Infinite stratos / False prophecy   作:✕せんたくだま

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 見合って、見合って。
 おい、周りはどうした?


30-1 さあ雨が降るぞ

 

 

「……ああ、そうか。今日なのか」

 

 


 

 

 4月28日。

 嵐のように始まったIS学園での生活も、ようやく1ヶ月が経過しようかという頃。ゴールデンウィーク前日のこの日に、クラス代表対抗戦が開催される。

 

 1組の代表たる一夏は、セシリア、箒、サラとの訓練を重ね、短期間ながらも成長を見せていた。

 本番まで時間がないのもあって最低限の操縦技能を抑えるに留め、ひたすら基本を脊髄反射に詰め込む。要するに、剣道でも慣れ親しんだ反復練習が主な内容だった。

 少なくとも、制動に失敗して地面にクレーターを作るようなことはしない……とりあえず自覚できる成長内容がそんなのでいいのかというセルフツッコミも欠かさない。

 

 一方で、約束の件で怒らせてしまった鈴音との関係修復はまるで進展していないし、その時から元気がない箒も元に戻る様子がない。何なら避けられているような気がするくらいだ。

 機体の仕上がりと共に元気になったショウも、シミュレータをするからと今度は急に忙しそうで、中々顔が合わせられない。セシリアもそれに引っ張られてフラストレーションが溜まっているように見えて、自分の練習に付き合わせている一夏としては何だか申し訳ない気になってしまう。

 

 先週の件のお礼が言いたい楯無にも試合以降会えていないし、あれで隠しているつもりなのか教室で目にする真耶は体調が悪そうで、若干目元が暗い千冬も変わらず忙しそうだ。

 

 そのくせ他のクラスメイトや学園の様子はいつも通りの明るさで混じりづらいものだから、何だか一夏は自分が置いていかれているような、奇妙な居心地の悪さを感じていた。

 

 しかし時間は待ってくれない。何を思おうが一夏の目の前には試合が迫ってきている。人生は強制スクロールなのだ。

 何より、明日から始まるのはゴールデンウィーク。学園側も実質お祭りも同然の対抗戦をここに合わせてくるということは、つまりそういうことなのだろう。要は遊べと。

 

 ついでに、哀れな学生たちに5月病を撃ち込む気であるに違いない。

 

 

 

 

 午前10時。

 事前指導を始めとした諸々の準備と生徒たちの教室移動を終えた第2アリーナ中央には、第1試合にアサインされた2人のパイロット──鈴音と一夏が向かい合う。

 

 一夏の専用機は、日本の倉持技研製第3世代機「白式(ビャクシキ)」。セシリアとの初戦で一次移行を果たしてから、とにかく搭乗時間を増やして慣れることに努めた、純白のIS。

 たった一振りの近接装備しか持たない、明らかに初心者お断りなスペックに食らいつくのを、何だか一夏は楽しんでいる。

 

 一方の鈴音の専用機は、中国製の第3世代機「甲龍(シェンロン)」。

 マゼンタカラーを基調として、金色の曲線で飾った黒色の装甲を被せたような外見は誰の目にも目立つ。学園で本格的にこの姿を晒すのは今日が初めて。情報的なアドバンテージはこちらに分があるだろうか。

 

 「それでは、選手両名は規定の位置まで移動してください」という管制室からの柔らかい声色を聞いた2人は、互いの目を見た。

 

「ふうん、逃げずに来たところは褒めてあげる」

 

「逃げねえよ。情けねえところは、見せられない」

 

「……そっか」

 

 数日前とは打って変わって、鈴音の顔に怒りの色は無かった。

 許された、などというナイーブな考えは一夏の脳内にはない。謝ってもいない、なぜ怒らせてしまったのかも理解しきれていない、そんな漠然と罪悪感だけ持った状態で得られる結果など無いことは分かる。

 

 金曜の放課後。事あるごとに礼を言ってくるショウを黙らせるつもりで鈴音のことを相談したときに返ってきた言葉がある。

 

 ──部外者が下手言うわけにもいかねえけど、その相手が怒る理由が分からねえなら、素直に聞くしかねえだろ。点取らなきゃいけないテストでもないんだしさ。

 

 ──生憎とそういう経験が無いまま今日まで来ちまったけど、話し合って妥協点を探り合うのが一番人間らしい解決策……らしいぞ?

 

 妙に疑問形だったのが頼りないが、結局はそうなのだと納得した。

 一夏は鈴音がなぜ怒ったのかが分からない。しかし、その原因が自分にあるということだけが朧げながら頭に浮かぶ。

 だから、聞くしかないのだ。

 変に悩んで、小細工を弄して、結果として見当違いの謝り方をするくらいなら、素直に分からないと認めるべきだ。

 それこそ、奇跡的に再会できた幼馴染へのスジというものだろうから。

 

「なあ、鈴。先週の約束のことだけど――」

 

「――待った

 

 口を開いた一夏を、鈴音が手で制した。

 

