。
丁度いい機会だったので、千冬は自分にもイメージファイトを使えないか頼むことにした。
ショウの奇妙な実力の源泉。ロシア代表の楯無をして異常と言わしめる難易度をその身で体感したいと思ったのだ。
その頼みは快く聞き入れられ、しかし多忙な千冬には時間があまり無かったので、ショウが普段使うシナリオ一つだけを体験させてもらうことになった。
最初に目に飛び込んできたのは、閃光煌めく宇宙空間。
星々の光に包まれながら、真っ黒い空間をひたすら飛び回る。昔に使っていたサンデーストライクに似た操作感。一度慣れ親しんだ感触は驚くほどしっくり来て、初めて乗る機体にも関わらず滑らかに操れた。
少ししてシナリオの開始が通知された。その直後、視界を埋め尽くしていた星の光に、”ENEMY”と記されたバウンディングボックスが丁寧に一つ一つオーバーレイされていく。
「天の光は全て敵」とでも言うべきか。景色の彼方から大量の光弾が雨あられのように飛んできて、千冬は即座の回避を余儀なくされた。
その後、2度3度とリトライを繰り返して、5回目の挑戦で適応した千冬は、攻撃元らしい「宇宙船とも戦闘機ともつかない機械」の群れを備え付けのレールガンとレーザーブレードで片っ端から撃破していく。
複数の目標を同時に相手取る、少し
尋常ではない速度の、一撃で撃破扱いになる攻撃を当たり前のように回避できなければこんな事はできない。これを繰り返しているとすれば、ISを駆るときのショウの回避技術にも頷ける内容ではあった。
「ウソじゃなかったろ、シミュレータで鍛えたっての」
「……そうだな」
缶をローテーブルに置いた千冬は、急にかしこまって、「先週は疑って済まなかった」と頭を下げた。慌ててショウがその肩を掴んで頭を上げさせるが、恐るべき腹筋背筋。ピクリとも動いてくれない。
「オイオイもう終わった話じゃねえか。頭上げてくれよこっちが困る……」
「だとしても、だ。色々とお前を厄介事に巻き込んでしまっている。これくらいの謝罪はさせてくれ」
「今は仕事の話はしないんじゃなかったのかよ」
「それは、まあ、そうだが……」
プライベートタイムに仕事のことを思い出したくない──それはショウと千冬がこの部屋で顔合わせした時に生まれた取り決めのようなもの。尊敬しているといって敬語を崩そうとしないショウに辟易した千冬が持ち掛けた内容だった。
自分で言ったこととあって返事に困る千冬は、口をもにょつかせながら頭をゆっくり上げた。
見れば、ショウは玄関前で靴を履いているところだった。
「今からどこに行く気だ?」
「整備室。ガルーダの調整をもうちょっとやってくる」
「ちゃんと寝ろよなお前……明日だって授業なんだぞ」
「はいはい」
呆れたような表情でショウを見送った千冬は、そのままビールを煽った。
湿り気を帯びた冷たい海風が頬を撫でた。
夜の散歩というやつは存外悪いものではないらしい。
長い黒髪を後ろで束ねた少女──箒は学園の海際を隔てる欄干に両手を突いていた。
「わたしは……どうしたいのだろうな」
月曜の夜の一件。激情に駆られて危うく一夏を殴ってしまいそうになった、あの瞬間。
今週、箒の頭からそのときの罪悪感が離れることはなかった。
──もう二度と、力に振り回されたりするものか。
過日、自分で立てた誓い。そう昔の話でもなかったはずなのに、自分は早速それを破っている。
ISの開発者を姉に持つ箒は、その
否、守られてきたというのは建前で、彼女にとっては「切り離された」あるいは「閉じ込められた」というのが正しいだろうか。
ISコアという束にしか作れない中枢部品を安定供給させるため、その家族が本人の弱点とならないよう政府は動く必要があった。
結果を端的に言うならば一家離散。ソフトターゲットが一箇所に集まっているのはリスクでしかないから、全員別の地域に、互いの居場所も分からないように移された。
小学校低学年の箒にとって、一緒に暮らしてきた家族が一人残らず離れ離れになって、まともに連絡が取れないというのは人生を大いに歪める出来事だった。
家族で支えてきた神社と道場も、幼少の自分を救ってくれた一夏との思い出も、全てぶつ切りで奪われた。
転勤族もここまではしないだろうというペースで居住地を点々として、友達を作ろうにもすぐに別れがやって来る。
中学校を卒業したらIS学園に入れられるというのも、全部周囲の決定だ。
箒は何一つ自分で決めることを許されず、いつも一人だった。
箒は姉を憎みたかったが、当の姉はどこにいるとも知れず、挙句の果てに行方不明。振り上げた拳を叩き付ける先として箒が選んだのは幼少から続けていた剣道である。
