Infinite stratos / False prophecy   作:✕せんたくだま

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紅白の
翼を織りて
宇宙に舞え
ニガヨモギを
今灼き祓い


30-7 Defy the Prophecy: the Third Angel

「──早くこっちへ! 避難所を開いています!」

 

 第10アリーナでは、箒たちによる避難誘導が進められていた。客席ブロックの分は粗方終わりつつある。

 

 入学間もない1年生と、有望株の青田買いを狙いに来た各国要人が大半を占めていた第2アリーナと違って、ここで行われていたのは2年生のクラス代表対抗戦。閉じ込められていたにも関わらず、彼女らは比較的落ち着いていて、誘導もしやすかった。

 何より、誘導の為に動かせる人員も増えていて、始めよりもかなり効率が上がっていると箒は実感している。

 

 地下の避難所で見た、皆の戦う姿。

 苦戦し、いつその守りが破られてしまうかも分からない、不安。

 

 不安なのは戦っている彼女らも同じだろう。ならば、少しでも避難を進め、安心して戦えるようにすべきだと考えた箒は、簪や本音など少数の生徒を連れ立って、隔壁だらけの地下通路を開拓していた。

 避難所の中は、知識と経験を鑑みて非戦闘職の教員に任せている。去年まで中学生だった彼女らに、緊急用の設備やら薬品やらの使い方は分からなかったからだ。

 

「しの──箒さん、こっちは全員誘導できたよ」

 

「あ、ああ助かる。そしたらそのまま連れて行ってくれ。私は実況席と管制室を見てくる」

 

「……1人で大丈夫?」

 

 後ろから不安げに呼んできたのは簪だった。何処から見つけてきたのか、片手で抱えた小さめのタブレットには地下ルートの地図が映されている。

 

「客席と違ってそれほど人数も居ないだろうからな、仮に怪我人が居ても私なら抱えられる」

 

「そっか……なら、お願い」

 

 事態は一刻を争う。2人は互いに正反対へと歩き出した。

 

 

 

 

 オレンジ色の非常灯に照らされた廊下は薄暗く、変化に乏しい景色も相まって不気味な別世界に見える。

 要所要所で壁面の非接触リーダーに自分のスマホを翳して隔壁を開けつつ、階段を駆け上れば──思ったよりも近くに実況席はあった。先に管制室は確認済み、ここが最後だ。

 

「だ、誰っ!?」

 

「貴女は確か……」

 

「1年1組の箒です。皆さんを助けにきました」

 

 慣れた手順で電子ロックを外せば、メガネの女子が2人。片方は突然のことに尻餅をついていた。誰も怪我をしている様子はなく、箒は一先ず胸を撫で下ろす。

 名乗って、大して把握できていない学園の現状と避難誘導の状況を伝えると、中にいた2人も名乗った。

 

「私は、生徒会書記長の布仏虚です。こっちは新聞部の黛さん」

 

「ど、どうも……」

 

「布仏ということは……本音の姉ですか? それと貴女はこの前の試合の実況をしていた……」

 

「妹がお世話になっております。先ほどまで2人で2年の部の実況解説をしていたのですが……突然のことで」

 

 実況席の中は、アリーナの内部に対して少しだけせり出した設計になっている。内部の様子がよく見えるように3面ガラス張りの窓は、今は鈍色の隔壁で閉ざされて何も見えない。

 座席に備え付けられたコンソールの横の小さいパネルが外されていて、ケーブルが数本飛び出している。脱出を試みた形跡だろうか。

 

 とりあえず動きましょうと箒が促すと、2人とも立ち上がって付いてくる。尻餅をついた際にくじいてしまったのか、薫子は片足を引きずっていたので、肩を貸してやった。

 

「そういえば、箒さん」

 

「何です?」

 

「先ほど扉を開けていましたけど、どうやったんですか? 生徒会の権限でも開けられない程度には強力なロックだったはずですが……」

 

 それは……。箒は口籠る。言える訳がないのだ、国際指名手配中の姉にセキュリティキーを貰いました、なんてことは。

 もちろん、全部解決した後で洗いざらい告白するつもりではあるが、今ここで話がこんがらがるような真似をするわけにもいかない。だから本音にも黙っていたのだ。

 

「……後にしよう、虚ちゃん。今はそれより……。

 ──客席の人たちってどうしたの?」

 

「先んじて避難誘導をしてあります。地下に避難所があるのですが、そこまでは本音が誘導してくれました。本当に心強いですよ、彼女は」

 

「そうでしたか……今日みたいに普段も生徒会の仕事をサボらずにいてくれると更に嬉しいんですけど」

 

 苦笑ぎみの虚はしかし、喜色を隠していない。こういう姉妹でありたかったと一瞬羨む箒だったが、すぐに前を見据えた。

 

 いきなり急な階段を降りねばならない客席と違って、廊下から地下通路に入るときのルートは幾分か楽だ。普段はただの壁面にしか見えない隠し扉の向こうからスロープで降りられる。

 先んじて開けておいた扉の前では本音が待っていた。姉がここに居ると知っていたらしい。

 

「──お姉ちゃんっ!」

 

 半ば飛びかかるようにして抱き着いた本音を受け止めた虚は、一瞬頭を撫でた後ですぐに彼女を引き剝がした。

 

「……無事なのは嬉しいけど、後でね。頑張ってるのは箒さんから聞いたから」

 

「うん……」

 

「涙ぐましい姉妹愛だなぁ。こんなときじゃなかったら写真撮りたいくらいなんだけど……ええと、箒さん。避難所って地下にあるんだっけ?」

 

「ええ。1、2年と教員棟にいた人たちは先に避難させてあります。この後確認するつもりですが、ここはお二人で最後かと────ッ!?」

 

 丁度、そんなときだった。

 

 ──どっごごぅッ!!

 

 震度にしたら4は下らないような衝撃が全員を襲う。一瞬身体が浮き上がったのではないかと感じるほどに強烈だった。

 そして箒は見逃さなかった──薄暗い廊下の天井、その一部が緩やかに歪み始めていたのを。

 チリチリと粉末になった構造材が舞っている。

 

──逃げろッ!

 

「え、しののん!?」

 

 肩を貸していた薫子もろとも、その場にいた3人を扉の向こうへ押し込んで、スマホで閉鎖する。まだ衝撃は止んでいない。即座に箒は駆け出した。

 

 恐らくは上空で戦っている誰かが落下したのだ。天井が歪んでいるのは荷重が掛かった証拠、あの場に居続ければ下敷きになる危険がある。

 何処に居ても変わらないかも知れないが、どうせ逃げるなら上が良い。それこそ、実況席とか。

 

 実況席はついさっき見たままだ。断続的に続く振動からして、落下した()()はまだ暴れまわっているらしい。

 

(さて、何処から脱出する……?)

 

 箒は、コンソール横から飛び出したケーブルと自分のスマホを繋ぎつつ思案する。

 アリーナから地下へ入るルートは限られている。構造物が歪むほどの衝撃が加わった以上、安全な場所を選んで動かねばならない。

 監視カメラの類が使えないし、情報を得るには直接見るしかないだろう。

 

「ええと、確か簪はこうしろと言っていたか……」

 

 スマホの画面を何度か操作すると、実況席の窓を覆っていた隔壁が5cmほど持ち上がって、視界が確保される。

 ついさっき、確実に客席の何処かが壊れた。今も新たに壊れているかも知れない。

 無事な場所に目星をつけて、そこを目指して移動すれば脱出できる、そう考えた。

 

「んな……ッ!」

 

 だが、そんな考えも吹き飛んだ。アリーナの中では、一夏が戦っていたのだ

 

「──あ、アイツ」

 

 状況発生から音信不通だった幼馴染の無事を確認できたのは嬉しいが、たった今無事ではなくなりつつある。

 戦っている相手は、ミリタリーカラーの人型。ISの倍ほどはある巨体に、右肩に担がれた大砲、腰に取り付けられたミサイルポッド。簪に見せてもらった外部の映像に映り込んでいた強敵がそこにいた。

 

 一夏は白式の上から見慣れない機械を纏っていて、鈴音との試合よりも機敏に飛び回っている。時々敵の駆体が緑白色の爆発に包まれることもあった。どうやら飛び道具まで積んでいるらしい。

 

 だが、それでも不足。

 釣瓶打ちみたいに敵の大砲から放たれる光弾は、アリーナの地面を大きく抉っている。一箇所だけバリアが砕かれて、その先の客席が削り取られたかのように消滅していた。

 先んじて全員避難させておいたのは大正解だったと、嬉しくもない答え合わせが行われている。

 

 一夏は回避に集中する他なく、攻撃に転じることが出来ていない。例の飛び道具も決定打にはならないようだ。

 大砲の攻撃は全部地面に向けられていて、今のところバリアには当たっていない。

 とにかくゲインズの下を飛んで地面を狙わせ続けているのは箒にも分かったし、それのせいで攻める暇が減っているのだ。

 

(どうする。ここで一夏を置いて逃げられるか?)

