Infinite stratos / False prophecy   作:✕せんたくだま

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 例によって設定集を置いておきます。
 本文ではないので別に読まなくても良い内容なんですけど、自己満足の小ネタ解説も沢山あるので、適宜本文と見比べて貰えると色々発見があるのかなと思います。


appx.2 設定とか

機体の設定集

 

バイドの設定集

 

小ネタ集

 

 


◆機体の設定集(2章時点で公開可能な範囲に限る)

 

・OF-3

 

分類:汎軌道作業用IS

世代:第2世代(公称)

所属:一般流通モデルにつき保有組織に準ずる

待機形態:不明

装甲:多層式複合ソルモナジウム装甲

仕様:光学ハニカムバリア装備

 

 グランゼーラ開発の新型第2世代量産向けIS用フレーム。顔面のラウンドバイザーは群青色。

 世間では第3世代の開発が進められている中、それに逆行するように発表された第2世代機。

 OFX-2までで得られたデータを元に、スラスターの強化、ジェネレーターの小型化など多くの改良を行ったことで機体サイズが縮小した。更に製造コストの低減にも成功し、量産性が高まっている。

 既存のIS用フレームと比べて、推進力、拡張性、装甲の耐久性などの各種性能が異常と呼べるレベルで高度であり、今後IS市場を席巻しかねないものとして、IS産業に関わる各企業から注目されている(中には危険視までする者も)。

 但し、一般流通モデルには簡易版のオシレーターしか搭載されていないため波動砲が使えず、ジェネレーターの性能も一段落ちているが、これが拡張領域の容量確保に繋がっている。

 デザインが時代遅れの全身装甲であるが、記者会見において「IS本来の発明目的に立ち返った、宇宙開発のためのデザイン」であるとグランゼーラの人間は語った。

 

 

・OF-3 GARUDA

 

分類:汎軌道作業用IS・実用試験モデル

世代:第2世代(公称)

所属:グランゼーラ

待機形態:なし

装甲:多層式複合ソルモナジウム装甲+ナノ変性コーティング

波動砲:スタンダード波動砲

仕様:光学ハニカムバリア装備

   抗ナノマシン機構実装機

 

武装

-レールガン

 特にこれと言った特徴のないレールガン。腰のハードポイント左側にマウントされることが多い。

 ワルキュリアの頃より威力が強化されており、試合用のリミッターを外すことで弱いバイドなら複数体でも連続で貫通させられる。

 

-レーザーブレード

 ワルキュリアに搭載されていたものよりも強力なレーザーブレード。出力と刀身のエネルギー密度が向上しており、分厚いバイド粒子膜を纏ったゲインズの腕に触れても揺らがなかった。

 崩落するトンネルの天井を滅多斬りにするだけで細かい瓦礫の山に変えられる威力がある。

 

-レッド・ポッド

-バックファイア

-プラズマフレイム

-反射ボール

 

 ワルキュリアの装備に準ずる。

 

-リングレーザー

 

 本来ワルキュリアで動作テストが行われるはずだったコンバーター。

 本体から扇状の方向へ緑色の環状レーザー弾を放つ武装で、その特異な弾の形状から命中範囲と殲滅力に優れる。

 テストを行う前にワルキュリアが破損した上に、地震による搬入の遅延によってクラス代表対抗戦のギリギリ直前での到着となった。

 

-スタンダード波動砲

 

 存在が秘匿されていたOF-3の主兵装。オシレーターと呼ばれる装置の本来の名称でもある。

 機体前方に発生させた力場に波動エネルギーを蓄積し、指向性を与えた状態で開放することで強力なエネルギー弾を放つ。波動としての性質が強いため浸透・貫通作用があり、実体・非実体問わず装甲を貫ける。また、命中した物体の波動的性質に干渉し、定常波として打ち消す能力がある。

 バイドに対して最も有効な武装であるが、威力と性質から対IS戦では危険極まりないため使用されずにいた。

 ショウ曰く「人間に向けるべきでない兵器」。

 

 

 

 ロールアウトしたOF-3の中でも、ソフトウェアレベルでの試験技術を詰め込んだ実験用フレーム「パイオニアモデル」という特別な個体。本機で有効性が確認された機能が他のOF-3へとトップダウン的に適用されていく仕組みがある。

 ショウが受領したもので、慣性制御機構としてIS由来のPICとオシレーター由来のXICSが同時に機能するようになっている。反面、二種の慣性制御機構を同時に操作するのはOFの操作に慣れたショウでさえ困難であり、両者を自動的に調和させる適切なパラメータの模索が当面のショウの仕事だった。

 楯無との試合の最中にパラメータの確定に成功。周囲のアクア・ナノマシンとの相互干渉によって元々灰色であったカラーリングが構造色の赤色に変化、コアとオシレーターの同調が改善されて完全なOF-3として完成した。この影響で「C2」なる存在によるアクティベーションが掛かった結果、名称も固有の「ガルーダ」が与えられた。

 試験的に搭載されている抗ナノマシン機構は、セシリア戦でワルキュリアに生じた不具合を解析し、ナノマシンによる干渉に対する防御機構をソフトウェアレベルで実装したもの。機体表面の光学ハニカムバリアの指向性を周期的に変化させることで、装甲に付着したナノマシンに動作不良を起こして自機を守ることができる。本機に搭載されているコアがこの機能に干渉した結果、周囲のナノマシンにまで積極的に不具合を引き起こす凶悪な性質が明らかになった。

 ショウが首から下げているペンダントが待機形態だと目されているが、実際のところ待機形態は存在せず、自機を格納する分の拡張領域を削ることで容量を確保している。自機を量子化しているように見えるのは、波動砲を応用した亜空間潜航で別の場所に逃げているだけである。

 

 

・TX-T ECLIPSE

 

分類:遠隔操作・自律稼働両対応Rフレーム

世代:不明

所属:不明

待機形態:なし

装甲:準流動性ソルモナジウム装甲(抗バイド体コーティング)

波動砲:衝撃波動砲

仕様:光学ハニカムバリア装備

   絶対防御非搭載

   自爆用バルムンク搭載

   サイキック・リンケージ・ドライブ対応機

 

武装

-衝撃波動砲

 

 スタンダード波動砲と違い、溜めたエネルギーを異層次元を経由して目標にテレポートさせ、炸裂させる兵装。

 仕様上、貫通力は無いものの、球状の範囲に対して纏めて破壊力を加えられるため、一対多の戦闘において有効である。

 

-スティングRAY

 

 腕部に内蔵されたコンバーター式のレーザー兵装の1つ。

 両腕のコンバーターの間にレーザーエネルギーを生成する力場を発生させ、そこから強力なレーザーを放つ。コンバーター同士を完全に触れ合わせている場合は照射面積が狭い代わりに強力な貫通能力を持った攻撃、離している場合は帯状の広範囲に対して低出力の攻撃が行える。

 ゲインズの装甲をバイド粒子膜の上から貫きうる火力があったが、それを発揮する前に他の敵に邪魔されてしまった。

 

-ハウンドRAY

 

 腕部に内蔵されたコンバーター式のレーザー兵装の1つ。

 それぞれのコンバーターから細い青色のレーザー光線を照射し、ロックオンした敵に素早く追従することで、CIWSのような飛翔体への迎撃を得意とする。

 サージ程度ならバターのように切り裂ける。

 

-スネイルRAY

 

 腕部に内蔵されたコンバーター式のレーザー兵装の1つ。

 両腕のコンバーターからレーザーエネルギーで構成された黄色いフレイルを形成する。

 フレイルには高密度にエネルギーが収束されているため、触れたものを容易に破壊できる火力がある。

 近接武器の一種であるため射程が短いが、エクリプスの機動力でこれを補っている。

 

 

 

 米国NSAを始め各国政府機関が追う謎の集団「死神部隊(バンシィ)」の正体にして、束の私兵たる遠隔操作型無人ISシリーズ。

 実はグランゼーラにてOFシリーズの開発に先立って1機だけ建造され、データ取得のために軌道上で運用されていた試作無人機であった。現在は役目を終えて倉庫で眠っているはずだが、どういうわけか束はこれを強化・量産してISコアを積んだ上で多数運用していた。

 主兵装は力場に溜めた波動粒子エネルギーを敵の座標に向けてテレポートさせて炸裂させる「衝撃波動砲」と、両腕の内蔵コンバーターから放たれる3種のレーザー兵器。腕部装甲を変形させることでコンバーターを組み替えて武装の切り替えを実現しており、技術的には第4世代ISの展開装甲と同系統の仕様である。

 波動砲を転用する形で光学ハニカムバリアを装備しており、ISコア由来のシールドバリアと合わせて2重の強固な障壁として機能する。また、同じく波動砲を応用した亜空間潜航機能を有しており、異層次元を経由したワープ航法が可能である。

 サイバーコネクタと波動砲由来の伝送能力を応用した量子的共鳴現象「サイキック・リンケージ・ドライブ」現象に対応しており、バイドの影響を受けずに遠隔操作が可能なのはこれを安定的に技術として運用しているため。しかし、ショウとガルーダの干渉を受けて制御が乗っ取られる一面も。

 

 

 

・RX-99 REPRISE

 

分類:大域互換性Rフレーム

世代:不明

所属:不明

待機形態:不明

装甲:不明

波動砲:ナノマシン波動砲、災害型波動砲、幻影型波動砲、その他複数

フォース:スタンダード・フォースH式

仕様:光学ハニカムバリア装備

   サイキック・リンケージ・ドライブ対応機

 

武装

-TH-01 ヘクトール

 

 超大型の照射型波動砲デバイス。

 シアが個人的に保有している兵器であり、今回の迎撃戦のために持ち出してきた代物。

 射程と威力を安定化させるために、波動砲であるにも関わらず物理的な砲身を有しており、その分、発射に伴う蓄熱量が大きい弱点がある。

 圧倒的な火力と射程で押し切るのが本来の使い方だが、束のチューニングとセンシングにより、射程内の特定の座標で波動砲を異層次元の方向へ屈折させて、向こう側を焼き払う裏技的な運用を行った。

 A級バイド「ベルメイト」を一撃で葬る火力を持つが、1発撃つために約1分間のチャージを要する上、力場が干渉するため、チャージ中は付近で波動砲を使うことが出来ない。

 

-スタンダード・フォースH式

 

 シアが保有する唯一の次元兵装。

 バイドを純粋なエネルギー体に加工し、制御用のコントロールロッドを打ち込んで兵器として運用できるようにしたもの。触れた物質・エネルギーを問わずあらゆるものを分解・吸収する作用があり、盾として用いれば無敵の力を発揮する。

 発せられる余剰エネルギーを仮想物質で構成されたナノマシンへと転換して周囲へ散布、制御する能力が与えられている。シアはエネルギー偏向作用を持つこれを学園へ散布することで、バイドによる波動干渉を防ぎつつ、フォースをバイドに対する疑似餌として利用していた。

 

-ナノマシン波動砲

 

 リプリーズ本体から発生させた偏向ナノマシンに波動エネルギーを収束させ、流体エネルギーとして操作する波動砲。

 パイロットの思考で高密度のエネルギーを操縦できる画期的な兵器だが、ガルーダのレッド・ポッドやブルー・ティアーズのビットのように、制御には強い脳負荷を伴う。

 

-災害型波動砲

 

 周辺の広範囲に散布したエネルギー偏向ナノマシンを波動エネルギーで励起させ、パイロットの思考をトリガーとして様々な種類の自然災害を誘発する波動砲。

 大気圏外で使用すれば隕石を、大地にナノマシンを散布すれば地震を、空中で起動すれば雨雲の有無に関わらず雷を発生させることができる。誘発された災害には波動エネルギーが含まれているため、バイドに対して有効である。

 一見して普通の自然災害と見分けが付かないため、極めて秘匿性が高い兵器であると言える。

 

-幻影波動砲

 

 散布したエネルギー偏向ナノマシンを媒介として、増幅したパイロットの生命エネルギーを波動エネルギーの塊として実体化させて叩き付ける波動砲。

 生命エネルギーの採取にはパイロットの強い感情がトリガーとなっており、大抵の場合これはトラウマや過去の栄光である。

 通常の波動砲と同様にチャージを要するが、生命エネルギーを自発的に流し込むことでこれを短縮できる裏技があり、これを行ったシアは発射後に満身創痍になっている。

 

 

 謎多き女性「シア」の乗機たるIS。

 特殊なオシレーターを搭載しており、モード変更による多種多様な波動砲の使用を可能とする。

 波動砲を応用した亜空間潜航機能を搭載しており、この機体の前に既存の防空システムは無意味である。

 「サイキック・リンケージ・ドライブ」現象によるイメージインターフェース機構への干渉能力を有しており、他のISの制御を奪って止めてしまえるのはこのため。ただしこれは偏にパイロットであるシアの才能によるところが大きく、他人が乗っても同様のことはできない。