箒は日頃の恨みを、鬱憤を、竹刀の切っ先に込めるようにして打ち込み続けた。
幸いというべきか、彼女には才能があって、それが導くままに研鑽を重ねていれば、彼女は何も考える必要がなかった。孤独も苦しみも、全部忘れていられるひと時。
だからといって、無心でいられたわけではない。どちらかと言えば、酩酊。
どうせすぐ別れる学友なら使い潰してもいい。
どうせもう当たらない対戦相手だし叩き潰していい。
どうせ二度と出ない大会だし好き勝手に優勝してしまおう。
この先も、自分の人生は全部周囲にあれこれ言われるままなのだろう。そう思うと、箒には目の前の景色がひどく無価値でどうでもいいものに見えて。
意識があるのは自分だけ。他は全部、自然現象とか景色の類。配慮してくれないし配慮してやる理由もない。
竹刀を振るっているその間だけは、勝敗を自分の意志で支配できたから。そういう諦観の果てに、箒は自分の力に酔っていた。
そうして暴力的に才能を振り回しながら、全国大会を制して、受け取った優勝杯を抱えながら受けたインタビューで、はたと気づく。
──
なんと悍ましい生き方だろうか。
こんなもので、一体誰に誇れるというのだろう。
父は? 母は? 想いを寄せた一夏は? 今の自分を見て褒めてくれるだろうか。
否。断じて否である。
こんな獣みたいな太刀筋を見て、誰が認めるだろうか。
師である父は怒ってすらくれないかも知れない。こんな恥ずべき振る舞い……。
だからこそ誓った。
──もう二度と、力に振り回されたりするものか。
自分の剣は自分のものだと。
自分の人生は自分のものだと。
実態はどうあれ、そう決めた。政府が何と言おうと、手綱は己が握っているのだと。
だというのに。
だというのに一夏にああしてしまった。正確には、怒りにつられて「もう一人の幼馴染」とかいうあの女に。
正直なところ、自分が要人保護プログラムのために一夏の元を離れてからの数年を知っている彼女のことが妬ましかった。同時に羨ましかった。
6年だ。6年もの時間を空けて、運命のように舞い込んできた一夏の隣を、突然誰かに取られてしまうのが恐ろしくて。だから即物的な暴力に縋ってしまう。
何が誓いだ。
自分は何一つ変われていなかったと、眼前に突き付けられた。
別に、あのとき振り下ろした竹刀が目論見通り、鈴音とかいう彼女だけに当たっていたとしても、何も変わらない。
そんなことを仕出かして、一夏に顔向けなど出来るわけもないのに。
「……はぁ」
呼吸に混じって魂まで抜けていきそうな溜め息。幸せなんてとっくに逃げ去っていることだろう。
そんなときだった。
[Lapau dā upala Pṛthvī́ ākāśaḥ~♪]
胸元のポケットが震えて、そこから歌が流れ出す。
取り出してみれば音の出処は自分のスマホ。画面には番号非通知での着信が表示されている。
[Kiráṇaḥ ihá kiráṇaḥ Agníḥ udakám~♪]
どこか異国の民謡だろうか。
妙にノスタルジックな雰囲気で、少なくとも箒は聞いたことがない歌だ。そもそもこんなジャンルの曲に触れる機会など無かったのだけど。
「……」
そして、何よりも。
箒は
昨今はサブスクリプションサービスを連携して着信音をランダムにする機能もあるらしいが、ここ暫くは大して通話もしない箒にとって需要のない話だった。基本的に端末にデフォルトで入っている音源しか使わない。
加えて、突然の非通知。
箒が知らない番号で、こんな
曲は突然止まって、箒の操作とは無関係に、画面の向こうの誰かは喋りだす。
『ごめーん。あんま出てくれないから待ち切れなくなっちゃった♪』
──篠ノ之束。
箒の実姉にして、世界を変えたパワードスーツ「インフィニット・ストラトス」の生みの親。箒の人生を捻じ曲げた張本人。
ここ5年ほどの間は行方不明だったために、罵りたくても出来なかった、恨むべき家族。
「……っ」
絶対に許さない顔も見たくない声も聞きたくない。
無言で箒は画面を彩る赤い丸印をタップする。
『──うん、ちょっと大事な話だからさ、切るのは待って欲しいかな』
箒の意に反して、通話が中断されることはなかった。この天災はここまで支配下に置いているらしい。
一瞬だけスマホを握る手に力が籠もって……別にスマホに罪はないので渋々、箒は通話に応じた。
「何の用でしょうか……姉さん」
『おおおおお~っ! 久方振りの箒ちゃんの声は鼓膜に染み渡るなあ!』
「──やっぱり切りましょうか」
『あわわ待って待って待って! 大事な話なのはウソじゃないからさ…………1つ、お願いがあるんだよね』
何なのだ、この女は。
人の人生を捻じ曲げておいて、家族を奪っておいて、開口一番が「お願い」だと?
