Infinite stratos / False prophecy   作:✕せんたくだま

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 例によって設定集を置いておきます。
 本文ではないので別に読まなくても良い内容なんですけど、自己満足の小ネタ解説も沢山あるので、適宜本文と見比べて貰えると色々発見があるのかなと思います。


appx.3 設定とか

機体の設定集

 

バイドの設定集

 

小ネタ集

 

3章を終えて

 


◆機体の設定集(3章時点で公開可能な範囲に限る)

 

・BX-T DANTALION

 

分類:バイド体抽出物添加試験モデル

世代:なし

所属:不明

待機形態:なし

装甲:弾性バイド素子装甲+滅菌済みウロコ状バイド体

波動砲:ダンタリオンの笛

仕様:バルムンク内蔵

   汎用バイド素子運用システム搭載

 

武装

-ダンタリオンの笛

 

 バイド体を組み込んだ特殊なオシレーターによって実現される、加害範囲に優れた波動砲。

 雄性の生殖細胞の振る舞いに着想を得た分裂仕様と効率的な弾道により、ダンタリオンを中心に青海波文様を3次元に拡張したような網目状の拡散弾を放つ。

 拡散弾の1発ごとの威力はスタンダード波動砲と比べて低いものの、ISの絶対防御を貫くには十分であり、総火力という観点では凌駕している。バイドが持つ異常なエネルギー効率を取り入れているために、波動砲のチャージ量辺りの威力も高い。

 チャージ中及び発射時に何故か魔法陣のような光の模様が機体の周辺に現れるが、これは余剰エネルギーで可視化された波動砲の力場である。しかしながらこの形になる理由については一切不明。

 

-スケイル・ブラスター

 両腕部を覆うウロコから、同じくウロコ状の光弾を放つ装備。鋭い斬れ味と長い有効射程を持ち、小型のバイドならば防御を貫いて容易に撃破が可能。

 エネルギー弾という仕様上、残弾の概念もないため、本機に高い継戦能力を与える一因となっている。

 

-モデルケース:マッド・フォレスト

 バイド素子制御技術の汎用的な実装を目指した設計思想により、実用化段階のバイド素子技術を移植して運用できる本機だが、マッドフォレストは植物系バイドの性質に着目した武装である。

 一般的な植物に由来するセルロースファイバーを圧倒する強度を持った蔓を即座に形成することで、目標の捕縛や鞭打による攻撃など幅広い活用方法が見込める。

 また、バイド体由来であることから、バイドに直接触れても汚染を恐れる必要のない装備でもある。

 

-ライフ・フォース

 

 エネルギー体になるまで純粋化したバイドに、コントロールロッドと呼ばれる特殊な素子を撃ち込んで制御可能にするバイド兵器「フォース」の一種。コントロールロッドが雄性の生殖細胞を模しており、大量に用いることで高いバイド反応のフォースであろうと運用を可能にした。

 一般的なフォース同様に、触れた物質・エネルギーを分解して吸収する作用があり、取り扱いには非常に危険が伴う。この性質は蠢く無数のコントロールロッドにまで及ぶため、接触の危険性は更に高まっている。

 ダンタリオン本体から入力されたエネルギーを増幅・変換し、レーザー体を放つ性質がある。

 放たれるレーザーはフォースに「投与」した特殊な偏向クリスタルの種類で変化し、倉持技研を襲撃した際には赤血球のような外見のエネルギー弾を放つ「ブラッドレーザー」が選択されていた。

 

 

 

 

 「笛持ち」、または「アアル」と名乗る謎の人物が駆る正体不明のパワードスーツ。映画のエイリアンのように後ろへ伸びた頭部と、それを覆う黄緑色のゲル状バイザーが特徴。

 ケイロンの解析によるとRシリーズに該当する機体のようだが、詳細を知るものはパイロットのみである。

 両腕を覆うウロコ状の装甲は実際に生物系バイドから採取されたもので、軽さと強度を両立している。滅菌以上の処理はされていないものの、波動エネルギーを放つオシレーターの付近に配置しているため、バイド汚染の可能性は低いとされている。

 既存のRシリーズと比べて、構成物質にバイド体を積極的に採用することで安価かつ高頻度での量産を可能としている。材料となるバイド体は一定量を確保してしまえば増殖・収穫が可能であるため、設備を整えた笛持ちは無数のダンタリオンを保有している。

 また、量産化された有機パイロットユニットを採用することで内部の居住スペースの最小化に成功。空いたスペースに自己修復機能を持った薬液や、除染・自爆用の波動式水爆「バルムンク」を搭載し、バイド兵器としての安全性を高めている。しかし、パイロットユニットには歩留まりと使用期限の概念があり、運用に耐える水準のユニットの製造がボトルネックとなっている。

 結果としてアアルが同時に運用できるダンタリオンの数には限りがあり、うち1機を一夏に破壊された後はレヴィアタンの監視に支障をきたしていた。

 1機だけ、金色のバイザーと赤色の装甲をした別個体が存在する。

 

 

 

・R-13T ECHIDNA

 

分類:電撃波動砲試験搭載型Rフレーム

世代:第2世代

所属:亡国機業

待機形態:不明

装甲:角鱗状ナノソルモナジウム装甲

波動砲:ライトニング波動砲試作型

仕様:光学チェーン装備

 

武装

-ライトニング波動砲試作型

 波動砲が放つエネルギーの大半を電撃に変換することで、物理的な破壊力を高めることに重きを置いた波動砲。アメリカで行われた試射実験では、ISを模擬したバリア装備の模型を跡形もなく消失させる成果を見せた。

 しかし、致命的な弱点として誘導性が皆無という特性を持ち、放電の性質を知っていれば受け流したり明後日の方向へ誘導してしまうことは難しくない。

 波動エネルギーの電撃への変換設備という点では有望な技術と評価されたためか、エキドナが盗まれた後も各地で改良のための研究が進められているという。

 

-αレーザー

 腕部に内蔵されたコンバーター式のレーザー兵装。

 右腕から細い真っ赤なレーザー体を照射するシンプルな武装で、切れ目のない攻撃が可能である。

 高い威力と長い射程から一種のレーザーブレードとして振り回す事もできるが、高速戦闘が前提のISでは扱いづらい運用方法である。

 