 基本的にエクリプスを操作していたのはこの機体であり、束はリプリーズを中継局代わりにしていたに過ぎないため、パイロットたるシアもその負荷を受けていた。

 本体からエネルギー偏向作用をナノマシンを散布することが可能であり、作中ではこれを他のISの近接武装にコーティングすることで、一時的にバイド粒子に触れても汚染を受けない状態に強化していた。

 外付けの装備として、ナノマシン散布能力を持つ次元兵装「スタンダード・フォースH式」と、超大型の照射型波動砲デバイス「TH-01 ヘクトール」を有している。

 

 

・TL-2AT PATROCLUS

 

分類:白兵戦用装備出力強化型Rフレーム

世代:第2世代

所属:不明

待機形態:赤のレーザークリスタルを模したペンダント

装甲:準流動性ソルモナジウム装甲(抗バイド体コーティング)

仕様:光学ハニカムバリア装備

   絶対防御非搭載

   有線式近接兵装搭載

 

武装

-紅蓮

 

 超高出力のレーザーソード。

 右肩部の装甲から伸びたケーブルと柄の部分でジェネレーターに接続されており、取り回しと引き換えに圧倒的な斬れ味を誇る。

 束が現役時代の千冬をイメージして作った剣であり、常に零落白夜を発動しているかのような切断能力を持つ。しかしエネルギー消去能力があるわけではなく、結局は出力による力押しをしているだけである。

 本来は背面にフォースを搭載し、それに接続する形で実装されるはずだったが、束がフォースを危険視しているため実現しなかった。その結果不足した出力を補うために有線武器となっている。

 

 

 束が建造した千冬の専用機であり、学園へのバイド襲来に際して貸与されたもの。青色を基調とした装甲と、腰部にある黒灰色をした一対の大型スラスターを持つ。

 サンデーストライクを始めとしたRシリーズの技術で設計されており、ジェネレーターからの豊富なエネルギーゲインを背景とした非実体系の近接武装と高い推力が特徴。特に推力は速度で長ずるサンデーストライクの約2.5倍とも言われる。

 ケイロンとエクリプスの設計・建造を優先した結果、束の時間的コストが不足していたために未完成の急造品である。そのためISとしての機能がほとんど使えず、絶対防御すら無効化されている。また、本来搭載されるはずだったミサイルコンテナや波動砲が無いことで背面や肩部が不自然に空いている。

 束が行方をくらましてからの間に密かに集めた千冬の生体データを基に初期設定が行われていたが、実際の千冬の能力はこれを上回っており、本人の苛烈な操縦技術に耐えきれずにスラスターが破損する結果となった。

 

 

・TL-T CHIRON

 

分類:試作汎用オートクチュール

世代:なし

所属:不明

待機形態:不明

装甲:不明

波動砲:衝撃波動砲

仕様:光学ハニカムバリア装備

 

 バイドに対する戦力に乏しい学園のISを、即席の対バイド部隊へと仕立て上げる目的で、シアの依頼によって束が開発した汎用オートクチュール。

 基本は単独行動形態(クラフト・モード)の状態(見た目は原作におけるR-9Kの色違い)で、亜空間潜航を用いて目的地まで自律行動し、対象のISへと装備される。

 変形は幾つかのパーツに分解されてから対象を覆うように行われ、その分解パターンを変えることで、量産モデルIS「打鉄」「ラファール・リヴァイヴ」「サンデーストライク」の3種に対応できるロバスト性を持つ。

 装備されると追加装備として「衝撃波動砲」や貫通力の高いレールガン、近接武装として青色の収束式レーザーブレードを提供し、敵性バイドと接触することなく確実に殲滅可能な戦力へと量産ISを強化してしまう。

 元が打鉄の系列にあったためか、白式にも装備が可能だったが、半端な互換性により背中にポン付けされる形で装備されてしまい、レーザーブレードは使用できなかった。

 ISコアが内蔵されており、装備先のコアとローカルなコアネットワークを構築、相互に協調しながらPICとXICSの同調運用を行うことで、既存のISを遥かに凌駕する機動性を生み出す。但し、元のISのフレーム強度を考慮していないため、あまりに推力を出すと機体が軋んで空中分解の恐れすらある。

 一見して強力であるが、そのための開発・製造コストがそれを上回るレベルで高価であり、束としてはもう同じものは造りたくないというのが実情。後継機種は単独運用できる機体として計画が進められている。

 

 


 

 

 

◆バイドの設定集

 

・サージ(Surge)

 

 初登場はプロローグ。衛星軌道上で作業中だったショウの下に突如として襲いかかってきた機械型バイド。全長は10m程である。

 形状は戦闘機に近いものの、幅広のシルエットと旋回しながらくねるように機動する点が既知の飛行物体と異なる。尾部のジェットエンジンのような推進機関からピンク色のプラズマを放ちながら進むことから、反動推進の一種を用いていると推測されるが、前述の機体をくねらせるような機動を説明するには至っていない。

 攻撃方法は装甲表面から滲み出すバイド粒子を球状に収束させて放つ光弾であり、命中した対象を侵食するような性質を持つ。防御することは基本的に不可能であり、回避以外に安全を確保する方法は無い。一方でショウが撃墜済みのサージの装甲を盾にすることに成功しているが、これは正しくは完全に破壊し切れていなかったサージを用いたためであり、残骸と化したものを用いた場合では通常の装甲と同様に破壊されると推測される。

 

 

・サンドタラン(Sand Taran)

 

 15話にてブラウンが証言したバイド。

 背中が山のように盛り上がった外骨格と、赤い眼球が複数並ぶ錐型に尖った頭部、草刈り鎌のように鋭い大型の前腕に歩行用の後ろ脚が特徴の生物型バイド。体高は3.5m以上とされる。

 人間を捕食すること、光に反応すること、地中に隠れていたこと、体液が赤いことなどが語られたが、詳細は不明である。死神部隊(バンシィ)こと束の無人エクリプスシリーズに鏖殺された。

 

 

・リボー(Revo)

 

 クラス対抗戦の際に襲撃してきた機械型バイドの一種。

 木材や海藻の塊、腐食した船舶の残骸や、由来不明の機械の破片などの物体が棒状に固められた軸と、それを中心とする琥珀色の光でできたリングで構成されており、進行方向に対して軸は常に回転している。回転方向は個体によってマチマチで、軸を構成する残骸を固めているメカニズムも不明。

 攻撃方法は突撃による体当たりとサージ同様のバイド粒子弾だが、こちらは光のリングから撒き散らすように放たれる。

 撃破するには中心となっている軸を物理的に損傷させればよく、単に残骸が固められているだけなのでIS用の銃火器で容易に破壊可能である。

 

 

・ゲインズ(G.A.I.N.S.)

 

 クラス対抗戦の際に襲撃してきた機械型バイドの一種……であるのだが、元はアメリカの国防高等研究計画局(DARPA)が開発中だった、ISのための汎用無人随伴機。名前のゲインズは、"General-purpose AI-controled Non-human Soldier"(汎用AI制御無人兵)の略。

 体高6mオーバーの全身はミリタリーカラーの分厚い装甲で覆われており、肩部に装備された大型の凝縮波動砲と腰部に取り付けられた3連ミサイルポッド一対が主武装。特に浸透作用のある凝縮波動砲は絶対防御ですら貫通する可能性があるため、命中はほとんどの場合で即死を意味する。装甲表面にバイド粒子を纏わせながらのタックル攻撃もしてくるが、この攻撃にも侵食作用があるため、凝縮波動砲と同様の危険性がある。

 バイドへの対策の一環としてアメリカに波動砲の製造技術を始めとした幾つかの情報が束によってリークされたことを機に開発が始まった兵器で、当初はISに代替することを目標としていたが、EOSのようにエネルギー源の問題があったため随伴機に路線変更が行われた過去がある。

 頑強な装甲はバイド化しても健在であり、試合用の銃火器ではダメージを与えられず、高い機動力もあって大型火器の命中も望めない難敵である。弱点は自身も装備している波動砲であり、装甲をすり抜けてダメージを叩き込めるこの兵器が有効。

 

 

・ベルメイト(Bellmite)

 

 シアの”ヘクトール”による空間焼灼でそれ以上は襲ってこないと思われたバイドだが、その前に亜空間に入り込み、潜伏していたA級バイド。バイドを掃討した直後にIS学園上空230kmに突如として出現、落下を始めた。

 腐食した金属のトゲが無数に生えたピンク色の核と、その子実体である赤いイクラのような点が無数に付いた暗緑色の肉塊で構成されている。平常時は核に無数の肉塊がへばり付いており、核を破壊するにはこれを取り除く必要があるものの、肉塊の耐久性は高く、また汚染作用があることから波動砲でなければ破壊不可能。

 純粋な質量兵器として振る舞うため、目立った攻撃方法は無いが、単純に肉塊が地面に落下するだけでその周囲を侵食・同化して新たなベルメイトの核として増殖し続ける。一つでも肉塊が学園または海上に落下した場合、束は除染のために周囲一帯を熱核焼却するつもりだった。

 

 

・リーパー(leaper)

 

 全高5m程のトゲが生えた脳髄。小脳と大脳の境目に人間のそれに似た巨大な口が歯を食いしばっているのが特徴。延髄の部分を伸縮させながら跳ね回り、周囲の物を踏み潰したりバイド粒子弾をばら撒いたりして攻撃する。

 ベルメイトの降下を阻止できなかった結果バイド汚染された学園の生徒の成れの果てであり、簪と思われるものの死体からこれが生まれかけていたのを、別のリーパーが踏み潰して去っていく様子が見られた。

 

 


 

 

◆各話ごとの小ネタ解説とか

 

12 YOU've been made.

 

・話名と前書きについて

 ”~ have been made”というのは、「本人にとって知られたくない行為や事実が意図せず他人に気付かれてしまった」ことを意味する熟語です。「バレた」と訳しても良いかも知れません。というわけで話名の意味としては、「オマエ、バレてんぞ」みたいな感じになります。

 前書きの方は、正しくは「天網恢恢疎にして漏らさず」という中国の古語で、「悪いことをしても結局は見つかってしまう」という意味。ここではそれを途中でぶった切って、「お天道様の目は節穴」みたいな意味にしてしまいました。重要な情報が沢山見逃されています。

 

・航空機事故というストーリーフックについて

 この回を執筆する少し前にメーデーを見ていたため、思いっきり内容が引っ張られました。3話の頃から変な事故や不具合が世界中で起きてるぞ~みたいなことを書いていたので、伏線の上塗りがてら今度の犠牲者は旅客機にしてみました。でも庁舎がショボいことでお馴染みBEAは未登場です。

 ノンフィクションじゃないのかよ!騙された!

 

・朝日と夕焼けを間違えたブラウン

 ブラウンは「死神に目をつけられた」キャラです。聴取の時点で後戻り出来ない状態になっています。この後監視やら何やらが付きますが、ジュリアス達NSAの懸念した事態になる前におしまいになりました。

 ブラウンに死神部隊と出会わせたり、7月に行方不明になるから聴取する男の名前をジュリアス(Julyはジュリアス・シーザーに由来)にしたりと、ブラウンの運命を色々な形で表現してみました。

 

 

 

13 桜もメールもゴミ箱へ

 

・話名と前書きについて

 話名も前書きも真耶のことを指しています。目覚ましい操縦技能を見せたショウですが、真耶はそれよりも自分の過去の因縁をその影に見ています。

 一応、前書きには桜の花びらを掃除していた十蔵のことを指す意味もあったり。

 

・ショウのメールアドレスについて

 適当に企業アドレスでありがちなのをでっち上げました。父のコウスケと区別する意味でs.sawamuraとしてみましたが、果たしてコウスケのアドレスがk.sawamuraになるかは未定。そもそも描写する機会は来るんでしょうか?