 鈴音にだって考えがある。

 「話せば応えてくれるよ、アイツはいい奴だから」と、あの日ショウはそう言った。

 噂では一夏と仲が良いという彼が、しかし赤の他人にも関わらずそう言うのであれば、きっと鈴音の知る一夏と今の一夏はそう変わらないのだろう。大して知らないショウの言葉を信用するのは難しいかも知れないが、彼が信じる一夏なら信じられる。

 だから、話してみるべきなのだ。「あの日の約束、意味が伝わってたかな」と。

 

 しかし。

 

「一夏がそう言うってことは、アンタにも何かしら思うことがあるんでしょうね。それはそれで嬉しいわよ」

 

 しかしである。

 

「けどね、小学校のガキのオママゴトにしたって、約束を変な覚え方されて、それなりに頭にはキてたってのは消せないのよ。……だから順序よくやりましょう」

 

 これから始まるのは何の時間だったか?

 少なくとも、机に向かい合ってお行儀よく話し合う時間ではないはずだ。

 

一遍(いっぺん)、アンタをボコす。だから、アンタもそうしてよ。それで全部出しきって勝負がついたら、改めて話しましょ」

 

「……そっか、そうだな」

 

 一夏の口角がほんのり上がる。懐かしかった。

 給食のデザートのおかわりだって、友だち同士で分け合ったお菓子の最後の一つだって、何かと勝負ごとに持ち込むのが好きだった彼女は、あの時と変わらず目の前にいるのだ。

 

「小学校の頃からずっと変わってなくて安心したよ、鈴。お前は前からそんなやつだった。

 ――だったら、俺が勝ったら約束のこと、もう一度教えてくれよ。俺が間違って覚えてたなら、知りたい。知った上で謝りたい」

 

「ふふっ。じゃあ、あたしが勝ったら、何でも一つ言う事を聞かせちゃおっかな」

 

え゛っ、釣り合ってなくねえか……?」

 

「アンタも同じようにすれば良かったじゃない。まっ、一夏のことだから、男に二言は無いんでしょ?」

 

「まあ、な……。鈴」

 

「何よ」

 

「――本気で、行くぞ」

 

 一夏は唯一の武器――高周波ブレード【雪片弐型(ユキヒラニガタ)】を正面に構えて、真っすぐ相手を見据える。

 相手は幼馴染にして代表候補。相手に取って不足無し。

 セシリアと、サラと、箒に教わった全てをここにぶつける。ショウとの再戦を果たすために、今は目の前の壁を越えなければならない。

 

「一夏。手加減なんかしたら、あたしがアンタを殺す……っ!」

 

 鈴音も己の得物――二本一対の大型青竜刀【双天牙月(ソウテンガゲツ)】を両手に構える。切っ先を左右に開くような持ち方は、翼を広げたというよりはゾウやイノシシの牙のように見える。

 ぎょろりと睨み付けるように、両肩に浮かぶ球形のトゲ付き非固定部位(アンロック・ユニット)がわずかに角度を変えた。

 知りたい。一夏が、自分と別れてからの間にどう変わって、そして何が変わっていないのかを。

 

 そして、約束の矩形波が鳴り響く。

 

おおアっ──!!

 

 吠える一夏の背後で、虹色の光がキラリと閃いて────直後、その姿は鈴音の鼻先まで迫っていた。

 

(のっけから瞬時加速(イグニッション・ブースト)っ!?)

 

 刀身を真っ白い光に染め上げられた雪片弐型(ユキヒラニガタ)は、白式が単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)を発動した証。サラや箒との検証により出力を下げて消耗を抑えることに成功した代物だ。

 瞬時加速(イグニッション・ブースト)も同じ。特訓の際に一夏が懇願して、乱用しないことを条件に教えてもらい、マニュアル制御に限って身に付けられた技術だ。

 サラ曰く、「イメージで使ったら確実にスラスターをぶっ壊すから駄目」とのこと。

 

 一撃で何もかも一切合切決着する。

 眼前に相手を放置して何が勝負か。何が本気か。

 そもそも刀の一振りしか無いのが白式。呑気にズルズルと追いかけっこに興じていれば、鴨撃ちされるのは一夏の方だ。

 

(悪いが一気に終わらせるぞ、鈴……!)

 

 だから、最初の一撃を、最速で、最短で、一直線に叩き込む。

 見せ札にしてジョーカーたる「零落白夜」の使い所はここだと、自分でレポートに書いた通りに実践する。

 幸いにして白式には大抵のISを上回れる推力があって、初手の不意打ちと組み合わせれば一夏の戦術は十分に実現可能性を纏える──、

 

 

 ──()()()()()

 

「……へえ?」

 

 問題は、である。

 

 いま一夏の目の前で存在感を放つ相手が、「努力もできる天才」、凰 鈴音(ファン リンイン)だったということ。

 

 ──がぎりッ!!

