Infinite stratos / False prophecy 作:✕せんたくだま
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quuxたcorgeが graultたのさ
第3アリーナに隣接する整備室。
2年生から選択できる整備科の生徒達のための施設であるここは、学生寮から最も近いために、整備室を使う多くの生徒にとって理想的な活動拠点の一つだ。ここに諸々の設備を構えておけば、朝一番にここへやってきて一日中作業に没頭することができるし、重い資材を持っていても、運ぶ距離が少ないに越したことはないからだ。
この整備室には15のガレージがあり、教務課で申請することで決められた時間の間だけ利用することができる。ただし格別の理由があれば、その学期の間に特定のガレージを専有することが認められることもある。
15箇所の内の一番奥。他と比べて少し薄暗く、ともすれば陰鬱な雰囲気さえ感じられる15番ガレージに、その格別の理由を持つ人間がいる。
その類まれなる技術力と、優秀な成績により、1年の内から整備室の利用を許された女、
中学生の内から日本の代表候補生に任命されていた簪は、入学に先んじてIS学園でガレージの利用申請をしていた。そうして、誰よりも早く申請ができたことで、優先的にここを専有することに成功したのだった。
この奥まった場所を選んだのは、入り口からのアクセスの悪さに由来する不人気と、
そんな簪は、入学前の3月からここで自身の専用機の開発を進めている。
元は倉持技研と連携して開発が進められていた簪の専用機は、「男性操縦者」の発見による業務内容の
そして、開発途中の専用機と、担当の技術者が最後の義理立てとして渡した開発データだけが簪に残された。残されたと言っても、開発が始まってから大して時間も経っておらず、進捗も少ない。
ISは仮のフレームにコアが載せられているだけの素朴極まりないもので、開発データは大半が計画止まりのものだから始末が悪い。傍から見れば何一つ進んでいないも同然だった。
倉持技研との関係は所属ではなく、飽くまでも連携。互いに利用し合う立場である。
急に開発を打ち切られた簪は、家なき子ならぬ組織なき子となってしまった。
ここから更に開発を進めるには、諸々の人的リソースを自分で集めなければならない。
だがここで、簪は一人を押し通す。
普段からあれこれと比べられ、何時でも自分の劣等感の源泉となっている姉──更識楯無が原因である。
楯無の専用機「
姉に打ち勝つには、ここから完全な独力で機体を完成させなければならない……そんな強迫観念じみたものが、ここ暫くの簪を突き動かしていた。
しかしながら、複雑極まりない系の複合体であるISの開発を一人で進めたところで大した進捗が出ることもなく、「専用機の無い代表候補生」という不名誉なあだ名が噂されているのが現状である。
さて、簪にはゴールデン・ウィーク前くらいからもう一つ悩みが増えた。端的に言えば近隣トラブルである。
壁が薄いのに隣の部屋から何かの喘ぎ声が聞こえる、隣の家のテレビの音が煩い、隣のベランダからタバコの煙が漂ってくる……どこであれ、他者と接する以上は隣人トラブルはどこでも起こり得るものだ。
しかしながら、よりにもよってこの整備室の最奥でそれが起こるとは、流石の簪にとっても想定外であった。
「あっ、今日もここにあるんだ。機体置きっ放しで大丈夫なのかな……」
「不埒なことするとあの
「へえ神秘的……ますます拝み甲斐があるなぁ。なむなむ」
……早速来た。
簪は辟易した様子で作業を止めると、隣のガレージへやってきた
専用機持ちでもないパイロット科の人間がなぜ整備科の領域にやって来るのか。その理由は、隣の14番ガレージを簪と同様に専有している人間──沢村ショウにある。
事の発端は、4月の上旬に1組で行われたクラス代表決定戦。イギリスの代表候補生セシリア・オルコットと経験が浅いにも関わらず熾烈な戦いを繰り広げ、そして勝ってみせたショウは、パイロット科の生徒たちから密かに人気を集めることになった。
そんなショウに一目会いたいと彼を探す人間が出るのは、ごく自然の帰結であるといえる。
しかし、探せど探せど彼は見つからない。やっと見つけたかと思えば、不自然なくらいすぐに視界から消えてしまう。
更に先日行われた生徒会長とのIS戦。新機体ガルーダを引っ提げて現れたショウは、やはり高い操縦技術を見せつけ、勝利を目前にしたところで辛くも敗北した。
簪が聞いた噂によると反則だか投了らしいが、どんな形にせよこの学園で
試合の後、そのガルーダがここに置かれていることを耳聡く知った生徒は、ショウに会う代わりにこの機体を拝み、その技術にあやかることにしたようだ。以来、ここへ拝みに来るものがそこそこの頻度でいる。