 

・学園の植生

 とりあえず見栄えの良い花とか植えられていそうだなというイメージがあったので、椿とか桜とかを描写しています。ソメイヨシノといえば夏に毛虫が湧くのが風物詩ですが、海上の学園だとその辺はどうなるんでしょうね。樹ごと持ち込むときに付いてきていそうですが、面倒なのでその辺の描写を書くかは微妙なところ。情景描写に困ったら入れるかも知れません。

 鳥については作者の趣味で入れました。樹木と一緒に……というのは難しそうなので、多分設立時に個別で持ち込まれて生態系が出来上がっているとかになるんでしょうか、フレーバー部分なので細かく描写する予定はありませんが、考えていて面白いテーマです。

 

 

 

14 鉄のカーテンに小指をぶつけてしまえ

 

・話名と前書きについて

 話名は東西冷戦時の分断を意味する「鉄のカーテン」から。本格的な宇宙開発の歴史は丁度このあたりから始まりました。

 前書きはマイケル・ジャクソンの「smooth criminal」の一節より。よくよく歌詞を見ると「突然やってきた犯人によって倒されてしまった」みたいなことしか歌っていない曲なのですが、楯無のドアアタックで昏倒したショウを重ねてみました。

 更に書くと、「Annie, Are You OK?」というフレーズは心肺蘇生訓練用のマネキン(アニー)に呼びかける言葉なんだとか。マイケル・ジャクソン本人も実際に心肺蘇生訓練を受けているそうです。

 

・ショウが歌っていた曲

 ゲーム「アルノサージュ」より、ORIGAさんの「yal fii-ne noh-iar;」です。丁度ロシア語の曲で歩きながら歌ってもおかしく無さそうなものを探していたら、丁度思い当たったのがこれ。ゲーム内でこの曲を謳うのは、作中で多くの生命を導く役割を持った人物なのですが、ショウもまた導く側の人間……にできるといいなと思っています。

 

・ショウが気絶している間の楯無

 最後の方にちょっとだけ書きましたが、もう少し詳しく。

 まさかドアを開けただけで昏倒させてしまうなんて考えていなかった楯無は、慌てふためいてショウを部屋に引きずり込みつつベッドに寝かせました。その後ISのセンサーとアクアナノマシンの投与を組み合わせて簡易的に治療を試みています。間違っても教員にバレたら責任問題では済まないので可能な限り内密に済ませようとしていましたが……なんとかショウが目覚めてくれたので事なきを得ました。普通の人間だったら確実に病院送りなんじゃないですかね。

 

・食堂の設定について

 原作を読み返していて、思えばそんなに描写が無かったなあと思ったため色々捏造しました。日本の税金を注ぎ込んでいる設定は日本政府の弱い立ち位置を示しているつもり。

 次に食堂で食べ物を描写するときに活用出来たら良いなと思っていますが、ハッキリ言って未定です……。

 

・Q. ショウが共産煽りしまくるのはなんで?

 A. 脳がやや左側にかたよっているから。

 

 

 

15 突き刺す斜陽

 

・話名と前書きについて

 話名と前書きのどちらも、話の裏で行われていた楯無による狙撃の描写を中心的に意識しています。射出する矢にアクアナノマシンを塗布して空気抵抗を低減、軌道のブレを防ぎつつ、ISの演算能力をフルに使って着弾地点と軌道を徹底的に固定しています。しかも千冬に電話させてショウをその場に釘付けにする徹底ぶり。なんでこんなことをしているかと言えば、本文で描かれた「対面するとよくない」というもの以外に、ショウが無警戒過ぎるので「ちょっとは怖がれよ」と脅す目的が裏にありました。

 絶対安全なら何したって学園最強には許されるのです(後で虚に説教された)。

 

・R-9Kのマニュアルについて

 真耶戦の伏線情報だったのでボカす意味で英語で書いてみました。もっとも、機械翻訳に突っ込めばこちらの想定した通りの日本語が出てくると思うのでボカし方としては大分緩いですが……。

 上部に記載されていたのはオシレーターと波動砲に関する内容。一般流通モデルには危険性から搭載されていませんよ、というものですが、逆に言えば……?

 

 マニュアルの日本語版を以下に載せておきます

 

操作マニュアル: R-9K SUNDAY STRIKE

致命的な破壊を齎す可能性があるため、一般流通モデルに波動砲及びオシレーターは搭載されていません。

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◆メンテナンス

 円滑なメンテナンス作業を実施するために、メンテナンスモードへ入る際はコアが搭載されていることを確認してください。

 バススロットへの完全アクセスが必要になった場合、必ず物体検閲システムを無効化してください。これはこれは危険物(不発弾など)を量子化してしまわないための安全装置であり、解除に際しては管理者の許可のもと以下の手順に従ってください。

社外秘

 

 

 

・生徒会の仕事内容について

 原作の描写からして、「なんか学園の表部分のこと全部牛耳ってそうだな」と思ったため、そこを補強する意味で仕事を具体的に増やしてみました。最終的に押し付けられる虚が可哀想になりましたが仕方ない本当に仕方ない。

 

 

 

16-1 スタッフド・アームズ

 

・話名と前書きについて

 動物のぬいぐるみのことを英語で"stuffed animal"と言いますが、このstuffedは詰め物で中身がいっぱいになっていることを指します。話名の意味するところは、拡張領域を武器でいっぱいにしたサンデーストライクのことであり、同時に膨れ上がった感情を抱え込んだ真耶のことでもあります。

 一方でstaffedには「従業員の配置された」という意味があり、サンデーストライクにグランゼーラの人間であるショウの手が加わっていることのダブルミーニングだったり。

 前書きの方は機体と期待の言葉遊び。初手で突っ込んだショウと、実は内心で「人類最強の弟」としての期待に苦しんでいる一夏を重ね合わせています。夜中に鳴いた雄鶏というのはショットガン「ルースター」のこと。そのまんまですね。

 

・黛薫子の登場

 原作だとクラス代表決定の祝賀パーティーが初出なのですが、今作だと作者がそこのシーンを面倒がってすっ飛ばしてしまったためこのタイミングに。色々「見てしまう」キャラとしてこれからも頑張って頂く所存。

 首にぶら下げてるカメラはアニメだと「Nihon」というメーカーになっていたのでそのまま日本製ということに。まず間違いなく某有名メーカーが元ネタなんでしょうけど、わざわざ名前を出す理由が無かったため、それっぽく。

 

・サンデーストライクの性能について

 1章の設定集や前話のマニュアルでも少し語ったのですが、一般向けのサンデーストライクには「本来あるべきもの」がありません。お陰で空いたスペースがそのまま拡張領域の増加に繋がっているという流れです。

 量産機こそ使い手次第でどうとでも化けるのがロボット作品の常ですので、なんでも積めたほうが後々バリエーションが作れそうだなと思っています。

 作者自身もR-9Kがお気に入りの一つなのですが、都合上まだフォースも波動砲も出せないので活躍させるにはこうするくらいしか思いつかなかった、というのもあります……。

 

 

 

16-2 Don't stop US now.

 

・話名と前書きについて

 話名はイギリスのバンド「Queen」の「Don't stop me now.」をイメージしています。試合の苛烈さについ止めに入ろうとした一夏に「これからキモチイイんだから、待った無しだぞ」……みたいな。

 前書きの方は真耶の心情を書きました。ショウを使って、自分の過去のトラウマを無くそうとしています。ちなみに文章そのものはCosmograph氏の"Stronghold"および"Land Eater"という曲にインスパイアされてたり。

 

・ショウの固め殺し戦術について

 前章末でACVIのACS負荷限界みたいだと書いたコアの処理飽和ですが、この回では「喧嘩商売」の煉獄みたいな感じで描写してみました。心理的に相手の意表を突いてからでないと成立しない上に、弾切れが技の切れ目になってしまうのでこれ以降同じ戦術が出るかは微妙なところ。「なんでこいつが瞬時加速を使えるんだ?」と真耶を驚かせるついでにやった次第。

 

・近接格闘のデメリットについて

 昔読んだ二次創作で見た設定で目から鱗だったのを覚えているのですが、肝心の作品名が分からず……。アイレムシューティングの大半は敵弾や敵本体の他に、地形にぶつかるだけでミスになってしまいます。機体を物にぶつけるという点では近接格闘も似たようなものということでこんな感じにしてみました。一方で最近のR-TYPEは地形に触れても無事なので、それを踏まえて光学ハニカムバリアによってこのデメリットを打ち消せることにしています。

 

 

 

16-3 愛すべきこの感覚:地獄のような

 

・話名と前書きについて

 実を言えば真耶戦を1話で片付けるつもりだったのですが、この話名はその時のものです。要するに3話構成の全部を指した内容ということ。

 苛烈な戦いを表現出来そうなテーマ曲を探していた時に、アニメ版湾岸ミッドナイトの「Like Hell」という曲を見つけました。まさにドッグファイトな感じで気に入っていたので、この曲に合うような戦闘シーンを書こうと考えました。

 さてここで、音ゲーのDDRに「LOVE THIS FEELIN'」という曲があります。ボーカルのサンプリング素材が同じなのか、部分的に歌詞が「Like Hell」と共通しています。この曲はいわゆるソフラン曲(途中で速度が変わる)で、実際に戦闘シーンを書くときに途中で様子を変えるのもいいなと思い至った原因になりました。

 というわけで、2つの曲名を並べてこの題名という形に……という経緯です。

 前書きは互いに相手に対して無関心な様を表しています。真耶はショウの「あの女」の部分しか見ていませんし、そもそもショウは真耶のことが見えていません。

 

・サンプリング周波数と応答速度の考え方

 古い仕様のサンデーストライクと、新しいラファールを比べた時、単に「新しいほうが強い!」とするのは面白くなかったので、開発黎明期に試行錯誤していた名残があることにしました。

 基本的にセンサーには必ずサンプリング周波数という概念がありますが、これは詰まる所「何秒に一度データを取るか」ということ。

 ISが0.1秒に一回の操作入力を受け付けるのなら、パイロットは毎秒10回の操作を行うことが出来ます。この周波数が高いほど機敏に機体が応えてくれる……という設定なのですが、「ではそんな設計を活かせる人間がどれほどいるのか?」という問いが湧いてきます。

 本作では信号ロスの少なさが適性値に直結する設定にしているので、「適性値が高くて、かつ高い反応速度を持ったパイロット」がサンデーストライクを最大限扱える人間ということになります。ショウが真耶と戦えた理由がこれであり、同じ機体で戦ったら一方的に負けたのも同じ理由です。

 

・量子化ピン抜き手榴弾戦法

 後書きにも書きましたが、サンデーストライクには社内マニュアルにしか載っていない安全機構の解除手順がありました。曲がりなりにもグランゼーラの人間であるショウは、それを利用した碌でもない戦術を使っています。真耶が教員の実力で生徒をねじ伏せるインモラルなら、ショウは場外戦術何でもござれ……「こんなの試合じゃない」というのはそういう部分に由来します。

 

・簡易指定名称

 例によって捏造設定です。基本的に思考だけで武装を呼び出すのが当たり前のIS世界ですが、初心者のようにそれが出来ない人は決して少なくないでしょう。特にISが発表されてすぐの黎明期なら尚更だと思います。その時代に設計された機体として、こういう小手先じみた機能があっても良いよな……と思って考えたのがコレ。複数の武器をまとめて呼び出したいときに一つ一つ呼んでいたら遅くて仕方がないので、それを緩和する手段です。

 試合開始時にショットガンを個別で呼び出していますが、こちらは後で単体で使う可能性があったので簡易指定名称を使っていなかったためです。結果として2丁とも早いうちに使い潰してしまいましたが……。

 

・ハミングバードの応酬

 ――ハイ、火力ッ!

 良くも悪くも真耶戦は”普通”の機体同士の試合でした。他の専用機が持つようなド派手で高火力な専用武器があるわけでもないので、試合運びにメリハリを付ける意味でも大火力が欲しかった次第。

 ちなみにパイルバンカーの灰色の鱗殻(グレー・スケール)を真耶に持たせてトドメを打たせる展開も考えていたのですが、出来るだけこの試合の終わりを後味悪くしたかったので止めました。パイルは将来に取っておきます。

 

 

 

17 The Only Thing I Awe For Real.

 

・話名と前書きについて

 話名はゲーム「メタルギアライジングリベンジェンス」より、ジェットストリーム・サムのテーマ曲「The Only Thing I Know For Real」が元ネタ。KnowとAweで発音が似通っているのがお気に入りポイントです。話名を直訳すると「私が唯一本当に畏れるもの」ですが、今話で登場人物たちが各々恐れるものに言及しているのが理由です。

ショウは「人間に見捨てられること」、千冬は「未知」、真耶は「己にトラウマを刻み込んだ椎名」、楯無は「制御の効かない力」、一夏は「望む自分でいられないこと」……といったように分かれています。

 前書きは論語の一節より。日本語に書き下すと「鬼神を敬して之を遠ざく」で、人知を超えたものを敬いつつも頼らない・触れないといった意味になります。誰であれ自分の分からないものは怖いですし、その威力を知れば離れたくもなるよね……みたいなつもりの文です。「鬼神」は言わずもがなショウのこと。

 

・楯無の武術について

 原作の楯無は「拍子」と名の付く技で相手のリズムを崩して支配するような戦術を取っていましたが、これを拡大解釈して、バランスを崩す技術も持っているのでは……と考えました。さも当然のように秘孔を突いたりしているのはこのため。

 

・Q. なんで真耶をいじめるんですか?