-光学チェーン

 左腕に装備されたレーザー体発生装置。高いエネルギーを持った小さなレーザー体を数珠のように連ねて鎖とする武装で、目標の捕縛や切断に用いられる。

 通信用ケーブルとしての役割もあり、エキドナのフレームに内蔵されたウイルスプログラムを目標のISのコア部分に流し込むことで、一時的だが機能を完全に麻痺させる事ができる。さながら毒ヘビのような機能だが、エキドナが相対した時点のガルーダはISではなくなっていたため無効だった。

 アアルによると、スコールたちに本機を回収させたのはこの装備が目当てだったという。

 

-ニードルガン

 腰から生えたテールユニットの先端に搭載された軽実弾武装。

 電磁式の発射機構により鋭い棘を毎分500発のレートで撃つ事ができる。弾体の鋭さのために対ISから対人まで幅広い加害性能を持つが、複雑な装備を多用した本機の拡張領域は狭く、最大装弾数もあまり多くないため、考え無しの連射は禁物である。

 

-特殊爆薬

 テールユニットのうち、ニードルガン以外の部分を充填する爆薬。

 一度きりしか使えない代わりに高い破壊力を持つ武装として設計されており、機密保持のための自爆や、テールユニットを目標に巻き付けたまま切り離しての爆破工作など幅広い用途に対応する。

 威力の割にテールユニットそのものの製造は容易で、文字通りトカゲの尻尾切りの要領で気軽に使い捨て可能な装備である。

 

 

 米国DARPAが開発中であった試作第2世代IS。

 束からの技術供与によって建造が計画された無人兵器「ゲインズ」を統括する隊長機として設計されており、光学チェーンによる通信機能は無線通信が使えない環境でも命令を伝達するためである。

 一方で新型波動砲の実験機としての側面も持ち、誘導の効かない試作武装を随伴機に守られながらテストすることが運用プランとして想定されていた。

 オータムが本機の強奪を命じられて基地に潜入しようとした時点で、暴走したゲインズにより基地は壊滅状態であった。オータムは煙を立ち昇らせるその廃墟を少し散歩して、パイロットの居ない本機を拾って帰るだけで良かった。

 

 

・BT-02 Silent Zephyrs

 

分類:一撃離脱強襲型IS

世代:第3世代

所属:イギリス政府→亡国機業

待機形態:不明

装甲:BTエネルギー反応装甲

仕様:BTシステム搭載機

   防御型ビット装備

 

武装

-R-9D シューティング・スター

 BTエネルギーを用いた大型のレーザーライフル。通常時は高出力のレーザー弾を放つが、モードを切り替えることで後部ユニットに搭載されたオシレーターによる照射型の《圧縮波動砲》を使用可能である。

 有効射程は50km程であるが、威力を無視した最大到達距離は30万km程とされ、「地上から月面に文字が書けるペン」の異名もある。

 スタンダード波動砲と比べると貫通作用が弱まっている代わりに、切れ目のない照射による「薙ぎ払い」が可能となっている。ISの絶対防御を貫くには長時間の照射が必要であるが、貫く前に目標のエネルギー切れを誘発できるため、亡国機業が行うISの強奪には有効な装備と言える。

 オシレーターそのものは研究所地下にある精神拡張デバイスからサルベージされた技術をベースに設計されているものの、完全再現には至らず照射型のレーザー兵器に寄った性格のものになった。

 型番のRはRASER(R-wave Altanation by Stimulated Emission of Radiation)の頭文字であり、グランゼーラの機体と被っているのは偶然である。

 

-レーザーナイフ

 正式名称不明の小型近接武装。

 BT1号機に搭載されていたインターセプターと比べると更にコンパクトな設計で、機体のコンセプトに照らせば懐刀のような補助兵装に近い立ち位置である。

 

-シールド・ビット

 BTシリーズに特有のビット兵装の中でも、防御機能に特化したもの。

 紫色のレーザー体を表面に展開することで実弾・エネルギーを問わず防げるほか、直接目標にぶつけることでダメージが見込める。

 精神拡張デバイスと呼ばれる3つのオブジェクトのうち、銀色の2つが持っていた過剰なまでの頑丈さを再現すべく開発されたビットである。ただし、レーザー体では想定したほどの強度が得られなかったため、それを補うために4基が搭載されている。

 パイロットの意思に応じて機体の周囲を浮遊しており、被弾面積を広くカバーできる。

 

 イギリス政府が進めるBT計画によって建造された2番目のIS。BTシステムそのものの試験を目的とした1号機と比べて、より実戦を想定した設計になっており、速度・火力・防御力をバランス良く取り揃えている。

 背面に搭載された2基の大型スラスターによる瞬発力は、量産モデルの中でも速いとされるサンデーストライクの速度を上回っており、コンセプト通りの一撃離脱を可能としている。

 BTシステムに特有の偏向射撃(フレキシブル)は本機でも可能であるが、射撃機能のあるビットが装備されていないため、レーザーライフル《シューティング・スター》からの射撃でのみ扱える。これは遅々として実働データが取れなかった偏向射撃(フレキシブル)を当てにするくらいなら、「地に足をつけて防御に特化させた方が実戦向きである」という政府側の要望による。

 3章でまんまと亡国機業に盗まれてしまったが、国際情勢を鑑みてこの件については厳重な戒厳令が敷かれている。

 

 


 

 

◆バイドの設定集

 

・CodeName: Leviathan

 

 全長約600mの巨躯を持つ、「白鯨」とも呼ばれるA級バイド。

 北米の東海岸で多発した機械の暴走事件を起こした根源であり、その正体は10年前に現れた大型バイドの成れの果てであるという。当時の人類にこのバイドを完全消滅させるだけの手段は無く、代替手段として増殖作用のある波動エネルギーのクリスタルを撃ち込むことで侵食し、バイド汚染を打ち消し続ける方法が取られた。

 肉のすべてを波動エネルギーの結晶に蝕まれ、コアと骨だけになりながらもレヴィアタンは活動を続けており、その強大なバイド反応は付近の機械を誤動作させてしまう。また、レヴィアタンの存在に引き寄せられて別のバイドが現れる事案も散見されるため、常に監視が行われている。

 

 

・ゲインズ(変異型)

 