クラス対抗戦の襲撃事件でも活躍していたのは簪も見ていたし、確かにその実力は尊敬に値するのかも知れない、と納得しかける。断じて納得はしていない。飽くまでしかけただけだ。
なお、基本的にここへやって来るのは生徒だが、2回だけ教師が居るのを簪は目撃している。一体どうなっているんだ。アンタらは止める側だろうが。
──ぱんぱん。二回の柏手が二人分響いた。
「「明日の試合に勝てますように」」
「あっ、おんなじ願い事してる!」
「ふっふっふ。勝って御礼参りに来るのはあたしだもんね~」
願い事の内容が被ったことを皮切りに、ガヤガヤと賑やかに3年生は去っていった。事あるごとにこういう喧しい手合がやって来るので、IS製作に取り組む簪にとっては集中もへったくれもないのだ。
いや、千歩譲って煩いのはいい。機材の音より人の声のほうがやかましく聞こえるのを加味しても、音ならばまだ対処の仕様はある。
だが、それ以上に。
拝むついでに「専用機の無い代表候補生」を憐れみの目で見てくる輩が許し難い。
同情はいらない。するなら金をくれ。否、それもいらないからとっとと去れ、もう来るな。そして死ね。
彼女らの願い事といえば、必勝祈願とか、技能の向上とかで、大したバリエーションはない。
ラーマーヤナやマハーバーラタに登場する金翅鳥の名を冠しているところが余計に「それっぽさ」を漂わせているが、実際にお参りなんてして御利益はあるのだろうか。簪には分からないが、この傍迷惑の元凶にそんなものはあって欲しくないというのが心情である。
「……」
ガルーダの前までやって来た簪は、今度もじっとりとそれを見つめる。更に、今度は睨んだ。
立位のまま架台の上で佇むガルーダは一ミリも動かない。整備中の機械が置かれているだけならごく当たり前の光景。
だが簪は知っている。
先程の生徒たちを含め、ここへガルーダを拝みに来る者達は、ここにショウがいないと思って拝んでいる。
しかしそれは大きな勘違いだ。今この瞬間も、そして今日ガレージに簪が来るよりも前から、ショウはここにいる。ガルーダに乗ったまま、身動ぎ一つしないで佇んでいるのだ。
そもそも、ガルーダはショウの専用機。そんなものをガレージに置き去りにするなど、まずあり得ないことである。
2日ほど前のことだ。いつものように簪が作業を進めていると、誰もいないはずの隣のガレージから大きい足音がした。少し高さのあるところから着地したような音だ。何事かと思って向かうと、そこにガルーダは無く、代わりに制服姿の沢村ショウがいた。
ショウはガレージの前にいた簪に目もくれず、スタスタと整備室の外へ歩き去っていったのだ。無視ですらない。認識の外に置かれていたような感じ。
一日に何時間もISに乗り続け、しかし何もせず、動きもしない。普通ならずっと同じ姿勢でいれば伸びの一つでもしたくなるはずで、ISを纏っていてもそれは変わらない。架台の上で微動だにしないのは奇妙なことだった。
もしやISを昼寝用のベッドにでも使っているのか、簪には自分の見たものが未だに信じられないでいる。
「──ねえ」
簪は怒気を込める。
この問題の本質を考えれば、真に悪いのはここへやって来る人間たちのモラルだ。周りの迷惑も考えずに振る舞う彼女ら一人一人の行動がこの状況を起こしている。しかしながら、モラルに形はない。人が来る度に文句を言っていても、いたちごっこになるのは目に見えている。
そうとなれば、手っ取り早く責められる相手を糾弾したくなってしまうのが人間というものである。残念ながら簪も例外ではない。
それに、こうして目の前で好き勝手されている状況を、この男はどう思っているのか。崇められて喜んでいるのか、それとも迷惑がっているのか、或いは無関心か。
簪は、いい加減になんとか言えよと聞いてみたくなった。
「毎日のように人が来て、迷惑なんだけど」
だが、反応はない。相変わらず、ガルーダは微動だにしない。
ガルーダは全身装甲のISだ。過去のISと比べても、ここまでパイロットの露出が除かれた機体は珍しい。群青色のラウンドバイザーで覆われた顔面からは、表情も、パイロットが何を考えているのかも窺い知る事はできない。
「…………ッ!」
流石の簪の忍耐力も我慢の限界だった。
一切のレスポンスの無いショウに痺れを切らした簪は、ずいずいとガルーダの前まで歩いていく。そして、利き手を伸ばして、日頃の恨みを──それが不当なものだと分かった上で──込めて力強くガルーダの装甲をノックした。
──ごん、ごん。
この程度の衝撃は大したことではないと判断されたのか、バリアは発動せず、簪の拳が触れた通りに装甲材の金属が響いた。
「い゛っ……!」
──ばちっ。
一瞬遅れて簪の右手に痛みと痺れ。冬場に見慣れたその感覚は静電気のそれで。
……しかし、触った後に起こる静電気などあるだろうか?