 

 大きく(カブリ)を振る。ふざけるなよ。

 あの敵の攻撃が避難所まで届かないという保証はない。確実にここで仕留めておかねば意味がない。

 何より、だ。

 

 想いを寄せる幼馴染を見捨てるなどという生き恥、この場で腹を掻っ捌いた方が万倍マシだ。

 

 


 

 

「──あのバカっ」

 

 ゲインズ諸共、第10アリーナに突っ込んでいく一夏を見て千冬が叫ぶ。だが追い掛けることは出来ない。

 この場を離れるわけにはいかないのだ。まだ他のゲインズが残っている。

 

(死んでくれるなよ、一夏……)

 

 苛立ちをぶつけるように、スラスターを吹かして加速する。

 素の速度だけでも並の機体の瞬時加速(イグニッション・ブースト)に匹敵するであろう推力が全身を突き抜けて、その苦しみが少しだけ焦燥を忘れさせてくれた。

 

 トリガーを引きながら刀身を振るえば、紅色の飛沫が雑魚(サージ)の群れを噛み砕く。そのまま納刀の構えで手近なゲインズを見据えると──瞬時加速(イグニッション・ブースト)

 テレポートと見紛うレベルの神速で彼我の距離が取り払われる。

 

(うぐ、とんでもない加速をしてくれるな。随分なバケモノを造ったものだ。私でなければ使えんだろうに、束……)

 

 そして一閃。

 胸部のジェネレーターを真っ二つにされた敵は、余りに鮮やかな切断に自分が斬られたことに気付かずに旋回しようとして──上下半身が分かれるようにして爆ぜた。

 

(この紅蓮とかいう剣も中々だ。有線式の非実体剣など技術不足と笑われるところだろうが、これだけの出力を考えれば有線以外に有り得ない設計……ケーブルは鬱陶しいが、良いものだ)

 

 千冬はパトロクロスの性能に目を細めた。

 束によれば未完成品とのことだが、もう既に十分戦えているのだ。これ以上に一体何を積むつもりだったのか、昔からあの天災の思考は想像も及ばない……。自然と口角が上がってしまう。

 

 比類無いほどに圧倒的な推力と、強固なはずのゲインズを両断せしめる異常な出力のレーザーソード。

 装甲は有り得ないくらい貧弱で、シールドバリアの維持機構すら怪しい。

 試合になど、決して出してはいけない、この機体。

 

 自身をこの学園に押し込めて安心したつもりの為政者どもが見たら、一体どんな顔をするだろうか。

 

 だが、戦場というものは感傷に浸ることを許さない。何時でも危機は身近にあった。

 

『ッチ、誘導しくじった──』

 

『──逃げてッ、早くッ!』

 

 遠方で、戦いの中心から誘い出したゲインズの一体に包囲戦術を仕掛けていた一団から悲鳴が上がった。

 鬼さんこちら、手のなる方へ……と代わる代わる攻撃を仕掛けて、ゲインズのターゲットを常に変えさせるはずだったが、突然それは一人を執拗に狙おうとし始めた。

 

 急な行動パターンの変化に追従し損ねた、哀れな生徒が一人、千冬の目に映る。

 ケイロンもエクリプスも、ゲインズの攻撃には無力。回避しなければならないが、それが出来なければ、死あるのみ。

 

(……近すぎるな)

 

 すぐにでも突っ込んでゲインズを破壊したいのは山々だが、生徒と敵の距離が近すぎた。このまま斬りに行けば、高出力の紅蓮では味方ごと真っ二つにしかねない。

 

 であれば突っ込む。ダメージ覚悟でゲインズ同様にタックルして、生徒ごとその場から離脱する。千冬に諦めるという行為は許されていない。

 ケーブルに繋がれた紅蓮を、素早くスラスター側面のハードポイントに置いた。

 

(さっき始めて乗った機体でぶっつけ本番だが……応えてくれよ、パトロクロス)

 

 空手家みたいに両手を構えて、千冬の背後で虹色の輝きがパッと舞った。

 ──直後、視界の全てが過去に向かって引き伸ばされていく。

 

 個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)

 2基以上のスラスターが搭載された機体で、各スラスター1つずつに対して個別に瞬時加速(イグニッション・ブースト)を行う高等技術だ。一歩間違えればスラスターを破壊しかねないリスクはそのまま、タイミングを誤れば明後日の方向に機体が吹っ飛ぶ危険性まである気の狂った行動。

 だが、より速く、より長く、その加速は続く。

 

「掴んだッ!」

 

 そして、千冬はそれを見事に成功させた。

 誰も気付かない、誰も褒め称えない。そんな、一瞬の出来事。

 

『──はぶッ!?』

 

 間一髪。

 生徒を両腕で抱きしめながら衝突した千冬は、迫りくるゲインズを置き去りにする。

 それだけで終わってやらない。

 

「──やれ、真耶ァッ!!

 

 

 

 

 通信で呼び掛けられた頼れる後輩は、遠方から無言で獲物を構えた。

 

 身の丈ほどはある、太くて白い砲身の長銃──チャージ式対物カノン【MIGHTY SMITE(権能者の鉄槌)】。

 装填された弾薬の内部にその場でエネルギーを流し込んで初速と威力を高めるこの銃は、試合用のレギュレーションに真っ向から違反するために学園の倉庫に眠っていた。ついさっき自動工房による整備が終わったこの伝家の宝刀をカタパルトで引っ張り出してきたのだ。

 

 学園にあるIS用装備の中では最高峰の単発火力を誇る武器。十分にチャージをすれば当たり場所次第でゲインズも屠れると真耶は確信していた。

 OVERZONEによるデータリンクを自分で総合して導いた結論だ。

 

(あたまが、いたい……)

 

 ()()()()()()()()ので、角度で合わせる。狙う場所は胸部のジェネレーター。

 

(あれは、おまえじゃ、ない……)

 

 ()()()I()S()()()()()()、それが違うことを真耶は知っている。だから、無視する。

 他の情報は何も信じない、自分の感覚ですら。だから計算で狙う。数値は噓をつかない。裏切らない。

 

(なさけないのは、ここで──終わらせるッ!

 

 そして、トリガー。

 レーザーライフルみたいにオレンジ色の光芒が放たれると、それは真っ直ぐゲインズ(椎名多恵子の幻影)を貫いた。爆発は起こらず、琥珀色に輝くモノアイを点滅させながら、人類の敵は海中へと没した。

 

「──ゔ、げほッ、げほッ……」

 

 達成感なんて吹き飛ぶ、最悪の気分。

 まだ、戦わなければいけない。こんなんじゃ彼への贖罪にはならない……そんな感傷を中断させたのは、束の悲鳴だった。

 

 

 

 

『──おああああああっ!? ちーちゃん何やってんのォ!?

 

 助け出した生徒のお礼に手を振って応えながら見送ったのも束の間、通信越しに怒号が飛んできた。

 見れば、千冬のパトロクロスの腰部──大型スラスターから煙が上がっている。中が完全に焼き切れてしまっているらしく操作も全く受け付けなくなっていて、下手に弄ると爆発しそうだ。先程まで神速を誇ったパトロクロスが、今やPIC以外の移動手段を失っていた。

 

 原因が分からぬ千冬ではない。間違いなく、先程の個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)だ。異常とも言える速度と精度で入力される操作に、パトロクロスが限界を超えて応えようとした結果だった。

 普通はメカニックと一緒に何度も調整しながら使えるようにしていく技を、いきなりのぶっつけ本番でやればこうもなろうか。それでも命と比べれば安い買い物だ。よく応えてくれたと千冬はスラスターを撫でた。

 

「むう……速度特化と言ったのはお前だろうが」

 

『だからってさあ……加減ってモンがあるでしょうがッ! いやね、ブランクあると思ってちーちゃんのスペックと行動を見誤った私の責任もあるよ? でもさ、未完成品って言ったんだからもう少し安全な使い方しようとか、せめて一次移行(ファースト・シフト)までは大事にしようとか──ああもう。ちーちゃん、ハウス!

 

「おいコラ私は犬か」

 

『犬は働けよ──じゃなくて、指示に従ってよ……』

 

 本音を言えばまだ戦っていたい──そんな不満げな表情を浮かべつつ、指揮官から飛んできてしまった帰還命令に従うほか無い千冬だった。

 だが、一人で戻ってやるものか。もう一人道連れだ。

 

「戻るぞ、真耶」

 

「まだ、たたかえますよ……」

 

 動けなくなった千冬の下へ、それこそ忠犬みたいに飛んできた真耶の表情は、「最悪」の二文字が相応しい。

 脂汗が浮かび上がり、言葉はあやふや、肩を上下させての荒い口呼吸、漆黒の瞳孔は不規則に拡縮を繰り返していて、どうして休まずに戦場に出てきてしまったのかという疑問への答えを用意できそうにない。

 今にも死にそう……そんな嫌な想像が払っても払っても千冬の思考に纏わりつく。

 

『あー、それ私からも帰還命令出すよ。さっさと裏方に戻って』

 

「OVERZONEの権限、は、私にあります……私が、前線を、見てない、と……」

 

『その権限は私が貰うから、役立たずは帰れっつってんの』

 

「……そんな言い方やめろ。だが真耶、戻ろう。私達は十分戦ったさ」

 

 全体の通信に耳を傾ければ、次々とゲインズの撃破報告が歓声と共に上がっている。

 千冬が望んだ通りの結果だった。千冬を信じて皆が戦ったように、彼女らの力を千冬も信じていたのだ。

 千冬と真耶という大戦力の登場が、皆に希望と活力を与えた。その答え合わせが行われている。

 

「でも、だって……」

 

 一方の真耶は、責任感と執念だけで立っていた。自分のしてしまったことを挽回するには、教師としての責任を果たすには、最後まで戦って皆を守らねばならないと、それ以外の考えを思考から追い出していた。

 その様を見ていられない束は、遂に堪えきれずに怒鳴る。

 

あーもうっ! じゃあ言うけどさ、死なれちゃ困るんだよ。その情報処理能力と知識に技量も……むざむざ無くすには惜しいって認めてやってんの()()()()

