Infinite stratos / False prophecy   作:✕せんたくだま

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Tuba mirum spargens sonum
per sepulchra regionum,
coget omnes ante thronum.

Mors stupebit et natura,
cum resurget creatura,
judicanti responsura

Liber scriptus proferetur,
in quo totum continetur,
unde mundus judicetur.

Judex ergo cum sedebit,
quidquid latet, apparebit:
Nil inultum remanebit.

Quid sum miser tunc dicturus?
Quem patronum rogaturus?
Cum vix justus sit securus.


53-3 Ominous Cross

 クロエがレクイエムシステムのことを詳しく知ったのは、意外にも最近のことだった。

 完全なプログラムと始動キーという2つの要素が揃わねば動かないとはいえ、それはあまりにも危険な代物だ。束は自分の拠点の奥底に、格納容器となる専用のストレージユニットを設けて封印することにしていた。

 

 最近になって、束はその封印設備を取り替えようと言い出した。

 

「くーちゃん、ちょっと作業したいからここを出ないでもらっても良いかな」

 

「構いませんけれど……一体何をされるおつもりですか?」

 

 はぐらかす束から仄暗いものを感じ取ったクロエが問い詰めた結果、彼女から聞かされたのがISに対する劇毒──レクイエムシステムの存在だった。ISコアと生態融合しているクロエにとって致命的な変化を生みかねないそれを、より強固に封印する。丁度()()()()()()を一人、シアから預かった束にとっては優先すべき事案である。

 その器として選ばれたのは、かつてのショウの愛機──OFX-2《ワルキュリア》の残骸だった。

 

「ショウさまの専用機の素体にするのではなかったのですか?」と問い掛けるクロエに束が語ったのは、まるで呪いのようなものを宿すワルキュリアの異常性だった。

 

「いやね、最初は手持ちの適当なコアを載せ直して改造のためのデータ集めをする予定だったんだけど、いざコアを触らせた途端にコアが怖がって暴れてさ。みーんな怯えちゃうからお手上げ。

 仕方がないからワルキュリアの設計情報と稼働データだけ抜いて置物にしてたんだけど、逆に考えたらコアへの干渉を完全にシャットアウトしてくれる器になるんじゃないかと思って」

 

「件の……ガルーダのコアの仕業ですか」

 

 束はクロエを抱き寄せながら「ほぼ確信してる。というか他に考えられること無いし」と呟いた。少し気を抜くとクロエは束の腕の中に収められてしまうのがここの日常であった。

 

 元々ISではないパワードスーツ《Rシリーズ》の一種として建造が進められたこの機体に、途中から無理やりコアを詰め込んだのがワルキュリアだった。ISならではの自己修復も形態移行も存在しないにも関わらず、その構造材にはそれらの作用が試みられた形跡が色濃く残っていた。

 いわば、マーキング。「これは私のものである」「これこそが私である」とでも言わんばかりに刻まれた干渉の跡を、他のコアたちは恐れていたのである。

 コアと融合しているクロエには、それがなんとなく理解できた。

 

 

 そして、今。

 マーキングの主であるマリコを積んで新生したガルーダが、オルトロスと揉み合って無事でいるのをクロエは目の当たりにした。

 

 格が違う。そう思った。

 理屈は分からない。製造された時のロットも凡百のコアたちに並ぶもので、生まれてからの時間だってどのコアもさほど変わらないはずなのに、まるでマリコだけ違う世界で成長してきたかのように別格の性質を抱えている。

 ()()()()()()()()()()()()()を除けば、こんなものは見たことがない。そして恐らく、それとも同列視することは出来ないだろう。

 

(特別さで言えばこちらもですが……)

 

 クロエはヴァイスリッターの剣戟を寸でのところで躱し、後隙にシャドウユニットを叩きつける。更に一瞬チャージした波動砲を捩じ込むと、すかさず楯無のガトリングがその純白の装甲を打ち据えて、敵は間合いを取る他ない。

 

 人類最強(ブリュンヒルデ)、織斑千冬の弟。織斑一夏。

 主人のお気に入りである彼には、やはり特別なISが与えられていたという話もクロエは聞いていた。

 ()()()I()S()のコアと、特殊な次世代モデルに束が自ら手を加えたフレーム。そして、一次移行(ファースト・シフト)の時点で発現した単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)《零落白夜》。

 絶対防御すら引き裂いて中身に刃を届けてしまえる能力だが、ISをより攻撃的に作り変えるレクイエムシステムの干渉を受けてそのままという状況には違和感があった。

 手を加えるまでもなく十分に強力ということだろうか……?