そんな疑問を浮かべる間もなく、きゅるる、という耳慣れない音──。
「──ッ!?」
簪は、先程の3年生の言葉を思い出した。
──不埒なことするとあの
簪が見上げると、その頭上から覗き込むように2つの赤い球体が浮遊していた。
3年生が言うところの「赤いの」……正式名称はレッド・ポッドだったか。ガルーダが保有する、射撃機能を持った遠隔操作デバイスだ。
その2つが今、簪に砲口を向けていた。
──見られている。
堪らず簪が後退りすると、ぎょろりとポッドはそれに追従した。それはまるで人魂や目玉のようで、全身の神経を逆撫でされるような不気味さと緊張を纏っていた。
「な、何よ……ここでそんなの使ったら……」
貴方だってどうなるか分からない……その続きが喉に支えてしまった。
咄嗟に脅し文句が出たが、そもそもこれは言葉の通じる相手なのか。ショウは全く喋らない。
ただポッドが付いて来ているだけ。言葉にすればたったそれだけなのに、これから何が起こるか分からない。簪はそれが堪らなく怖かった。
簪は、ポッドを視界から外さないように気を付けながら奥のガルーダに目を向ける。
平時ならスーパーロボットのようなヒロイックさを感じさせる鋭利なデザインだが、今はそれが何よりも不自然なものに見えた。例えるなら、開発され尽くした都会のど真ん中に、綺麗な丹塗りの鳥居が立っているような。或いは、一面クローバーが広がる草原に一本だけ、彼岸花が咲いている……そんな場違い感。
いつからだろうか。胸部、膝関節、掌……装甲の隙間の影から視線を感じた。しかし、どれだけ目を凝らしてもその主になりそうなものは見当たらなかった。気の所為に違いなかった。けれどやはり。
──見られている。
ついに後退りする足が固まってしまった。
しっかりと立っているはずなのに地面がぐにゃぐにゃと揺れている。それが自分の動悸で三半規管が揺らされているからだと気付くのに、普段ならばあり得ない程長い時間が掛かった。
今の簪は無防備そのものだ。隣のガレージまで駆けて行って、工具の一つでも取ってきた方が余程自衛になることは理解していたが、それ以上にこの不気味な赤い球体から目を離す事ができなかった。
「深淵を除くとき、深淵もまたお前を見ている」とは言うが、かと言って余所見をすることなど出来なかった。これを、見張っていなければならない……さもなければ、何か決定的なものを見逃してしまいそうで。
そもそもなんでこんなことになったのだったか。
隣が煩いから文句を言いに来たはずなのに、どうして自分はこんなに怖い思いをしているのか。簪は分からなかった。分からないのが更なる恐怖の源泉になり、恐怖で麻痺した思考は余計に分からなくなる。悍しき無限ループが組み上がっていた。
2機のポッドはその間にもじりじりと距離を詰めてきている。一思いに近付いてしまえば良いものを、しつこいほどの等速直線運動だった。
簪の全身は強張って、もう動けない。逃げたい精神とこのまま見張るべきだとする肉体との二律背反が齎すデッドロックがそうさせる。
「っ、ぉ……」
来ないで。
本当はそう言いたかったが、ガチガチに固まった横隔膜のせいで声とも吐息ともつかない、情けないものが出るだけだった。何なら呼吸の仕方さえ忘れてしまったような気さえする。
必死に横隔膜に命令を送ってなんとか酸素を取り入れてはいるが、それもいつまで続くか分からない。
恐怖に緊張する簪の全身とは逆に、腹の中の
「──んだよ大事なときにピーピー喧しくアラート鳴らしやがって。いい加減に設定を……ぁん? どなた?」
声がした。男の声だ。
生徒でない者も含め、今この学園に男は3人しかいないし、この場に居ていいのはその内のただ一人。
声は簪の正面のガルーダ──ではなく、後方の壁面に備え付けられたスピーカーからだった。何れにせよ、今までずっと沈黙を貫いていた沢村ショウが漸く言葉を発したことに違いはないだろう。
──がちがち、がごん。
重い金属の音と共に架台のロックが外れ、ガルーダの全身がふわりと緩やかに浮き上がる。
それと同時に、簪に詰め寄っていたポッドたちが後ろから引っ張られるようにガレージの隅に戻っていった。例えるなら、散歩中に他の犬に因縁を付けようとしたところを飼い主にリードで引き戻された犬みたいだった。
ガルーダは簪から2mくらいのところまで移動して着地した。それにつられて簪の身体の緊張も解けた。まるで生コンクリートに漬け込まれたように固まっていた全身が急に脱力したせいで、その場にへたり込んでしまう。
「あの……大丈夫か? 体調悪いなら先生呼ぶけど」
再びスピーカーから声がした。簪を心配しているようだった。
見上げると、青色のラウンドバイザーが簪の顔を上から覗き込んでいる。相変わらず中身の表情は分からなかったが、声色を知ることが出来た分、先程のような不気味さはどこかへ消え失せていた。
「あっ、えっと、大丈夫……」
◆
ふーっ。
簪は発車直前のSLのように力いっぱい肺の中身を吐ききって、それから新しい空気を取り込む。そして、体幹に力を込めて立ち上がり、改めてショウの方を向いた。大丈夫、今度は身体が動く。
その様子を見たショウは少し安堵した様子で、ある種当たり前の質問をする。
「問題無いようなら2つ程聞きたいんだが……アンタは誰だ? なんでここにいる?」
「1年4組の──更識 簪。最近のこのガレージのことで話があって」
実のところ、簪は名乗る時に名字を言うか躊躇した。
簪は姉に、ひいては自分の家に敵対心にも似たコンプレックスを抱いている。更識という単語を口にする度に、それを無理矢理意識させられるような気がして、できることなら思い浮かべたくもなかった。
とはいえ今は他者の領域に勝手に踏み込んでいる立場。名乗れと言われて名乗らない訳にも行かなかったので、簪はその諸々を飲み込む。
それから簪は、自分が何故ここに来たのか、その一部始終を詳しく語った。ショウはそれを黙って聞いていたが、途中で浮いている状態から片膝を付いて着地した。
「じゃあなんだよ、ここに勝手に入り込んで神社ごっこやってる連中が沢山いるってことか?」
「そう。こっちが集中してるときでもお構いなしで騒いでるから……。いい加減になんとかした方が、どちらにとってもいいでしょう?