そもそも、幼少期から箒は束に引っ張り回されてばかりだ。
新しい発明品が出来たからとテスターを頼まれては、ヒヤリとする目に遭ったことなど数え切れない。
箒以外の家族とまともに会話もせず、本人が居る居ないに関わらず束の名前が親の前で出る度に雰囲気が最悪になった。
自分の発明で一家離散になったことも、毛ほども悪いと思っていないのだろう。
──全部、この女のせいだ。
今まで溜めに溜めてきた怒りを箒はぶつけてやりたかった。
だが、悲しいかな。長い時を掛けて焦げ付いた怒りと憎しみは、インスタント食品のようにお湯を掛ければすぐに解けて言語化出来るようなものでは無くなっていた。
せいぜい出来ても、唸るか叫ぶくらいだろうか。
加えて、つい先程まで悩んでいた問題は箒自身に端を発するもので、全ての責任を束に押し付けるのは難しい。そうだと、分かってしまう。
何より、そんなことをしたら箒は自分がどうしようもなく情けなくなってしまう確信があった。それはイヤだ。
黙り込んだ箒のことを気にしているのかしていないのか、束は話を続ける。
『……今、そっちの端末に2つのファイルを送らせてもらったよ。中身は学園内のセキュリティキーと、地下ブロックへの地図。話っていうのは、それらを使うかどうかってことなのさ』
「……は?」
『これから少しの間……1週間くらいは様子見てて欲しいかな。箒ちゃんのいるIS学園で
──あ、私じゃないよ?』
箒は、今まで自分の脳を支配していた怒りがスッと引いていくのを感じた。というより、キャンバスの上を困惑の一色で全部塗り潰されていくような。
言っていることがまるで理解できない。
「何か」とは、何だ? ISを世界に発表した
『飽くまで可能性の話なんだよ? 何も起きなければそれでヨシ、送ったものは消してもらって構わない。痕跡も残らないから安心していいよ。
──けれど、けれどだよ。もしも、箒ちゃんが何かが起きたと感じたのなら。それを使って隠れてて欲しいんだ』
「……何が、起きると言うんですか」
『それは言えない。というか、
束さんってば天才だけどさあ、その才能を以てしても難しい……と言ったら、今回の話の規模が分かってもらえるかな』
ハッキリ言おう。束はナルシストだ。それも、タチが悪いことに実力が伴っているタイプの。
それは箒だって散々思い知らされてきた。だから、否応なしに理解してしまう。
苦笑交じりに「我ながら情けない話だけどね」と呟く姉が、ここしばらくは調子に乗った喋り口調の記録映像──もちろんISに関するインタビュー映像が大半──でしか聞いたことのない彼女の声色が、全く
『ああ、勿論タダでとは言わないよ。お願いだからね。だから例えば──、
──箒ちゃんの専用機、作ってるよ』
「……はあっ!?」
『いやね、本当は入学祝いに贈ろうとしてたんだけど、忙しすぎて間に合わなくてさあ……』
「い、いらない……私は、そんなの頼んで──」
『──うん、だから頼んでるのはこちら側。
いっくんは白式で、身の回りの強い人はみんな専用機があって、自分だけ置いてかれてるような気分になったことは? もっと強くなりたくはない? 数の足りない訓練機を借りるのは面倒でしょ?