 アメリカが開発していた汎用無人随伴機によく似た機械型バイド。

 似ているのは見た目だけで、50mオーバーの体高やアメリカが保有していないテクノロジーによる超高火力兵装など、内面は全くの別物である。

 その正体はかつて支配下に置いたアメリカのゲインズの形に重ねるようにして、空間から湧き上がるバイド粒子が集合した純粋なバイドである。地球上の物質と異なり、陽子や中性子といった核子をバイド粒子が代替する形で全体を構成しており、その姿・機能はバイドそのものに記憶された破壊本能に由来する。

 内部に形成されたコアを破壊するまで活動を止めない冗長性を持ち、実質的にはA級に近い規模のバイドとされる。

 アアルによれば学園を襲った個体以外にも近接特化モデルを始め複数のモデルが存在するというが、アメリカ側ではそのようなものが開発された事実は無い。

 

 

 

 


 

 

◆各話ごとの小ネタ解説とか

 

32 E pur si muove.

 

・話名と前書きについて

 ”E pur si muove.”と書くと馴染みがないかも知れませんが、これは地動説を唱えたことで裁判に掛けられたガリレオの言葉「それでも(地球は)動く」です。

 日本はゴールデン・ウィークのお休みだけれど、それでも勝手に世界は動いていくぞ、という意味で3章の始めに置いてみた話名になります。この回で登場したキャラの大半は休めてませんからね。

 前書きについても大意は同じですが、何のカウントダウンかは色々意味を含めています。少なくとも「ショウが廃人になるまで」、だけではありません。

 

・一夏のお出かけ

 立場上IS学園から出づらい男2人ですが、代表候補のような身分のある専用機持ちとなら行動可能ということになっています。今回の場合、一夏にはいざとなれば白式がありますし、そうでなくとも鈴が守るので、学園の近くなら問題になりづらいだろう、との見立てによります。

 

・ショウの「両親」

 「高原 仁」と「高原 麗」という名前が刻まれた墓標の前を訪れたコウスケですが、彼はショウと血が繋がっているわけではありません。高原夫妻とコウスケの関係は、OFX-2ワルキュリアの開発よりも前、OF-1の計画まで遡ります。そこで夫妻が亡くなったことで計画が凍結された……というのがバックグラウンドで、その息子を引き取って計画を復活させたのがコウスケです。

 ちなみに「高原 仁」および「高原 麗」は、アイレムシューティングの一作「海底大戦争」に登場する主人公2人の名前だったりします。

 

・破損したワルキュリアの扱い

 1章で壊れておしまい……とはなりません。勿論ワルキュリア自体は型落ちなので戦力にはなりませんが、今後も登場する予定です。

 

 

33 見 て る ぞ

 

・話名と前書きについて

 話名は簪にショウが提案した警告文です。

 前書きは、有名な歌「おばけなんてないさ」の歌詞の初めの方に出てくる名詞を全てメタ構文変数に置き換えたものです。これだけで何の歌か脳内で補完出来てしまった方もいらっしゃるかも知れませんが、まさにそこが肝です。存在しないものを勝手に結びつけて、脳内で恐怖を生み出してしまう……ガルーダの格納庫という不気味な場所で、特に何かされた訳では無いにも関わらずどんどんドツボにはまっていく簪の精神状態を表した文章でした。

 

・引きこもるショウ

 時々ショウは自分のことを引きこもりと呼びますが、その自称は日中でもずっと機体に閉じこもってイメージファイトに明け暮れる様子から来ています。

 まるで誰も乗っていないかのように静かに没入しているせいで、日中の学園でショウの姿を見つけるのは非常に困難になっています。社交性の欠片もないこの行動にも理由がありますが、結局のところ、これが一番居心地のマシな過ごし方なのです。

 

・勝手に動くポッド

 後の話でも我の強さが描かれたガルーダのコア「マリコ」ですが、殴られたら殴り返そうとする程度には感情豊かです。パイロットが中にいるが、操作そのものは行っていない、という状況を良いことに勝手にガルーダを動かしたりしています。

 したがって、簪が行った強めのノックに対し「一発は一発だぞコラ」とばかりにポッドをけしかけようとしたのが作中の流れになります。

 

 

34 Flash_Back/Front

 

・話名と前書きについて

 フラッシュバックというのは、過去のトラウマ体験が突然かつ非常に鮮明に思い出されたり夢に見てしまうような心理的症状です。過去に受けた言葉を思い返して嫌な気分になる簪や、現役時代の確執に引きずられている真耶のように、フラッシュバックを起こすキャラが登場しているのが今回でした。

 これらに共通するのは「もう終わったこと」に影響を受けているということです。

 では、Backを逆転させてFrontとしたら、それは何を指すでしょうか?

 そもそも、過去というのは、どこの誰の視点から見た時点の話なのでしょうか?

 

・簪が見ていた特撮作品

 はい。誰がどう見ても仮面ライダー龍騎です。

 ヒーローとミサイルが好き、という点からゾルダとか好きそうと連想してこんなことに。

 簪は時々、自身の屈折した状況を火器の一斉射撃で吹っ飛ばす妄想をしています。

 

・本音が受け取った絵

 クラス代表決定戦の後でショウから受け取った風景画を、なんと本音は見ないまま引き出しの奥に仕舞っていました。

 運命の悪戯か、簪がいる前で開かれたその紙に描かれていたのは、簪がこれから造るプログラムでした。

 ショウは一体どうしてこんなものを描けたのか? そもそも彼が見ているものは?

 Flash Frontという言葉が指す答えはコレと同じです。

 

・簪とショウが遊んでいたゲーム

 ここで名前を出すことはしませんが、実在のFlashゲームです。作者にとっては個人的にお気に入りの作品で、小さい頃はこれに力を注いでいました。

 久々にサイトを見に行ったら、なんとゲームの作者様がHTML5版として復活させていまして、非常に嬉しかったのを覚えています。

 

 

35 木漏れ日と篝火

 

・話名と前書きについて

 話名は自然豊かな倉持技研の敷地と、そこで出会ったヒカルノのことを指します。

 前書きの大意としては、思い掛けず出会ったヒカルノから千冬の過去の日々を聞いた一夏や、前から整備をサボったため故障で練習ができなくなった白式、IS業界で上を目指そうと協力を提案するヒカルノの様子を七五調で書いてみた……つもり。

 

・作中世界の動向

 原作と違い、R戦闘機を基にした機体が世界シェア3位に食い込んでいる本作ですが、OF-3の登場で更に大きく動いています。

 ヒカルノの見立て通り、OF-3に搭載されているのは束が関わった極めて高度な技術で、そうと知らなければ100年は先でないと生まれない完成度です。作中時間は2022年、その100年後は22世紀といえば、この意味がご理解いただけるかも知れません。