 

「──ねえ、時間掛けたらマズいのよね。今から仕掛けに行って良いかしら?」

 

 楯無は敢えて焦りを隠さなかった。

 可愛い後輩がここまで冒涜されているからというのもあったが、攻撃一回ごとに動きが洗練されていくヴァイスリッターの成長速度を何よりも恐れていたからだ。

 既に状況は膠着状態にある。下手に近付けば零落白夜の一閃で手足が斬り飛ばされかねない程に、既にレクイエムの戦闘アルゴリズムは強力だ。

 

 今はまだ即死級の攻撃と瞬間移動じみた推力をそのまま振るうだけだが、やがてもっと狡猾で悪辣な立ち回りをぶつけてくるであろうという懸念が感覚としてあった。そうなれば、二人がかりですら手を付けられなくなるだろう。

 曲がりなりにも国家代表へと上り詰める過程で身に着けつつあった、()()()()とでも呼ぶべきものが叫んでいる。

 

「そうですッ。すぐにでも決着を付けないと、一夏さまは生死不明ですらなくなります!」

 

「良いわ。ショウもいなくなったことだし────山田先生、やっちゃって!

 

『……っ、了解です!』

 

 管制室にて待機していた真耶の余裕のない声に呼応するように、楯無が仕掛けた()が動き出す。

 

 ──ざばッ!!

 

 端的に言えば、ヴァイスリッターが()()()()になった。

 突如としてアリーナの内壁の所々に配置されたスプリンクラーから暴力的な量の水が放たれたのである。学園のアリーナには安全に試合を行える環境を提供するため、内部で火災や過剰な発熱が起こった際の消火・冷却設備が備え付けられている。それがフル稼働していた。

 

 即座にアリーナの砂地が黒褐色に湿り気を帯び、湿度が急上昇していく。

 単に水をばら撒くだけではない。ヴァイスリッターから最も近い位置にあるスプリンクラーだけが最大水圧で動き、戦闘を続けるその動きに追従して水の出処が変化する。

 全て真耶の制御によるものだった。

 

「な、なんですかこれ……?」

 

 反射的に上昇してスプリンクラーの水を避けていたクロエは、ぽかんとした様子で水に当たりながら飛ぶヴァイスリッターと同じように困惑を隠さない。

 水をぶっ掛けるだけの行為に、一体何の戦略的意義が……?

 

「──じゃ、発破♪」

 

 そんな中、楯無ただ一人だけが真剣な眼差しを崩さなかった。

 ブレードを振りかぶって楯無の鼻先に迫るヴァイスリッターの装甲の隙間が、キラリと瞬く。

 

 ……どッどどうッ!

 

 小刻みに数回の爆発。

 ヴァイスリッターが複雑に身体を曲げながら、白煙を上げて地上に落下していく。墜落しても炸裂は止まず、PICの処理能力を継続的に飽和させる固め殺しが続く。

 装甲の所々にヒビが入り、ともすればこのまま忌々しいレクイエムを剥がしてしまえそうにも見えたが、楯無は攻撃の手を緩めない。

 

 過日、楯無がショウに対して仕掛けたイカサマ。事前にアクア・ナノマシンをアリーナに散布しておくことで、試合開始直後から最大火力の清き熱情(クリア・パッション)を無尽蔵に叩き込めるようにする禁じ手。

 これはそれを更に露骨に、そして悪辣にパワーアップさせたものだった。

 要するに、楯無は事前にアリーナの放水用タンクの中身を自身のナノマシンで染め上げていたのである。

 

 イカサマの時は千冬にこっ酷く怒られた楯無だが、その後のバイドの襲撃を受けて即座に利用可能なアクア・ナノマシンが補給できる環境作りの必要性が出てきた。楯無自身に戦闘能力が足りずとも、戦闘支援の観点で言えばその意義は大きい。

 そんな話を理事長や真耶を始めとした防衛要員に進言して回ったことで、使用する際は教員の許可を得なければならない条件と引き換えに、楯無は学園にある非飲用水タンクの全てを手中に収めていた。

 

 そんなアクア・ナノマシンを大量に頭から被らせ、装甲の隙間の隅々まで行き渡らせた状態で起爆したら、どうなるか?

 その答えがこれである。

 

(恨んでくれて良いから、手酷くやらせてもらうわよ。……むしろ後で恨み言の一つ二つは聞かせてほしいかな)

 

 ショウを相手に使うか悩んだ戦術の、更に先。一夏相手ならもちろん使用をためらうが、現実はそんな甘い考えを許してくれなかった。

 

 そもそも楯無は一撃必殺というものを好まない。入念に万全に準備を重ねて振り翳す一撃が不発に終わったときの、その二の太刀を、暗部に生きる身として準備せずにはいられないからだ。最初の一度で確実に終わらせるという覚悟が生理的にできない彼女にとっての最善手は、無数の計略を重ねて相手を雁字搦めに仕留める、連環の計。

 何回、と数えることを許さない爆裂の波濤が、覚悟を決めた楯無の答えだった。

 

 楯無はガトリング内蔵のランスを量子化して、代わりに奇妙な形の機械……遮断器(ブレーカー)を呼び出す。

 束が作った特効薬だが、それを使うには相手の決まった場所に貼り付けなければならない。それは即死の刃を振り回すヴァイスリッターには自殺行為だが、ナノマシンの連鎖爆撃によって体勢を大きく崩した今が千載一遇のチャンスだとクロエも理解した。