 

 一夏がすることが単純ならば、鈴音がしたことも単純。振り下ろされる刀剣を、交差させた双天牙月(ソウテンガゲツ)で抑えて、左へ受け流す。

 同じ()()でも、「それしか無い」一夏と違って、鈴音の動きは「洗練され、数ある手札から選んだ」もの。経験が違った。

 

 ガツンという衝撃と共に、互いの胴体が密着する。

 2年の時を経て磨かれた端正な美貌が互いの息が掛かる距離に現れて、しかしそんなことを意識してしまえば即座に狩られるのは明白。

 

「突っ込んでくるのはやる気が感じられて好きだよ。けどさァ……流石に馬鹿の一つ覚えもいいトコなんじゃないの?」

 

 零落白夜の輝きは、それがエネルギー体であるならば触れた瞬間に消去する。逆に言えば、出力を落としてその輝きを刀身に纏わせただけの今、物質に対しては「ちょっと威力のある実体剣」としてしか振る舞えない。

 同じく実体のある青竜刀で抑え込んでしまえば、それは無駄にシールドエネルギーを食うだけの穀潰しと化す。

 

 半月ほど前に行われたクラス代表決定戦。そこで得られた男2人の戦闘データは、別にIS学園だけが占有しているものでもない。

 例えば噂話。

 例えば何となくその試合を見ていた某国の代表候補。

 例えば国際IS委員会からの正式な要請。

 

 情報が広まる経路なんて幾らでもある。

 当然、今日の試合より前に知ることだって簡単だ。

 

()()()()I()S()()()()()()()使()()()ってことくらい、あたしでも知ってるっての!」

 

「何、のぉ……っ!」

 

 一夏は即座に零落白夜を解除しつつ、押しのけられた両腕に力を込めて、刀を元の位置に戻そうとする。

 

(何だよこの重さは……重機か!?)

 

 だが、まるで動かない。そもそも力を入れづらい体勢とは言え、強力なはずの白式のパワーアシストが意味を成していなかった。

 その答えも単純。甲龍と鈴音の組み合わせがそれ以上の膂力を生み出していたからである。

 

「じゃ、また近付いてらっしゃい。今度はもっと策を練りなよ」

 

 ──どっ、どどぅッ!!

 

 突然に一夏の身体が弾き飛ばされる。握った雪片弐型(ユキヒラニガタ)を手放さないようにするので必死だった。

 

「がぁッ……?!」

 

 鳩尾、左肩、顔面。衝撃を受けたのはそれら3箇所。

 1手遅れながら制動を掛ける一夏の目に見えたのは、翼のように青竜刀を左右に構えながら、右膝を持ち上げるようにして立つ鈴音の姿。

 恐らくは得物を逸らしてガラ空きになった胴体に膝蹴りでも叩き込まれたのだろう……と推理したところで、当たり前の違和感が一夏の背筋を撫でた。

 

(……俺、3発ぶち込まれたよな。()()()()()1()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 被撃部位の位置関係もおかしい。鳩尾ならあの体勢からでも十分届く高さだが、それ以外は飛び上がったりしなければ当てようがない。

 そしてあの一瞬にそんな動作を挟む暇など無かった。

 

「……何か、仕込んでるだろ。鈴」

 

 分からぬのなら、聞くしかない。

 自分で選んだ答えの通りに口を動かせば、鈴音は驚いたような表情で幅広の青竜刀をカチンカチンと打ち鳴らした。拍手の代わりらしい。

 

「──へえ? 今ので気付くんだ」

 

「思い返してみればあからさまだったぞ。お前は俺の刀を抑え込みながら、絶対その姿勢じゃ出来ない位置に攻撃を捩じ込んできた。しかもほぼ同時に3発も」

 

「うんうん」

 

「1発は膝蹴りだろうけど、残りの2つは位置関係とタイミングがあり得ない。でもって、全くその場から動かないで、顔と肩……俺の身体の上側を更に上から覗き込むように殴れるような物があるとしたら──、

 

 

 ──その両肩の丸っこいやつ。非固定部位(アンロック・ユニット)だろ」

 

 形はどうあれ、状況はどうあれ。

 鈴音は一夏が自分のことをよく見てくれていることが嬉しかった。想いを寄せた相手の目が、意識が、今は自分に向けられている。

 だから口角が上がってしまうのはごく自然なことで。

 

 ──がががちッ!!!

 

 それを鈴音は更に後押しするように、ニカッと獰猛に糸切り歯を覗かせて。

 

大ッ正解ッ!!

 

 甲龍の両肩に浮かぶ、トゲの付いた球状の非固定部位(アンロック・ユニット)が、眠りから醒めるようにして装甲を開いた。

 

 


 

 

「……試合、見に行かなくていいんスか?」

 

「あのショウってやつがおかしかっただけで、会長の戦いなんて塩試合に決まってんじゃねえか……ん?」

 

[It will rain in an hour]

 

「あぁ……あのデケえ雨雲、こっち来るらしいぞ」

 

「マジっスか? 尚更アリーナにいた方が雨宿りの備えになりそうなもんスけどね」

 

「おいおい、寮に戻ってイチャつくって選択肢はねえのかよ?」

 

 


 

 

「な、何なのだ? あれは……」

 

 

 興奮に沸き立つ観客席で、箒が怪訝な顔で呟いた。

 目の前で行われている試合内容が今ひとつ頭に入ってこないのだ。

 

 結局は一夏を追い掛ける鈴音という単純な構図なのだが、一夏の動きが妙に不自然だった。何もしていないのに突然ロールして、その先の地面が予兆なく抉れたり、見えない何かに殴られるように地面に叩き落されたり……。

 銃や大砲を撃っているなら弾の残像くらいは見えるはずで、かと言って目にも留まらぬほど弾速が速いとしても空気抵抗で大気が荒れる様子も無い。

 

 一夏が一方的にやられている様を見るのは業腹だが、それよりも試合が気になってしまうのは武芸者の性か。

 

(あの小娘、中国出身とか言っていたが……何だ、まさか『気』とか何とか言われる妙な拳法の技でも使うのか?)