 ……さっさとOZのコンソールに戻って。お前の生体IDで操作を引き継ぐから、いるだけで仕事にはなるよ』

 

 千冬は眼を丸くして、何も言えなかった。

 この傍若無人の天災が、わざわざ他人の名前を覚えて、認める? そんなこと、あり得るのか。明日は一体何が降るんだろうか。槍や隕石じゃ済まないはずだ。

 

 一夏のことが気になるが、今の機体で向かっても足手まといになって共倒れすることだろう。束にアリーナの方へ戦力を割くように頼んで、千冬は祈ることしか出来ない。

 歯痒いが、いま自分に出来るのはこれだけだ。

 

 ぐったりと項垂れる真耶を抱え、スラスターの壊れたパトロクロスをPICで動かしながら、2人は学園へと降下していった。

 

 


 

 

 全身を強烈な慣性が突き抜けて、すぐ横を巨大な光弾が通り過ぎた。

 

「──どうだよゲインズ、アリーナの中は狭ぇだろ」

 

 返事代わりに衝撃波動砲を叩き込むが、一瞬動きが鈍るだけであまり影響は見られない。均一にダメージを加えるのは有効ではないらしい。

 

(……まあ、俺も狭いんだけども。速すぎるんだよな、このケイロン)

 

 ゲインズと共にこのアリーナに迷い込んでからどれくらい経っただろうか。

 客席にいきなり突っ込まなかったのは不幸中の幸いで、ケイロンの認証キーで保護バリアが部分的に解除されて入場出来てしまったのは想定外だった。

 今や、午前に中断されてしまった試合よろしく一夏VSゲインズのデスマッチが続行中である。

 

 保護バリアに衝突しなかったおかげで地面に触れるまでにゲインズから離脱、侵食を断てたまでは良かったが、それを追って放たれた大出力の凝縮波動砲はバリアを貫いて客席を抉ってしまった。

 

 背筋が冷えるどころではない思いをした一夏だったが、奇妙なことに瓦礫だらけの客席には誰一人いなかった。血の赤色すら見えない。先に避難していたのか、ともかく人に被害が及ばなかったことに胸を撫で下ろしつつ、この場で確実に仕留めることを決意する。

 

 まずは出来るだけ低空を飛んで、回避に徹する。あの波動砲をバリアに撃たせたら被害が拡大するからだ。

 すると、ゲインズは威力を落とした光弾を釣瓶打ちして隙を減らしてきた。今のところバリアに当てさせてはいないが、尚更それが怖い。

 その点アリーナの地面の頑丈さと分厚さは折り紙付きだ。何せ、一夏は自ら激突してクレーターを作ることでそれを体感している。波動砲の連打でクレーターが更に量産されていることはこの際気にしない。人命優先だ。

 

(どうする、斬り込む隙が見えねえぞ……)

 

 スピード持て余して窮屈そうに飛び回るのはお互い様。その上でゲインズは速い。

 波動砲を照射から釣瓶打ち方式に変えてきたのも含めて、学習でもしているのだろうか。一夏はだんだんと自分が回避しづらくなっているような気がしていた。

 そもそも今日の戦いが始まってからどれくらい経っただろうか。全力の試合の後で休まず戦闘を続けていることで、着実に疲労が一夏の背中に忍び寄る。

 

(さっきまではみんなで戦えたからやれたようなもんだが、一人じゃ気を逸らすのも無理じゃねえか)

 

 真耶が作った隙をセシリアが広げて、鈴音と一緒にぶった斬る。さっきやってのけた成功体験は、今この瞬間はまるで役に立たない。機敏に動くゲインズに両腕のレールガンは当たらないし、衝撃波動砲は決定打にならない。

  結局は身一つの刀一本で戦わねばならない現状は明らかに不利だ。ジリ貧でもあるだろう。

 

「そらよ……ッ!」

 

 ──ばごんッ!

 

 ゲインズのチャージに合わせて、フルチャージの衝撃波動砲を叩き込む。すると相手の発射体制が崩れ、リセットされる。厄介な粒子膜もその時だけは剥ぎ取られる。

 相手が一々こちらの行動を学習しているかはさておき、一夏は姉の言いつけ通り相手を観察している。決着のための手札は少しずつ見えてきている。

 

 真耶がグレネードランチャーを叩き込んだときのように、ゲインズの波動砲は高火力で邪魔できる。衝撃波動砲なら纏めて粒子膜も退けられる。

 零落白夜ならゲインズの装甲でも斬り裂けるのも、さっき試した。弱点が恐らく胸部であろうことも、真耶の攻撃の仕方から察せられる。

 

 後は、ヤツの打撃を何とかできれば……。

 

(チクショウ、どうあがいてもここで詰まる……捨て身は良いが、あの太い腕を振り回してるところに斬り込むなんて出来るか?)

 

 衝撃波動砲で動きを止められるのは本当に一瞬だけ。その後で確実にやってくるタックルなり打撃なりは防げない。突破すべき二段構えを越える方法が見つからないのだ。

 

(こうなりゃ……考えるのはヤメだ!

 

 戦えば戦うほど周りは壊れていく。分厚いアリーナの地面だって底が抜けるかも知れない。

 ここに来るまでにみんなを置いてきてしまった。千冬は心配しているはずだ。

 まだまだ戦況は厳しい。助けが来るなんて期待すべきじゃない。

 ショウは一人でこれを倒した。アイツにきちんと勝つなら、同じことくらいはしなければ。

 

 一夏は低空飛行のまま高速で後ろに下がりつつ、地面を狙ってレールガンを連射する。鈴音と戦ったときと同じようにモクモクと砂煙が立ち昇り、ゲインズと一夏の間の視界を遮った。進行方向を変えて、少しだけ距離を稼ぐ。

 

 生まれた一瞬の隙を使って波動砲をチャージ。雪片を下段に構えつつ、砂煙を突き抜けてきたゲインズを見据える。

 ──相手をよく視ること。千冬に言われた通りだ。まだ撃たない。

 

「来いよ、ゲインズ! 今度こそそのデカブツで消し飛ばしてえんだろッ、やれるもんならやってみろッ!!」

 

 精一杯の煽り文句。それが通じたのかは知らないが、ゲインズの砲身に光が灯る。チャージに掛ける時間からして本気の照射タイプ。さっきアリーナのバリアを貫通して客席を壊した、極太の光芒がもう一度来る。

 更にその直後、両腰に取り付けられた3連ミサイルランチャーから合計6つの誘導弾が放たれた。

 度重なる衝撃波動砲の範囲爆撃を受けてなお、未だに誘爆を起こしていなかった代物だ。きちんと起爆されれば相当の威力だろう。

 

(──ミサイル!? ここで終わらせようってのはコイツも同じか)

 

 一夏を取り囲むように飛来するミサイル。凝縮波動砲と合わせれば、逃げる隙は無い。だが、それでいい。最初からそのつもりだから。

 「相手の戦いに付き合うな」……悪いけど、これだけは守れそうにない。多分、これはそういう性分なのだ。

 

「行くぞ白式、ケイロン──」

 

 十分に引き付けたところで衝撃波動砲を叩き込み、凝縮波動砲のチャージを阻害。同時に零落白夜を起動しながら、ケイロンのスラスターで瞬時加速(イグニッション・ブースト)

 すぐに雪片弐型の刀身が割れ、中から真っ白い光が迸る。白式単体とは比にならない加速感に背中を押されて、アドレナリンが全神経を高揚させる。

 

 対するゲインズも無策ではない。左腕部を胸の前で盾にして、右腕部を後ろに引く奇妙な構え。

 それが肉を切らせて骨を断つ戦術だなんて一夏は理解しない。元より斬るしか能が無いのは先刻承知。

 

うおァァァァァァ────ッ

 

 倒し損ねたらどうなるかなんて考えない。そんなことより斬れば良い。刃物の切れ味は鋭さと振る疾さで決まるとサラも言っていた。

 ──要するに、この戦い、速いほうが勝つ。

 

(真っ直ぐ行って、ぶった斬る。もっと速く、もっと強く──)

 

 ここでもう一度の瞬時加速(イグニッション・ブースト)。骨が軋みそうな慣性が全身を突き抜けて──何故だろう、()()()()()()()()()()()()()()

 

 丁度、そんなとき。

 

──やれぇっ、一夏ァァッ!!!!

 

 喚呼。

 アリーナ壁面のスピーカーが大気を震わせる。白式の装甲がビリビリと振動して、だが一夏は気にしない。このまま突っ込んでやる。

 

 だが、一方のゲインズの動きが一瞬鈍った。音響センサーに叩きつけられる大音量の声、機械に無視できるはずがない。眼の前の白いのより手っ取り早く殺せそうな存在を見つけて、優先順位が揺らぐ。

 明確な隙。最後にリスクとして残っていたゲインズの打撃が消える。

 

(ここ、だ……っ!!)