 A. かわいいでしょう?

 

 

18 人がいない日

 

・話名と前書きについて

 話名が意味するところは、大まかに「IS学園にショウがいない日」です。他の意味に関しては敢えてまだ明かしませんが、文字を滲ませたところがヒント。

 前書きはマイケル・ジャクソンの「Beat it」より。そのまま読むと「やっつけちまえ」みたいな意味になりますが、もう一つスラングとして「ずらかるぞ」みたいな意味もあり、こちらが原曲で使われている意味です。要するに「逃げろ」ということなんですが、誰が逃げたのか、逃げる必要があったのは何故なのか……その答えは次の話で1行だけ書きました。

 

・オレンジ色の検査室

 元ネタはR-9E ミッドナイト・アイ。「オシレーター技術を使った検査装置」みたいなことを書きましたが、要するに索敵波動砲の超縮小版です。

 部屋がオレンジなのは、原作の機体列伝に登場するアマンダ・ヒース大尉のパーソナルカラーから。偵察機であるにも関わらずこの機体で大活躍した彼女は、目立つオレンジ色に機体を塗装しています。その機体も個別に「オレンジアイズ」なんて異名が付いていたり。

 ここで何をしていたかと言えば、ショウの頭部内にある特殊な設備の検査です。学園でやると不都合なので本社でやりました。

 

・アリーナの仕様について

 二次創作ではお馴染み、しかし原作には無い訓練機能を描きました。アリーナの管制システムとISを連携することで、アリーナ内の任意の位置にターゲットを投影し、命中時には撃破判定を送出したりと仮想的な訓練が行えるようになっています。

 

 

 

19 玉玦を挙げ、三度

 

・話名と前書きについて

 話名は中国の史記「鴻門之会」より。ここのワンシーンで、項羽の下に挨拶に来た沛公を、項羽が尊敬する参謀の范増が「今後の脅威になるから殺してしまえ!」と言外に合図します。この際に范増が挙げたのが「玉玦」という飾り玉で、「決断」の決の字と似ていることから「沛公を討つ決断をしなさい」という意味になるんだとか。詰まる所、父にいざとなればショウを殺せと命じられた楯無のことです。

 前書きでイメージしたのは、平沢進さんの「夢の島思念公園」の一節。「煙」が何を指すのかは前話で書いた「Beat it」が指すものと同じです。裏で起きていることをまだ楯無は知りません。

 

・「左上に目をやった」の意味

 心理学では人間が過去を思い出すとき、無意識に左上を見るんだそうです。自爆した組織の男も、突然過去の楽しい思い出(=生きていてはもう体験できないこと)に引っ張られて行動を起こしてしまったというのが真相です。ちなみに男はこの直前に自分の臓器を売って、大半を部下の社会復帰のために使っています。余った容積に仕込んだ爆弾は施術者の慈悲や手向けのようなものだったり。もうちょっと穏当なもので埋め合わせても良かったんでしょうが、そこは裏社会クオリティ。

 

・R-11B《ピースメーカー》

 名前だけ出した新機体です。アイレムシューティングのGALLOPでは主人公機を務めた機体で、敵を自動で狙ってくれるロックオンビームが特徴。そのうち本編でも出せればと思いますが、日本の自衛隊が使うISってどんなものなんだろうと妄想した結果、これが良さそうだなと思って設定した次第。

 なんで配備先が小松基地かって? そりゃあ現実のグランゼーラがある石川県ですし……。

 

・Q. なんで楯無をいじめるんですか?

 A. かわいいでしょう?

 

 

20 神託:ダイレクトメッセージ

 

・話名と前書きについて

 

 預言の乙女(オラクル)財団のoracleは神託を意味する単語です。そこからの連絡が初めてショウにやってきたというのが大まかな意味ですが、ダイレクトメッセージは謎空間での顔面シュート式会話術のことも含めています。

 前書きのモノクロや翼といった単語はOF-3の機体カラーのことです。後にガルーダに変化する際に赤色になるので、その予告のつもりで書きました。

 

・謎空間での蹴鞠

 

 言葉を使わないで意思を伝えるにはどうしたらいいだろう、と色々考えてスポーツを選択してみました。但し、誰も正しいルールを知りません。

 完全に動作だけで会話が成立してしまうと、小説の文章として表現するのがあまりにも難しくなるのと、ツッコミを挟む余地がないので会話は非対称です。

 白い人型はYES/NOの2値でしか返事をしてくれないのと、2値で表現できない質問は自動的にYESになってしまうので、実は「NOと答えさせる質問」が重要になってきます。しかしNOと答える=顔面シュートなので、そこがコミュニケーションの難しさになっています。

 

・OF-3の起動シーケンスについて

 

 サンデーストライク、ワルキュリア、OF-3とそれぞれの起動シーンにはゲーム「アルトネリコ」に登場する人工言語「ヒュムノス語」を使っています。誰にも通じないけど、意味のある言葉……みたいなつもりで取り入れましたが、特にサジュコン世界とは関係ありません。

 これらはコアの意思を表しています。IS本体の標準出力に割り込んで喋っているので結構我の強い子ですね。

 旧式のワルキュリアとサンデーストライクについては中央純正律というスタンダードなヒュムノス語、新型のOF-3についてはハイテク圧縮言語の新約パスタリエというヒュムノス語の方言で書きました。

 それぞれの意味は以下のような感じ。

 

-サンデーストライク:Chs shen yor en chsee yos fwal fwal mea. Afezeria!

 訳:アナタを光と成し、私はアナタの翼になります。おめでとう!

-ワルキュリア:Fou paks ra knawa yor, en aulla mea yos lusye.

 訳:アナタのことが少し気になるの。だからアナタの輝きを見せて。

-OF-3:jAztYE tArYAm ttu yehar yor elle innna fandel d.z./.

 訳:屍の山よりアナタの心を解き放つため、私は翼を広げて力を振るうのです。

 

 

また、OF-3の起動時のメッセージは以下。

神経伝達関数の初期化処理を開始。

代替視覚のテスト処理

桿体細胞の模倣処理(灰色バー)

S錐体細胞の模倣処理(青バー)

M錐体細胞の模倣処理(緑バー)

L錐体細胞の模倣処理(赤バー)

 

 上向きの羽根のように並んだカラーバーはそれぞれ網膜の桿体細胞と3種の錐体細胞に対応していて、パイロットの眼球を介さずダイレクトに周囲の景色を伝達している……みたいなつもりで入れています。

 言い換えると、OF-3のパイロットは目を閉じていても周囲が見えています。

 

 

 

21 銀翼の良き知らせは囁いて

 

・話名と前書きについて

 

 話名はまんま銀の福音を指しています。キリスト教における福音というのは「良き知らせ」とも訳されるもので、聖書に記された教えであったり、死後の復活などを意味するんだとか。

 前書きは今回福音のコア「ゴスペル」とOF-3のコアとの間で行われた交信の内容です。

 

・ここで福音とナターシャを出す意味

 

 原作だと福音戦以降はほぼ出番のない福音ですが、設定からしてSTG向きなあの機体を活躍させないのはR-TYPEとのクロスである本作では勿体無いだろうと考えたのが理由です。極超音速で弾をバラ撒きながら飛び回る素晴らしいISです。

 結果として軍人のナターシャに大バカをやらせることになってしまいましたが、その辺りは上手いこと切り抜けさせたいと思います。

 後々強化の予定もあるのでお待ちいだたければ。

 

・「我の強い」コア

 

 二次創作ではお馴染みのコアとパイロットの対話ですが、作者自身としては言葉で話し合わせるのがあまり好みではありません。人知を超えた相手と当たり前のように会話するのは少し陳腐だと思ってしまう個人的な趣味です。

 そういうのは「ここぞ」というときに入れたいシーンなので、平時にコアの意思を表現する方法を模索した結果、勝手に機体の制御が取られたりとかのホラーチックなものしか残っていませんでした……。

 

・国際IS管理機構

 

 国際IS委員会がアラスカ条約に基づいたISの管理を行っているというのが大まかな原作の設定ですが、どうせならその実行部隊が居てもいいよなということで捏造しました。

 調子に乗ってISを軍事的に運用する国家が居たら武力介入してくる、おっかない連中です。

 

・OF-3のステルス能力

 

 そもそもステルス能力が高いとされるISですが、OF-3はその点では数段上を行きます。

 原作イメージファイトⅡ等の設定では前身であるOF-1よりもステルス能力が向上しているとの記述があるので、それをなぞった次第。「ではどうしてそんな機体が作れたのか?」という問いの答えは次章以降で。

 

・ゴスペルの歌

 

 原作では電子音として表現されていたゴスペルの歌ですが、今作ではコアの意思を表現する意味で少女っぽい声で歌わせています。

 メロディーについては、アニメ「神様ドォルズ」に登場する案山子の「玖吼理」が動く時の歌をイメージ。カラーリングも白なので福音っぽいのも理由です。

 

・2つのコアの間で行われたこと

 

 OF-3の起動に際して、2種の慣性制御機構の同調に苦しむショウでしたが、そのコアもこの問題の解決を試みていました。公海上を飛んでいる際に、コアネットワーク上で有識者となる他のコアに助言を求めたところ、銀の福音のコア「ゴスペル」が応じたため、OF-3のコアはゴスペルに対してのみステルスを解除して自分の元へ呼び寄せました。

 接触回線による超大容量通信の結果、ゴスペルの高速飛行データによって幾らかの成果は得られたものの根本的な解決には至らず、両者は別れることになります。

 この交信においてゴスペルは一方的に情報を与えただけではなく、OF-3からイメージファイトによって蓄積された莫大な稼働データを獲得、2次移行へと一気に近付きました。

 

 

 

22 眼前に映すわたしの背後

 

・話名と前書きについて

 

 どちらもショウの内面を描いたものです。こういうところでもないとショウの心理描写ができなくなってしまったので、仕方無く……。

 

・OF-3の燃料

 

 基本的にコアからのエネルギー供給で全てを賄っているISですが、OFシリーズは内蔵の核融合炉からのエネルギーがメインになります。結果として燃料補給が必要になるというのが特徴の一つです。重水素やヘリウムといった軽元素を封入したペレットを交換しています。

 素が強すぎるので燃料補給という隙と、連続運用が出来ない弱点を加えてバランスを取ってます。

 どうせ後でインフレさせるんですけどね。

 

・OF-3の世代区分

 

 第2世代として描かれているOF-3ですが、実際はポッドデバイスやナノマシンへの干渉など、第3世代として運用できてしまうことは本編の通りです。ではなぜ第3世代としないかと言えば、マーケティングの問題です。

 各国が実験的に第3世代を扱っている中で、それを差し置いていきなり量産型として売り出す行為はパワーバランスを崩す行為に他なりません。どこの業界でも先行者利益というのはありますので、下手を打つと各方面から叩かれかねないのを恐れた形。

 そのため「外付けで頑張れば第3世代として使えるけどモノは第2世代ですよ~」という建付けで話を進めているのがグランゼーラの方針になります。

 一方、上の設定資料に書いたとおりOF-3はどの世代にも属しません。「少なくとも第4世代ではない」というのが確実なところでしょうか。そもそもがISじゃないですからね、しょうがないね。

 

・ハルカの評判

 

 ショウが動きをコピーしたので直接の描写はないですが、ハルカは純粋な試合レベルではショウより数段上の実力者です。そのうち彼女の戦闘描写も入れるつもりなので、お待ち頂ければと思います。

 

 

 

23 Subliminal_Scotoma

 

・話名と前書きについて

 

 Subliminalは「潜在意識の」、Scotomaは「心理的盲点」を意味する単語です。今回はこれを組み合わせて「無意識に認識から外されていること」「認識したくてもできないこと」みたいな意味になるような造語にしてみました。10話でショウとセシリアを襲った閃輝暗点(Scintillating scotoma)が肉体的なものなら、こちらは心理的なものに近いかも知れません。

 前書きについては言葉遊びです。「見たくないものを見せられること」と「崩れた瓦礫を掴んで退けること」を並べたような感じ。

 どちらにしてもショウのことです。

 

・待機形態のペンダント

 

 実際には待機形態でも何でもない、ただのダミーです。上で書いたようにガルーダには待機形態が存在しないので、それを気付かせないためにこんなものを持たせました。

 ペンダントの外観の元ネタは、イメージファイトに登場するアイテムボックス「POWボックス」そのまま。これを壊してパーツを手に入れることで機体を強くしていくゲームシステムです。

 