──その様子だと、もしかして全く気付いてなかったの?」
「ああ。どうせ誰も来ないだろうと思ってここ借りてたし、俺に用があるなら普通、学内チャットでなんかアポ取りとか何かしらするだろ?」
簪にとって驚くべきことに、ショウはあれだけ騒がれても全く気付いていなかったという。全身装甲ならば内部の気密性が高いだろうことは容易に想像が付くが、かと言って外界の情報をまるで気にしないでいられるカラクリがまるで分からなかった。
それに、今の今まで簪の存在に気付いていなかったとすれば、さっきのポッドは何だったというのか。
「ねえ、ISに乗った状態でどうやって外のことを気にしないでいられるの……? 普通ならセンサーの情報がずっと入ってくるでしょ……?」
「ん? そういう機能があるんだよ、こいつには。シミュレータが内蔵されてるんだけどさ、それを動かしてる間は邪魔だから外の情報を切ってんのね。
まあ、いざってときはすぐに現実に引き戻されるんだけども」
「えっ、じゃあ、さっき襲ってきたあの赤いのって……」
簪はそう言って、ポッドが戻っていったガレージの端を指差した。
「え、ポッドが? カンザシさんを襲ったって? オイオイ勘弁してくれよ、触ってもないものが独りでに動くわけ無いだろうが。ファンタジーやメルヘンじゃあないんだからさ……。
第一、仮に俺がアンタにこいつらをけしかけたとして、なんでそんな危ないことすんのさ。死体が増えるだろ、それ」
簪の背筋を冷たいものが撫ぜたような気がした。反射的に身をビクリと震わせると、ショウがガレージの端からポッドを呼んできて、簪の前に停止させる。
今度は何の不気味さも感じない。2門の砲身が突き刺さった、赤い半透明の球体が無機質に浮いているだけだった。
まるで飼い猫でも紹介するかのようにショウが「触ってみるか」と提案してくるので、簪はそれを丁寧に断らなければならなかった。
残念そうにポッドを奥へ戻したショウは、本題に戻るべく簪へ向き直る。
「しっかし、どうしたもんかな……立て看板でも置いとくか?」
「うん……貴方がこのことに気付いてないんだったら、それくらいしか方法……無い、かな」
「なら文言を決めなきゃか。オーソドックスなのは『整備中につき関係者以外立入禁止』だな。
あるいは、そうだな……『見 て る ぞ』とか?」
「それはちょっと、不気味……」
もしかして、この男はわざとやってるんじゃなかろうか。簪は訝しんだ。
よく警察が電柱や銀行に付けているステッカーを真似てのことなのだろう。だが、先程の不気味な現象を考えると、ショウの口から「見てるぞ」なんて文言が出てくることに作為的なものを感じずにはいられなかった。
そんな簪をよそに、ショウは思い出したかのように「そういえば」と切り出す。
「カンザシさんは1年だったよな、整備科の選択はまだのはずだが、どうしてここを使えてるんだ?」
「……私、代表候補生だから。自分の専用機を作ってるの。
そういう貴方は?」
「ん? これでも企業の人間だからさ、同じく企業の持ち物のコイツを整備できる場所が必要ってことで、俺じゃなく企業の名前でここを借りてんの。日常点検は俺がやって、大掛かりなのは人呼んだりする感じで」
「その企業って、グランゼーラ? あのサンデーストライクを作った……」
「そうそう、やっぱ名が知れてんだなあ、ウチは。基本引きこもりだから外の情報には疎くてさ……。
カンザシさんは? ISを作るんだったらそれなりに大きいところと一緒にやってるんだろうが」
ショウの言葉に、簪は黙り込んでしまった。言えるはずがない、所属組織もなく一人でISを作る無謀を試みていることなど。
だから、嘘をつくことにした。
「う、うん、ちゃんとしたところとやってるんだけど、名前は守秘義務が──」
「──いや、違うな。さては一人だろ、アンタ」
見透かされた。
なんで?
どうして?