 

「クロエさん!」

 

「分かっていますッ」

 

 楯無とクロエは、互いに遮断器(ブレーカー)を構えながらヴァイスリッターを挟むように加速を掛ける。手のひらサイズの分厚い直方体から、虫みたいに設置用の脚が複数折りたたまれた機械だ。

 両者のISのインターフェースに、赤いバウンティングボックスが映し出される。そこへ遮断器(ブレーカー)を取り付ければゲームセット。

 行って、置いてくる。見かけはアメフトのタッチダウンみたいに単純なのに、どうしてここまで恐ろしい思いをさせられるのか。

 楯無はスラスターの出力を最大にしようとして──────、

 

 

 

 

 

 ──────だめッ!

 

 

 

 

 

 誰の声だろう?

 突然、首筋に何かが絡みついたような気持ちの悪い感覚に駆られて、進む方向を真後ろに変えた。

 急に向きを変えられた慣性が内臓を突き抜けて────()()()()()()()()()()()()()()()

 

 一瞬遅れて顔に吹き付けた強風が、それが幻覚の類でなかったと教えた。

 動けたのだ。ヴァイスリッターは、連鎖爆撃に耐えながら、自分に近付いてきた楯無を居合のように斬り殺す瞬間を待ち構えていたのだ。

 遅れて、手に持っていた遮断機が煙を上げて弾けた。こちらは身代わりに失われたらしい。

 

 もしも今さっきの変な感覚が無かったら。

 そのまま突撃を続けていたら。

 恐らく楯無の頭は、パイナップルを捌く時みたいに上半分だけ落とされていただろうか。

 

(……嘘、なんで)

 

 いつの間にか爆発が止まっている。楯無はそんな命令はしていないのに。明らかな異常に、クロエも間合いを取った。

 両者にとっては、意表を突かれた明らかな隙。今すぐどちらか一方が斬り捨てられる景色が脳裏に浮かんだ。ババ抜きの最終盤みたいに、ジョーカーを引いたほうがゲームオーバー。

 

「…………」

 

(どういうことです、仕留めに来ない……?)

 

 意外にも、ヴァイスリッターはその場から飛び出すことはしなかった。

 その代わりに、ピンと伸ばされた右手に持ったブレードの方へ、興味ありげに首を傾けている。真っ白いラウンドバイザーに覆われた顔に表情は存在しない。そして、読み取れそうな意図も。

 

(間合いを測りかねている? いいや、それじゃ……)

 

 一瞬生じた「静」の領域。迂闊に先手を取ろうとした手が切り落とされる膠着状態が繰り広げられたのは、僅かに2秒間。

 

 ──くるり。

 器用にヴァイスリッターの手の上でブレードが回転して、逆手持ちになる。一夏にはできない芸当だ。そもそも、刃物でこんなことをしようとも考えないだろう。

 

 

 それから、純白の鎧の怪物は、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 音はない。あまりにも当然のことのように、それは滑らかな動きで行われた。

 人間で言えば肋骨の下の、骨が無い角度から、心臓に向かって真っ直ぐ一突き。

 今まで何回も何回も練習してきたみたいに鮮やかで、逆に、身体のほうが刃を吸い込んだようにさえ見えた。

 

「…………は?」

 

 楯無もクロエも、今度こそ時間が止まった気がした。

 本当に理解のできないものを目の当たりにすると、思考というものは麻痺するらしい。クロエはそれを実感していた。

 まだ助けられるかも知れない相手が今一度刺されたから、というだけではなく、今の今まで自分たちを合理的に殺しに来ていた相手が、少し不利になっただけで自滅を選ぶなど考えられなかったからだ。

 

 世界は何処までも緩慢で、けれど、止まりかけた時間の中で、クロエは違和感に気付く。

 ……一夏の身体を貫いたはずの切っ先は、何処へ行った?

 

 おかしいのだ。刃渡りにして2mは下らないものが、突き抜けることなく身体の中に収まる角度なんて存在するはずはないのに。

 その疑問は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のを楯無が目撃したことで証明される。後に残された穴から琥珀色の粒子がふわりと漏れた。

 

 直後、アリーナが光に包まれる。

 あまりの明度にクロエも楯無もISのハイパーセンサーが瞬間的に無効化されるのを受け入れなければならず、かと言って何も見えない状態で更に間合いを取ろうと動くことは出来なかった。

 

 ケダモノが、いた。

 

 

REQUIEM-Type: "99/weißritter"

Pilot: ■■■■■■

Status: ■■■■■■

Wave Cannon Type: ■■■■■■

Force Conductor: Online [■■■■■■]

──────

────

 

 