・突然発生した災害

 

 何の説明もなく登場した「黒いISの少女」の仕業です。当然オリキャラ。

 ちなみにその少女が歌っているのはきかんしゃトーマスの挿入歌「じこはおこるさ」の本国版「Accidents Will Happen」のサビ前部分。これから大災害を起こそうという人間がこんな歌を歌うのでハッキリ言って最悪です。どう見たって事故じゃなくて人災じゃねえかと。

 作者自身は人工災害とかそういうオカルトは信じていないのですが、R-TYPEの文脈になるとこの「人工災害」という言葉は突然現実味を帯びます。製造された直後に使用を禁ずる国際条約が結ばれてしまった例のアレですね。

 

・アクア・ナノマシンで検知できないOF-3

 

 余震でトンネル内壁の崩落が起こった際、楯無は駆けつけるショウに気付けませんでした。これはOF-3に搭載された抗ナノマシン機構によるもので、アクア・ナノマシンがOF-3の表面に触れないどころか動作不良まで起こしていたためです。

 この時点から「楯無とショウが戦ったらナノマシンが変なことになる」という伏線を張っていたつもり。

 

・ショウが乗り換えた車の末路

 

 本社前でショウがデモ隊を突っ切った結果、目立ってしまったために乗り換える羽目になった車ですが、そのまま更識の保有する車庫に戻されました。その道中で突然車が爆発しています。ドライバーだった青年はギリギリ致命傷を避けていますが、意識不明のまま搬送されました。

 爆弾そのものはデモ隊の近くで停車していたタイミングで、モブ活動家の一人に仕掛けられています。

 

・ショウの精神状態

 

 確実に悪化しています。具体的に何をどう思ったかは書いていませんが、とにかく「思考することを放棄」しています。

 なので楯無が推理した通り、イメージファイトで身につけた災害救助プロトコルをそのまま実行することで現実逃避を試みているというのが実情。

 邪魔にはならないけど協力もできない、そんな立場になってしまいました。

 

 

 

24 淀んだ灰と差し込む紅

 

・話名と前書きについて

 

 話名は停滞状態のOF-3と、今回より登場した鈴音のこと。そのまんまです。直接の関わりが薄い両者ですが、転入をキッカケに玉突き的に事態が動いていきます。

 前書きは例によってショウの心情です。常に焦燥に駆られ続けていますが、当人はこれを解決する手段を見つけられていません。皆目見当が付かないといった感じで、来たる「締め切り」の存在に黙って背中を突かれるのみです。

 

・救助活動に関する取材

 

 「機転を利かせてISで救助を行ったロシア代表」という体裁で楯無は日曜日に取材を受けています。

 現場に居たショウですが、災害発生から帰るギリギリまでOF-3の中にいたため、周囲からはその存在を知られていません。したがって十蔵は「楯無ともう一人の関係者パイロットが外遊中に災害に遭った」というカバーストーリーを作りました。ここにショウがいたという事実は隠されているので、そもそも別の場所にいたことになっています。

 この取材内容はすぐに公開され、一夏が初対面でも楯無のことを知っていた理由付けとして描かれました。

 

・夜間のアリーナ使用に関して

 

 学生は門限があるのと、事故の危険性から使用はできませんが、ショウに関しては千冬の許可で使っています。逆に言えば千冬がNOと言えば即アウト。

 授業時間中は仮にショウがヒマでも他の授業でアリーナが専有されているだろうな、と考えてこんな書き方にしています。

 では日中のショウが何をしているかと言えば……多分調べ物か何かだと思います。

 

・1年2組のクラス代表

 

 どうせ鈴音に代わるので然程重要でも無いのですが、何となく元々のクラス代表が誰だったのか気になったので捏造しました。

 鈴音のルームメイトであることから同じ2組の生徒である可能性が高く、かつ学園にいる日本人以外の生徒は基本的に代表候補なので、恐らく代表候補であろうティナも5話で書いた「それっぽいやつ」に該当すると考えました。

 原作3巻によれば当時の1年には「専用機持ちが5人以上」とのことなので、簪含めてもそんないないだろうと考えつつ、原作でも描写がないことからティナは専用機無しとしています。

 具体的には、「あなた代表候補なんでしょ? クラス代表やってよ!」と押し付けられるも「なんかバチバチ殴り合ってた一夏と専用機も無しに戦えと……?」と辟易していた所に鈴音が現れたとか、そんな感じの流れを想定しています。

 

 

 

25 響く銀音、研磨の徴

 

・話名と前書きについて

 

 話名は修行回ということで、ブレード同士のぶつかる音をイメージ。

 前書きは有名な手遊び歌から。OF-3を最適化するためのパラメータを探すべく、ニューラルネットワークのノード同士を手動で結んで計算モデルを作るショウですが、幾らやっても道は開けません。アプローチの方向性は正しいんですけど、明らかに規模が足りてないんですよね。スパコンを何百年と動かさないと答えが出ないような宇宙的難題に挑んでいるのが彼の状態です。

 

・なんか暗躍しているセシリア

 

 本作のセシリアは「つよい子」に仕上がっているので、割と何でもやります。

 初日に一夏を煽った理由を「男性パイロットの戦闘データを一番乗りで手に入れるため」としてしまったため、名家の跡継ぎをやる意味でも根回し力がある描写は必要なのかなと。

 

・なんか強いサラ

 

 代表候補のセシリアが褒めるわけですから、相応の実力があると考えるのが自然でしょう。

 というわけでそれを発揮させる意味でコーチ役にしてみました。原作だと活躍がまるで無いので、ここで消化しとくのもアリかなと。

 実力のイメージとしては、セシリアがニュータイプ的な方向性とすれば、サラはヤザン・ゲーブルみたいな素のパイロットスキルで何とかしに行くタイプと考えています。

 光り物の第3世代を開発したいイギリス政府からすると目立たない……そんな立場をセシリアは利用しています。

 

 

 

26 Promise Pre-miss

 

・話名と前書きについて

 

 話名は鈴の約束のこと。忘れる(miss)の前(Pre-)に交わされた内容ということで、こんな文に。

 前書きはショウから見た鈴のこと。OF-3のことで滅茶苦茶焦っているタイミングで酸っぱい相談事を持ち込まれて若干苛立っています。でも好意的に思っている一夏のこととあっては甘くなる……そんな甘味と酸味の合わさったパイナップルみたいな話が鈴の相談事でした。

 作者はパイナップル入り酢豚の反対派です。そのまま食わせてください。

 

・最初の鈴の鼻歌

 

 2017年のアニメ「けものフレンズ」のオープニング曲「ようこそジャパリパークへ」のイントロです。作中現在が2022年という設定を採用している本作ですが、そこから約5年前ということは一夏や鈴は小学校高学年くらい。丁度流行ったアニメの曲が思い出として蘇る描写として自然かなと思って選びました。

 多分、放送後の朝に「あのフレンズ可愛くない?」とか言いながら一夏への告白の機会を伺う鈴がいたんじゃないでしょうか。

 

 

 

ちゃん、ちゃん♪(A8033A53870E89F70AE9EBAFD44DAB47)(反転必須です)

 

・話名について

 

 色々と「終わってる」話なので、ギャグ番組の終わりにありがちなSEをそのまま話名に。今回限りという前提で徹底的に露悪を極めました。バイドはもう懲り懲りだよ~。

 ルビに振られている文字列ですが、暗号ではなくハッシュ値なので復号できない代物です。「さあ次はお前の番だ」をMD5でハッシュ化しました。誰にも届かない声なんて翻訳不能の文字列と変わりませんからね。

 

・各シーンの関係

 

 一見して現在のシーンから回想に入るように見える書き方をしていますが、実はどのシーンも互いに無関係な別の話です。1つ目のシーンで片脚を切り落としたショウがどうして寮の階段を上がれるのかといえば、このシーンでは「そもそもそんなことはしていなかったから」という理由に尽きます。

 

・空色の髪をした遺体

 

 どういうわけかショウは簪に会っているようです。目にしたときには手遅れでしたが……。

 そのまま「跳ね回る脳髄」ことリーパーに変貌しようかというところで、別のリーパーに踏み潰されていますが、これは楯無です。成り果ててなお妹の尊厳を守ろうとするなんて、素晴らしい姉妹愛ですよね。

 

・腐食した金属のトゲ

 

 学園に落下したベルメイトの破片です。緩やかに増殖と再生を繰り返しながら、学園全体にバイド汚染を広げていきます。もう既に周辺海域まで汚染が進んでいますが、更に放っておくと学園だったメガフロートがコンバイラ・リリルみたいな感じで膨れ上がって行きます。

 

 

 

27 千早ぶる神代も聞かず曙や

 

・話名と前書きについて

 

 話名は百人一首17番「千早ぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」から。竜田川ではなく曙としているのがポイントで、この朝の出来事が明確なターニングポイントであることを表しています。この後で「唐紅に~」と続くわけですが、唐紅に染まるのは勿論OF-3です。

 前書きも同様にターニングポイントを意味する文章。R-TYPE FINAL2以降に登場する味方ユニットに「ジャンクション」と呼ばれる潜水艦があります。これはPOWアーマー同様ぶつかるとミスとなる実質敵みたいなものなのですが、近付くか攻撃すると前面がパカッと開いて、ルート選択用のアイテムを出現させます。取得したアイテムの色によって次のステージが変わるので、今話を表すのに丁度いいかなと。

 一夏と楯無の出会いが、運命のドミノを倒しました。

 

・ちょっと子供っぽい楯無

 

 ショウと行動することで「大人の一員」としての振る舞いを強要されていた楯無ですが、一人になったのでその揺り戻しみたいなことをさせてみました。被害者の一夏くんはお気の毒……あれ、これそんなに気の毒かな? ちょっとご褒美じゃないかな?

 頼れるおねーさん的な姿も良いですが、子供っぽくイタズラに興じる彼女も可愛いんですよね。

 

・電話越しのショウの変化

 

 あまりに焦りすぎてショウは楯無の存在をマトモに思い出すことさえ出来ていません。なのでさん付け敬語で話してしまうわけですが、試合の申し出を受けた瞬間に状況が変わります。

 未知の理由で焦りが消えたため、口調が崩れ、代わりに必死な状態に。本人にとっては状況が好転すれば何でも良いから、何でもやるぞと。

 

・点滅するOF-3のラウンドバイザー

 

 ショウが必死になっている横で、OF-3(正しくはそのコア)も頑張っているぞという意味も込めて、顔面をチカチカさせています。PCのアクセスランプみたいなものだと思ってもらえれば。

 一方でパイロットのショウはそんなの見えませんし、基本的に一人行動なので他人からも見えません。

 20話で地の文に書いたOF-3のシステムメッセージの内容が今なお続いている感じですね。

 

 

 

28 Sacrament_One

 

・話名と前書きについて

 

 話名は訳すと「第一の秘跡」。あとがきでも書きましたが、楯無戦のコンセプトは儀式です。

 水を扱う彼女の専用機を考えた時、それに対応する水に関わる儀式として頭に浮かんだのがキリスト教における「洗礼」です。基本的に秘跡と呼ばれるものは幾つかありますが、どこの宗派でもその一番目に数えられるのが洗礼だったり。

 洗礼のやり方も多様ですが、聖書として一番正しいのは全身を水に浸けるものらしいので、水蒸気爆発を連発しまくるのをこの洗礼に例えました。

 前書きは西暦900年に書かれた錬金術書「Turba Philosophorum」の17番目の格言より。OF-3が赤色のガルーダに変貌するプロセスを、賢者の石の製造に見立てました。もう一つの意味として、ガルーダの誕生には一夏の行動が必要不可欠であったことも示しています。ショウにすら予想できなかった楯無とのマッチアップが直接の原因だとするならば、その根源は一夏(=白色の介在)にあるわけです。

 

・ショウが使える武装

 

 トンネルの崩落で道路が使えなくなったことで、ワルキュリアのときに使っていた武装とほとんど同じものしか使えません。ただし、ネオンの発言の通りレールガンとレーザーブレードについてはそれぞれ威力と強度が改善された新造品が届いています。セシリア&一夏との試合で両方壊れちゃったので。

 

・真耶戦との対比

 

 真耶戦では場外戦術として「量子化ピン抜きグレネード戦法」を使って翻弄したショウですが、楯無戦では初っ端からその上位互換に相当する清き熱情(クリア・パッション)を連打されています。起爆の直前まで存在が見えなくて、かついきなり自分の近くに現れる……そんないやらしい爆撃戦術というのが両者の共通点でした。

 場外戦術をする側だったのが、今度はされる側になっているという意味でも、ショウが真耶戦でやったことが自分に返ってきてるんですね。

 

・楯無の場外戦術

 