「ど、どうしてそんなこと言うの……? 所属ならちゃんと……」
「第一に、さっき聞いた限りじゃカンザシさんは空き時間はずっとここで作業してるらしいが……おかしいだろ。部分的なパーツだけを自作してるならまだ理解はできるが、アンタは『専用機を作ってる』と言ったな。
それならずっとここに閉じこもってないで、未完成だろうが機体のテスト運転をするはずだし、データ取りにその所属組織とやらの人が来ててもおかしくない。その人達だって神社ごっこしてる連中には辟易するだろうし、今日よりも前に行動を起こしててもおかしくないはずだ。にも関わらずアンタは俺のところにやって来て、『いい加減になんとかしたい』って? 流石に不自然だと思うね」
「……」
「第二に、なんでこんな場所で作業するんだ? 設備の充実度や機密性を考えれば所属元の施設で作ればいいだろうに、開けっ広げのガレージでやる理由がない。既に邪魔が入ってるんだぞ? 嫌だろこんな環境。
となると辻褄の合う答えは限られてくる。でもって一番有力なのは、アンタがどこの組織の協力も無しに一人で作業してるパターンだな……合ってる?」
取り繕うのが遅すぎたのだろう、ショウの推理はどこまでも鋭くて。
簪の身体が震えた。今度は怯えからではない。
単に現状を他人に言い当てられただけなのに、どうしてこんなに怒りが湧くのだろう。
「……大正解。
「滝壺に向かって男と紐なしバンジーした覚え*1はないんだがな……まあこの際なんで一人なのかはどうでもいいんだ。──だからその、提案がある」
簪はあまり大声を出すのが得意ではないので、その怒りを皮肉に込めた。それをスルリと躱したショウは、膝立ちのままガルーダの頭部を簪に近付けた。
「何、提案って」
「あれこれ話して分かった通り、例の神社ごっこ共を手っ取り早く何とかする方法は無いだろう。もっとも、織斑先生ならどうにでも出来そうだが、あの人も忙しいからな……。
となると、カンザシさんがここに閉じこもらざるを得ない状況を変えた方が差し当たっては有効だと思ってさ」
「私に、出てけってこと?」
怒気を込めて言った簪に対し、ショウはけろりとした声で「まあ身も蓋も無いこと言えばそうだな」と返す。
「要するにさ、制作ばっかしててテストできる段階に行けてないんだろ? だったらその段階まで持って行けばいい。アンタが外へ出てデータ取りをする時間が増えれば、この中で神社ごっこ共に鉢合わせする時間だって減るだろ」
「簡単に言わないでよッ!」
決壊するように喉から声が出た。
お前に分かるものか。
企業所属のテストパイロットで、立場も専用機も用意されているお前に、勝手な事情で見捨てられた自分のことなど理解できるものか。そんな怒りが、簪の声帯を強く震わせた。
「貴方、テストパイロットなんでしょ。ただ乗ってデータ取ってるだけの人が、勝手なこと言わないでよ! ……作る側のことなんて何も知らないくせに!」
「──知ってるぞ。少しくらいは」
「……は?」
「他所じゃどうだか知らないが、少なくともウチの場合、テストパイロットの仕事はデータ取りだけじゃなくてさ。設計に開発に部署間の折衝とか……とにかく、色々叩き込まれた上でテストタイプの評価をしなきゃならないんだよ。だからこれでも幾らかは知ってんの。
──まあ詰まる所、その開発を俺に見せてくれないか? 少しくらいは助けになれるかも知れない」
これが本物の企業所属というものなのか。
単に連携していただけの簪と比べて、関わり合える内容が大きく違うというのは、簪にも想像できることだった。
「いらない。それに、貴方の言うことだって、口だけなら何とでもなるでしょ。信じられない」
それでも簪は拒絶する。
これは一人でやらなければならないことだから。そうしないと、あの人には勝てないから。
そんな簪の言葉を聞いて、ショウは心底訝しげに呟いた。呟いたつもりだが、スピーカー越しの声は大きい。
「
「──あ?」
当然の結果ではあった。
簪の、知られたくない、そして口にも出していない意地を、ショウは知らない。それ故に転び出た言葉。
──本当は完成なんかより「作ってる自分」に酔ってるだけじゃないのか?