……なーんて、
「何を今更……」
『私が雲隠れしてから大体5年くらいかな? なーんか最近キナ臭いんだよね。政府のアホ共はそこが一番安全とか言って箒ちゃんを入れたんだろうけど、それじゃあ不足も良いところだ。信じちゃもらえないだろうけど、これでも迷惑掛けてる自覚はあってさ』
ぶつり。耳の横でそんな音が聞こえた気がした。
「──馬鹿を言うな白々しいッ!!」
感情の決壊。あるいは破裂。
「何が迷惑だ。何が自覚だ。家族が離れ離れになったのも、この学園に放り込まれたのも、全部全部あなたのせいではないかッ! 毎年何度も住む場所を変えさせられて、まともに友達も作れなかった! 一夏と別れることも無かったのに……ッ!」
『……そうだね』
「普通に生きたかったッ! 顔も知らない大人に四六時中監視されたりしないで、帰り道で友達と買い食いして、母さんに晩ごはんの内容を聞いて、父さんに剣の腕を見てもらって、土日は一夏とお出かけして……そんな普通な日常が良かった! 天才の妹なんて勝手に期待され続ける生き方なんてしたくなかったのに……もう戻れないくらい捻じ曲がってしまったんです。せっかく一夏と再会できたのに、顔向けなんて出来ない……」
瞬間接着剤の出し口だけ固まっていたような。意外にも、一度言い始めてしまえばゴロゴロと後悔と怨嗟が溢れてくる。
こんなはずじゃなかったのだ。いま重要なのは自分のしてしまったことをどうするかであるはずなのに、頭から「もしも」が離れてくれない。もっと優しく生きられて、こんな酷いしくじりなんてするはずがなかったのだと。
『……うん。箒ちゃんの言う通りだよ。そして、私はそれに偉ぶった説教をしてやれるような立場でもない。電話越しで謝るのも筋が通らないよね。
だからさ、どうか今は、私の言う通りに備えてくれないかな。実にちっぽけだけど、これが今私にできる精一杯の謝罪なんだよ』
「それを受け入れる義理が、私にあると?」
『無いかも知れない。だから、これは本当に箒ちゃん次第。専用機を受け取ってくれるかどうかはその時まで考えててくれて良いよ、どうせ一朝一夕で仕上がるものでもないから。
……とにかく、愛してるよ、箒ちゃん。おやすみ』
束が抑揚のない声でそう囁くと、独りでに通話は切れた。
残った画面には、束の言う通り、学園の3次元マップが表示されていた。それは地下のある一区画を示していて、そこまでのルートが折れ曲がった線で表現されている。
入学時に見た学内の地図には載っていない、恐らくは卒業まで足を踏み入れることの無いであろう場所。
「どこまでも……どこまでも勝手だ、あなたは……」
テトラポッドに食い千切られる波の音と、耳をくすぐる海風に包まれて、箒は恨めしそうに呟いた。その目には、涙が浮かんでいて。
「──妹さんと話すのは大事ですけれど、その大事なときくらい、私の胸から手を離してはいかがですか?」
地球上のどこかにある、薄暗い一室。部屋の灯りは消されていて、壁面に設置された無数の空中ディスプレイの発光だけが周囲をぼんやりと照らしている。
それに向かうように、一つの椅子に重なるようにして腰掛ける女性が2人。
「シアちゃんの胸がデカいのが悪いよ。こんなの揉まなきゃ各方面に失礼だよね」
ゆさゆさ、ふよふよ。
背もたれに全体重を預けるようにして座る束の膝上には、彼女よりも背の高い仮面の女性、シアが乗っている。
束はそんなシアの豊満な胸の二物を味わうように後ろから揉んでいる。頭の上には、いつものメカニカルなウサミミは付いていなかった。
「ほら、空港とかに売ってるウレタン製の握るおもちゃとかあるじゃん? ストレス予防用のやつ。まさにそんな感じっていうのかな」
「貴女が私のことをどう考えているかよく分かりました」
ちょっぴりの不機嫌を含ませながら、シアが立ち上がろうとすると、束は甘えるようにそのお腹に両手を回して抱き込んだ。
「うわーん許してよ~。ついでにそのデカケツの柔らかさを太腿で味あわせてぇ……」
「……」
束はそのまま起き上がって、膝上に乗ったシアの背中にもたれ掛かる。
仮面で表情の見えない彼女は、それ以上動こうとはしなかった。
「ごめんね」
「分かっていますよ」
「正直、これでいいのか今でも分からなくなる」
「時間稼ぎと、
「ひどいと思う?」
「ええ。けれど、軽蔑なんてしませんよ。私も同じ穴の狢なのですから」
気付けば、抱きしめる束の腕は弱々しく震えていた。シアが纏うISスーツの背中には、じわりと温かい水気が広がっていく。
最も大きい空中ディスプレイには、赤色でIS学園のあるメガフロートのワイヤーフレームモデルが表示されている。そして、それを不足無く覆うように幾つかの青色の球体が、学園上の各点を中心に重ねられていた。
「……本当は今すぐ行ってあげたいよ。でも、下手にイレギュラーの生まれる余地は作れない」
「……」
もう大丈夫、と束はシアを押して立たせた。心配そうに振り向くと、そこには、ニッコリと貼り付けられた笑顔が暗闇に淡く浮かんでいた。
いつの間にか、頭の上にはメカニカルなウサミミが取り付けられている。
「まっ、もしも
「──ええ、そのためにも準備を進めましょう。最後の仕上げです」
シアは束に手を差し伸べて、束はその手を力強く掴んだ。
こんかいのまとめ
・楯無
散水タンクに仕込んだ不正の件で千冬にこっぴどく叱られた。
いつも手玉に取っているダリルにすら心配される始末。本当に有り難いし、そんなダリルの伴侶は幸せ者かもね。
後に薫子の奢りでヤケ食いした。やってらんねえよこんな仕事。
大丈夫、きっとこれで大丈夫。でも体重は大丈夫か?