 代表決定戦以降マトモな試合が無い本作ですが、今回もズルが出てきます。というか、そもそもきちんとした試合が一夏とセシリアのとき以来存在しません。真耶戦にしろ楯無戦にしろ、中身はスポーツマンシップを無視した潰し合いです。

 楯無にまでこんなことをさせた理由は、これ以降のシーンで楯無を活躍させるのが難しくなってしまうから。彼女の専用機は閉所でないと弱いので、ガルーダの覚醒と抱合せにする形で現状でのフルスペックをお見せしておくのが丁度いいのかなと。

 

・試合の日取り

 

 「儀式が行われる日」ということで、試合は六曜で言うところの大安になるようにしました。六曜は中国発祥なのでインド神話とはまるで無関係なんですけど、カミサマが現れるんだったらここに合わせるしかないなと。

 一方でワルキュリアが破壊されたクラス代表決定戦は仏滅に行われています。まさしく「仏も滅する大凶日」といったところでしょうか。割とオカルトに引っ張られてるのが本作です。

 

 

 

28ᵀ Colorless -> Collarless

 

・話名と前書きについて

 

 右肩に乗った”T”は行列で言うところの転置操作です。〇-1とか〇-2にしなかったのは、28話と表裏一体でありながら、ここで一気に運命がひっくり返ったのを表現力したかったから。将棋の成駒のような感じでしょうか。ここで裏返ってパワーアップみたいな。

 話名はガルーダの覚醒を指しています。無彩色の単なるOF-3から、誰も縛ることの出来ない力を備えたガルーダへ。まさしく最強の力がここに誕生しました。ついでに、イニシャルを繋げるとCが2つで、この名前を付けたC2と同じになったり。

 前書きはガルーダの称号というか、逸話を並べました。楯無戦自体、マハーバーラタにおけるガルーダの誕生をなぞるような感じで進めたので、そのまんまで書いています。

 

 

・束の目覚ましマシンの名前

 

 海外のアナログホラー"overthrone"より。

 夢枕で「Wake up」と連呼されるシーンをイメージしています。気持ちよく目覚められる割に名前の元ネタはホラー作品というチグハグさで束のネーミングセンスを表現。

 ちなみに眠りを覚ますプロセスは、実在するELEMIND社の安眠ヘッドバンドをイメージしています。これは装着者の脳波のうち、アルファ波を追跡し、それを打ち消すタイミングでピンクノイズを骨導スピーカーから流すことで睡眠導入を図る技術です。

 今作では真逆で、覚醒状態で一番リラックスしているときに出やすいとされるアルファ波を増幅するような形の信号を送って、自然に目覚めてもらうような感じの設定です。

 

・白い空間にあった赤い機械の残骸

 

 原典のOF-3 GARUDAそのものです。パイロットのショウがそのコクピットに乗り込むことで、「ガルーダのパイロット」という役割を得た……そんなイメージです。

 なんでこれがここにあるのか? というのは割と先になりますが書く予定ですので、お待ちいただければと思います。

 

・1000年の孵卵の意味

 

 マハーバーラタにおいて、母ヴィナタは「一人と半分の子を授かる」という予言と共に2つの卵を授かります。それを暖かく湿った壺の中に収めて500年。いつになっても孵らない卵に痺れを切らしたヴィナタは片方の卵を砕いて中身を覗いてしまいました。そこから体が半分だけ出来上がった状態で生まれた子どものアルナが成長を止められてしまったことに怒りつつ、「強大な子供がほしいならば、さらに500年間卵を保管しなければならない」という予言と共にヴィナタに呪いを掛けてしまいます。そして、予言通り500年後にもう一つの卵から生まれたのがガルーダ……というわけで、そのままガルーダの誕生に掛かった1000年を指しています。

 一方、OF-3に搭載されたコアがそのままのスペックでパラメータの探索をするのに掛かる時間も1000年以上と予測していて、その時間を打ち破って完成したのも含まれていたり。

 

・ガルーダの能力

 

 基本的にはハイエンド量産機みたいな感じで、推力やパワーといった普通の部分の性能がひたすら高い機体ですが、コアが悪さをするのでナノマシンに対しては異常なメタ性能を持ちます。

 神話ネタとしては、ガルーダが全ての蛇(ナーガ)を食らう存在であることと、東洋で水神といえば蛇という点で、楯無の機体に対しては完全に相性で勝るようになっています。

 原典のOF-3にナノマシン関連の設定なんて一つも無いんですが、そこは1つのパラドックスとして設定しています。OFの行き着く先といえば……?

 

・崩される水のヴェール

 

 ガルーダが触れた瞬間に赤く濁って、そのまま形が崩れてしまった楯無の防御ですが、このシーンにも神話的なエッセンスが含まれています。

 聖書において、宴に招かれたキリストが手洗い水を上質なワインに変える奇跡が描かれています。そもそも、この手洗い水というのは宴の主催者だったユダヤの人たちにとって異邦人や異教徒を自分たちと分けるためのものだったそうです。「ユダヤの民じゃないお前らは穢れているのだから、清めろよ」と。一方で万人が救われるべきと考えるキリストは、そんな断絶の象徴をワインに変えて、皆で分け合って飲み干すことで取り払おうとした……この逸話にはそんな意図が含まれているそうです。

 文字通り敵を阻む断絶である水のヴェールを取り除くという展開を考えたとき、神話的コンテキストとしてはこれが適切なのかなと。

 聖書だのインド神話だのとごちゃ混ぜですが、バイドが来た時点で単一の神話体系の力でどうにかなるような状況ではなくなっているので、人類を救うべく色々とかき集めていることの証左みたいなシーンでした。

 

・楯無の感じた熱感の正体

 

 4章までお待ちいただくことになると思いますが、明確に理由はあります。

 今言える範囲で表現するなら、「無自覚な自業自得」といったところでしょうか。

 ちなみに、程度こそ大分軽いですがセシリアも楯無と似たような状況にあります。

 

・C2と呼ばれるナニカ

 

 本家R-TYPEシリーズに登場する「あるもの」を指す言葉です。少なくとも本家ではこんな呼び方はされてませんが……。

 ジェイドが言っていたように、このIS世界にR戦闘機の技術が存在する理由であり、OF-3にお墨付きを与えてガルーダとした存在でもあります。

 ここまで書いたら分かる人には正体が分かってしまうかもしれませんね。

 

 

 

29 涙が水面に落ちるとき

 

・話名と前書きについて

 

 話名は、今回のすべてのシーンで誰かしらは泣いているところから。楯無は無理の結果頭痛で涙が出ますし、真耶は目の前の光景が苦しくて、千冬とショウはワサビの刺激で、箒は自分の状況を憂いて、束は色々限界で、各々がめいめいの理由で泣いています。

 産卵前のウミガメが涙を流すのは体内の塩分量の調整のためなんだそうですが、重要なことの前に、一度余分なものを排出する機会というのは必要なのかなと。

 前書きは真耶のことを指しています。彼女の心は大きく揺れていて、それは自分自身から来るものだと思っていたのが、実はそうではないと気付いてしまったのが今回でした。彼女の芯を揺さぶる波紋、それは一体どこから来たのでしょう?

 

・楯無とダリルの関係

 

 原作を考えると結構危うい状況なのですが、有力な専用機持ち同士ということである程度仲良ししてたんじゃないかなと考えてこんな展開に。

 楯無とフォルテは同学年ということで、実習で一緒になることもあったかも知れませんし、そこからダリルと関係が繋がることもあり得るのではないでしょうか。

 後でお別れするときのカタルシスにもなる……といいな。

 

・楯無への罰

 

 実は試合を直接見ていなかった千冬ですが、後から様子を見て即座に楯無の場外戦術を看破。「それが生徒会長のすることか」と説教しつつ、罰として奉仕活動をさせることに。

 ナノマシン塗れになった散水用タンクの掃除も言いつけられています。

 一方でナノマシンの制御で脳への負荷が掛かっている楯無には結構堪える仕事だったようです。精神的な疲弊も合わさって泣いちゃった……。

 お労しや姉上。

 

・真耶の状態

 

 列挙してみると目眩と頭痛と幻覚症状くらいでしょうか。生きてるのが大分苦しくなるような状態です。

 しかし、実はこのときの真耶はあり得ないくらいの幸運を掴んでいます。

 普通は自覚症状もなしにおかしくなるはずが、「これは自分じゃない」と認識できてしまっているんですね。

 熱が出ているから風邪を治せるといいますか、心の免疫機構が上手く働いているわけです。

 こうなれたキッカケは勿論ショウとの一戦。ショウを下して因縁を終わらせたという確信が強固に出来上がっているからこそ、自分自身に違和感を覚えられました。仮に真耶が負けてたらそうは行かないので、詰みです。

 

・ショウの山葵シーン

 

 ここしばらく挟めていなかったのと、そもそもショウがそんなことにかまけてられる精神状態ではなかったので、久々に入れてみました。

 山葵をそのまま食べることの多いショウですが、流石に生が手に入ったとあってはそれじゃダメだと考えたようです。

 千冬の提案でたこわさびにしたのは、フード理論的な感じで、ショウと千冬に経験を分かち合わせるのが目的。2人揃って根は善人だよね、というのを改めて描きました。

 一番の目的は前後のシーンが暗すぎたので、ワンクッション置きたかったというのが本音なんですけども。

 

・箒の過去

 

 原作でやらかし&お咎めなしがあったゴーレム戦のシーンを否定する下処理のつもりで入れました。

 「悪いことをしてしまったのだから、良いことをしなければいけない」という単純な論理を彼女の中に構築する意味で、一夏に木刀を振るってしまったことを自分の過去に重ねて散々リフレインさせています。

 

・箒の着信音

 

 勝手に設定されて鳴った束からの着信音ですが、ここで流れているのはアニメ「ゴジラS.P.」より「ALAPU UPALA」。民謡みたいなメロディーにサンスクリット語で厨二ワードを羅列した不思議な歌です。

 本作は結構ゴジラS.P.に影響を受けているところがあって、なんでこの曲にしたかを含めて同作を見ていただけると分かってしまうかも? 

 位置付けは束側のテーマ曲みたいな感じです。

 

・束の意図

 

 本作の束は覚悟ガンギマリの異常者なので、箒を心配しつつ、その裏で彼女を確実に殺す手順を構築したりしています。

 バイドを止められなかった場合、学園が汚染されるのは確定なので、箒がその影響を受ける前に逝かせてやろうという異次元の配慮がそこにあります。

 一方で、案内した地下ブロックは基本的に安全ではあるので、対バイド戦がうまく行っているうちはちゃんと箒を守ってくれます。

 

・束とシアの関係

 

 いずれしっかり書きますが、親密な関係です。

 作劇上は、有能すぎて苦しい束にとっての依存先といったところでしょうか。

 セクハラの数々も苦悩の裏返しで、シアはそれを受け止めています。

 シア自身も別軸で苦しんでいるので、一種の共依存みたいな感じにしました。

 本作がガールズラブタグを付けているのは彼女らのせいです。男オリ主でこれ付いてんのおかしくないかな……。

 

 

 

30-1 さあ雨が降るぞ

 

・話名と前書きについて

 

 話名は、直接的には途中のシーンでダリルのところに来た降雨予報のことですが、比喩で言えば予定通り行われているハレのクラス対抗戦が止められることを指したつもり。ハレの日がケガレの日に変わるわけです。

 前書きは試合の様子。しっかり互いのことを見て集中しながら戦っていた一夏と鈴ですが、いざ周囲を見渡してみると……あれ? みたいな。

 

・一夏VS鈴音

 

 後書きにも書きましたが、原作だと不完全燃焼のまま終わってしまった一戦でした。今作では2人の関係修復のキッカケとして、「とりあえずぶつかってみる」戦いをさせてみました。

 ここまで暫くショウに戦わせてばっかりだったので、その辺のバランス調整と、ここまでに挟んだ修行シーンの精算の意味も込めて一夏を活躍させたかったというのが理由。手札が少ないながらも、訓練で得た観察力で対応していける……そんな成長した一夏の実力に、多少は説得力が出せたのではないでしょうか。

 まあ、一番良いところで止めたので不完全燃焼には変わりないんですが……。

 

・箒が思い出した格闘漫画のワンシーン

 

 ハイ、誰がどう見ても”幻突”です。

 28話で隠せないレベルのTOUGHネタを仕込んでしまったので、性懲りも無くここにも……。でも「見えない打撃」と「中国にありがちな格闘術的なステレオタイプ」が揃うと結構合ってるんじゃないかとも思ってしまうのは私だけでしょうか。