 零落白夜の輝きはより激しく、全身の装甲から純白の炎となってメラメラと立ち昇る。

 装甲に刻まれていたヒビは見る影もなく、全てが修復されていた。

 何処からともなく湧き出した白い粒子がその背面に大きな輪となって集まり、回転している。天使の頭に付いているものというよりは、仏像の後光に近いだろうか。

 その両手には、零落白夜の輝きで象られた長さの違うブレードが1本ずつ。左が長く、右が短い。

 

「ꙮꙮꙮꙮꙮꙮꙮꙮꙮ────!!」

 

 叫び声、だったのだろう。だが、少なくとも生物が出す音では断じてなく、かと言って機械の駆動音と呼ぶには余りにも有機的な、轟き。

 その中心で、ヴァイスリッターは長いブレードを左肩に、その上に短いブレードを交差させるように構えた。バイオリン奏者がそうするような出で立ち。

 不吉な十字が煌めいた。

 

「──楯無さん、上ッ!!」

 

 クロエが口を開くより早く、楯無は真上に身体を躍らせた。眼下の景色が一瞬だけ、真っ白く染め上げられるのが見えた。

 そうして、背後を見て、言葉を失う。

 

(何よ、これ……)

 

 最高出力のバリアと、分厚い特殊金属製のシャッターで覆われたアリーナの観客席。それが、その下の内壁の内壁を巻き込む形でさっくり消滅している。

 瓦礫もヒビも見当たらない。アイスクリームをディッシャーで掬った時よりも綺麗な断面の、十字の傷跡が大きく口を開けていた。

 

 楯無は、ついさっき回避を成功させた自分を褒めてやりたかった。自分が盾になっていればとか、そういう話ではない。自分のごと消滅するか、そうでないか、2択の問題だった。

 

 零落白夜は、エネルギーを消去する単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)である。ISの世界に身を置けば自然と知ることになる常識だ。

 現役時代の千冬は、自身の得意とした神速の太刀でこれを振るい、勝利を掴み続けてきた。だが、時折相手に受け太刀を許していたことはあまり知られていない。

 

 そう、受けられるのだ。剣でも、盾でも。

 エネルギーを無慈悲に消し去る力でも、形のある物質ならば耐えられる。シールドエネルギーの消耗を含めて、千冬の技量と才能なくしては運用できない。零落白夜はそういう性質の能力だった。

 

「束さま、いえ、千冬さまでも構いません。あれは……あれは、本当に零落白夜なのですか?」

 

 返事は無かった。

 

 一夏と白式にも零落白夜が発現したとき、疑問に思った者は少なくない。どうして単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)なのに一点物(ワンオフ)ではないのか、と。

 確かに白式のシステムもその能力を「零落白夜」と認識していたし、これまでの戦いでも千冬のものと同じ能力を発揮していたことは疑いようもない。

 

 その答えがこれだ。

 エネルギーを斬撃として飛ばす運用だけでなく、質量体まで消去する、その性質。

 実は初めからそうだったのか、あるいは、クロエの疑念の通りレクイエムシステムが手を加えた結果なのか。いま目の前で振るわれる力は、紛れもなく千冬の零落白夜ではない、別物。それが全てだった。

 

 クロエはデバイス・ゼロの波動砲をチャージする。手持ちのレールガンによる数発の牽制の後で、それが終わるのを待たずにヴァイスリッターに放った。

 だが、放たれた光弾は装甲を覆う純白の炎の膜を一瞬退けるに終わり、すぐにその穴は塞がれてしまう。内部はおろか装甲にすらダメージを入れられていない。

 

(また適応したんだ……! 零落白夜を恐れて攻めあぐねている間に、こちらの手札を削るために)

 

 クロエは敵とすら扱われていないらしい。ヴァイスリッターは楯無目掛けて突撃する。

 初動に気付いた生徒会長は、先ほど上がった湿度を利用した清き熱情(クリア・パッション)による迎撃を試みて────、

 

(……あれ?)

 

 ()()()()()()()

 走馬灯じみて緩慢になる景色の中、楯無の目は一切スピードを落とさずに光で出来たブレードを振り被るヴァイスリッターの姿を認めた。

 

 ──ガどんッ!!

 

 不意に、楯無の身体を右側から衝撃が襲った。視界の半分を覆っている影がデバイス・ゼロのものだと認識すると同時に、横からの体当たりで自分がクロエに助けられたのだと理解した。

 

「不発ですか!?」

 

「おかしいの! ナノマシンに命令が届いてないッ」

 

(いや、違うのか……? というか、アリーナのバリアって──)

 

 ひゅん、と風を切る音が聞こえた。

 逃げ延びた2人に投げつけられた零落白夜エネルギーの短刀を、散開しながら即座に飛び出すことで避けたところで、楯無は違和感を具体化する。

 レクイエムに侵された2機を閉じ込めるべく、ここの保護バリアは最大出力のまま固定されていたはずだ。景色を濃く青色に染め上げるほど分厚いそれが、何故か今は透明に見えている。

 反射的に叫んだ。

 

「山田先生ッ、ここのバリア出力はどうなってます!?」

 

『えっ? ええと………………うそ、下がってる。どうして……?』

 

 荒い呼吸の真耶が困惑のまま声を漏らす。

 ちらりとUIに目を遣れば、少しずつだがミステリアス・レイディとデバイス・ゼロのシールドエネルギーも減少しているのが見えた。

 

サイアクっ、ビンゴじゃないの……!)