 

 頭に浮かぶのは、昔行った病院に置かれていた古い格闘漫画のワンシーン。老齢の使い手が、後ろで無防備に手を組んでいるだけで離れた相手を()()()()()もの。

 当時は所詮マンガだろうと侮ったものだが、今目の前でこうして見せられると、そうも言ってられない。

 

「……どんなオカルトを思い浮かべてらっしゃるか分かりませんけど、アレはきちんと科学の産物ですわよ」

 

「──はうっ!?」

 

 そんな妙な考えに囚われた箒の脇腹を、渋い表情のセシリアが突いた。

 

「間違いなく、『衝撃砲』ですわね。空間そのものに圧力を掛けて砲身となる力場を形成、そこに波動的な刺激を与えて、余剰で生じる衝撃を()()()()()()として撃ち出す第3世代兵装……。理屈は知っていましたけど、まさか中国が完成させているとは」

 

 ふうん、そういうことか……言われた単語一つ一つの意味こそ理解できたが、全体としては流石に突飛が過ぎて箒の脳はSFと解釈する他ない。

 

「う゛、う゛ぅ……」

 

 きゃあきゃあと高周波の声が響く観客席だからだろうか、セシリアの隣からする低いうめき声は箒にも聞こえた。

 

「本当に、大丈夫ですの? ミスター……」

 

「明るくなったり暗くなったりと忙しいな。昨日までは何だかんだ元気だったろうに」

 

 女子2人の視線の先には、座席で蹲るショウの姿があった。脂汗を浮かべながら、その顔色は悪い。両目を覆って下を見ているから表情までは分からない。

 

 この男にしては珍しく、今日は遅刻ギリギリのタイミングに死にそうな顔で教室に現れた。セシリアは大層心配したものだが、幸いというべきか、試合のために一足先にアリーナへ向かった一夏はその様子を見ていなかった。

 

 千冬に聞いてみれば、本人が「それでも行かなきゃ」と言って聞かなかったと呆れ顔で返された。

 そんなこんなで体良くこの病人の世話を任されたセシリアだが、何が嬉しくて再戦を望むライバルの弱りきった姿を拝まねばならないのか。専用機も揃ったんだからいい加減に元気を出してくれというのが本音である。

 

「ホラ、立ってくださいまし。そのまま逝かれでもしたら迷惑ですわ、医務室へ行きますわよ」

 

 実はそこそこある腕力で、セシリアはショウの肩を掴んで立たせる。代表候補になる際に付属して手に入った軍人の地位は、しかしそれでも伊達ではない。

 今まで経験してきた詰め込み教育の中に、キッチリと軍事教練が含まれていた。成人男性を投げ飛ばす程度なら、苦もない膂力がある。

 

「……試合、良いのか?」

 

「短い時間とは言え、一夏さんを鍛えたのが誰だったかお忘れですの? 貴女と、わたくしと、わたくしの師ですのよ」

 

「ふっ、そうだったな……!」

 

 箒は笑顔でセシリアたちを見送ると、アリーナの中心を改めて見た。

 

 見えない攻撃に追い掛けられ、距離も詰められずに追われ続ける一夏。しかし、その顔には恐怖でも苦悩でもなく、勇猛果敢な戦士の笑顔が浮かんでいた。

 

 


 

 

 ──ごうッ!

 

 鈴音の専用機「甲龍(シェンロン)」に搭載された衝撃砲「龍咆(りゅうほう)」をまともに食らった一夏が、アリーナの砂地に叩きつけられる。一際大きく砂煙が上がって、その姿は完全に包まれた。

 

「褒めてあげる。あたしの龍咆(りゅうほう)を前に幾らか躱せてるんだから。見えない弾なのに、どう見切ってるんだか」

 

「ぐ、うぅ……!」

 

「でもさァ、分かってる? 攻めないと勝てないってこと。いい加減に頭ァ働かせて賢く突っ込んでこないと、このまま終わっちゃうよ? 一夏」

 

 一夏はもくもくと立ち昇る砂煙の中から出てこようとしない。開放回線(オープン・チャネル)越しの荒い息遣いだけが、その存在を主張していた。

 

 その砂煙を上から見下ろしながら、呆れたように鈴音が首を回した。

 

「『情けないところは見せられない』……だっけ? 確かにそこに閉じこもってれば誰にもやられる瞬間は見られないかもね」

 