・ダリル
いつもと様子の違う楯無を気にして近付いてみた。
本当に大丈夫かコイツ? というかショウってそんなヤバいやつなの?
話を聞くとは言ったものの、彼女のことだから本当に来ることはないだろうと半分諦めている。
・真耶
私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃない。私じゃな
・ショウ
久方振りのワサビ味。甘く弾けてクセになるぅ~!
楯無との試合の翌日に一夏に感激しながらお礼を言ったら、困惑されながらも笑顔で返されてニッコリ。なおその様子をソッチ系の女子から「いち×さわ」だの「さわ×いち」だのと品評されているのには気付いていない。
他の人間と過ごす何気ないひと時。慣れない幸せが尊くて。
最後の晩餐だなんて、思わねえよ。
・千冬
たこわさびが美味い今日このごろ。山葵の質でこうも変わるか。
そう言えば一夏にもツマミを作らせてたっけ、と懐かしんでいる。
イメージファイト初体験は時間に追われながらも何だかんだ楽しめた。こんなのを繰り返してれば強くなれはするだろうが……あれ、これ何を想定してるんだ?
様子の違う楯無も、先週から体調が悪そうな真耶も心配。ショウが元気になったので少しだけ楽にはなったけど……。
・箒
こんなはずじゃなかったのに。
一夏を見ていると、自分が全く成長出来ていないのを突き付けられるようで。
束からの電話に怒りを弾けさせるが、全部姉のせいにしてしまったら、また後退りすることになる。送られた地図と鍵を消すことは、結局出来なかった。
私はどうしたら良いの?
・シア
そんな身体してるのが悪いと真っ向から言われちゃった人。
まあ出るとこ出てるから仕方ないんだけどね。
束とは一蓮托生。貴女の罪も傷も、分かち合わせてください。
さあ、手を取って。
・束
何時でもシアの柔らかボディに甘えられるセクハラ女。
箒の専用機は建造中だが、今は何より忙しい。
いつかちゃんと謝るから、どうかそれまで待っててほしいな。
うん、一緒に預言を否定しよう。
嵐の前の静けさとでも言いましょうか、準備回でした。
その割に荒れてるって? んまあ、そう……。
今回のメインディッシュは箒と束のシーンでした。
この姉妹の立場や考え方はある程度早い段階で出しておくべきかと思っていたので、ようやくタイミングが回ってきたのかなと。
1章でも書いた気がしますが、本作がガールズラブのタグを付けているのは基本的に束とシアが百合百合しているせいです。
百合が書きたくて書いているというよりは、設定を詰めていたら自然とそうなってしまったというのが実情。なので清い関係とは程遠い、歪んだ状態です。
そしてもう一つ。メインディッシュを食いそうになっているのが真耶のシーン。
山田先生はいつだって優しい人です。だから苦しんでいます。真耶戦の時点では不自然に性格が変わってしまったように見えたかもしれませんが、どうもそれがおかしいというのは今回でお分かりいただけると……いいな……。
いよいよ第2章も終盤。
どうしようもなく長くなってしまいましたが、あと少しお付き合い頂ければと思います。
戦闘シーンは……
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なんぼあっても困りませんからね
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戦ってねえで話進めんしゃい
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そんなことよりおなかがすいたよ