もちろんショウにそんな意図は無かったが、簪にはそう聞こえた。
結果として、売り言葉に買い言葉が成立する。
「そんなに言うなら、見れば? どうせ何も分からないだろうけど」
「ああ、やっぱり乗り気なのか」
吐き捨てるように呟いた簪は、踵を返して隣のガレージへ戻っていく。ショウはそれをふよふよと浮きながら追った。
ISの開発に使われる資材や本体は基本的に巨大だ。故にガレージの入り口にドアのようなものはなく、間口の面積がそのまま広い廊下に繋がっている。両隣とを仕切る壁を越えれば、すぐに別のガレージに入れてしまう。
ガルーダを拝みに来た生徒が簡単に中に入れたのも、こうしてショウがISを纏ったまま移動できるのも、この整備室の構造が故であった。
「いい加減に降りたら? そのIS」
自分のガレージまで戻ってきた簪は、背後のショウを鬱陶しそうに睨みつけて言った。
いい加減にその
じゃあ後はお好きにどうぞ……簪はそう言い残すと、無数の空中ディスプレイが浮かぶ作業机に向かって作業を再開する。
残されたショウの目に映ったのは、架台に載せられたISと思しき人型のフレームと、同じく架台に載せられた何かのパーツ──灰色のメカニカルなトウモロコシの食べ残しのような──だった。よく見ると、その奥には作り途中のジャンクとも部品の塊とも付かない物体が幾つも転がっている。
間違って触って壊す可能性を排除するため、ショウはガレージの入口に留まったまま、ガルーダの望遠機能だけでそれらを注視した。
「中身は完全な新規造形じゃないな……ええと、打鉄だっけ? どこのやつか忘れたけど、ベアボーン*2寸前まで剥ぎ取ってこれから色々積もうってところか。で、辺りにあるのは作り途中のコンポーネント類と」
「……え?」
元々大して集中出来ていなかった簪だが、つい振り返ってしまう。
またもや、ショウの言ったことは全て当たっていた。最小構成までパーツを削ぎ落とした簪の専用機──打鉄弐式は、予定地とでも呼ぶべき状態だ。元の打鉄など見る影も無い。
空き地だけを見て前に何が建っていたか知るのが難しいように、このフレームだけ見てそれを看破できる辺り、ショウの知識は嘘ではないのかも知れない。
「でもってそっちの……なんだ、トウモロコシみたいなの。多分ミサイルポッドだと思うんだが、これ何連装だ……?
あの、カンザシさん、やっぱり設計図とか仕様書とか見せてもらってもいいか? これだけじゃ分かんねえわ」
「……後で消してよ」
簪は手元のデバイスを操作して、ガルーダに仕様書のファイルを送った。受け取ったショウは黙り込んで、それを読み進める。
二人の他には整備室に誰もいなかったのもあって、辺りには静寂が広がった。
10分ほど経っただろうか、静寂を破ったのは、今度もショウだった。
「『8連装ミサイルブロックを6箇所に設置、同時に48発を発射可能』『マルチロックオンの諸元入力については新型プロセッサで対応』……ねえ。余程ミサイルが好きらしいな、カンザシさん」
「……まあね。で、どうなの」
仕様書の一部を反芻するように読み上げたショウに、簪は感想を催促した。
「んー、まず作業の進め方がとっ散らかってるのは良くないと思うね。『アレ作って、上手く行かなかったから次はコレ作って』……みたいなループを続けてんでしょ? 奥に転がってる半端なパーツ類が良い証拠だ。
……とりあえず一旦他の物はきっぱり後回しにして、どれか一個が完成するまで進めるべきだな。基礎が一段落してた方が色々進めやすいし、やるならフレームをオススメするが」
「う゛っ」
「あと装甲材がどこにも見当たらないんだけど、モノは決まってるんだろ? 発注先に困ってるとか?」
「う゛う゛っ」
ショウは仕様書とガレージを見比べながら──簪にとっては致命的な程に──簪の図星を突いていく。分かってはいたが対処出来ていない工程を指摘される度に、簪は
とはいえ悪いことばかりでもなく、安くて性能の良い部品を作っている企業の情報であったり、置いておいた方がいい機材の名前だったりといった耳寄りなアドバイスも多かった。
そうしていつの間にか、簪はショウのことを見直していた。「何も知らないテストパイロット」から、「経験のあるエンジニア」へと。
しかしながら実のところ、ショウはISの製造について詳しいわけでは無い。時折応援に呼ばれて行った先がたまたまISの開発を行う部署だった経験が何度かあるだけで、本業がテストパイロットである以上、ショウ以上に経験を積んだ人間など星の数程いる。特にISに特有の部分……コアそのものや、それとフレームの媒を行うOSに関しての知識は皆無と言ってもいい。
だからショウはその点に関しては触れない。見向きもしない。どうせ分からないからだ。
簪の心中に芽生えたショウへの尊敬は、たまたま簪がそれに気付いていないから成立している。簪の抱える問題の大部分が、IS以外のモノづくりにも共通し得ることであるということに。
「あの、ありがとうございます。それと、ごめんなさい……さっきは酷いことを言ってしまって……」
「一人でやるってことなら言えるのはコレくらいかなぁ……まあ、こんだけ道具も揃ってることだし、さっさと跳んで走れるくらいのフレームまで作ってしまえば今よりは早く進むんじゃねえの。
少なくともここに閉じこもってる時間の内の幾らかは減るはずだ。頑張って」
一通り語り終えたショウが、「んじゃあ貰ったファイル消しとくわ」とガレージを去ろうとしたところで「待って」と簪が引き止めた。
「できれば……できればでいいから、このISの設計について感想を聞かせて欲しいの。私が設計したから、その、貴方みたいな人がどう思うか知りたくて……」
これは簪が己に課した「一人で全て完成させる」というルールに反することだった。問題解決のための副次的な恩恵として、飽くまでも結果として助力を得るならまだしも、今度は自分からその恩恵に預かろうとしている。
だが、ショウから得た情報は、一度味を占めれば忘れがたいほどに魅力的だった。今日まで頑固にも他者の強力を跳ね除け続けた簪には尚更である。
だから、今度も簪は自分を納得させる言い訳を考えた。
これは飽くまで感想を聞いているだけ……。そもそも助力を申し出たのはあっちなんだから、これはその一部なのだ……と。
「あんまり口出しちゃ邪魔じゃねえかな」と少し困惑気味に振り返ったショウは、再び簪の前までやってきて顔の高さを合わせるように膝を突いた。
「いやまあ、とにかくミサイルが打ちたいんだなって感じの設計なのは改めて思ったね。
大方、48発のミサイルをけしかけられた相手がギリギリの回避を繰り返すリアル『板野サーカス』を特等席で見ようとしてるんじゃねえか?」
「う゛っ」
この男、実は超能力者か何かなんじゃないだろうか。またもや図星を突かれた簪は、訝しみながらもお腹を押されたカエルのような声を上げる。
「いやまあ、ミサイルがカッコいいのはよく分かるんだよ。
俺も昔やってたブラウザゲームで、短射程でリロードと弾速が速いミサイルを積めるだけ積んで敵陣に突っ込むのが楽しくてさ……ド派手だし気持ちいいんだよなアレ」
「わかる! すっごいわかるっ!