「──ああ、そうだな。このままボコスカ撃たれたら試合終了まで姿を晒さないで済むよ。

 けどさ、この煙幕越しに狙うのは流石のISでもキツいんじゃねえか? でもって見えないここに突っ込んでくるのも厳しいよな。こうやって砂煙上げてる限りは幾らでも体勢を立て直せるぞ」

 

(あからさまな釣りってとこかなあ……まあ良いや、乗ってあげる)

 

 鈴音は両手に構えた一対の青竜刀「双天牙月(ソウテンガゲツ)」の柄の先端同士を突き合わせて繋げると、それは双頭両刃の槍にも似た長物へと姿を変える。

 更に、鈴音はそれをブーメランよろしく勢いを付けて回しながら投げた。内蔵されたジャイロ機構によりその軌道は制御され、一夏の隠れる砂煙目掛けて、地面スレスレの高度で襲い掛かる。

 

「ふーん……じゃあ、めちゃくちゃに藪をつついてやるから、蛇なら出てきなよッ!」

 

 更なるダメ押し。

 両肩に浮かぶ球状の非固定部位(アンロック・ユニット)が一夏を睨むように向きを変えて、音も光も無い弾丸を連射し始めた。

 

(確かに、煙幕越しじゃ当てるのは難しいよ。でもさ、数撃てばいつかは当たるし、そうでなくとも双天牙月で刈り取れる……さあ、どうする一夏!)

 

 どんどんどん……と煙幕に穴を開けながら衝撃砲の弾丸が一夏へ殺到する。更に迫り来る双天牙月(ソウテンガゲツ)の投擲と合わせれば、水平と垂直、2方向からの攻撃に隙はない。

 そんな中、一夏が選んだのは────。

 

(──来たッ!)

 

 砂煙を突き破って、一夏が飛び出した。即座に双天牙月(ソウテンガゲツ)が方向を変えて、その後ろを追う。

 

(煙幕の抉れ方……間違いねえ、あの龍咆(りゅうほう)とかいうの、真っ直ぐ飛んでくる!)

 

 一夏はついさっきまで自分で隠れていた砂煙が穴だらけにされているのを見た。穴は真っ直ぐ深々と煙幕を切り払っている。

 

 鈴音の読み通り、これは一夏の誘いだ。

 一夏が確認したかったのは、龍咆(りゅうほう)の弾丸の軌道が間違いなく直線であるかということ。今まで辛うじて避けられたものが数発あったが、実際はまぐれも良いところ。

 ショウのポッド・シュートのように回り込むような軌道ならば見えない砲弾を避けるのは不可能で、このまま一方的に削り切られる恐れがあった。

 

 しかし、直線であるとすれば話は一気に単純になる。

 今までどこから飛んでくるかも分からない砲弾を恐れて距離を詰められずにいた。

 だが、球状の非固定部位(アンロック・ユニット)という発射点があって、射線は真っ直ぐで、その狙いが自分だと分かった。

 相手の発射タイミングは最早問題ではない。

 

(y=axなんて言ってやらねえぞ。要は、来るって分かってるなら備えれば良いだけなんだからな)

 

 イメージする試合(ファイト)は、ショウとの戦い。自分目掛けて反射ボールを連射してくるショウに向かって、エネルギー弾を片っ端から斬り飛ばしながら突撃した、あの瞬間。

 勿論、弾丸の見えない今、同じように斬るのは不可能だろう。だが、切っ先を置いておくだけなら簡単だ。

 

 一夏は教わった旋回技術を駆使して、一気に鈴音目掛けて吶喊する。できるだけ身体を前後に伸ばして、正面からの被弾面積を減らす。

 ショウみたいに綺麗には行かないだろう。だがそれでもいい、未熟な自分では美しく勝てやしないんだから。

 

「また突っ込むワケ? さっきの二の舞いだよッ!」

 

「いいやそうはさせねえ……!」

 

 そして、己の得物──雪片弐型(ユキヒラニガタ)を構える。刀身が静かに割れて、その間から純白の輝きが迸る。

 

 零落白夜、最大出力。

 迎撃のために放たれた姿無き砲弾は、誰にも視えずかき消されていく。

 

(あー、なるほど。攻撃は最大の防御ってワケね。双天牙月を飛ばした今、隙を晒したのはこっちか)

 

 ちょっとした驕り。一夏が次に何をするのかが気になって、ちょっと追い詰めるのに札を切りすぎた。

 エネルギー兵器に対して無敵を誇る盾に、衝撃砲は無力。今や鈴音は無防備だった。

 

 だが、ツインテールの帰国子女は諦めていない。空の拳を握り、構える。

 最初に膝蹴りを放ったように、甲龍は自分のシールドエネルギーを削ることなく近接格闘(メレー)が行える仕様になっていた。

 そこに鈴音がここ2年の間に叩き込まれた軍隊式の「誰でも簡単に扱えて効果のある中国拳法」が合わされば、それだけで十分に勝敗を決するに足る兵器と化す。

 

──来い、一夏ァっ!

 

これで決めるぞ、りぃぃぃぃぃぃぃぃんッ!!!