 こんなハイスペックが出てきたら他の企業も危険視するよね、というのはもう一つのポイントです。こちらは4章で描く予定。

 

 

36 B-Weapon

 

・話名と前書きについて

 話名はそのまま「BYDO-Weapon」の意味で、前書きはソロモン72柱におけるダンタリオンの立ち位置を並べたものです。数価というのは前章30-3の前書きと同じルールに由来する数値だったり。

 

・突然出てきたバイド兵器

 R-typeシリーズを扱う上でバイド系機体の存在は外せないと思いつつ、登場のさせ方に困っていたのが実情でした。Tacticsのグランゼーラ革命軍みたいに反バイドを掲げる束に使わせるわけにもいかないので、後期のTEAM R-TYPEのような「何でもあり」な勢力を用意することに。

 一つ一つバイド機体を出していてはキリがないので、ダンタリオンに他の機体の要素を移植する形を取りました。ここから本作における技術的な目標が薄っすら見えるのですが、読み解ける方はいらっしゃいましたでしょうか?

 笛持ちとかアアルとか名乗っている彼(性別不明なので仮にこう呼ぶ)ですが、完全なオリキャラです。ただし、立ち位置としてはショウに最も近い人物でもあります。

 

・良いトコなしの楯無

 前章から真っ当な勝利を掴めていない彼女ですが、ここまで彼女を虐める理由は唯一つ、彼女の強化フラグに他なりません。

 それでもできるだけ格を落とさないように、本人の状況判断能力や操縦技術にフォーカスした描写を続けている……つもりです。

 「“弱い”ってことはもっと強くなれるって事やん」理論とでも言いましょうか、これからバイドとやり合うのに対人特化のISじゃやっていけないぞ、というのをしつこく描写しているのが現状です。

 楯無好き(〇〇党みたいな呼び名が無いんですけど……?)の方におかれましては、彼女にどのような強化が与えられるのか想像しつつ、今しばらくお待ちいだだけますと幸いです。

 

 

37 吹き鳴らせ、痛みの詩

 

・話名と前書きについて

 話名はダンタリオンが持つ波動砲「ダンタリオンの笛」。敵たるバイドの性質を取り込んででも戦わねばならないとすれば、それは確かに痛みを孕んだ音色だと言えるでしょう。

 前書きに関しては今回の一夏の動向です。弾という変わらぬ友人が、彼を支える命綱となってくれるでしょう。

 

・一夏が目にしたスローモーション

 詳しいことは省きますが、今作における一夏の「才能」に由来する症状です。

 千冬が一夏に教えた三か条「敵の動きを見て、周囲を見て、相手の戦いに付き合わない」を体現すべく、彼が状況に適応している証拠です。

 あまりに時間がゆっくり進むせいで寝落ちしかける危険性もありますが……。

 

・白式のワンオフ・アビリティとフォースの関係

 零落白夜と似ている、と一夏が感じたフォースの性質ですが、ここには重要な意味があります。

 とりあえず現状は「両者を触れ合わせると破滅的なことになる」という情報しかありませんが、4章でもう少し詳しく描けると思います。

 

・バルムンクという兵器

 2章末で、束がいざとなれば学園を熱核焼却するつもりだった、ということを書いたかと思いますが、今話でダンタリオンが行ったのはまさにコレです。

 これは波動砲の機構で内蔵した核融合炉をオーバーロードさせ、波動エネルギーを持った水爆とすることでバイドを焼き払う自爆機構として運用するものです。仕組みが共通しているためエクリプスにも搭載されており、迎撃に失敗したら学園の各所で各機を自爆させて学園をバイドごと消し飛ばしてしまおう、というのが束の最終プランでした。

 

・一夏が斬った、ダンタリオンの「中身」

 そういえば、キリスト教において悪魔というのは元は天使だったそうですね。

 

 

38 Ich breche/steche dich.

 

・話名と前書きについて

 話名はゲーテの詩およびシューベルトの歌曲「野ばら」から。野ばらを見つけた少年が、それに向かって「きみを折るよ」と言うと、野ばらは「きみを刺すよ」と返すくだりがあるのですが、ハルカとクラリッサの関係をコレに例えました。丁度ドイツが舞台の回だったのと、クラリッサの専用機はまさに茨だったというのが理由です。

 前書きはISスーツ《ダイナマイトシリーズ》を纏ったパイロットの感想。透明なゲル越しに素肌が丸見えのコレに繊細なセクシーさなんて無いだろ、というのが彼女らの認識のようです。

 

・ハルカの戦い方

 前章でショウがやったような戦い方の上位版とでも言いましょうか、より滑らかで臨機応変なショットガン戦術を使っています。武器を口頭で呼び出すところは思いっ切り似せました。

 それでも両者の間には違いがあって、ショウは「予め見透かしたように」、ハルカは「その場で何一つ見逃さないように」戦います。

 ちなみに彼女が使っていた拡散火炎弾投射器《KIWI》はTW-2 KIWI BERRYの黄色レーザー《対地火炎弾》に由来する武器だったり。

 

・ダイナマイトⅡ

 倉持編でダンタリオンを出した直後にバイド機体に由来するISスーツを登場させましたが、これは要するに、バイド系の技術そのものは割と広まっているぞ、というのを描いています。

 どこの会社のISスーツが良いか、なんて話が原作に登場しますが、そこに絡めて世界設定を深めたのが今回の役割でもあります。

 

 

39 DCC/JCE

 

・話名と前書きについて

 話名は、ある複数の人物のイニシャルを、特定の条件で分けたものになります。誰がどの文字に相当するのかは明かしませんが、1つヒントを出すと、これらの人物は全て原作IS世界にいます(登場の有無は問わない)。また、名前を含めれば今回で全員が登場しています。

 前書きについても大まかに同じ意味です。ショウが描いた城の絵、という直接的な意味もあれば、もっと抽象的で大事な意味も含めました。

 

・スコールに依頼を持ち掛けた少女

 2章でトンネルの崩落を起こした少女と同一人物です。本人はまだ自由に動けないので、代わりに人を動かして好き勝手している、というのが実情。

 ただし持っている情報は本物で、スコール側の行動を完全に見透かしています。

 