 

 一夏の視界が途端にスローになっていく。色は失われ、モノクロの世界で、緩やかに近付いてくるゲインズが見えた。パーツの形が隅々まで浮かび上がり、何処をどのように斬れば良いかが手に取るように分かる。

 

 まるで導かれるような感覚と共に────振りかぶって一閃。

 

 

 時間が加速していく。そのままゲインズの駆体に突っ込んで、更に墜落。穴だらけのアリーナの地面を転げ回って、ようやく一夏は立ち上がった。

 振り返ると、真っ二つになった強敵の残骸が、煙を上げている。その意味が分からない一夏ではない。

 だが、そんなことより……。

 

「…………ほうき?」

 

 

 

 

 ケイロンのシステムが丁寧に望遠を掛けてくれて、実況席の隔壁が上がっていくさまがよく見えた。そして、その向こうで見ている箒の姿も。

 

「──馬ッ鹿野郎! お前自分を囮にするとかナニ考えてんだよマジで……」

 

『仕方無かろう、お前が何時までも攻めあぐねているのが悪い。私が隙を作らなかったら勝てなかったくせに』

 

 ひどく心配そうな一夏に、澄まし顔の箒は少しそっぽを向いた。

 通信機能が回復していないため、箒は一夏の声を窓越しに、一夏は箒の声をスピーカー越しに聞く、妙にアンバランスな会話が行われている。

 

「……けど、本当に無事で良かったよ箒。大丈夫だったか?」

 

『一応な。それなりに大変だったぞ、クラス代表のお前が居ないんだからな。沢村もセシリアも音信不通だから、その場で何とか避難を進めていたんだ』

 

「そっか……ショウもセシリアもこっちにいるぞ。一緒に戦ってる。みんな強いよ──おっ」

 

 箒がつられて見上げると、アリーナの保護バリアの上から1機のISが覗いている。

 恐らくは打鉄だろうか、一夏が纏うのと同じ白いケイロンを上から取り付けたその姿を見て、一夏は眼下のゲインズの残骸を指差してからブンブンと手を振った。

 それを見た上空のパイロットは、一夏に力強くサムズアップを向けてから飛び去った。

 

「多分先生かな、ありゃ……心配して来てくれたんだとしたら申し訳ねえけど」

 

 恥ずかしそうに頭を掻く一夏に、箒はどこか遠い目をしながら呟いた。

 自分の知らないところで起きていることは、いま考えている数倍は大事(オオゴト)であるに違いない。

 

『例の、敵か……』

 

「バイドって言うらしい。詳しくは知らないけど、とりあえず戦うしかなかったんだ。

 ──そういや束さんが色々やってるぞ。この追加装備もあの人から借りてるし」

 

 屋内にいたであろう箒がバイドのことを知っているのは何故だろう。聞いてみると、監視カメラを復旧させて見たのだという。

 そのまま(あね)の話に移りそうだった一夏を抑えようと、箒は見るも無惨に破壊された客席に目をやった。

 

『しかし、手酷くやられたものだな。あの客席の修繕費は幾らになることやら』

 

「それは、まあ……スマン、面目ない。けど、マジで助かった。お前が避難を進めてたんだろ? それが無かったときのことなんて想像したくねえけど……箒、お前かっけえよ」

 

 急に箒は後ろを向いてしまった。プルプルと背中が小さく震えている。

 

『ふ……ふんッ、ならお前も挽回することだな。まだ敵は残っているんだろう? さっさと戦ってこい。私は避難誘導に戻るぞ』

 

「ああ、もう情けねえ真似はしねえよ。だから、みんなのこと、頼んだ」

 

 こつん。

 一夏は実況席の窓に拳を触れさせた。一瞬それが何を意味するか分からなかった箒は固まるが、すぐに同じ場所に拳を突き出した。

 

『あぁ──行ってこい』

 

 


 

 

FOOOOOOOOOO────!!

 

 学園から東に7キロの空には、まるで絶叫マシンでも楽しんでいるかのような大声が響く。回避したすぐ横を凝縮波動砲の光弾がすり抜けて行って、真下の海面から高く水柱が上がった。

 

「ダリル! それでゲインズは最後らしいっス!」

 

「おおっと、ソイツはビッグニュースだな。いい加減にアタシらも本気で行くか」

 

 ゲインズ襲来のタイミングで、ダリルとフォルテのコンビはその1機を隊列から引き剥がしていた。

 

 すぐには倒さず、2人で囲んで攻略法を探る。

 まるでマクロファージの抗原提示みたいに、ゲインズがどのような行動をするのか、どの攻撃が危険か、効率的に戦うにはどうすべきかといった情報を引き出して、後ろで戦う者たちに伝えようと提案したのはダリルだった。

 あれだけの高火力、撃たせ続ければ息切れの一つもするだろうと目論んでのことだったが、残念ながら今までその猛攻が弱まったことはない。

 

 ダリルはアサルトライフルの弾丸をばら撒くようにゲインズへ放つ。着弾地点を中心に火炎が広がって、その粒子膜を押し広げる。

 だが不足。サージならば問題なかったこの戦術はゲインズの強固な防御を貫くには至らない。

 フォルテの氷の槍も装甲に届く前に分解されてしまう。もっと、より密度の高い火力が要る。

 

「──ったく、厄介な防御してやがる。ホントに面倒くせえよお前」

 

「それで、どうするっスか? あの大砲は()()()()じゃ防げないし……ショウ・サワムラが来るまで待つっスか?」

 

「オイオイ、本気出すって言ったんだからそいつはダセえだろ。それにな、ウチの家にはこういう困難に直面した時にどうするかって家訓があるんだよ」

 

「なんスか、それ……初耳っスよ?」

 

 ダリルに突っ込んでいくゲインズの背後から巨大な氷塊を叩き付けるフォルテ。今度は自分を狙わせるが、その声色からは緊張が感じられない。

 

「そりゃあ言うの初めてだからな──フォルテ、どデカいやつ用意してくれ。あと後で冷却頼む」

 

「うええ、アレやる気っスか……? まあ良いっスけど……」

 

 ゲインズなんかよりもこの後の面倒を嫌がるフォルテの前に、そのゲインズが迫る。だがその背後が爆発して炎が広がると、ゲインズはその下手人たるダリルに攻撃の優先順位を合わせてしまう。

 

「同郷のよしみってことでお前にも教えてやるよゲインズ。厄介事に巻き込まれたときにはどうするか──、

 

 

 

 ──BURN IT ALL(灼き尽くせ)ってな」

 

 

 

 

 

 その時だった。

 ダリルの両肩、犬の頭を象ったヘル・ハウンドの火炎放射ユニットが重たい金属音を立てて分離する。

 赤色の光の点を連ねて作ったような光学チェーンをリード代わりに、2体の猟犬が飛び出すように放たれた。

 

「セーフティ・リリース……獄炎開闢(ヘル・フレイム・フォース)ッ!」

 

 ダリルが命じると、鎖で繋がれた火炎放射ユニットの口が地獄の蓋のように開かれて、そこから暗色の焔が放たれる。それは大気を灼き、爛れさせながらゲインズへ殺到した。

 

「──あ、避けたっス」

 

 側転の要領でゲインズがぐるりと横に逸れた。そんな機動を想定されていない内部構造が悲鳴を上げて軋んだ。

 だがゲインズにそんなものを気にする機能は搭載されていない。そのまま背面の大型スラスターからプラズマを吹き出しながら距離を取ろうと加速を始める。

 

 怯えていた。

 あのゲインズが、迫る暗色の焔から逃げようとしている。

 あれだけ人々を恐怖させ、学園の最高戦力を引き摺り出すに至ったはずのゲインズが、である。

 

「オラオラオラぁッ、向かってこいよこの腰抜けがッ! テメエそれでも〇〇〇付いてんのかよえーっ!?

 ──あ、機械にオスメスは関係ねえのか……スマン。改めてこのチキン野郎がッ

 

 だがダリルはそれを許さない。光学チェーンをしならせながら猟犬の頭にゲインズを追わせた。

 そして放たれる火炎弾。暗色のそれは一般的な焔とは大きく異なる存在だ。

 

 ダリルの専用機【ヘル・ハウンドver2.5】の単一仕様能力【獄炎開闢(ヘル・フレイム・フォース)】は、両肩の火炎放射ユニットに添加された特殊素子を焔に干渉させることで、発生させるプラズマのエネルギーを飛躍的に高めるものだ。

 温度の高い焔とは基本的に青色に近付くものだが、特殊素子の影響で暗色になってしまったダリルの焔は、威力においてその数段上を行く。

 

 2つの頭部はそれぞれゲインズを挟むように回り込んで、火炎弾の連射による十字砲火を浴びせる。圧倒的な弾速と密度に、ついに回避出来なくなったゲインズは脚部関節に被弾した。

 

「ハハハッ、JACKPOT(大当たり)!」

 

 じくじくと暗色の焔が着弾部を灼き溶かしていく。10秒と持たずに脚が途中から溶断されて落下した。

 奇妙なことに焔はナパームのようにへばり付いて、すぐに燃え尽きない。ゲインズを覆う分厚い粒子膜に引火しているようだった。

 

 更に2つの頭部は、脚部を失ってバランスと機動力を欠いたゲインズの背面スラスターに食らいついた。顎から漏れ出す焔が焼き尽くすためか粒子膜の影響を受けず、その背面は無惨に溶かされながら食い千切られていく。

 

「──今だぜフォルテ! どギツイのブチ込んでやれッ!」

 

 にぃ、と口角を上げてその様を見届けたダリルが後ろで控えていたフォルテに叫ぶ。アッシュグレーの少女の手には、長大な氷の槍が握られていた。サージに使っていたものの強化版。生成により時間が掛かる分、内蔵された冷却液を高圧縮して威力を高めている。

 射抜いた相手を確実に仕留める、絶死の槍だ。

 

「肝が冷えるっスよダリル……しゃおらあっ!