 

 赤と白の衝突。誰もが試合の決着を確信する、ハイライトの一瞬。

 まるで時間が止まったかのように感覚が引き伸ばされて、両者の集中力が限界まで引き絞られる。

 

 

 

 

 そのとき、だった。

 

──その予定はキャンセルです。お二方

 

 若い、女性の声だった。

 一夏と鈴音は、自分の腕が()()()()()()()のを感じた。

 

「え?」

 

「はぁ?」

 

 たったそれだけで、全てが静止する。

 零落白夜の輝きは消失し、鈴音は構えた姿勢のまま動けない。

 

 周りもおかしかった。()()()()()

 

 集中で意識の外にあったとはいえ、ずっと観客席から歓声が湧き上がっていたはずなのだ。それが一切聞こえない。

 見れば、観客席に人が見えない。というか、分厚い金属質の隔壁が降りて、向こう側が覆い隠されている。

 無言ながらも繋がっていたはずの管制室との通信も切れていて、2人からは周囲の情報を知る手段が失われていた。

 

「だ、誰なんだよアンタ。あの観客席もアンタの──っ!?」

 

 そして、自分の腕。

 一夏は自分の腕を掴んでいる「何者かの腕」を見て、絶句する。

 

 ──()()()()()()()()()

 

 暗紫色の装甲に覆われ、きっちり5本指が生えた腕が、一夏と鈴音の腕を柔らかく掴んでいる。掴まれている感覚が希薄なくらい力が込められていないのに、それだけで白式が固まって動かない。完全な異常事態だった。

 

 海賊漫画とか冒険漫画の能力者みたいに腕だけが浮いているというよりは、チャチなお化け屋敷みたいに壁から突き出しているような感じ。

 問題は、何も無い空中からそれが現れているということで。

 

「……透明人間?」

 

『ああ、これは失礼致しました。試合中だったお二人を落ち着かせるのを優先して、姿を顕すのを忘れていましたね』

 

 ふわりと緩やかに青紫色の腕が離されると、その根本の周囲の景色が歪みながら、まるで水面から石像を引き上げるような形でその姿が(アラワ)になる。

 

「IS、なのか……?」

 

 まず目を引くのは、パイロットの顔面を覆う、青紫色のラウンドバイザー。薄っすらその向こうに大きな目玉模様が2つ描かれた民族衣装みたいな仮面が見える。隙間からは腰までブロンドヘアーが伸びていた。

 両肩の非固定部位(アンロック・ユニット)からは放熱板ともトゲともつかない、長い板状のパーツが束のように複数突き出している。

 腰の両側からは、棘や魚のヒレに似た大型のウイングスラスターが伸びていて、毒々しい紫色と合わせると全体のシルエットは大型の熱帯魚のようだった。

 ISスーツ越しに見える豊満なボディラインを隠そうともしない前面とは対照的に、背面には安楽椅子の背もたれのように分厚く装甲が盛られていて、しかしその表面は奇妙なくらい扁平だ。そこに推進装置の類は無く、大都会の中にぽつんとある空き地のような、「あるべきものがない」印象を抱かせる。

 

 そこまで見たところで、白式は一夏の視界にオーバーレイするように、短い文字列を表示した。この謎のISの名前だろうか。

 

 ──RX-99 REPRISE.

 

「リプリーズ……確か音楽用語よね」

 

 がちん、と自由になった片手で飛んできた双天牙月を受け止める鈴音は、謎のIS──リプリーズを睨みつける。

 

「それで、誰なんだよアンタ」

 

 同じ質問。一夏も雪片弐型(ユキヒラニガタ)を構えて、何時でも戦えるように備えた。

 相手は謎のIS。触れただけでこちらを一方的に動けなくさせる謎のトリックを備えた、所属不明の存在。用心しすぎるということは無かった。

 

 そして、返事があった。

 

『……私の名前はシア。今日はお二人に協力をお願いしたく参りました』

 

 


 

 

 隔壁が突然閉じる。

 それだけなら誤作動で良かったかも知れない。

 

 主電源が勝手に切れて、非常電源が動き出す。

 これも、たまたま落雷などの要因で起こることもあるかも知れない。もっとも学園のスマートグリッドはそうならないような設計なのだが。

 

 外部との通信が一切途絶し、部屋が密室と化す。

 ここまで来て、まだ偶然だと言っていられるものがいたら殴ってやりたい。千冬の心境は丁度そんな感じ。

 

 1年のクラス対抗戦を監督するのは当然1年の主任教諭である。千冬は第2アリーナの管制室で瞑目していた。その隣では、ぐったりした様子の真耶が覚束ない手つきで近くの壁面を弄っている。管制室は薄暗いオレンジ色の非常灯に照らされており、作業は手探りで行われる。

 直前まで行われていた一夏と鈴音の白熱した戦いはどこへやら。そもそも途中で映像ごとネットワークがぶち切られてしまったのだが。

 

 壁面を埋め尽くす空中ディスプレイの画面はどれもカラーバーしか映らない。本来ならば、鎬を削るパイロットの様子や機体のステータス、非常時ならば観客席の監視カメラ映像など、この部屋からアリーナという建造物全体を映像で俯瞰できるはずだった。