・ショウの言う「アメリカ語」

 ()()()()()イギリス人の中には、イングランド式の英語以外は英語と認めないタイプの人もいます。ジョークのネタとしてそれを知っていたショウは、日本人が習うアメリカ英語を「アメリカ語」と表現。それを理解したイギリス人エリックは笑った……というのが本文の流れです。

 

・ショウの絵

 ここでハッキリ書いておきますが、ショウは実在の景色しか絵にしていません。

 簪のソースコードを写した景色もそうですが、1つ残らず本物を描いています。

 ただし、それが目の前の景色とは限りませんが。

 

・セシリアの母、ドロシー

 原作では名前も明かされずに故人としてのみ登場するセシリアの母ですが、今作では健在のため名前を設定しました。

 オルコット家を1人で背負わなくて良い代わりに、パイロットとしてセシリアを苦難に放り込むための設定……というわけではなく、「彼女が生存している」というのが大きな背景情報に由来する1つの結果として現れています。

 家族の繋がりの象徴として出したアップルパイも、重要な要素です。

 

・青獅子のオルコット

 本作においてセシリアは極めて重要な位置にいます。というのも、主人公であるショウがポッドを使うと決めたときから、ブルー・ティアーズのビットとの繋がりを考えずにはいられなかったためです。

 そんな彼女に強化イベントを設けるに当り、彼女の背景情報も細かく詰めておくべきだと考えて生やした設定がオルコット家に関するものでした。原作からしてイギリスの名家だし、相当の地位だろうなというのが根底にあります。

 何で「獅子」が選ばれたかは、どうやらもうお気付きの方もいらっしゃるようですが。

 

・ガルーダのコア《マリコ》の振る舞い

 束がワルキュリアのフレームを調べた結果分かったのは、フレームが独りでに形を変えて修復されようとしていたということでした。ワルキュリアはISとしての運用を全く考えていないパワードスーツですから、ISらしい形態移行も自己修復もあり得ません。

 それでもマリコは無理矢理にワルキュリアを元の形に戻そうとしたようです。

 

 

40 この情景は記憶されません

 

・話名と前書きについて

 題名の意味するところは、ショウとセシリアの試合中に起こった現象のことです。何やら極彩色の景色に飛び込んだようですが、本人たちは記憶として覚えてはいないようです。

 前書きは、要するにプロセスが沢山増えているという意味です。fork()文は今実行されているプロセスを複製するもので、同期処理や並列処理など幅広い分野に使われているものです。試合の間、ショウとセシリアは1つの時間に無数に存在していました。

 

・BT計画のエンジニア、リー・ターナー

 1章末で「会う度に煽り合う仲」なBT計画のリーダーがいると書きましたが、今回は彼女を登場させてみました。

 彼女の口調を関西弁にした理由として、Still Wakes the Deepというホラーゲームの存在があります。スコットランド沖を舞台にした本作では、英語の和訳が全て九州弁になっていました。標準的なロンドン英語と違う方言を表現するには極めて優れた表現だと膝を打ったのを覚えています。

 中国系ということで幼少期からアジア人差別を受けたためにスレた性格で、しかし持ち前の才能で周囲を黙らせてきた……といったバックグラウンドが彼女はあるのですが、それを表現する意味でも関西弁のどこか粗野であけすけに見える性格は丁度よかったなと。

 言葉がタフのシマキンに引っ張られたのは秘密。

 

・簪の専用機

 所変わってIS学園のシーン。今日もISの開発に勤しむ簪の隣にネオンたちグランゼーラの人間がやってきました。

 謎の火力センスで簪の苦境を見抜き、助力を申し出た……というのが本編の状況ですが、これは今後の準備のような描写です。簪をグランゼーラ側に、もっと言えばR-TYPE側に引き込むことで影響を受ける人間がいるので、いずれ書ければと思います。

 とりあえず二次創作にありがちな「全ヒロインの面倒をオリ主が見る」というのはやりません。ショウにそんな余裕はないので。

 

・再びのショウVSセシリア

 実は描写の構造をクラス代表決定戦と同じ形にしていたことにお気付きでしたでしょうか。戦う2人の様子を、管制室から話し合う2人……という形です。

 ショウとの再戦を見据えて出来る限りの戦術を講じたセシリアですが、途中からそんなものが遊びに見えるような世界に2人揃って飛び込んでしまいました。

 この瞬間のアリーナには無数の可能性がBT粒子を介して展開されていて、根源となるブルー・ティアーズとガルーダからアバターが幾つも現れています。ログファイルが増殖したのも、それら一つ一つの試合パターンを正確に記録したためで、結果としてBT1号機のデータ採取はこれだけで網羅されてしまいました。

 ちなみに機体が冷えたのは、本体からアバターに熱が分散した結果です(熱を持った粒子の密度が下がったため)。

 ……白状すると先行上映で見たGQuuuuuuXにかなり影響を受けました。キラキラの世界からセシリアは何かを持ち帰ったようです。

 

 

41 そんな貴方だから、敬畏を

 

・話名と前書きについて

 話名はセシリアから見たショウの印象です。セシリアは年齢以上に彼の技能と才能に対して羨望と敬意を抱いています。しかしながら、その身の丈に合わぬ不自然な性質を恐れてもいます。

 決して軽い立場ではないだろうに、それでも自身を応援してくれるショウを敬い、同時に畏れる……そんな内心でした。

 一方で前書きはショウの内心です。今日の努力を積み上げて生きるセシリアに対して、ショウは常に明日・明後日の事情に突き動かされるままの生活を送っています。詳細は4章で書きますが、好きでやっているはずのイメージファイトでさえ、彼にとっては「やらなければならないこと」なのです。

 

・ショウのBT適正

 IS適正がSなのにこっちの才能は無いのか、と意外に思った方もいるかも知れませんが、これは2種類の適正それぞれで要求される能力が異なるためです。本作におけるIS適正は「どれだけコアと近い振る舞いができるか」であり、BT適正は「BTシステムの思考法にどこまで親和性があるか」です。ショウはBTシステムが直接的に要求する性質からは大きく離れてしまったため、BTは彼に反応出来ないのです。

 互換性が無い、とも言えるでしょうか。

 

・セシリアの目標

 俗っぽくなってしまったなと思いますが、これはこれで泥臭く人間的じゃないかなと思ってます。

 セシリアの母ドロシーが存命のため、家の存続させるために奔走する必要の無くなった今作ですが、結局のところドロシーがその役目を負ったに過ぎません。夫という支えを失ったままなら相当に心労もあるでしょうし、セシリアはそんな彼女をどうにか助けたいと思う……という親子愛がテーマです。