爆発だけじゃなくて、その後に残った無数の軌跡も美しくて……でも戦闘機のミサイルは積載の縛りが大きいから、ISならもっと沢山撃てるかなって」
今や簪にとってショウは最早同志そのものである。もしも尻尾が生えていたならブンブンと振り回していそうなくらいに、簪は歓喜を隠さない。
そんな現状を打ち砕くのがISの性能である……簪はそう考えていた。
「そう考えると、好きなものを計画できるのはいいことなんじゃないかなって思います。何より自分が使うモノだからな。渡されたの使い続けてたら好きになってた俺とは逆だけども」
そう締めくくったショウは、「で、ここまでが俺個人の感想な」と急に立ち上がり、ガレージの奥を向いた。
どちらかと言うとこっちの方が大事そうだからコレも言っとくが……続けて前置きしたショウの声は、先程と比べて少し真面目な印象で。
「テストパイロット兼エンジニアとして言えば、このISが完成したとして、更に俺がそれを相手取るとして……なんつーか、全然怖くないんだよね」
声色の通り、ショウが次に始めたのは技術者としての批評だった。
──そもそもミサイルって道具の役割は何か……まあ色々あるのは置いといて、織斑先生によるとそれは『選択肢の強制』なんだそうだ。『他を諦めて回避に専念する』か『被弾覚悟で突っ込む』かって具合にな。
──48発もミサイルがあったって、結局発射点はIS一機だ。纏めて来ようが自機狙いなのが分かってるんだから回避も迎撃も容易いし、全然プレッシャーにならない。
──じゃあ各ブロック毎に順番に発射したらどうなるか? これもあまり変わらない。相手がミサイルを気にする時間が6倍に伸びるのは怖いが、設計がマルチロックオンに偏重しすぎてリロードが一括になってるじゃねえか。リロード中の空白時間に好き勝手されるのが目に見えてる。
──あとミサイルが小さすぎるぞこれ。誘導装置のほかは推進剤と火薬とで容積を取り合うわけだが、これじゃ大した量の火薬は積めないし、それこそ全弾纏めて当たるくらいじゃないとIS相手じゃ怖がって貰えないんじゃないか。飛距離と火力のバランスは見直すべきだな。
──ロックオン周りも大問題だな。新型プロセッサとやらの開発が終わってるようには見えないし……そういうの、単体で開発したって卒業までの3年じゃ済まねえだろ。しかもそれで処理能力が足りないときは手動ロックオンを想定ってのもマズイな、そんなコトしてる時間が取れるならもうその時点で勝負が付いてそうだ。
──弾持ちも気になるな。48連射に拘る設計してるのは分かるが、仮に3回やると仮定しても140発以上積む羽目になるんだが、容量足りんの?