 

 即座に槍が投げ放たれる。花の蕾のような切っ先のそれは、目標へ近づくに連れて捻れていき、ドリルのように装甲を引き裂いて内部へ侵襲していく。

 ──直後、残骸寸前のゲインズの胸部から無数の氷の棘が突き出し、直後に大爆発を起こした。

 

「いよっし、撃破ァっ!」

 

 勝利に興奮を隠さないダリルは、言うことを聞かない犬にそうするように光学チェーンを引っ張って、標的を失って暴れる火炎放射ユニットを自分の両肩へと戻した。

 ぶるる、とヘル・ハウンドの全身が震えた気がした。

 

「動かないでくださいよダリル、すぐに冷却するっス!」

 

「へへ、動かねえよ……」

 

 すぐにフォルテが飛んできて、ダリルの装甲に触れる。同時に、コールド・ブラッドの冷却ユニットが巻き付くようにダリルを覆った。

 

 獄炎開闢(ヘル・フレイム・フォース)は実に強力だ。早期に使っていればそれだけ早く勝負が付いていただろう。だが、それでもここまで使わなかった理由がここにある。

 

「うええ、なんスかこの熱分布……火傷とかしてないっスか? 自覚無くても後でIS解除したら医者に診てもらうっスよ」

 

「んな心配しないでもいいって……それよりホラ、こうやってハグしてくれた方がキくぜ?」

 

 特殊素子に由来する超高温を、ダリルとヘル・ハウンドの開発チームは未だに制御しきれていない。名前のバージョン表記はそのために続けられる細々とした改良の証で、今でも使用直後に冷却しなければパイロットが灼けかねない熱が残ってしまうのだ。

 

 今まで2機掛かりでゲインズを翻弄し続けてその底を完全に見切り、そして隣に強力な冷却手段があったからこそ、ダリルは安心してこの能力を起動させられたのだ。それはつまり、フォルテに自分の命を預けることに等しい。

 

「むうう……このお返しは後でしっかり頂くっスからね」

 

「おう、楽しみにしとけ」

 

 


 

 

 千冬の言葉は真実だった。

 最後のゲインズの撃破報告が上がってからの戦線の働きは目覚ましく、大量にいたはずのバイドは素早く殲滅されていった。

 

『あと一息! このまま押し切るよッ!』

 

『先生、後ろは預かります!』

 

 学園中枢──OVERZONEの制御コンソールがある一室には心強く連携する教師と生徒の声が通信越しに聞こえてきて、コンソールに収まった真耶とそこに寄り添う千冬を励ました。

 

「耐えてくれ真耶……もうすぐだからな」

 

「ゔ、うぅ……」

 

 ISのパイロット保護があっても、真耶の症状には何の助けにはならないようだ。ラファールの背面フレームにだらりと背中を預け、肩と一緒にその豊満な胸を上下させる真耶の呼吸は非常に荒い。

 千冬はそんな彼女の顔に滴る汗を拭って、声を掛け続けることしか出来ない。

 

 浮び上がった空中ディスプレイの1つに表示されたレーダー画面では、急速に敵の反応が減っていくのが見えた。

 戦力として駆り出された教員と生徒の実力は確かだが、それを敵に有効な火力として表出させるケイロンと、精密な連携で動くエクリプスの存在も非常に大きい。幾らかの損傷こそあれど、ここまで誰一人として死者を出さずに戦えているのだから。

 

(ふん、バレバレだな沢村……それで良いんだ、お前は)

 

 レーダー上で敵の反応が広く纏めて消えるときがあった。そして、その現象は位置を素早く変えながら移動している。

 今戦っている中で、あれだけの速度で広範囲の敵を殲滅できるのはショウをおいて他に居ない。千冬は自分の言葉に従って前線で活躍してくれた彼に内心頷いた。

 

 一夏も無事に戦線に復帰してくれた。なんと一人でゲインズを下したらしい。

 あの未熟者がどんな手でやったのか、後で精々聞いてやるとしよう……自然と上がる口角を抑えつつ、千冬は指示を飛ばし続けた。

 

「──よし、残敵は10! 付近の者は畳み掛けろッ」

 

 そして、勝利の瞬間が訪れる。

 千冬の指示は僅か1分余りで実行され、レーダー上からバイドの反応が消えていく。

 そして、残り──ゼロ。

 

──終わったアアアアアッ!!

 

『あーつかれた……』

 

『勝ったッ、第3試合完ッ!』

 

『へえー? じゃあどこのクラスが半年パスを手に入れるワケ? まさかアンタのクラスってわけじゃないでしょう?』

 

 通信越しに、どっと歓声が湧き起こる。喜ぶ者、疲労に気が抜けた者、感極まって泣く者……皆めいめいに声を上げていた。

 

『いよっし、残敵ナシ! これで終わ──』

 

 束も結果を見て喜んでいる。千冬は変わらず真耶が苦しそうにしているのを見ると、口を開いた。

 

「束、もう終わっただろう! 学園を元に戻してくれ、これから真耶を連れて行く……」

 

 ラファールから真耶を引きずり下ろそうと手を動かす千冬に対して、束からの返事はなかなか来ない。通信が切れたのかと疑ったが、空中ディスプレイには「SOUND ONLY」の文字だけが浮かんだウインドウが残っている。

 

あ゛あ゛ッ、ぎ、ぃ……!

 

 急に真耶が強く苦しみだした。先程までの比ではなく、暴れる身体を抑えるのに手一杯で彼女を下ろすどころではなくなってしまった。

 

 千冬の背中を、嫌な感覚が撫でた。否、もっと強烈。

 歓声で湧くボイスチャンネルからの喧騒とは全く対照的に、陰鬱な焦燥が部屋を満たしていく。

 

『──ってない』

 

「え?」

 

 千冬は素早く聞き返した。

 本当は、彼女が何と言ったか理解できていたのだが、それを信じたくなかった。否定してほしかった。

 だが、現実というものは易くない。

 

終わってない……!

 

 


 

 

 始めと同じように、最初に()()に気付いたのは、またしても一夏だった。

 

「いやー、終わった終わった! 鈴もセシリアも、マジでお疲れ様だな」

 

「一時はどうなることかと……とにかく皆さんが無事で何よりですわね」

 

「無事じゃなさそうなヤツ筆頭が何言ってんだか。ゲインズと一緒に学園の方に吹っ飛んでったの見たときはホントに肝が冷えたんだから……」

 

 あ、それはホントに心配掛けたわスマン……。

 学園近傍の空中で、金髪お嬢様とツインテールの溌剌少女に一夏が頭を下げた。

 

 その場はある種のパーティー会場のような様子で、近くにいた人同士で集まって、互いの無事を祝っていた。一夏たちもそれと同じように3人で向かい合っていたのだ。

 

「……さて、これからどうなるのかしらね。対抗戦は有耶無耶になっちゃったし、どっかでまた戦う?」

 

「中座してしまいましたけど、お二人が良い戦いをしていたのは見ておりましてよ。また見られるのなら嬉しい限りですが──あら?」

 

「……一夏、何してんの?」

 

 返事をしない一夏に2人が目を向けると、白いISの男は異様な雰囲気を纏っていた。

 

 ──ゆらり。

 雪片弐型を掴んだ一夏の右腕が、空へ吸い上げられるように、緩やかに持ち上がっていく。2人の言葉を含めて、一夏はそれらに気付いていない。

 そして、ブレードの切っ先が真上に向いたとき、腕の動きは止まった。

 

 ──がこん。

 

 突然、雪片弐型の刀身が真っ二つに割れた。白式の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)が発動するときの動作だ。

 だが、奇妙なことに、普段ならばその間から漏れ出すはずの純白の閃光は一向に姿を表さない。

 V字に刀身が別れたブレードを自由の女神みたいに掲げているだけ。中身は空っぽ。或いは、獣が空に向けて大顎を開けたような、そんな様子。

 

 セシリアは、零落白夜の輝きに代わって、そこから何か違うものが出てくるような気がした。だが、何も無い。気の所為だった。

 

「ねえ、返事しなさいよ。不気味じゃない」

 

「──え? ああ、スマン……」

 

 鈴音が一夏の肩を叩くと、ようやく返事があった。どこか上の空みたいなその声色は、自分の腕が持ち上がっていることにも気付いていないようだった。

 

 それだけでは済まなかった。

 

 ──ガチガチガチ……っ。

 白式にポン付けされるように装備されていたケイロンの各パーツが、独りでに剥がれるようにして落下していく。まるで傷が癒えた後のカサブタみたいに、それは不要なものに対して行われるような振る舞いに見えた。

 外れたパーツ郡はしばらく落下し続けた後で遥か下方で集合し、元の飛行機模型みたいな形になって飛び去っていった。そして、一夏はそれにすら気付いていない様子だ。

 

 鈴音とセシリアが指摘しようとしたとき、不意に一夏はもう一度空を見上げた。

 

「なあ、2人共……()()()()()()

 

 


 

 

「ぁ、ああああ…………!」

 

 学園から東に5キロの上空。周囲に誰もいない虚空でホバリングするショウは、真上を見上げて小さく声を漏らした。

 ずっとずっと残り続けていた予感。それが消化されずに今まで残っていたことを、ショウは恐れていた。

 

 ──ぎょろり。漆黒の瞳孔が限界まで開かれる。

 雲一つ無くなった大空の、その先。顔面を覆うラウンドバイザーの手前に配置されたカメラデバイスを、拡大、拡大、拡大……。

 

「お前だ。違いない。それ。止めないと。見えてる。今俺が見てる」

 

 それを否定するために何処までも目を凝らして、しかし飛び込んでくる結果は真逆。

 何度も見せられた。もう見たくない存在。結末。

 消さねばならない。

 

 

 

◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀◀

 

WARNING-> Target in sight.