 

・ショウの過去

 ショウは中学生の時点で不登校になっています。義務教育ということで留年も無く、式典にすら出ないまま卒業した彼は、進学も就職もしないままコウスケの家で漫然と日々を送っていました。

 そんな彼を見かねたハルカの助けで資格の取得や社内業務の手伝いをする中で、少しずつ社会を身に着けていくことになります。ある日、テストパイロット用のイメージファイトを触ったことを切っ掛けに才能を見出され、OFX-2のパイロットに抜擢される……というのが大まかな流れ。

 基本的にショウ自身から何かをしたい、と考えることはありませんでした。

 

・ヒトでないもの

 もう粗方答えは出ていますが、辞書的な意味としての「ヒト」とショウの言うところの「ヒト」は大きく違います。

 学園に来るまでの間、彼は正しく孤独だったのです。

 

・100時間オーバーのBTシステムの稼働記録

 メタ的な話をすると、セシリアの強化のための理由付けになります。

 原作でもセシリアが機体の強化を要望しても、データ採取を優先して却下される描写があったブルー・ティアーズですが、逆に言えば「データ採取さえ終われば良いのでは?」と考えたのが始まりになります。

 一方で作中の意味としては副産物でしかなく、本質は試合中に起こった増殖現象の方です。

 

・マリコという名前

 知っているはずのことなのに初めてに感じる……デジャヴの逆のジャメヴというやつです。

 自分で名付けたはずですが、忘れてしまったのとは事情が違う模様です。

 

 

42 エスコート・タイム

 

・話名と前書きについて

 R-9AD ESCORT TIMEが話名の元ネタですが、他にも、「セシリアたちに合流してきたナターシャ」、「安全圏までべスピナをエスコートするショウ」、「レヴィアタンに付き添い監視する笛持ち」などなど、色々な意味を含めています。

 前書きに関しては2度目のバイド戦のあらすじみたいなもの。セシリアとショウを除けば、出会うはずのない者たちが交差しているのが今回です。

 

・マリコとゴスペルの関係

 2章で稼働データの交換をして以来、人知れずマブダチのような関係にある両者ですが、今回はマリコがバイドの気配を感じ取ったことで救援を呼んだ形です。

 ゴスペルの方も、ナターシャの探す相手をマリコが見つけた可能性があるため、ショウの下まで彼女を導いています。

 

・何故かまだ生きている笛持ち

 ダンタリオンは複数機いるため、一夏が1機倒したところで全滅とはなりません。そもそも笛持ち自身の普段の仕事は主に技術開発とバイドの監視なので、一夏の実力を確かめに行った事自体がかなりイレギュラーだったり。

 

・政府専用機べスピナ

 実在する英国政府専用の旅客機で、首相や女王など立場のある方を運ぶ機体です。それ意外のときは空中給油を行う空軍機としても使われる代物だったり。

 メタ的にはショウを現場から引き剥がしてセシリアの成長を促しつつ、ナターシャの立場を安定化させるためのストーリーフックですが、中に乗っている人が他の主要人物たちに影響を及ぼすことになります。

 

・レヴィアタンの正体

 2章末で本作がゴジラS.P.に影響を受けていると書きましたが、これもその一環。

 全バイドの中で一二を争うレベルで有名な個体の成れの果て……とだけ書いておきます。

 なおレヴィアタンの身体を侵食して汚染を止めている波動エネルギーの結晶ですが、要するにTP-3 Mr.HELIのクリスタル波動砲です。原作の「命中する度に分裂する」という性質を「周囲のエネルギーを変換して増殖する」という形に解釈しました。当たり判定がねずみ算式に増えるのでボスのワンパンまで狙える強力なやつです。

 

 

43 Blueish Starbow

 

・話名と前書きについて

 星虹(スターボウ)というものがあります。これは大雑把に言うと、亜光速で宇宙を飛んだときに前方に光が集中して虹色に見える……という予想上の現象です。セシリアとショウの2度目の戦いで体験したキラキラ空間を指しての話名で、彼女はここで偏向射撃(フレキシブル)の感覚を教わったようです。

 前書きはスティーヴン・キングの小説「ダーク・タワー」に登場するガンスリンガーの心得を改変したもの。原文だとheだった部分をセシリアに合わせてsheに変えたりしてます。偏向射撃(フレキシブル)は今までの射撃と理屈が違うぞ、というのを表したつもり。

 

・復活のゲインズ

 アメリカの無人機として登場させたゲインズですが、あそこで出番が終わりにするつもりはありませんでした。むしろこれから先も、どんどん厄介な形で現れることになります。

 今回は手始めに前回よりもサイズを倍以上に、防御力を更に高めました。

 それでも1機しか現れなかったので、味方4機で囲めば勝てますが、防御を貫くのに相当苦労するでしょう。

 

・ナターシャの役割

 超音速の世界に飛び込めるISのパイロット、という点で、ナターシャはセシリアの先輩に当たります。コアとより深く繋がり、成長していく必要のあるセシリアに何かアドバイスできる人物がいるとしたら、ナターシャをおいて他にはいないんじゃないかなと思ってこんな展開に。

 奔放なゴスペルに似て感覚派の彼女の言葉だからこそ、数値と理詰めに拘るセシリアの閉塞を打開できたわけです。

 思えば成長させる側に立ってばかりですねナターシャ。

 

 

44 Black_Eyes

 

・話名と前書きについて

 もう名前を出しますが、「勝利の女神:NIKKE」に登場するボス曲の”Black Eyes”が元ネタです。個人的にこのゲームが好きだったというのもありますが、本作のショウを象徴する「漆黒の瞳孔」をそのまま指した言葉として合っているなと。後半のオータム戦もこの曲に合わせて、「暗闇の中から猛毒を内包して現れる暴力」を表現する感じで書きました。

 前書きはノルウェーの昔話「三びきのやぎのがらがらどん」から。研究所から退避するショウを待ち伏せしていた亡国機業の手勢を、橋の下にひそんでいたトロルになぞらえた形です。「暴力で襲ってくる悪いやつがさらに強い暴力で潰される」という展開まで合わせてます。

 