 

 すなわち、()()()()()()()()

 適応と変貌を経たヴァイスリッターは、今やE=mc²で記述できる全てを捕食対象としていた。

 純白の輝きに触れたものは即座に、そうでなくとも近くにあれば緩やかに。全てのエネルギー体は背面の光輪へと集積され、以前に増して劣悪になった零落白夜のエネルギー収支の、焼け石に水も同然の僅かな足しになるのだ。

 

 楯無のアクア・ナノマシンによる攻撃は完全に封じられたと言ってよいだろう。

 離れた場所にあるアクア・ナノマシンへの収束命令も、それを点火して水蒸気爆発を起こすための入力も、全て本体からの流体エネルギー制御能力に由来する。だが、今のヴァイスリッターの能力は、その途中の経路からエネルギーの全てを根こそぎ収奪してしまう。

 

(相手の動きからして、最優先で潰しに来たのは楯無さまのアクア・ナノマシン……。けど、これでは私のエネルギー兵器も同じか?)

 

 壊れかけの鳥籠は、今やヴァイスリッターという怪物の口の中と化した。

 今やこれは一夏を助け出す戦いではない。ケダモノの顎が動く度に、噛み潰されないよう逃げ回る餌達の足掻きだ。

 

 


 

 

「ふぅ、ふぅ……ゔッ

 

 何番目のアリーナだったろうか。

 シャルルは冷たい廊下の壁に身を擦り付けながら少しずつ身体を前に進めていた。左腕が酷く痛んで、一歩動く度に振動が更に痛みを疼かせる。

 

 ハメられた? 裏切られた?

 こんなことになるなんて聞かされてはいなかった。想定だってしちゃいなかった。

 ラウラはどうなった? 一夏は何をされた?

 僅かに十数分前のことだか、今も脳裏に焼き付く殺意と閃光が目の前に広がるようで。

 

 仮にこんなことになると分かっていたとして、果たして自分は踏みとどまれただろうか。ショウへの同情とか、自分の命が危険に曝される恐れとか、そういうのを全て詳らかにして積み上げたら、自分が真っ当に全てを告白して裁きを受けに行けるだけの一線を踏み越えられただろうか。

 シャルルには分からない。否、()()()()()()()()()()()()()()

 

 けれど、一つだけ分かったことがある。

 どうしてショウは自分を助け出して、あの魔境に残ったのだろう?

 遠く聞こえる悲鳴──たぶん避難を呼び掛けられた人たちのものだ──を背景に、シャルルの視界に、ラファールからの通知バーが浮かび上がった。

 

 開いてみると、差出人不明のテキストファイルだった。

 座標、というか部屋番号と、誰のものかも分からないアカウント名とパスワード、更に少し先の時刻に続いて、意味不明な0と1の羅列が何処までも続いている。それこそ何万行と続いていることだろうが、ボロボロの左腕が傷んで仕方ないシャルルに一々数え上げるような余裕は無い。

 そうして、ファイル名に目を向ければ、やっぱり変だった。

 ──俺はこんなものは嘘だと思っていたい。

 

 送り主が、これまで一々指示を飛ばしてきたエスプリということはあり得ないだろう。思えばラウラがおかしくなった時点でコアネットワークが丸ごと遮断されていたからだ。

 では、他にだれがいる? 通信が遮断された中で、まるで「ここへ行って何かにログインしろ」とでも言いたげな文章を送り付けられるような人間が。

 要するに、最後に自分へ触れてきたショウをおいて他にはあり得なかった。片腕が使えなくなって、足手まといになった自分を助けただけではなく、何かの遣いに行かせようとしている。

 

「僕も嘘だと思いたいよ、こんなの……」

 

 後で必ずエスプリには説明をさせねばならない。だが、そのためには事態の解決が不可欠だ。

 一瞬でも気を抜いたら気絶しそうな痛みを抱えながら、シャルルは歩みを進める。

 

 

 

 

「あ、貴方は……?」

 

「あれ……ええと、簪、さんだよね。4組の」

 

 言われた通りの場所というのは、アリーナに併設された整備室の一角だった。設置されていたコンソールにテキストファイルのIDとパスワードを打ち込むと確かにログインできたまでは良かったが、その先が全くわからない。

 そんなときに、簪が通りがかった。聞けば、ギリギリまで避難を渋っていたらしい。詳しい理由ははぐらかされた。

 

「そうだけど……どうしてここに? 避難は? というか、何があったの?」

 