もうリップ・サービスはおしまいとでも言うつもりか。矢継ぎ早に刺し込まれる指摘の嵐が簪を襲った。
簪も愚かではない。何も考えていない訳ではなかった。指摘されたことの全てが、簪が一度は問題視していたことだ。
だが、分かっていてもどうにもならないことが多すぎた。それら全てに対応しようとすれば、設計と仕様の全体を一から完全に組み直すレベルの作業が要求されるのは明白だったし、そんなことを実践しようものなら、辛うじて立っていた完成の目処さえ瓦解する確信が簪にはあった。
一度でいい。折角の姉に勝つチャンスを無駄にするなど……。
「そ、それ、は」
全身が震えて、今自分が立っているのか、へたり込んでいるのか分からなかった。口の中がガビガビに乾いて、言葉が出てこない。またもや、呼吸の仕方を忘れかけていた。
「何より一番気になるのは、ミサイルのこと勉強してなきゃ出来ないような設計計画してるくせに、ミサイル好きなら絶対にやらないような無茶を組み込んでる点だ。威力から誘導から半端だし、これじゃあ新規性と実現可能性だけで実用性のないナニカになるぞ。
だからあの、一つ聞きたいんだけど──」
そんな簪の様子を知ってか知らずか、ショウは更に核心を問う。
「──これ、ホントにアンタが作りたいものなのか?」
──どん。
簪は、下から伝わる鈍い音と衝撃を感じた。それが、もう一度自分が膝を付いてへたり込んだ時のものであると気にする余裕は無かった。
「新規性と実現可能性だけで実用性のないナニカ」。
簪が一番良くわかっていて、一番言われたくないことの一つだった。
そもそもの計画として、簪の専用機「打鉄弐式」に搭載する武装にを多連装ミサイルにする、というのは決まっていた。折角の専用機だから、自分の好きなものを積んで好きに使いたいという願いがあったからだ。
だがここで、姉へのコンプレックスが邪魔をした。いや、当時は邪魔に思うどころか歓迎さえしていた。それに従って搭載するミサイルの同時発射可能数を既存のものより飛躍的に増やすことで、明確な新規性を獲得し、姉よりも高い技術を見せつける。
姉だけじゃない、自分を見捨てた倉持技研にも……そうして、簪は功を焦った。
「何にせよ、一旦詳しい人に相談すべきだと思うね。今の段階なら傷も浅いし、問題は相談相手か。ウチならネオンって人が……いや、不確実だな。
──あ。そういや今更だけど更識ってアンタ、
「……ッ!」
簪は最後の気力を振り絞ってフラフラと立ち上がり、ガレージの外へ、更には整備室の外へと駆けた。逃走だった。あの場から一刻も早く逃げなければならなかった。
途中で誰かにぶつかったが、それが誰か気にすることは勿論、謝るような余裕は無かった。
まるで自分の頭蓋骨か胸骨をこじ開けて、その中身を勝手に読み上げられるように見透かしてくる、沢村ショウという男。
簪は頭がおかしくなりそうだった。
あの言葉に曝され続けていたなら、その恐るべき浸透圧に身も心もずたずたにされると思った。
◆
「……ん? いねえな。それとも最初からか?」
ぽつんと一人。15番ガレージに取り残されたショウは、怪訝な様子でガルーダを解除した。
他に利用者もいない整備室はしんと静まり返っていて、逆にそれがきぃん、という甲高い耳鳴りを引き起こしていた。少しうるさい。
ショウは、足元に何も無い範囲に限って、15番ガレージの中を歩いて回ってみた。
置いてあるのは、開発中の物を置くための架台と、電子レンジのような外観の3Dプリンター、工具が先端に取り付けられたロボットアーム、出しっぱなしのレンチ……。
窓が遠いからか、照明が弱いのか、細かい部分は見えなかったが少し乱雑な印象を受けた。
端に置かれたデスク周りには、同じく開きっぱなしの空中ディスプレイのウィンドウが数枚。
勝手に弄られるのも気の毒だし、セキュリティの面からもスリープモードにするくらいはしてやるべきか……いや、勝手に弄る点では同じか……。ショウが迷っていると、ウィンドウの一つが目についた。
「あれ、このサイトって……」
テキストエディタやCADソフトなどの開発に関わる画面が開かれている中で、そのウィンドウだけはブラウザで関係のないサイトを表示していた。
ショウはそのサイトに見覚えがあった。しかし記憶している内容とは外観が少しだけ違う。
昔、短い期間ではあったが、それなりに熱を入れて遊んだことのあるブラウザゲーム。Flashの終焉と共に記憶の彼方へ消え去っていたはずのそれが、どういう訳か空中ディスプレイに映し出されていた。
こんかいのまとめ
・簪
ほとんど機体が作れていない日本代表候補。もう意地張ってられる段階じゃないのでは?
ショウに現実を見せられて抱く危機感とちょっとの希望。
軽蔑、尊敬、恐怖……。感情のジェットコースターでもうダメ。
・ショウ
ミサイルって良いよね。
面白そうなだけに技術屋トークが止まらない。手加減って言葉知ってる?
ところで自分は一体誰と話してたんだろ。なんか懐かしいゲームあるけど。
姉の本格登場に丸一話使ったんだから妹もそうしないと不公平だよね、と思ったわけでもなくこんな形になった今回。
原作の時系列では登場がかなり先になる簪の登場を早めることで、打鉄二式がまだまだ未完成ということを強調したつもりです。その分の穴埋めはR-TYPE要素で出来たらと考えているところ。
例によってやけにホラー風味なのはご愛嬌。
1章の頃から妙な振る舞いを見せる主人公機のコアこと「マリコ」の性質に踏み込んだ描写をすると、どうしてもとこうならざるを得ないといいますか、生き人形的な不気味さが出てしまいます。
そもそもISコアには意識があるという設定なので、それが表に出てきたらオバケにしか見えなさそうだな、と。
既存キャラの強化パターンを見て……
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もっとやって!何なら別機体渡しちゃえ!
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強化装備ポン付け位がいいかな……
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機体はそのまま新武器使わせる程度が好み
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この水は飲めそうだ