 

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 ガルーダもそれに気付いた。コアではなく、そのOSが。

 パキパキと音を立てて、装甲表面を覆う黄金の六角形を敷き詰めたようなバリアが剥がれていった。

 

「……」

 

 ──ゆらり。顔を水平に向き直したショウの右腕が、学園の方を向いた。

 

 安心して浮遊しているケイロン装備のISでも、他の専用機持ちでもない。両肩に浮かぶレッド・ポッドでもない。だが、ポッドにそうするように。

 自分を鎧う機械の、祖先。死神の異名を与えられた者たちに、意識を伸ばした。

 

「……いけ」

 

 


 

 

 ぶちぶちぶち……っ!

 

「っゔ、あ゛ぁ……!?」

 

「ちょっと、本当に大丈夫!? さっきの変な兵器使ったときもそうだけど、明らかにおかしいわよ……」

 

 否。実際にはそんな音はしていない。

 だが、シアにはそう聞こえなければおかしい感覚が全身を突き抜けた。外側から生皮を剥がされ、神経を引き抜かれるような感覚。痛みはない。衝撃だけ。

 

 周囲を見渡せば、その理由が目に飛び込んでくる。

 

「……エクリプスが、上昇していく?」

 

 学園に展開した十数機。片脚を破損した個体でさえ、引き寄せられるように空へ向かっていくのが見えた。

 それらの制御権は自分にあって、バイドに乗っ取られないように神経系と接続されていたはずだ。なぜ勝手に動いているのか、シアには分からなかった。

 

――みんな聞いて、()()()()()()()()ッ!

 

 丁度その時だった。束の悲鳴が戦線全体に響いて、同時に全ての戦力に情報のブロードキャストが行われた。

 新しい、敵だ。

 

 

 皆が真上を見上げると、限界まで望遠を掛けた先の景色にバウンディングボックスでナニカが囲まれて表示された。

 

 位置は上空230km。赤いイクラのような点が無数に付いた暗緑色の肉塊が、ブドウの房みたいに無数に固まっている。肉塊の隙間からは、細く金属色のトゲが飛び出していて、見方によってはウニの一種にも捉えられただろうか。だが、その直径は50mを優に超えている。

 断熱圧縮でオレンジ色になった大気を纏いながら、突如として現れたそれは学園に向けて落下し続けていた。

 

――衝撃波動砲持ちは全機上昇してアレに有りっ丈ぶち込んで! エクリプスも……あれ、もう上がってるんだ、話早くて助かるよシアちゃん。

 

――束、どういうことだ! 敵の出処は塞いだんだろう。終わったんじゃなかったのか!?

 

――目標種別”ベルメイト”……多分だけど、塞ぎ切る直前にギリギリで滑り込まれたんだ。それも特大のヤバいやつ……あのサイズの質量兵器が降ってきたら学園どころじゃ済まない! 衝突まで約3分、急いでッ!!

 

 場は騒然となった。当然だろう、ようやく戦いが終わったと安心していたところに、まだ危機が残っているという。皆は即座に動き出した。

 

 

 

 

 ケイロンのスラスターは強力だ。瞬時加速の連続使用に堪える耐久性とエネルギーゲインは、加速を続けるベルメイトの下へ多くのパイロットを送り届けた。

 

 一方でスラスターそのものは通常のISの域を出ない甲龍はそれに追い付けない。焦燥に曝されながら、鈴音はベルメイトの姿をじっくり眺めることが出来た。

 ブヨブヨと蠢く丸っこい肉塊の集合体へ、緑白色の爆発が複数の方向から叩き込まれる。遠すぎて音は聞こえなかったが、そもそも地上数十kmでは媒質となる大気もほとんど無い。

 ケイロンを装備したISたちがベルメイトを囲んで攻撃している中に、エクリプスも混じっている。だが、ケイロンと比べるとその動きは少し鈍いように見えた。

 

 衝撃波動砲を複数回同時に受けた肉塊は、引き裂かれるように弾けて消えた。だが、ダメージの足りないものは中心から分離して拡散しようとしている。

 突然のことで発射のタイミングが揃わず、個別に波動砲が打ち込まれた結果、剥がれていく肉塊はどんどんと増えていた。

 

(なにあれ……生き物、なの?)

 

 肉塊が剥がれ、あるいは破裂して無くなっていくと、その中心にあった物が見えてくる。

 肉塊の表面に付いている点とは違う、ルビーにも似た質感の巨大なコアから、腐食した金属色のトゲが無数に生えたナニカ。それは実が無くなって枝だけになったブドウの房か、あるいは、金属で作ったウニのようにも見えた。

 

 しかも、本体らしい金属の塊には波動砲がまるで効いていない。ゲインズですら比べ物にならないくらいに分厚い粒子膜が何の望遠もなしに見えた。細長いトゲですら折れる様子はなく、表面にへばり付いた肉塊が壊れるだけだ。

 

 今日、今まで戦ってきた敵とは明らかに違う。生物じみた部分と機械らしい部分を併せ持った異形。鈴音の常識に、そんなものは存在しない。

 隕石よろしく大気圏突入の最中であるにも関わらず、このままいけばあの大質量は形を保ったまま学園に衝突するかも知れない。そうなれば最悪だ。

 

 とにかくアレを野放しにしてはいけない、そう思った鈴音は、回り込むように分離した肉塊たちを目指した。

 いま自分にできること。ベルメイトの本体を何とかする方法は地上に任せて、手持ちの装備が通じる敵を叩く他ないのだ。

 

 


 

 

「──シア、ヘクトールの冷却は」

 

 エクリプスの制御権を失ったときの奇妙な感覚と、直前までの疲労のために息を整えていたシアの前に、まるで瞬間移動のようにショウが現れて、問う。

 その声色は抑揚と熱を失っていて、少し苦しげでもあった。

 

「ええ……問題ありません。彼女のお陰で、最大出力でも撃てますよ」

 

「……今度は何する気? まさかアレを撃ち落とすの?」

 

「ああ、当然だ。それならチャージを始めてくれ。俺はイチカを────っ!?」

 

「──呼ばれたってことは来て正解だったみたい……だな?」

 

 おどろおどろしい音を立てながら、ベルメイトに照準を合わせてチャージを始めるシアを後目に、ショウは次の手を打つべく一夏を探した。先は見えない。だから、その場で創り出せる最善手のために。

 だが、いつの間にかその探し相手はショウの真後ろに立っていた。

 

 刀身が割れたままで仕舞えない雪片弐型を抱えた一夏は、穏やかな笑みを浮かべてショウの顔を見ていた。こんな状況なのに不安は大きくない。今日の戦いの始めに警告してくれたように、今度も導いてくれると思っていた。

 

「なら、1つ頼みがある。策に付き合ってくれるか」

 

「オーケー。時間ねえんだろ、言ってくれ」

 

『一体、何をする気だお前たち……』

 

「あのヘクトールの大火力では不足ですの……?」

 

 不安げな千冬が通信に割り込んでくる。一夏に追従してきたセシリアも同様だった。

 そんなところに、更に通信に割り込んできた束が答える。

 

『恐れ入り屋の鬼子母神*1だね、ガルーダの……。

 やることは単純だよ。ガルーダのパイロットに運ばせて、いっくんにあのベルメイトを斬らせる。離脱したところで即座にヘクトールを叩き込んでゲームセット』

 

「いけませんわ! そんな危険な方法……第一、ヘクトールだけではいけませんの?」

 

『そうだ、他に方法は……』

 

 もうこれ以上の危険は懲り懲りだ。苦しむ真耶を隣に置く千冬も、戦い続きのセシリアも疲弊していて、狼狽えている。

 対する束の声は何処までも冷ややかだった。

 

『今から30秒以内に実行できるなら代案でも何でも認めるよ。そもベルメイトの防御膜が硬すぎてケイロンですら効いてない。ヘクトールだけじゃ不安だから、確実にやるためには白式の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)しかないってだけ。分かったなら黙ってて』

 

「そういう話だ。いけるか、イチカ」

 

「ああ、他に方法もねえんだろ? 安全運転で頼むぜ。

 ──千冬姉、まずはさっき守られた分から返すよ」

 

『……必ず、帰ってこい』

 

「おう!」

 

 セシリアは、千冬が説得されたのを見て、それ以上何も言えなかった。

 ヘクトールの威力は彼女も見ていた。だから怖い。期待する好敵手が、わざわざ敵に近付くだけでなく、その大火力に巻き込まれかねない戦術に挑むなど。

 だが、賢いセシリアには、自分の頭でも即座に代案が用意できないことを理解出来てしまう。肉塊の迎撃にすら行けない自分が歯痒かった。

 

 

 

 

「──それじゃ、行くぞ」

 

「ああ、頼んだ」

 

 スラスターの出力を完全にカットして、零落白夜の最大出力で発動する準備を整えた一夏の背中を、ガルーダのマニピュレータが力強く掴んだ。

 PICの慣性制御を連携し、2機のISをあたかも1つの物体であるかのように動かせるように設定を切り替えて、2人は真上を見据える。

 そんな時に、シアから声が掛かった。

 

『──ショウ。ヘクトールの最終安全トリガーを貴方に託します。粒子膜の除去後、離脱が出来たタイミングでそれを起動してください。即座に撃ちますので』

 

 小さい声で応えたショウは、ガルーダのスラスターに変速操作を行う。

 

「……4速」

 

 ──ガシャン。

 金属同士のこすれ合う音と共に、ガルーダの背面装甲とスラスターが大きく広がるように変形する。鋼の板で蕾を造ったなら、こんな咲き方をするだろうか。

 

 そして──プラズマの嵐を置き去りにしながらの急加速。赤と白の塊は真っ直ぐ敵へと突き進んでいく。

 ベルメイトと真逆に動く関係上、相対速度は圧倒的で、彼我の距離は即座に縮まる。

 

 急速に拡大していくベルメイトの姿が2人の目に映る。金属のトゲで作った奇怪なウニみたいな本体の周囲には、もう肉塊は残っていなかった。もう全て撃破された後なのか、まだ散らばったものが残っているのか、彼らにそれを考える余裕は許されない。

 

 遠目でも見えたベルメイトの粒子膜は、近付くほどにその分厚さがはっきりしていく。10m以上はありそうなそれは、無策で飛び込んだものを問答無用で分解する魔境だった。

 これを前にして、あらゆる攻撃は無効だろう。だが。

 

「タイミングと位置は合わせる! ぶった斬れぇッ!