「タッグマッチの途中で、ISが暴走したんだ……僕もこの通りで」

 

 シャルルはゆらりと左腕を差し出した。興味を振り払えずにラファールの生命維持システムで調べた結果、尺骨が思い切り折れているらしい。ISスーツで締め上げているから見かけは知らないが、相当に腫れ上がっていることだろう。調べるんじゃなかったと大いに後悔した。

 

「……ラウラと一夏が乗っ取られて、中でショウが戦ってるよ」

 

「なにそれ……」

 

 シャルルは多くのことは語らないようにした。恐らく何も知らないであろう簪を混乱させるだけだし、自分でも分かっていないことが多すぎる。確信が持てないながらも分かるのは、そのトリガーを引いたのが自分で、今ここにはショウの遣いで来ているということ。

 簪はシャルルの操作していたコンソールに目を向ける。

 

「それ、どうやってログインしたの? 生徒のアカウントじゃ入れないよね」

 

「……IDとパスワードを貰ったんだ。ショウに、多分ね」

 

「多分?」

 

「実際のところ、諸々が書かれたテキストだけ渡されたから誰のものか分からないんだよ。それに、ログインしたはいいけど……何をすれば良いんだか」

 

 ちょっと見せて、と簪はシャルルの横に顔を突っ込んでコンソールを眺める。

 青みがかった画面には学園の大まかな地図と、各建物のセキュリティ状況、エネルギーグリッドの送電状況が表示されていた。とりわけ、第6、第3アリーナは非常事態の警告表示が乗っている。第6アリーナは学年タッグマッチの会場だったから、その最中に何かが起きたというのは事実らしい、と結論付ける。

 そんなとき、簪の眼鏡──空中ディスプレイ搭載の多目的デバイスの視界に通知マークが浮かぶ。シャルルが件のテキストファイルを共有していた。

 

「場所、ID、パスワードまでは分かったけど、後の羅列はさっぱり。仮に僕がここで何かしなきゃいけないとしても、この手じゃどうにもだし」

 

「何かの実行バイナリ? でもヘッダも何も無いし……いきなり生データが始まるんじゃ何もわからないよ」

 

「同じ感覚で安心したよ」

 

 0と1の羅列の解読には早々に見切りをつけて、簪はコンソールにもう一度目を向ける。

 どうせシャルルもそうなのは確実だが、非常事態になると不正に管理者権限を手に入れた人に出会ってしまう呪いにでも掛かっているのだろうか。簪は訝しんだ。

 

 目に入る非常事態のアリーナ2つに注目すると、4月の事件と違ってロックが掛かっているのはアリーナの内外を隔てる部分だけらしい。観客席やピット、整備室といった部分は外へ向けて解放されているから、本当に異常なのはバリアが最大出力で固定されている内部だけということになる。

 その上で。

 

「……あれ、第6アリーナへの送電状況と中の消費が一致しない?」

 

「どういうこと?」

 

「漏電、にしては変だけど、とにかく沢山電力が回されてるはずのアリーナ内で設備の動作出力が低すぎる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいな……シャルル君はここまで逃げてきたんだよね、何か見なかった?」

 

「何も……。でも、このバリアは確実に暴走したISを閉じ込めるためのものだよ。第3アリーナまでこうなってるのは知らないけど、とにかくショウは中に残ったんだ」

 

 ショウの名前をもう一度聞いたことで、簪の脳裏に嫌なものが去来する。前から気味の悪いものを宿しているに違いないと思っていた男だ。結局未だに理屈は知らないが、ガルーダが勝手に武装を動かした件も、自分がまだ書いていないはずのソースコードが手書きで描かれていた件も、あの男が関わっていたというだけで、とてつもなく胡散臭い。同じ組織のネオンはもうちょっと人懐っこいのに。

 シャルルの言葉を信じるのならショウが彼をここに向かわせたらしいが、何より0と1の羅列の先頭に書かれた時刻が気になる。

 僅かに3分後の、未来の時刻だった。

 

「とりあえず設備ごとの電力消費は────確かに保護バリアの系統が一番取ってるけど、なんかヘン」

 

「変って?」

 

「非常時だから、実はここから見えない秘密の機材があって、それが今だけ電力を取ってるんじゃないかって思ったの。でも違う。本来ならここから見える設備全てで100%電力グリッドが埋まるんだよ」

 

「ええと、つまり、第6アリーナ内で()()()()()()()()が電力を吸ってるってこと?」

 

「恐らく。あそこにISを閉じ込めてるんだよね、このままじゃそれがバリアの出力不足で破れる……と思う」

 

(じゃあ、僕がやらなきゃいけないことって)

 

 シャルルは脳内でパズルのピースが組み上がっていくのを感じた。

 ショウは自分をここまで連れてきて、今の問題が見えるようにした。ただ見ていろというのも考えづらいし、つまりここで解決しろと言っていると受け取るべきだ。閉鎖されたアリーナが2つに増えていることからして問題は更に悪化している可能性があって、要するに外野から手を回す必要がある。そうでもなければ、こんな怪しいログイン情報まで渡してくるとは思えなかった。