・上院議員キースン

 元ネタはR-TYPE TACTICS IIに登場するグランゼーラ革命軍の軍人キースンです。途中でグランゼーラ内の過激派を率いて離反し、太陽系解放同盟なる第三勢力を立ち上げます。TACTICS IIの物語が拗れる理由の大部分を担っているといっても過言ではないでしょう。

 今作でも野心的に活動する元軍人として描かれている彼ですが、実際にショウたちの前に現れたのはその姿を借りたオータムでした。オータムは彼のことをキッチリ調べ上げた上でエミュレートしていたため、セシリアはその正体に気付けませんでした。

 言い換えれば、セシリアたちから見てキースンは「夜中にアポ無し突撃してくるようなやつ」と思われていたことになります。

 

・エムによるIS強奪

 原作ではいつの間にか強奪されていたサイレント・ゼフィルスですが、どうせならそこも描写したいなと思って入れたシーンです。

 彼女たちが謎の少女から貰った情報は正確で、セシリアたちが試験飛行に行くことまで把握していました。エムとスコールはその間に研究所に忍び込む予定でしたが、バイド戦で早めに2人が戻ってきたため、キースンに化けたオータムが長話で気を引いている間に用事を済ませる流れになしました。

 流石の彼女でも乗ってすぐの機体を完全に扱う事はできないので、この場では偏向射撃(フレキシブル)は使えません。

 

・ショウの「害意」

 これまで襲い来る理不尽をやり過ごすばかりで、攻撃的な部分の少なかったショウですが、今回で初めて積極的に他者を滅ぼしに行っています。

 しかしながらこれは「害意」であって「殺意」ではありません。その証拠に、ショウはプロローグからずっと、他人に対して「殺す」という言葉を使っていないのです。

 家の中に蟻の行列が出来ていたから、嫌悪のままに殺虫剤を振りかけるような精神状態とでも言いましょうか、相手の生き死にはそもそも認識していません。

 知らないところで可及的速やかに消えてくれと、ただ願うだけ……。

 

・モノクローム・アバターの末路

 できるだけ凄惨でグロテスクになるような描写を心掛けました。

 大雑把に言えば、口や鼻から入り込んだプラズマが内臓を気化させて、その場の全員が空気を入れすぎた風船みたいに膨張してから弾け飛んでいます。その後飛び散ったものもプラズマが焼き消したので、文字通り骨も残りません。

 

・周囲を灼き尽くすプラズマ

 太陽コロナにも近い1万度オーバーの熱はプラズマフレイムだけによるものではありません。

 恐慌状態になったショウの精神をサイバーコネクタがISコアを介さずに直接解釈した結果、自機近傍の空間で核融合を強制的に引き起こす特殊兵装が暴発する形で発動しました。

 これは投入されるエネルギー量が少なすぎたために威力が極めて低く、持続性もわずかなものです。それでも周りの十数人を跡形もなく焼くには十分だったわけですが、要するにDOSEゲージを溜めない状態で放ったΔウェポンの「ニュークリア・カタストロフィ」に相当します。

 もしも発動の瞬間のガルーダにフォースのようなエネルギーの貯蔵設備があったなら、本来の威力によって自分ごと周囲が消滅していたでしょう。

 

・オータムに向けられた戦術

 割と悪辣です。ショウはかなり初めの時点からスタンダード波動砲を叩き込んでオータムを殺す事ができました。最後までそれをしなかったのは、オータムの手札を全て引き出した上で否定し、万一にも相手が残る可能性を排除するためです。

 全身の骨を一本一本折り砕いていって、相手が文字通り手も足も出ない状態になるまで追い詰めるような……ここまでやる程度にはショウは追い詰められていました。

 

 

45 閃光・静寂蝶を追い掛けて

 

・話名と前書きについて

 話名の静寂蝶はエムの乗機「サイレント・ゼフィルス」のことです。ゼフィルスという言葉はギリシャ神話の風の神を意味しますが、それ以外にもシジミチョウの学名でもあります。静寂を意味するサイレントとシジミチョウを掛けて静寂蝶……という言葉遊びが答えです。

 前書きは「ヒト」と分かり合えなかったショウと、そんな彼に同情する笛持ちことアアルの心情です。

 

・圧縮波動砲の威力

 前章から「波動砲をISに撃つと死人が出る」みたいな書き方をしてきましたが、これは波動砲の種類によります。レーザー光のように照射するタイプの圧縮波動砲の場合、最初から最後まで当て続ければスタンダード波動砲に相当するエネルギーが加わって危険ですが、途中でそこから逃れれば絶対防御でも耐えられます。

 ギリギリで制御を取り戻したマリコが頑張らなければ、ショウは死んでいました。

 

・ショウの戦闘能力

 ショウの今までの描写から、少なくとも拾ったばかりのISに乗った相手に負けるなんてことはあり得ない、というのはご理解頂けるかと思います。何度も実力を描写した真耶にわざと負けることすら出来たわけですからね。

 それでも防戦一方どころか死ぬ一歩手前まで追い込まれた理由は、このときのショウが一種の「機能不全」に陥っていたためです。後述の「ヒト」であることがその原因ですが、まさしくショウにとってのアキレス腱がこれなのです。

 

・エムという「ヒト」

 エムはショウが定義するところの「ヒト」に該当します。なのでショウは気持ち悪いくらいに友好的ですし、自分の仲間に加えようと勧誘すらします。現時点で他に該当するのは一夏と千冬だけですね。

 エムはショウのそんな状態なんて全く知らないので、シンプルに気味悪がるわけです。その後思い切り地雷を踏まれたので不倶戴天の敵になりました。

 お前そういうところやぞ、といった感じでしょうか。

 

・哀しき中間管理職スコール

  ただ一人現場に出なかったためにショウの脅威に触れなかったスコールですが、彼女は彼女で苦しい立場です。味方2人が調子を崩されたので、諸々のことは自分でやらねばなりません。

 思えば苦しんでる中間管理職ばかりですねこの作品。一回勢揃いさせて、酔いつぶれるまで飲ませるシーンとか書いても良いかも知れませんね(そして多分そんな機会は訪れない)。

 

・謎の人物、アアル

 

 これまで束が付けた渾名の「笛持ち」と名乗っていた彼(?)ですが、もう一つの名前が登場しました。

 アアルはエジプトの神話に登場する楽園で、死後オシリスの審判を受けて認められた人間が立ち入れる場所なんだとか。要するに死者の国の1つなわけですが、こちらは自分で名乗っている偽名で、本人の正体に関わってきます。