 

「行くぞ白式……!」

 

 ショウの言葉に応えるように、一夏は刀身が割れたままの雪片弐型を力強く握る。すると、割れた根本で一瞬だけバチバチと火花のように琥珀色の光が弾けた後で、純白の輝きで形作られた刀身が出現する。

 その長さたるや異常そのもの。敵の粒子膜の厚みに合わせるように10mを超えるエネルギーブレードがここに生み出された。

 

ぅおああああああああァァァァァァ────ッ!

 

 加速のまま振り下ろす。音は無い。だが手応えは確か。

 景色を染め上げる琥珀色の粒子膜が、刀身に触れた端から斬り消されていく。工業用のウォーターカッターでそうするように、刀を構えた一夏をショウはベルメイトの下から上へと動かして切り込みを入れていく。

 直火で炙られたトマトの皮みたいに切れ込みは広がっていった。邪魔な障壁は取り除かれる。

 

 ──だが、それで終わらない。

 

「もっぺん行くぞイチカ、後ろにまだ分厚いのが控えてやがる!」

 

「ああ、突っ込んでくれ!」

 

 それはまるでタマネギのような。

 分厚い無敵の障壁の向こうには、更に高い濃度の粒子で構成された防御膜が控えていた。厚みは変わらない程度。刀を振るうべき経線長はより短くて、一夏ならば斬れるだろう。

 だが、それをすればベルメイトのトゲの間に入り込むことになる。「触れてはいけない」という戦いのルールは無効になっていない。接触のリスクを踏んででもヘクトールのためのお膳立てをすべきか──そんな判断を知ってか知らずか、一夏は行けと答えた。ショウもそれに応える。

 

 枯れた針葉樹の森みたいに生えるトゲの間を駆け抜けて、ショウは精密に慣性と速度を操る。

 膨大な時間を費やしてイメージファイトで身に付けた技術は、間違えることがない。

 

 そして、一閃。

 密度を増してなお、一夏の剣戟はベルメイトの守りを切り裂いた。

 

「──しゃあっ! こっちはやったぞ!」

 

「ああ! 今すぐ離脱を────あ」

 

 達成感に快哉の声を上げる一夏と、即座に周囲を見渡して離脱コースを見定めるショウ。だが、ショウの目には、吶喊直前に目を付けていたコースが見当たらなかった。

 

(景色が変わった? いや、これは──)

 

 その答えは即座に現れた。

 

 ──めきめきめきめき……!!

 

 金属のトゲが、成長している。

 新しく生えたもの、既存のものから分岐したもの。つい先程まで(マバ)らだったはずの空間が、僅かな時間で埋め尽くされていく。

 それは明確な害意だった。己を守る粒子膜が破られたことに反応して、脱出出来ないように外敵を巻き込んでの自爆を図ろうという、そんな悪意。

 

 危うく生えてきたトゲに揃って貫かれるのを回避すると、ベルメイトと相対速度を合わせるのでショウは手一杯になってしまった。ここから逃げる抜け道は、もう無い。

 

『一夏、早く離脱してくれ! こっちのチャージは完了しているんだ!』

 

 地上からの通信に千冬の悲鳴が響いた。

 早く最終安全トリガーを起動しなければ、このままベルメイトは落下するだろう。それどころか、取り除いたはずの粒子膜が再生してしまう。

 だが、ヘクトールを撃たせれば2人揃ってベルメイトと共に跡形もなく消えることになる。

 

「ああクソっ、どうするよショウ……」

 

 一夏も焦れていた。ベルメイトの表面にエネルギーブレードを突き立てて粒子膜を抑え込んでいるが、このままではエネルギー切れまであと10秒も無い。

 

(一か八か……自分の頭で予測しろってかよ)

 

 ショウは、ガルーダのジェネレーターを動かすための燃料の残りに目をやった。少ない。

 長らく戦い続きだったところに、エネルギーを消耗する波動砲の連続使用。更に、ベルメイトの出現に際して補給など出来なかった。

 その上で、ショウは一夏の顔を見た。嘘偽りなく、真っ直ぐと見据える。

 

「──イチカ。お前の命、預かってもいいか?」

 

「何だって良い。千冬姉の、みんなの下に帰れるなら……!」

 

「そいつは結構。息が続くかのチキンレースと行こうじゃねえの──撃て、シア!!

 

 ガルーダの胸部から、青白い粒子が溢れ出した。

 

 

 

 

「──トリガー信号受諾。照準を再確認。ヘクトール……」

 

「──待ってくださいましッ! まだ2人の離脱報告が……」

 

「そうよ! 2人ごと灼き消すつもり!?」

 

 青白い粒子を撒き散らして発射に備えるヘクトールと、それを操作するシアにセシリアと楯無が飛び掛かろうとした。

 このままでは、死ぬ。一夏も、ショウも、一切の抵抗すら許されずに、死体も残さず消える。

 

「──【停止】

 

 がくん。

 だが、ブルー・ティアーズもミステリアス・レイディも、突然放たれたシアの言葉で動きを止めてしまった。どれだけ近付きたくても、どれだけ止めたくても、その場から進むことが出来ない。

 2人は叫ぶことしか許されなかった。

 

『あの2人の働きを無駄にするわけ? 言っとくけどここでしくじったら何億でも死ぬよ。お前たちはその責任が取れるの?』

 

「それでも! 2人は生徒なの! このまま見捨てることなんて──」

 

『あーもう、うっさい。黙れ』

 

 束の遠隔操作でPICが無効化された2機のISは、無惨にも海面へと落下していった。

 

 周囲が引き伸ばされた弦のように張り詰めていく。ヘクトールの発射まであと数秒もないだろう。

 仮面の向こうで、シアは口角を上げた。確信があった。

 確実に、ここで消し去る。絶対的なチェックメイト。

 

『やめろ束! 一夏を、ショウを殺さな────』

 

『──それじゃあシアちゃん。狙いは?』

 

 

 

 

 

 

 シアはトリガーに指を掛けて、優雅に応えた。

 

「……()()()()()()

 

 閃光が世界を埋め尽くした。

 それは新しい日の出のようで、陽光はあらゆる不浄を灼き尽くしていく。

 誰もそれを直視することは出来ない。そんなことをすれば目を抉り取られるような刺激を受けることを皆学んでいたからだ。

 どんなセンサーも仕事を投げ捨てて、ただ荒れ狂う破壊の輝きが収まるのを待つばかりだった。

 

『あ、あぁ……』

 

 光の嵐が消えると、名残代わりに舞う光の粒子を除いて、その先には何も残っていなかった。

 落下を続けていた致命的な大質量も、それに挑んだ2人の姿も。

 

『空間の揺らぎは安定、反応ゼロ、湧出現象も確認できず──いよっし! 今度こそ状況終了だよ! みんなお疲れ様~!』

 

 茫然自失となる千冬をよそに、束が喜びの声を上げた。

 だが、誰もそれに追従出来ない。

 

 犠牲が出てしまった。消えた。跡形もなく。

 天才の言葉1つで変わる勝敗など、誰の心にも響かない。

 誰も失わずに終わるなど、そんな生易しい話は存在しないと突きつけられて、喜べる者はいなかった。

 

『束……貴様、キサマぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

 慟哭だった。

 もう2人は帰ってこない。どれだけ呼びかけたって応えてくれない。言葉を交わすことも、姿を見ることも、もう叶わないのだ。

 

 最終的に、千冬は束を恨んだ。お前のせいだ。確かに彼女が手を出さなければ学園は守れなくて、もっと多く死んでいたかも知れない。現場指揮官としては感謝こそすれ、罵るなど出来ようはずもない。

 だが、一夏は。どこまで行っても一夏は自分の弟で、地上にただ一人の家族だった。他の誰を差し置いても、大事だったのだ。

 

 そんな千冬に、束は困惑した様子で答えた。

 

『うん……叫んでるところ申し訳ないんだけどさ、ちーちゃんはもう少し忍耐力ってやつを持った方が良いと思うよ。

 ──そうでしょ? シアちゃん』

 

「ええ。もう間もなくノイズが晴れ上がりますよ。命を懸けた功労者に、ぜひ声を掛けてあげてくださいな、織斑先生」

 

『──ぇ?』

 

 千冬は、血眼になって眼の前の空中ディスプレイを操作する。一夏とショウの反応は消えて、通信は途絶していた。

 ヘクトールで消されたからだと思っていた。一向に応答が無い、雑音しか吐き出さない通信を未練がましく繋いでいたところに、ザリザリと違うノイズが乗り始めた。

 

『ザザ……あー、千ザザ姉? ザザザえてるか? ザザザあショウ、やっぱザザしザザた方が……』

 