 少なくともあれは、レクイエムは、外に出してはいけない。

 

「電力のバイパス……とにかくバリアの出力を戻さないといけないんだ。簪さん、できる?」

 

「やってみるけど、普通に考えてこんな大電力をアカウント単位で制御させるなんて……やっぱり」

 

 コンソールを操作して電力グリッドの制御画面を出そうとした簪だが、赤い警報とともに現れたエラー画面に阻まれる。暗号キーを生成する専用のドングルを差し込んでおかないと、これ以上の操作はさせてくれないようだった。

 

「量子暗号のワンタイムパッド……」

 

「なにそれ?」

 

「使い捨てパスワードの一番強固なやつ。さっきのログイン情報をどうやって偽造したかしらないけど、こればかりはISコアをいくつ並べても無理だよ」

 

「使い捨て……ねえ、そういうのって、発行されてから何分以内に使わないといけないとか決まってたよね」

 

「うん。いつまでも使えるようにしておいたら意味が無────待った

 

 簪は慌てた様子でテキストファイルの日付を見た。マイクロ秒単位で指定された時刻の後に、意味不明な0と1の羅列が続いている。その時刻まで、あと1分を切ろうとしていた。

 ショウは、どういうわけか簪がこれから書くはずのソースコードを完全に当ててみせたことがある。今思い出しても気味の悪いことこの上ないが、もしも、もしもだ、これも()()()()()()()だとしたら?

 

ねえっ、そのIS貸して! 計算リソースだけでいいから!!

 

「良いけど、どういうこと!?」

 

「答えは後にして、時間がないッ」

 

「ええと、操作許諾(パーミッション)はこれで……」

 

 無事な右腕を使ってラファールのUIを操作するシャルルを、更に簪は急かした。

 それから、自分の眼鏡型デバイスと接続したのを確認すると、投影された空中キーボードを恐ろしい速度で叩き始める。

 禅問答みたいな話だった。問いより先に答えが置かれていて、問いの方が追いついてくる前に意味のある形を与えてやらなければならない。

 

 簪は自分がどうしてこんなことをしているのか、実のところ分かっていない。

 ショウが関わっている時点で気味の悪いことで、是非ともこれ以上関わり合いになりたくないと思っていたのに、運命というやつは向こうからやってきた。

 だからこそ、なのだろう。これを何もせずに見逃すことの方が、圧倒的に嫌な感じがして、仕方が無い。オカルトなんて信じるつもりはないのだけど、技術者としての知識が、理論が、自然とそれを受け入れるように理屈を組み上げてしまうから。

 有無を言わせぬ現実。これも一つの火力だろうか。

 

「僕はどうしたら?」

 

「アクセスが通ったらラファール越しにエネルギーバイパス弄って。それだけ!」

 

 唐突に必死の形相となった簪を横目に、シャルルは視線制御(アイ・タッチ)用のソフトを起動して構えた。もはや左腕は使い物にならない。片手で操作するよりこちらの方が速いはずだ。

 指定の時刻まで、10秒。

 

C'est pas fini ?(まだなの)

 

 7秒。伝染する焦りに日本語が頭から吹っ飛びかける。

 

「もう少し……あと──」

 

 5秒。言語野に回す思考すら勿体無く感じて。

 

「──今っ! やって!!」

 

 3秒。急に操作可能になったコンソールにありったけの意識を注ぐ。問題の第6アリーナに何処から電力を持ってくれば良いのか、そういえばシャルルは考えていなかった。

 

ああもう分かんないから全部繋いで──

 

 ──バツンッ!

 

 弾けるようなリレーの音が響くと、2人を上から照らしていた室内灯が突然真っ暗になって、非常灯に切り替わる。同時に、コンソールの中では目当ての保護バリアの出力が急速に持ち直していくのが見えた。

 薄暗い部屋に、2人の荒い深呼吸が響く。一体どうしてこんな焦る羽目になったのか、仄かな達成感がジワジワと胸を温めていた。

 

「……とりあえず、お疲れ様。まさか他全部を停電させるまで電力流すなんて」

 

「だって、こんなことしたの始めてなんだもん。多分、このままも良くないよね、どこを触ったら良いか教えてもらっても良いかな」

 

「うん。放っといたらアリーナが爆発しそう」

 

 左腕を抱えてへたり込むシャルルに代わって、簪がアリーナ間のエネルギーグリッドを操作し始める。何にも限度というものはあって、それを無視して有りっ丈を注ぎ込むと良くないのは電力でも同じことだった。

 簪はバリアの出力が下がる理由も解決策も知らないので、全体とのバランスを崩さないように、第6アリーナに回す電力量を手作業で調整し続けることにした。

 

「……そういえばさ、さっき急に焦りだしたのはどうして? あの文字列の意味が分かったの?」

 