 文字ではアアルと書きますが、発音すると「アール」の方が近いですね。

 

 

46 UNSEEN RAID

 

・話名と前書きについて

 話名はゲーム「SEKIRO」に登場する要素である冥助の英訳”Unseen Aid”の文字り。バイドやアアル、亡国機業といった実体が直接襲ってくるのが前話までとするなら、ここからは暗闇のような見えないものが蠢き襲い掛かってくるフェーズです。

 前書きは上記の見えないものに対するキャラクター各々のスタンスを並べました。作中で「精神拡張デバイス」と呼ばれたオブジェクトは暗闇の中から飛び出してきた存在です。そういう意味ではリーたちは「照らす者」に該当するでしょうか。

 

・正体不明のオブジェクト

 

 セシリアの強化フラグの骨格を成す物体となる「精神拡張デバイス」ですが、当然ながらR-TYPE側に由来する代物です。いつから存在するかも不明なこれを秘匿し研究するために作られたのが3章後半の舞台でした。

 少なくともリーたちが持つ現代の科学力では完全な修復は不可能なので、技術やパーツを引っ張り出してモノにしようと頑張っている状況です。

 銀色をした一対のパーツと、破損した白い残骸という組み合わせですが、これまでの描写で正体が分かる方はどれほどいるでしょうか。いずれ答え合わせが出来ればと思います。

 

・BTの意味

 

 原作だとBiTの略だったり意味と略語が循環してたりと曖昧な単語でしたが、今作ではBlack-Technologyの略称としています。ブルー・ティアーズなのに黒というのも変な話ですが、もっと汎用的な意味として「この世ならざる技術」に関わるものは全部BTということに。

 

・ナターシャの処遇

 

 2章で隠密行動をするはずが任務の最中に外部の人間と交流してしまう……というやらかしがあった彼女ですが、今度はもう一度同じことをさせつつそれを理由に挽回できるようにしてみました。

 セレンディピティとでも言いましょうか、たまたま助けた相手がイギリス王室の人間だったので、外交ルートで立場の保護が行われています。

 ショウを介してセシリアとも信頼関係の構築が出来ていたのも大きな要因です。持つべきものは友達ですね。

 

・暗躍する謎の親子

 

 2章でトンネルを崩落させたり亡国機業にショウの誘拐を依頼した彼らですが、キャラの立場としては完全に本作オリジナルの存在です。

 メタファー的な形で原作に繋がるような意味を持たせていますが、当面は「ショウを殺したがっている娘」と「それをどうでもよく思っている父」とだけ理解していれば問題ありません。

 

 

・やっと出てきたシャルル

 

 ショウとセシリアが渡英している約1週間の間に転入してきた片方という形で登場しました。

 実はこれまでもフランスに関する伏線はちらほら張っているのですが、詳細は4章にて。

 話の流れ故に出せなかったラウラを含めて、次章の中核を成すキャラクターです。

 

 

 

 

3章を終えて

 

 色々描いたつもりがコンパクトに収まった気がする章でした。

 でも2章が異常に長かっただけで別に短くは無いんですよね……。

 2章はライブ感の塊で、構想時点で決まっていたのはガルーダの覚醒とバイドの襲来だけでした。それもかなり簡素に済ませるつもりだったのですが、描いているうちに原作キャラをもっと活躍させたくなってしまった結果がアレです。

 山田先生のくだりとか楯無の救助活動とかはその最たるもので、ホントに虚無から生えてきました。バイド戦についても同様で、サージの群れ→ゲインズ軍団→ベルメイト降下の3ステップでシンプルに行こうとしたら2万字オーバーの回が入り乱れる7話セットが出来上がっています。

 本当に何だったのアレ……?

 

 3章でやりたかったのは大まかに、一夏の成長(の前段階)と、セシリア・ナターシャの強化フラグ、ショウの精神に変調を起こすこと、の3つでした。これらは構想時点で決めていた内容だったので、2章よりは比較的計画通りに進められたかなと思っています。

 特にセシリアの強化については言葉遊び含めてかなり考え込んだ内容です。今はまだ種蒔きの段階ですが、今後成長して収穫の頃になれば、相応のカタルシスが待っている……はず。

 

 4章では学園という閉鎖環境にまた戻ってきてしまったので、最後にその状況を使い潰す勢いで話を進めていければと思います。2章の焼き直しになってしまうのでバイドはあまり出てきませんが、その分1章や2章前半に近い、対人戦に重きを置いた話を考えています。

 

 最後に章題の意味を書いておきます。

 

3章:剥罹-NEGLECT(救いが巣食う、この星で)

 剥離と罹患を掛けた剥罹という言葉が意味するのは、基本的にはショウのことを指しています。それまで見えるべきでなかったものが剥がれて中身が露わになり、そこへ良からぬものが入り込んでいる……という精神への影響というのが大意。

 一方でNEGLECTは無視、無関心を意味する単語ですが、これもショウの認識に関わる部分を指します。今まで見ないように気にしないようにしてきたものに、遂に目を向けなければならなくなってしまいました。

 「救いが巣食う、この星で」というのは割と単純な言葉遊びですが、束やアアルにシア、謎の親子といった暗躍する存在が多く出てくる展開への暗示です。各々の目標は手段や思想こそ違えど「人類の救済」であり、そんな連中が人知れず巣食っているのが作中の社会……みたいな意味を込めました。

 




 やっと、やっと2巻に触れられる……。

 半年近く掛かった2章と比べて約3ヶ月で終わった3章ですが、それでも全然話が進んでくれないのはどうしてでしょうか。勝手に原作の行間を生やしまくってるからですね。

 大まかなプランをここに書いておくと、臨海学校辺りから原作をほぼほぼ無視した展開になる予定です。ここまで(そしてこれからも)長々と話を続けているのはそのための準備という側面もありました。
 やっぱり原作キャラを活躍させたいからね、仕方ないね。

 活動報告にも書きましたが、再びの休止期間となります。
 ちょっと取材に行ってくる予定なので、それも活かせたら良いな……。

既存キャラの強化パターンを見て……

  • もっとやって!何なら別機体渡しちゃえ!
  • 強化装備ポン付け位がいいかな……
  • 機体はそのまま新武器使わせる程度が好み
  • この水は飲めそうだ
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