 保護プログラムで守られているとは言え、生きていれば一度くらいは病院だって行くと思うんですよね。そこで普段は出会わないような作品を目にする……というのもロマンがある話なのではないでしょうか。

 チィッ、なんだって剣道少女がTOUGHなんか読んでるんだよ。

 

・顔面蒼白のショウ

 

 手に「人」って字を書いて飲み込むと緊張が解れるらしいですね。

 ショウはそれで何とかならないレベルの緊張に見舞われています。手札は揃って、さあ後は挑むだけとなったとしても、やっぱり怖いものは怖いのです。

 

・乱入者シア

 

 触っただけで2人のISを強制的に止める無法を見せつけたシアですが、束の協力者ならこれくらいのチート性能してても良いのかなと。

 本格的な活動は次以降に回すので、キャッチーに「黙らせる」能力を見せておいた次第。

 

 

 

30-2 それを見たなら首に手を

 

・話名と前書きについて

 

 一部にしか通じない言い方をするなら「振り向くな」でしょうか。

 話名は、「死神」と表現されるエクリプスの到来。死神が鎌を振るうとき、とっさに出来ることなんて手で首を護るか、あとは精々自分がその対象でないように祈るくらいのものかと思います。それに意味があるかはさておいて……。

 前書きは話名の続き。じゃあ死神が鎌を振るう瞬間にその場にいなけりゃ良いじゃん? というツッコミを誰かがしています。結局のところ死神だの運命だのは目に見えませんし、逃げるなんてことはできないわけですが。それどころか見えてなおその場に突っ込んで来る人間と、その場に居座って立ち向かう人間までいるからめちゃめちゃです。

 

・学園の近くに現れたスーパーセル

 

 アメリカといえばデカい雨雲みたいなところがあると思ってます。特に中央平原辺りだと恐ろしい写真が沢山撮られていて、調べると色々出てきます。ダリルのアメリカ人らしさを表現する意味で、その辺の思い出を語らせてみました。

 

・無人IS「エクリプス」

 

 R-TYPE FINALよりエクリプスが登場しました。元は有人機なのですが、開発元のグランゼーラは何を考えたのか無人仕様に改造してカミカゼ特攻させまくる戦術を取っています。そういう滅茶苦茶をぶつけられる地球連邦軍の兵士たちにとっては忌むべき機体なんだそうな。

 本作ではそういう元ネタもあって、無人機として登場させました。灰色と白のカラーリングも原作の無人モデルに倣っています。

 また、R's Museumの系譜だと、ガルーダを始めとしたOFシリーズやケイロンのようなTLシリーズの祖に当たる機体が本機になります。ある程度ネタの範囲を固めておきたかったのもありますが、「系譜の上で近い機体=開発思想も近い」といった意図も含めていたり。

 ケイロンは束が造り、エクリプスも束が量産運用しています。では、それに近いシリーズのOFは……? という見方もできるのかなと。

 

・汎用オートクチュール「ケイロン」

 

 曲がりなりにもクロス作品として、一夏をどのように強化するか悩んだというのは後書きでも述べましたが、これは一夏に限った話ではありませんでした。

 R-TYPE要素として普及している設定のサンデーストライクはそろそろ型落ちですし、今から新しい量産型を生やして配備するのにも無理があります。そういう意味で、原作のISを活かしつつ、新しい敵に対応できる武器「波動砲」を与える方法としては、強化パーツを外から取り付けるのが一先ず無難なのかなと。

 

・リプリーズのしたこと

 

 ケイロンを呼び出して白式に取り付けたまでは良かったのですが、ケイロンは量産モデルにしか装備できません(辛うじて互換性のあった白式ですらポン付けに留まっている)。これから鈴も戦場に連れて行くのに、そのままでは犬死にすると考えたシアは、その場で甲龍を改造してしまいました。

 後書きでも述べましたが、衝撃砲は性質を弄るだけで「衝撃波動砲」として運用できてしまう強力な装備でした。なんでそんな性質を持っているのかというのはいずれ書ければと思いますが、とにかくコレだけでバイドに対抗可能な力になります。

 一方、それだけでは近距離性能が不足します。バイド相手に殴り合いなんてしたら触れた場所から即座に汚染されてしまうので、その対策を「ナノマシンでコーティングした双天牙月」という形で与えたのがもう一つの装備になります。基本的な性質としてバイドは機械を狂わせてしまうので、近接兼中距離武装として操縦するには、その干渉を跳ね除けるような仕掛けが必要だったわけです。

 

 

 

30-3 The Interceptor

 

・話名と前書きについて

 

 話名はそのまま迎撃者。現れた大量のバイドに立ち向かうパイロットたちを指したものになりますが、実のところ某ソシャゲのボス曲に全く同じ名前のものがあります。あっちも元ネタではあったり。

 前書きは、戦闘開始直前に束がやっていたパラメータの共有に関する内容です。要するにガルーダのパラメータをエクリプスとケイロンに移すよと言っているだけ。数価とかいって書かれている数字に関しては、意味がわかる人には分かるかも……? 答え合わせはかなり先になりそうですが。

 

・束の頭に取り付けられたヘッドセット

 

 束の使う専用機の一部になります。これを使って彼女はエクリプスたちを操っていました。

 勿論原作に登場した「群紫」とは全くの別物ですが、ではどんな機体なのか?

 「中で金色の粒子がちらつく試験管状のガジェット」というのがかなり直接的なヒントです。

 

・超大型の波動砲「ヘクトール」

 

 R-TYPE TACTICSⅡとR-TYPE FINAL2/3 EVOLVEDからヘクトールが参戦。今作では超絶波動砲を撃つための砲撃ユニットとしています。というのも、人型変形機シリーズのなかでこの機体だけ変形と称して寝そべるだけなんですよね。ケイロンみたくガシャガシャ変形させる描写をするわけにもいかなかったので、結果こんな形に。

 戦争そのものの行く末を決めてしまう重戦略級火力として、この先も偶に出るかもしれません。

 

・衝撃波動砲の使い方

 

 ケイロンの装備状況によって様々ですが、一夏はブレードの切っ先を向けて照準を合わせています。そもそも衝撃波動砲は爆発するエネルギー体をターゲットの座標にテレポートさせてしまうものなので、描写した通り「狙ったら当たる」兵器です。

 チャージをそこそこに連射して隙を埋めるもよし、フルチャージで叩き込んで巻き添えを狙うもよし。フレンドリーファイアにさえ気を付ければ実に便利な兵器ですね。

 

・新兵器リングレーザー

 

 ここでようやくショウにも新しい装備が与えられました。武装を選ぶに当たって7WAYバルカンと迷ったのですが、ガルーダの神話を踏まえるとこっちの方が良いかなと。

 ガルーダの主となったヴィシュヌはチャクラムという環状の武器を使う逸話があるのですが、丁度リングレーザーも輪っかなので、まさしくといったところ。

 R-TYPE FINAL以降の作品ではOFX-2ワルキュリアの装備として設定されていたものなので、ワルキュリアの運用中に造られた設定になりました。

 

・セシリアの危機に舞い込んだ異常現象

 

 隙を晒した状態でサージに囲まれ、万事休す……そんなタイミングで、セシリアは外部からの干渉を受けてビットを乗っ取られています。しかもそれでフレキシブルまでやられてしまう始末。

 やったのはショウではなく、戦場を眺めていたシアです。では何故こんな事ができるのか? ヒントは散りばめたので考察していただけると喜びます。

 

・シアが諳んじた聖書の一説

 

 詩篇2の8-12節をそのまま読み上げた彼女ですが、元ネタは勿論HELLSINGよりアンデルセン神父。実は30-1話でも地の文でサラッと彼の発言を引用してたりします。

 False prophecyなんて題名でやってるので、本作には割と聖書のエッセンスが含まれています。直接的に「サタンよ去れ!」じゃ面白味がないので、色々調べてこんな形にしています。

 次はエゼキエル書でも引用しましょうか。

 

 

 

30-4 Forward / Onward

 

・話名と前書きについて

 

 ForwardもOnwardも「前へ」を意味する単語なのですが、前者は今から特定の方向へ進むニュアンス、後者は今まで来たままに進むニュアンスがあるようで、別物です。決意を胸に出来ることをやろうとした箒と楯無、真耶はForward、背負った行動原理のままバイドと戦い続けるショウはOnwardとするのが近いでしょうか。どのキャラがどちらに属するのか探してみると面白いかもしれません。

 前書きについても、ライトを片手に地下ブロックへ向かった箒と、OVERZONEを起動すべく行動する真耶のことを想定しています。みんな出来ることをやってるよというのが大まかな意味でしょうか。

 

・学園にある地下ブロック

 

 別に原作に描写があったわけではないのですが、ISという重要な戦力が大量に置かれている学園の立場を考えれば、攻め込まれることは当然考慮した設計になっているだろうなと考えました。迎撃装備はともかく、避難・脱出用の設備はあるべきかなと。

 OVERZONEについても同様です。やろうと思えば箒もこれを起動できました。束が本当に最上位権限を与えてしまったので、箒が悪いことをしていないのは彼女の良心によるもの、という意味合いも含めていたり。

 

・ヘクトールの威力

 

 前回の発射シーンの描写で、悪魔の名前が敵の名前に変わった~みたいなことを書きましたが、要するに7ループチャージをした波動砲を意味しています。R-TYPERの皆様にはお馴染みのギガ波動砲も、最大チャージするとゲージのところに「BYDO」と書かれたりします。

 そんな大量のエネルギーをぶつける訳ですから、雑魚敵は大半を消し飛ばし、大きなスーパーセルも無くなってしまう……というような形にしました。しかも大半のエネルギーは異層次元に流し込まれているので、発揮された破壊力としては100%ではなかったり。

 

・中型バイド「ストロバルト」

 

 サージ以外にも出したいなと思って申し訳程度に登場させました。

 原作の設定通り、コンテナから撒き散らされる汚染物質はバイドによるものなので、海に落ちようものならとんでもないことになります。唯一の対処法は範囲攻撃である衝撃波動砲でバイド成分をまとめて消し飛ばすこと。後にショウがスタンダード波動砲を使いますが、それだと相性が悪いわけです。

 コンテナさえ破壊してしまえばバイドに乗っ取られた機械でしかないので、あとは煮るなり焼くなりといったところ。

 

・ショウの行動原理

 

 ここでようやくの登場となりました。今まで何を考えて行動してるか分からないキャラだったんじゃないでしょうか。作者にとってもそうです。

 28ᵀ話の序盤で白い人影にショウが宣言したのがこれで、沢村ショウという個人の根幹に当たる願いです。何故こんな願いを持っているのかについては追々。

 

 

 

30-5 OVER_ZONE

 

・話名と前書きについて

 

 今回のテーマが「一線を越える」でした。それまで使わないようにしていた波動砲を使ったショウであったり、外から精神を侵される自分を無理矢理律して戦場に踏み込む真耶であったりと、該当するものは様々です。学園防衛システムOVERZONEの名前の元ネタでもありますが、そもそもこれら全部が某ソシャゲから引っ張ってきた内容です。作者の趣味がいい加減にモロバレですね。

 前書きについては、漫画BLEACHより、ユーハバッハが使う聖別の詠唱を、童話「オズの魔法使い」に登場するキーワードで置き換えたものになります。OVERZONEを略すとOZ、というのは前の回で書いた通りですね。

 ちなみにこの文章、裏設定としてはOVERZONEの起動パスワードになっています。つまり真耶は死にそうな体調でこの厨二ワードの羅列を読み上げたわけですね。うーん、フェティッシュ。

 

・ゲインズの設定

 

 R-TYPEのクロスやっといてこれを出さないのは失礼だろうと思って、名前の略称からキッチリ考えたゲインズですが、大分厄介な相手になりました。STGでも火力がないと倒せないので、ある意味原作再現になってる……のかな?