「意味っていうか、アレが最初から答えだったみたい。ただし、今さっき始めて発行されたはずのパスワードだけど」

 

「今、さっき?」

 

 簪自身も信じたつもりはなかったが、現物に触れてしまったからにはその通りに扱うしか無い。

 学園を維持するためのインフラにおいて、特にクリティカルな部分には、量子暗号を用いた使い捨ての共通鍵でアクセスが制御されている。量子暗号の特徴として、盗聴しようとすると中身が変化して使い物にならなくなるというものがあるため、それだけ強固なセキュリティといえるだろう。

 だから、ショウの送ってきたファイルにあったのは、学園のシステムから盗聴したものではあり得ない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()をそのまま渡してきた、ということになる。

 

 何かの脆弱性を巧みに利用するとか、誰かの持ち物を勝手に奪って使うとか、そういうハッキングの考えとは真っ向から反目する方法だ。いっそ、これが正規のやり方とすら言えるかも知れない。

 何せ、然るべきときに然るべき共通鍵を使っただけなのだから。

 一体どうやって? そんなことは考えない。考えたくもない。

 

 ただ一つ分かるのは、タイミングを誤ればその共通鍵は使われる間もなく期限切れで捨てられて、簪もシャルルも電力を制御出来なかっただろうということだけだった。

 

「ねえ、シャルル君」

 

「なに?」

 

「未来って、誰かが決めてるのかな」

 

「何の話か知らないけど、僕はそうは思いたくないかな」

 

 そんなものが未来であって良いはずがない。互いに同じことを考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

こんかいのまとめ

 

 

・楯無

 

 攻撃手段が軒並み無効化されちゃった生徒会長。

 本人が思い付く限り最強最悪のイカサマ戦術を仕掛けるも、殺しに行かなかったせいで適応する隙を与えることに。命を救おうと手を伸ばすほどに、それは遠く、逆にその手を血塗れにしていく。

 あの声は誰だったんだろう? 聞こえなかったらどうなっていたんだろう?

 

 

・クロエ

 

 変貌を続ける相手に困惑が収まらないゼロの申し子。

 現状唯一ヴァイスリッターへの有効打を持っているが、次の瞬間には死んでいそうな戦況で呑気に撃ち合いなどしてられない。本当にこれは白式なの?

 決断の時は、間もなく。

 

 

・シャルル

 

 運命に翻弄され続ける少年(少女)。そこにいてさえくれたら何とかなるだろうさ。

 左腕が痛んで仕方無いが、それでも抗うことは止めていない。それすら誰かの閻魔帳の上だというのに。

 良いように利用されるしか、無いのかな。いいや、そんなことはないはず。

 

 

・簪

 

 「たまたま」通りかかったメカニック少女。知らぬ間に姉を救っている。

 どうせ訓練機で出場させられるタッグマッチなんてどうでも良いとばかりに自分の専用機を弄っていたら避難が遅れてしまった。

 どうもここ暫くヘンなジンクスに呪われている気がする。気の所為ってことにしておきたい。

 

 




──ガコンッ。


 原作と比べて「妙なところ」がある風な描写を以前から重ねてきた白式の零落白夜ですが、その答えが今回のコレです。
 そも原作の時点で零落白夜がエネルギーを消滅させるメカニズムは語られていません。「消えたエネルギーはどこに行ったか」とか「どうして千冬と同じものが発現しているのか」とかは未だに明らかになっていませんでした。そもそも明らかになるのかな……?

 そんな背景もあり、本作では「白式とは何か」に踏み込むに当たって設定を考える必要がありました。そうして出力されたのが「エネルギーを喰う」という解釈です。質量含めて何でも吸収してしまう、と聞くと何だか見覚えがあるかも知れません。

 一方で簪と絡んだシャルル編。
 あのまま退場させるのも面白くないと思って出番を考えていたのですが、イニシアチブの奪い合いを象徴する役割を演じさせてみました。誰かが導火線に火を点けるのを止めることは出来ずとも、その長さを弄るくらいは出来ないと張り合いが無いわけで。
 自分が否定した神性とは似て非なるものに導かれて、シャルルは進みます。

 簪の方はと言えば、彼女が何処の企業と絡むかで楯無が気を揉んでいることもあって関係修復が進んでいません。その上で「互いを知らぬ間に助け合っている」という構造が作りたかったのでやりました。
 簪は楯無が今まさに死線をくぐり抜けていることなんて知りませんし、楯無の方も簪は何処か安全なところに避難していると思っているわけです。



 そういえば"ꙮ"はキリル文字の”o”の異体なので「オ」と読むのが正しいらしいです。

オリキャラの描写比率について……

  • 主要キャラならバンバンちょうだい!
  • 原作キャラの掘り下げに必要なだけ欲しい
  • なるべく原作キャラだけが良い……
  • 拷問だ! とにかく拷問せよ!
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