 しかし今、それらが再び動き出す様子はない。

 

 普段は金属パネルで覆われている非常用コンソールを使って復旧を試みる真耶だが、教員が持つ上位権限にも関わらず「権限がありません」と寂しいエラーに阻まれる。

 非常時の指揮権が与えられている千冬の、より上位の認証キーですら同じ結果なので、これを何とかできるとすれば、正真正銘のシステム管理者権限でなければならないだろう。

 問題はセキュリティ方針の関係でそんなものを持っている人間がいないような運用になっていることか。

 

「故障、ではないですよね……」

 

「でしょうね。企業や国家の要人まで来ているというのに、最悪です」

 

 今ごろ観客席はどうなっているだろう。

 恐らくここと同じように非常灯が照らす密室に閉じ込められているのではないだろうか。或いは閉じ込められているのはこの部屋だけで、観客席の彼らは何も知らずに試合を眺めているのだろうか。

 もっとも、千冬にそんな楽観視は出来なかったが。

 

 何しろ今日は、強力なパイロット科の生徒の実力が公に発揮される機会。

 他国の代表候補の実力を偵察しておきたい政府関係者や、そうでなければ自分の企業に引き込んでテストパイロットとして青田買いしたい企業の人間など、外部の重要な関係者が少なからず訪れている。そんなタイミングでこの異常事態である。「対テロ訓練」なんて言い訳が通じるだろうか?

 

 更に言えば、見るからに無理をしてここに居る真耶も心配だった。ショウとの試合──千冬は試合だと認めていないが──の後も浮かない表情が消えなかった彼女。聞けば、彼には未だに謝れていないという。いざ話しかけようとすると気分が悪くなるというから重症だ。

 しかし、それを差し引いても今日の真耶の顔色は悪い。そんな人間に設備の復旧を試みさせている事自体が大問題だし、今すぐにでも仕事を上がらせて医務室送りにしたいところだが、閉じ込められている現状、それは不可能である。

 

「山田先生──いいや緊急時か。真耶、大丈夫か?」

 

「大丈夫……と言っても信じては貰えませんよね……」

 

「当たり前だろう。一体何があった? ()()との因縁は理解しているが、お前にそこまで──」

 

 千冬はそこで言葉を止めた。

 ばっ、と手を広げて制しながら、真耶が千冬の目を睨んでいたからだ。実際には睨んでなどいないのかも知れない。だが、その()()()()()に宿った眼力があまりにも強く、深くて。

 

「──ちがいます」

 

 ぞっとするような重たい声だった。普段の彼女からは、或いはショウと戦っている最中の彼女でさえこんな声色を聞くことは出来ないだろう。

 重油やコールタールよりも更に重く粘ついて、唸りさえ混じっているように感じられる言葉。千冬をして、聞いているだけで窒息してしまいそうな感覚すらあった。

 

「それだけは、絶対に違うんです」

 

「じゃあ、何だというんだ……?」

 

「……わかりません。でも、思い返せば思い返すほど、()()()()んですよ。()()()()()()()()()()()()()()って……。

 沢村くんにあそこまでしちゃった今、被害者ヅラなんて出来ないけど、でも……確信があるんです。()()()()()()()()()って」

 

 そこまで言うと、真耶は息切れのせいか苦しげに壁に寄りかかった。肌は冷や汗でじっとりと濡れていて、それがオレンジ色の非常灯に照らされているせいで見た目に反して暖かそうに見えてしまう。

 例えば、雪山で遭難した人間が眠気を堪えて意識を保とうとしているような。

 あるいは、高熱に魘された病人のような。

 千冬はそんな彼女のそばに屈んで支えると、真耶に別のことを考えさせるべく話題を逸らす。

 

「……外部の様子は、ダメか」

 

「はい。あまりにも鮮やか過ぎて、逆にあからさまなくらいですね。確実に外部から何かされてます」

 

「結局、そうなるか……」

 

「心当たり、あるんですか?」

 

 千冬は数秒押し黙って、それからゆっくり首肯した。

 

 ここIS学園は、世界中から有望なパイロットを集める訓練場であり、ISの開発に関わる新技術の試験場であり、つまり地球上の秘密が一挙に集中する場所でもあった。そんな場所には相応のセキュリティが求められるし、それに答えるための設備、マニュアル、人員の全てが揃えられている。

 公的には「どこの諜報機関もテロリストも侵入させない」と謳う学園のセキュリティは、実際その通りの強大な壁として外界と内部とを隔てていた。

 そんな強力極まりない防護を、まるで散歩でもするように乗り越えて蹂躙してしまえる存在に、残念ながら千冬は心当たりがあった。

 

 ──ザザッ。

 

 それまで無言を貫いていた管制室のスピーカーが、数分ぶりにノイズを発した。

 

 「噂をすれば影が差す」という諺がある。或いは英語にすれば"Speak of the devil"。

 どういうわけか、この世には考えただけで他者を呼び寄せてしまうオカルトじみたルールがあるらしい。千冬は呆れたように、そして恨めしそうにスピーカーを睨んだ。

 

「……やっぱり、お前か」

 

──やっほー、ちーちゃん。元気してたかな? 束の間の平穏は楽しかった?