『ぃ、いちか……?』

 

 


 

 

「見ろよショウ、すごいぜ、宇宙だぜここ……うわめっちゃ真っ黒」

 

「嫌な思い出が蘇るんだよなあ……本音を言うとあんま来たくなかったんだが」

 

 2分ほど遡る。

 ヘクトールが発射される僅か7秒前。ガルーダから発せられた青白い粒子に飲まれた一夏は、どこかへ引き込まれるような感覚とともに、見たこともない極彩色の空間を飛んでいた。

 

 絶対に手を離すなと厳しく言うショウの言葉に従い、手を引かれるまま謎の空間を進んでいくと、また景色が変わって、今度は眼下に巨大な青色の球体がある真っ黒い空間に出る。

 それが地球で、自分の居場所が宇宙なのだと理解した次の瞬間、何十kmも離れた前方に光の柱が生まれた。

 

 望遠を掛けて、光に飲まれていく金属製の歪なウニを見ながら、気付く。

 どういうわけか、自分はベルメイトの間近から遙か遠方へ移動してしまったらしい。

 

「嫌な思い出って何だ? ……あれ、もしかして宇宙に行ったことあんの?」

 

「そりゃ秘密だな。あ、さっきのやつも他言無用で頼みたい」

 

「あー、アレっていわゆるワープ的なやつだろ? 確かにそんな凄いの隠したくもなるもんな。俺も何をどうやったか分からねえし……命を救われたからにはきちんと秘密にしとくよ」

 

「助かる……あと燃料切れ起こしちまったから地上まで連れてってくれるか。情けない限りで済まねえ」

 

 それから、無事を伝えようと学園へ通信を試みたが、ヘクトールのエネルギーは凄まじく、残った余波によるノイズで何も伝わらなかった。

 仕方がないので雑談でもしてノイズが落ち着くのを待っていたのが事の顛末だ。

 

「そろそろ通信戻ってんじゃねえの?」

 

「ん、やってみるか。あー、あー、千冬姉? 聞こえてるか?

 ──なあショウ、やっぱりもう少し待った方が……」

 

『一夏! 無事なら応答しろ! 一夏!!』

 

「──ゔっ」

 

「……ほらな?」

 

 なりふり構わず最大ゲインで放たれた千冬の声が、一夏の鼓膜にダイレクトアタック。効果は抜群だった。

 

「えーと、こちら一夏。ちゃんと無事だ。ピンピンしてる。あともうちょっと音下げて……」

 

『──っ。そ、そうか……ショウも無事か?』

 

「同じく。但し燃料切れ起こしたから一夏にレッカーして貰う予定」

 

『……なら、早く戻ってこい。皆心配しているんだ』

 

 荒い呼吸の千冬は、言葉を繰り出すのに何度も詰まっている様子だ。随分と心配をかけてしまったものだと一夏は苦笑いする。

 

「それじゃ、戻るか。今度は()()()の手を離すなよ?」

 

「へへへ、安全運転で頼む」

 

 


 

 

こんかいのまとめ

 

・箒

 

 今回も人命救助。

 アリーナで戦っている一夏を見ると叫んでしまうのは多分運命。

 とにかく一夏が無事で良かった。安心して預けられる相手の存在って大事だよね。

 

 

・簪&本音

 

 幼馴染コンビ。

 方や生徒会書紀、方や会長の妹ということで非常時の対応は割とお手の物。

 簪は箒にシステム面での裏技を幾つか教えている。

 

 

・薫子&虚

 

 実況席コンビ。今日もアツく実況していくよ~! とか何とかやってたところにバイド襲来。2人揃って閉じ込められていた。

 箒が扉を開けた時にすっ転んだのは膀胱が限界手間だったせい。

 ゲインズ墜落時に非常用通路に押し込まれた後は無事に地下へ避難できた。

 

 

・千冬

 

 せっかく貰った新機体を僅か数時間でぶっ壊す女。もう少しこう何というか、手心というか……。

 学園に戻ったタイミングでパトロクロスは返却した。

 一夏の反応が消えたときは本当に肝が冷えた。無事が分かった後も涙が出た。

 実際に一夏が死んでいたら束を探し出して殺す覚悟だった。

 

 

・真耶

 

 タフ過ぎる……タフさの次元が違う。

 気が狂いそうな苦しみの中でも戦闘能力は揺らがない。でも休めよデカ乳女。

 だが束が名前を覚えた貴重な個人。

 症状はベルメイトが撃破された後で寛解した。元凶を取り除くのが一番ですわな。

 

 

・ダリル&フォルテ

 

 学園最強コンビ再び。

 ちょっと本気を出して単一仕様能力をご開帳。そのちょっとの本気にも気を遣う難しい焔。

 特殊素子って一体何なんスか?

 この後裏で散々イチャつく。これは決定事項。

 

・鈴音

 

 衝撃波動砲持ちということで迎撃に引っ張りだこ。しかしケイロンほど脚が早くないのが残念ポイント。でも単体と追加装備で比べるのも変な話だよね。

 ベルメイトの肉塊の破壊のために協力していたら、本体に突っ込んでいく一夏とショウが見えた。

 ヘクトールで蒸発したかに見えた一夏を後で殴った。心配掛けんなバカ!

 

 

・セシリア&楯無

 

 まだ子供なんだから咄嗟に非情な選択が出来なくたって仕方無いじゃん。そんなシビアに叩き落とすこと無いじゃん……。

 揃ってシアと束に機体の制御を奪われている。こうなると戦いにすらならない悲哀。

 無事に戻ってきた一夏とショウを心配掛けた罪で一発殴った。

 

 

・一夏

 

 ゲインズもベルメイトも結局ブレードで決着する男。斬るしか能が無い自覚はある。

 千冬に命を救われた分、少しでも恩返しがしたかったので張り切って作戦に参加。

 憧れていたショウとの共同作業はワクワクした。次は再戦だな。

 俺、ちょっとは頑張れたかな……とか何とか思ってたら真っ先に千冬に殴られた。

 

 

・束

 

 ね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!

 丹精込めて作ったパトロクロスをソッコーぶっ壊される気分。マジで定格は守ろうね。

 ショウがヘクトールを温存させてなかったら詰んでいた事実が気に食わない。素直に認めたくないけど、アイツ何?

 一方で一夏とショウの生存は想定済みだったので問題と思っていない。

 

 

・シア

 

 満身創痍なのを頑張って取り繕っている女。

 リプリーズにかかれば別に触らずともISを好き勝手出来ちゃうのは秘密。

 何故か制御下にあったはずのエクリプスが勝手に動いてる……なにこれ……。

 兎にも角にも予言は否定された。運命に打ち勝つとはこういうこと。

 

 

・ショウ

 

 やったぜ。

 打っておいた布石が最後まで機能するか分からないストレス。解き放たれたときの快感は一入。

 終わったことだ。もうお前らの景色は見ない。だが手番は終わらない。

 学園に戻った後で散々吐いた。そして失神した。

 

*1
「恐れ入った」と「入谷の真源寺の鬼子母神」をかけた言葉。素直に「恐れ入りました」と言えないときに洒落を含めて使う江戸言葉の一種。




 というわけで、2章のラスボスは初代R-TYPEの5面ボス「ベルメイト」でした。
 序盤ということで機械系バイドばかり出していたわけですが、そこに混じっていてもおかしくない半生物系バイドのボスを探した結果これが選ばれた次第です。
 原作ではただ浮遊しているだけの敵だったので、どう描写するか悩んだところ、落下させるのが良いかなと。エヴァとか妖星ゴラスとか、似たような先達が多かったのも執筆では助かりました。

 一夏VSゲインズは原作のゴーレム戦をイメージ。
 一夏だけの戦闘シーンが欲しかったので、やっぱりやっておくべきかと思って入れました。
 箒が叫ぶシーンも同様で、原作だと足を引っ張る形になっていたのを上手いこと活躍に昇華できないかなと悩んだ結果があれです。声がデカいというのは以前から書いていたことなので、これもある種の伏線回収……なのかな?

 千冬とパトロクロスのシーンは前回の続きでした。
 このまま千冬に専用機を持たせ続けると強すぎるので、一旦ここでボッシュートになります。
 零落白夜でシールドバリアを無効化していた暮桜と違って、パトロクロスは純粋に高出力のレーザーブレードによる力押しで一刀両断する機体です。運用方法は似ていても本質は違うよというのを表現したつもりではあります。

 ダリル&フォルテのシーンについては、この後束が学園を襲う理由がないのでゴーレムⅢ戦を先取りする形で入れました。単一仕様能力については例によって捏造設定です。ちょっと厄ネタっぽい感じ。フォルテにはこれからも冷やす役で頑張って貰う予定です。

 気づけば3万字に迫ることになった今回。
 恐ろしいことを書くと、結果的に7分割された30話だけで約14万文字あります。クラス対抗戦だけで文庫本1冊分相当の話が作れてしまったことを思うと、ISというのは実に奥が深いネタなんだなあとしみじみしました。
 一方で読み手にとっては相当に重かったと思います。本当にごめんなさい。
 もっと細かく分割するか迷いましたが、7話でキリが良かったのと、投稿ペースの関係で年内に2章を完結させたかったので纏めました。

 次回は事後処理回。そこで章末の予定です。

既存キャラの強化パターンを見て……

  • もっとやって!何なら別機体渡しちゃえ!
  • 強化装備ポン付け位がいいかな……
  • 機体はそのまま新武器使わせる程度が好み
  • この水は飲めそうだ
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