 元々人類の兵器だったというのが原作の設定なので、波動砲を積んでいることを踏まえて束がアメリカに作らせたという形に。シリーズでは多くの場合で釣瓶打ちしてくるんですが、今回はΔ仕様の照射タイプで描写しています。

 やたらタックルを擦ってくるのは、原作で本当にタックルしてくるから。これのせいでゲインズに縦軸を合わせていると轢き殺されます。作者は何回もやられました。

 

・お父さん

 

 ショウが普段「親父」と呼ぶコウスケとは別人です。

 

・OVERZONEの機能その1

 

 基本的には作中で書いた通りです。学園中のセンサー情報を統合しつつ、それを使って迎撃武装や敷地内の警備システムを操作できます。

 原作ワールド・パージ編では束によって警備システムが丸々無効化されたところに米国の部隊が入ってきたという状況でしたが、逆に無効化されていなければどうなっていたのかな、と想像してみた結果がこれになります。侵入者に清掃用ドローンをぶつけたりして制圧したりできるかもしれません。

 中心に据えられた教員機を中心に学園そのものを1つのISとして扱うようなものなので、操縦技術に優れた真耶に掛かれば対空砲で狙撃だってできます。

 OVERZONEと接続された機体という意味で「ラファール・リヴァイヴ=オーバーゾーン(一線を越えるモノ)」という名称を与えていますが、元となったラファールそのものは別に変化していません。

 

 

・ガルーダの波動砲

 

 あとがきに書いた通り、威力が高すぎるのでバイド戦まで封印していました。

 メタ的な話をすると、初めて波動砲を使うときはできるだけ派手にやりたいと思っていたので、強敵をワンパンさせるつもりで構想していました。ISで苦戦する相手を一撃で倒す時点で試合で使える威力とするには無理があったため、ここまで引っ張ることになってしまった……というのが真相です。

 普通の二次創作だったら、主人公機の必殺技なんてセシリア戦辺りまでには出しておくのが基本なんでしょうが、これは正真正銘の「必ず殺す」技なので……。

 連射すると緊急冷却のために性能が低下するという設定は、R-TYPEⅢの主人公機ラグナロックから採用。そもそもISサイズに規模を落としているので、原典の波動砲と比べると性能も威力も数段落ちてしまいます。

 

 

 

30-6 The Wings of Victory

 

・話名と前書きについて

 

 話名を訳すと「勝利の翼」になります。大まかな意味は千冬や真耶といった強力な戦力が翔び立ったことを指しています。ゲインズに押されていた戦況を引っくり返す存在ですから「勝利の」と付けるのが相応しいでしょう。例によって某ソシャゲのBGMからも引用してたり。

 前書きはエルデンリングのNPC「老兵アンスバッハ」のセリフより。剣を高く掲げ、滾る血に燃えて皆の前に立つ千冬の戦い方を表現するのに丁度良かったので引用してみました。千冬もアンスバッハも一線を退いた強兵という点では似通っているかも?

 

・パトロクロスを運んできたアイテムキャリア

 

 型番の通り、POWアーマーです。片手で持てるサイズとして登場させましたが、元々ゆるキャラみたいな外見なので合っているんじゃないかと自賛してます。

 これ単体で亜空間機能を持つので、道中でバイドに邪魔されなければ何処でも宅急便が出来ちゃうすごいヤツという設定。

 

・新IS【パトロクロス】

 

 原作の暮桜のカラーリングと似ている人型可変機シリーズということで出しました。上の設定集の通り未完成品であり、結果として暮桜と同じような運用になっています。

 唯一の武器である紅蓮は、原作でパトロクロスが持っていた赤レーザーを引用しています。ガラ空きの背面装甲に本当はフォースを接続して、そこからエネルギー供給を行う前提だったため有線の近接武器になっています。

 出撃前の束のセリフとか、紅蓮繋がりで別作品のネタも混ぜ込んでたり……。

 

・箒のセキュリティキー

 

 箒のスマートフォンに完全に紐付けされているので、外部から下手に弄ると消滅するようになっています。これは束が何かしたというわけではなく、元々仮想的に存在していた最上位のセキュリティキーをそのまま移植したことで、それが保有していた耐タンパ性を引き継いでいるためです。

 

・OVERZONEの機能その2

 

 「ISで学園に真正面から攻め込まれたらどうするか」を考えたとき、ISでの迎撃が真っ先に思い浮かぶかと思います。その上で、守る側の優位として豊富な物資の存在が想定されるわけですが、OVERZONEのもう一つの機能はここにあります。

 攻撃側は限られた装備で行動しなければならないところ、防衛側は豊富な物資を常時供給されることで圧倒的な有利条件を作り出せるわけです。真耶はこれを応用して、戦いに有効な装備を選定、付近の味方に正確に射出して配る芸当を見せました。

 

・シアの保有するフォース

 

 スタンダード・フォースH式を数少ないバイド体として、襲来するバイドへの疑似餌にした今回。本当はフォースシュートとか使わせたかったんですが、今回の戦いは乱戦になっているため、下手に使うと味方が食われて消えるシーンを書かなければならず断念しました。

 TACTICSの方でもきちんと隊列を組んだ上でフォースを運用していますし、ヘクトールの面倒を見ているシアも動けないので、フォースらしい活躍は次章まで見送らせてください……。

 

・「オシレーター、モードシフト」という言葉の意味

 

 波動砲に関わる機能を纏めた装置がオシレーターであるというのは1章の設定集で語りましたが、モードシフトというのはそのまま機能の切り替えを意味する言葉です。

 ガルーダの全身を覆う光学ハニカムバリアは、実のところ威力を下げて常時展開可能にしたバリア波動砲です。波動砲を応用したワープ機能も搭載されていますが、これらの機能は同時に使用することが出来ません。基本はバリアにオシレーターが使われているので、「これから波動砲を撃つぞ」となったら、その都度切り替えが必要になるわけです。

 わざわざ口で言う必要はないのですが、安全確認や決意を込める意味で唱えられることが多いようです。「ヨシ!」みたいな。

 

 

30-7 Defy the Prophecy: the Third Angel

 

・話名と前書きについて

 

 話名はヨハネの黙示録8章の10、11節から。第七の封印が解かれたあとで、7人の天使にそれぞれラッパが与えられ、その3番目が吹かれたときに起こることとして、「ニガヨモギという名の星が空から落ちてきて、水の三分の一が苦くなって大勢が死んだ」というものがあります。

 終盤に降ってきたベルメイトが地表に衝突した場合、学園だけでなく海までもがバイド汚染を受けることになり、束の発言通り数億単位での犠牲が出る恐れがありました。今回はその運命に挑むということで、こんな話名にしてみました。

 前書きについても概ね同じです。ベルメイトに突撃する一夏とショウ、そしてそれを破壊したヘクトールを七五調で表現しています。

 

・実況席の2人と、一夏の戦いに干渉する箒

 

 原作だとゴーレムが襲撃している非常事態に実況席に乱入、中にいた人を気絶させて占拠するという暴挙に出ていた箒ですが、流石に異常行動が過ぎるのでそれを否定させる意味で入れました。

 箒の声が大きいというのは伏線がてら何度か描写しているので、上手いことそれを活かせたかなと。

 二次創作でありがちな設定として実況席の中にいたのが虚だったというのがありますが、原作では名無しの人物である以上の情報は見当たりませんでした。とはいえ、このために一々キャラを生やすのも無駄なので、ここは先達に倣う形で虚と薫子を配置しています。

 

獄炎開闢(ヘル・フレイム・フォース)

 

 後書きでも述べましたが、ゴーレムⅢの襲撃が無くなるので、余裕そうに戦うダリル&フォルテコンビを入れておこうと考えたまでは良かったのですが、対するゲインズを凶悪に描きすぎてしまったという問題が浮上しました。

 そこでダリルへのアッパー調整として出したのが、この単一仕様能力です。ヘル・ハウンドという名前からしてモチーフはギリシャ神話の「ケルベロス」でしょうし、厄ネタを仕込む意味で能力の名前をこんな形にしました。R-9SkZとの間には直接の関係はありませんが、間接的には……。

 

・雪片弐型の奇妙な振る舞い

 

 勝手に変形して持ち上がったり、ベルメイトに突撃したときの描写など、原作からは幾らか乖離した振る舞いをさせています。勿論意図的です。

 その内詳しい描写を入れられたらと思うので、お待ちいただければと思います。

 やっぱり白式は特別じゃないとですからね!

 

 

31 春の夕暮れを越えて

 

・話名と前書きについて

 

 R-TYPEシリーズにおいて、「夏の夕暮れ」だと大抵無事では済まないので、春の今なら何とかやり過ごせたよね……といった意図を込めてこんな話名にしました。生命を保って明日を迎えられる喜びというやつです。

 前書きを和訳すると「前へと進む。出会った呪いに祝福されながら」。詳しくはまだ書けませんが、大まかには無事にベルメイトを下して生き残った者たちを指す言葉です。戦った中には無力を自覚して落ち込む人もいますが、きっとそれも成長に繋がるよね……みたいな。

 

・急に恐慌状態になるショウ

 

 まるで真耶からバトンタッチでもされたかのように怯えだしたショウですが、これは「ベルメイト討伐から時間を空けず、ISに乗った状態で真耶を直視してしまったから」です。具体的に何がどうしてこうなるのかは4章辺りまでお待ち頂くことになると思いますが、答えに至る情報はもう出していたり。

 

・シアに乗っ取られたビット兵装

 

 今作において、イメージインターフェイスはより支配的な機体が制御を取れてしまう傾向があります。要するにセシリアよりシアの方がBT適性含めて諸々が上位にあるわけですが、これはR-TYPEΔで制御を乗っ取られてしまったフォースをイメージした設定でもあります。

 割とバイドっぽい技術が既に出回ってるよというフレーバー的な描写です。

 

・青獅子のオルコット

 

 3章に向けての伏線として用意した捏造設定です。とりあえず名家ということくらいしか原作では言及されていないセシリアの家ですが、今作ではそこを裏付けする意味で、イギリス王室が紋章に使っているライオンをオルコットも使っているよということに。

 ぶっちゃけライオンを関係させられるなら何でも良かったんですけど。

 

・査問会議のシーン

 

 エヴァンゲリオンのゼーレに大分影響を受けています。やたら「左様」って言う人がいるのがその証拠。

 このシーンの目的は世界設定の説明が中心で、色々ヤバい事件が起きている中で周囲はどうなってるの? というのを書いておきたかった次第。

 もう1つの目的は優しさに混じった束の狂気を描くこと。外野から一方的に好き勝手言われる千冬を束が助けに来た……ように見えて滅茶苦茶に引っ掻き回してるよ、といういつもの天災ウサギ仕草をさせたかったんですよね。

 

・学園に対する核攻撃

 

 29話で名前だけ登場した「バルムンク」がその核兵器です。エクリプスに内臓されていて、自爆する形で周囲のバイドを纏めて焼き払うことができます。

 詰まる所エクリプスという兵器は、失敗したときにリカバリーするために向かわされた文字通りの「死神」でもあったわけです。

 最愛の妹にすらこんなことを考えておく程度には、束に余裕がないという描写のつもり。

 

・鞠の子、マリコ

 

 本家イメージファイトをご存知の方なら、この名前の意味が分かるかと思います。

 そもそも、謎の蹴鞠シーンの目的がショウにこの名前を付けさせるためのものだったり。

 




 1章までで15万字くらいということは、大げさな言い方をしないでも2章は45万字程度ということ。お前は何でこんな長々と続けたのだ?

 しかも原作1巻の内容だけですよコレ。完結するのかな……。

 とにかくR-TYPE要素を出すことを重視していた第2章でした。「ISにR-TYPEの設定をぶち込んだ」と名乗っているので、そちらに由来する技術や要素を世界に散りばめていくための描写で結構時間を取られてしまった気がします。
 当然、原作キャラをそれで強化するための前フリとして、予め彼ら彼女らの振る舞いも描いておく必要があって、結果としてこんな文字数に膨れ上がってしまったのかなと今更ながら思いました。

 前話や活動報告に書いた通り、次から始まる第3章は暫く間を空けての更新となります。
 ある程度キャラを語るための下地は整えたので、2章よりはスッキリ駆け抜けるつもりではありますが、果たして……。

 こんな作品でもここまでお読みくださった方には感謝しかありません。
 次章までお待たせしてしまうのは心苦しい限りですが、どうぞよろしくお願いします。






 書く場所が無かったので、この場で1,2章の章題について語っておきます。

 ・1章:摘翼-AMPUTATION(ある半身との別れについて)
 ショウとワルキュリアの別れをイメージした言葉を並べました。摘翼はそのまま「翼を摘む」ですし、AMPUTATIONは「外科的な切除」を意味する単語です。特に手足を切除する場合に用いられるようで、ショウにとっては2年間自分の半身として空へ導いてくれたワルキュリアを失うことが強い意味を持っている……といった意図です。

 ・2章:戦色-RED SHIFT(そはきたれり)
  ガルーダの覚醒とバイドの襲来をかけ合わせてみました。戦色は「戦うための色」と染色のダブルミーニング、RED SHIFTはそのまま赤く染まったOF-3。バイドに向けられた烈怒とREDで掛けた部分もあります。「そはきたれり」を現代語訳すると「それはやってきた」になるので、そのまんまです。

既存キャラの強化パターンを見て……

  • もっとやって!何なら別機体渡しちゃえ!
  • 強化装備ポン付け位がいいかな……
  • 機体はそのまま新武器使わせる程度が好み
  • この水は飲めそうだ
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