 

 はらりはらり、鈴を転がすような美声で、()()が尋ねる。

 かつて全世界の弾道ミサイルを支配下に置いて、穏当さの欠片もない形でISのお披露目配信をやってのけた、人類最高の頭脳の持ち主。

 ある者はテロリストと蔑み、ある者は革命者として持て囃すかも知れない。しかし、どんな表現方法であれ、彼女のことを表すには足りないだろう。

 

これから()()やるからさ、一緒に付き合ってよ

 

 強いて言えば、箒の姉で、数少ない千冬の親友。

 或いは、国際指名手配中にして人類最大級の問題児。

 或いは、()()()()()

 

ま、拒否権は無いんだけどね?

 

 その声は、インフィニット・ストラトスの生みの親、篠ノ之 束(シノノノタバネ)に間違いなかった。

 

 


 

 

こんかいのまとめ

 

 

 

・一夏

 

 怒らせてしまった鈴は思いの外カラッとしてた。

 勝負に持ち込みたがるのは昔と変わらなくて懐かしい。これを給食のお代わりじゃんけんと同列に語るのは流石にアレだけど。

 このまま決着を付けて、また昔みたいにバカしたい……とか思ってたら邪魔が入った。

 

 

・鈴音

 

 話せば分かる。叩けば鳴る。一夏って昔からそうだったよね。

 一夏がISを動かせると聞いたときから、戦うのが夢の一つだった。

 約束のことは残念だけど、昔と変わらない目で私を見てよ。攻略してみせてよ。

 ……って感じでゆくゆくは告白まで持ってこうとしてたのにアンタ誰?

 

 

・箒

 

 一夏の大勝負ということで応援している。相変わらず顔向けできる精神状態ではないので管制室には行かずにセシリアのお隣に。

 何故かまた雰囲気の悪いショウに呆れている。お前それでも大人か?

 スマホを握る手が思い出したかのように震えている。中身が呼んでるぞ?

 

 

・セシリア

 

 勝ってくださいまし、一夏さん。

 でもって自分とも楽しく戦ってくれるといいなと願うバトルジャンキーなりたて女。

 死にそうな顔のショウを連れてアリーナの外へ。再戦する前に死なれたら本当に困るので元気だしてくださいな。

 一夏の実力は確かだと信じている。何故ならサラのことを信じているから。

 

 

・ショウ

 

 ああ、そうか。今日なのか。

 突き抜けた赤の先にはニガヨモギの森があって、本当は見たくない。

 だけどね、それでも俺が行かなくちゃ。

 

 

・シア

 

 完全オリジナルIS「リプリーズ」を引っ提げて堂々登場。

 おお、見よ! 暗紫色の乱入者のエントリーだ!

 せっかくのいい試合だったのに途中で止めるなんてどういうことよ。

 不思議パワーにより、邪魔するやつは指先一つでダウンさ。

 

 

・千冬

 

 性懲りも無く出てきた親友に青筋を立てる。

 隣でしんどそうにしている真耶を医務室に連れていきたいが、それを阻まれているので当然キレる。

 どこか見えないところで遊んでいればよかったろうが、束。

 

 

・真耶

 

 コンディション最悪。

 ショウへ抱いてしまった憎悪も、卑怯な蛮行も、この気分の悪さも、外のナニカのせいなんて言い訳はしたくないけど。

 でも、おかしい。

 

 

・束

 

 大戦争を!! 一心不乱の大戦争をッ!!

 原作通りに学園を封鎖しに来た天災。しかも広域の通信阻害も添えて戦略バランスもいい。

 地獄を抜けるまで一緒に付き合ってもらうよ、ちーちゃん。 




 ゴーレムなら荼毘に伏したよ……骨はどこにも置いてない

 というわけで30話開始です。
 やべえよ、もう30話だよ。50万字超えてるよ。どーすんのよ。
 でもUAも1万を超えたそうで。感謝が絶えません。本当にありがとうございます。

 お察しの方も多かったかと思われますが、クラス対抗戦が第2章の最後を飾る事件となります。
 試合の途中で乱入者という流れは原作そのまま。しかし敵ではないよというのが差別点その1。

 鈴と一夏の試合は、原作だと1ページ足らずの、試合開始後の一瞬までしか描かれていない戦いでした。なんかそれだと寂しいので、キャラクターたちの因縁を少し進める意味で、「単純」をテーマに決着手前まであっさり風味で描いてみました。

 さて、「RX-99 REPRISE」として登場させたISですが、R-TYPEシリーズにも登場しない本作オリジナルの機体です。ISとR-TYPEの技術を融合しているという点で、クロスである本作を象徴する機体の一つのつもりだったり。具体的な性能は追々出します。

 ようやくR-TYPE成分強めで話が進められます。クロスの分際でこの遅さかよ、大丈夫か?

戦闘シーンは……

  • なんぼあっても困りませんからね
  • 戦ってねえで話進めんしゃい
  • そんなことよりおなかがすいたよ
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