そのJ、外れし者につき   作:むすけ

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短くスパッと書きたい事だけ書けるようになりたいです。


5話 宣誓、戦士の誇り

『・・・重力探知ニ反応アリ・・・ギャレオリアロード発見、オ前ノイウ トオリダナ、J』

 

 

 ギャレオリアロードの捜索を行っていたトモロから発見報告があがった。こちらも間に合ったか。このゲートを通ればその先に待つのは・・・いや、それよりも太陽付近まで行ければ光子エネルギー変換翼による物質生成でこのジェイアークも完成まで持って行けるはずだ。

 

 

「念の為、各種探査装置で周囲を警戒、敵影が無いならばギャレオリアロードに突入してくれ」

 

『了解、各種センサー稼働......探知範囲内ノ敵勢反応・・・ナシ。ダガ大丈夫ナノカ?ゲートノ先ガ安全トハ限ラナイ』

 

「心配はいらない。話したとは思うがカインの遺産が向かう程だ、知的生命体反応のある宇宙に繋がっている事だろう」

 

『J、ソウ言イ切レル根拠ガ アルノダロウ?イイカゲン 情報ガ欲シイ ノダガ』

 

「そうだな・・・いや、突入後でいいか?ギャレオリアロードが閉じ切ってしまうと今までの苦労が水泡に帰す事になる。」

 

 

・・・

 

 

 ギャレオリアロードに突入し亜空間航行に切り替わったジェイアーク内をJタワーコンピューターに向けて移動する。トモロに私の記憶を話す為だ。例のサンプルの事も話しておかなければいけないな。

 

 

『待ッテイタゾ、J。ヨウヤク ユックリト 話ガ聞ケルナ』

 

「あぁ、こちらも待たせて済まなかった。悪いがこちらを先にいいか?」

 

トモロの前で台座から取り外した例のサンプルを差し出す。

 

 

『ソレハ・・・バイオラボ ノ・・・細胞サンプル?マサカ、J オ前!』

 

「想像の通りだ。これはバイオラボから奪取して来たアルマ、いやアルマの胚だ。専用の培養層を用意してもらいたいが、可能か?」

 

 

 あの時ラボより持ち出したアルマの未分化の胚。本来は生まれる事すらなかった予備品。番外個体とも言うべきか。これまでの扱いを考えると成長するかもわからん代物だが、これも目標達成に必要なパーツだ。

 

 

『ジェイアーク ニハ生体ユニット用治療ポッド ガ備エ付ケラレ テイル。ソレヲ 改良転用 スレバ可能 デアル』

 

「あぁ頼む。何事も無く育ってくれるかは未知だが、我等の大切な仲間であり戦友となるだろう」

 

 

 込み上げる罪悪感を飲み下しトモロに依頼する。思い上がるな、自分に罪悪感を覚えるような資格は無い。ただ己の為に利用しているだけの獣なのだ。忘れるな、この事を。

 

 気を取り直してトモロに説明を始める。自分にはソルダートJとして生まれた以外の、これから起きる事を物語として観測して来た記憶がある事。

 

 青の星で始まるGストーンに選ばれし勇者達とゾンダー・原種との戦いの物語。

 

 その数年後に始まるギャレオリア彗星・・・ギャレオリアロードを通じた宇宙収縮現象、それを通じ集めたダークマターで三重連太陽系を再生させようとする、暴走したソール11遊星主の計画、そしてその結末を。

 

 所々抜けもある記憶だが、確認をしながらゆっくりと話を進めた。

 

 

「私の目的はソール11遊星主の目論見の阻止、これは青の星の勇者たちとJ-002との共闘になるだろう。その為に私はアルマを奪取し赤の星を見捨てて来た。私は戦士ではない。戦士を名乗る資格が無い。罪に塗れた、獣だ」

 

 

 その間トモロは黙って聞いていてくれた。話を咀嚼するかのように体表を瞬かせている。話し終え沈黙の後トモロが発言をした。

 

 

『オ前ノ 抱ク罪悪感ハ オ前ダケノ モノダ、好キニ スレバイイ。ダガ戦ウ事ヲ 諦メタ訳デハ 無イノダロウ?』

 

『我々ハ対原種兵器 トシテ製造 サレタガ対象ハ原種ノミト プログラムサレテ イナイ。任務ヲ放棄 シタ訳デハ無ク 戦イニ備エテイル、ソノ認識デ 構ワナイ ノデハナイカ?』

 

『ソンナ事ヨリモ コレカラ起コル事 トヤラヲ証明スル 為ノ材料・根拠ガ乏シ スギル。現在確定シテイル ノガ ギャレオリアロードノ 存在ダケ デハナ』

 

 

 吐き出した私の心中が「そんな事」扱いされた事に唖然とする。その気になればジェイアークの機能停止権も持ち合わせているトモロにとっては情報の精査の方が重要なのか?

 いや、トモロは何と言った?「戦う事を諦めた訳では無いのだろう」「任務を放棄した訳ではなく戦いに備えている」と言ったのか、言ってくれるのか。

 私は盗んだ、見捨てた、逃げ出した!だが遊星主を討つという意思に間違いは無い。私の罪悪感は勝手な思い込みだったのか?戦士を名乗っても良いのか?

 

 

『J、ゲート カラ出ル ヨウダ。亜空間航行ヲ解除、通常宙間航行ニ移行スル。J、ドウシタ?』

 

 

私は、私は・・・

 

 

 


 

 Jの様子がおかしい。何事かを呟きながら倒れてしまった。簡易スキャンしてみれば身体コンディションはレッド寄りのイエロー、通常はメンテナンスベッドでの休養が推奨される状態だ。

 未完成のジェイアークとこのコンディションでゾンダー化し再生力が異常なゾンダーアークと原種を1体退けているのだ、良く戦ったと言えるのではないだろうか。

 また思考・精神面に関しても良くは無かったと判断。精神と身体の釣り合いが取れていなくては作戦に多大な影響を与えるのは容易に想像できる。仕方の無い奴だ。

 

 赤の星脱出の段階では余裕が無かったが、あの段階で我等単体で31原種全てに対処、今シミュレートしてみても不可能に近い。それこそ奇跡などと呼ばれる現象が起きでもしない限りは。

 そういった意味ではJの取った行動は自分勝手な命令違反ではなく合理的・冷静に判断した、とも言える。強ち間違った行動では無いと思うのだが、Jは納得しないのだろう。

 心や感情と言うものは理解はしているつもりだが厄介なものだな。

 

 星系中心となる恒星の位置から推測するに、現在は第4惑星惑星付近と判断。探査用のドローンを生成できれば正確な星系図も完成するのだが、今は艦の修理・完成を優先すべきだと移動を開始する。航行中に青く輝く惑星を見た。

 

 

『あの惑星がJの言ってイタ蒼の星、地球か。組成分は不明だが安定した大気と水分、大地で構成されている美しい星だな』

 

 

 Jが言うには文明は赤の星に比肩し得る物ではないが赤の星の戦士にも負けぬ力と心を持つ者が誕生する惑星だと言う。この惑星の戦いに介入するつもりがあるのかどうかはJ次第。現在は考慮すべき問題では無い。

 

 やがて星系中心恒星付近に辿り着いたワタシは光子エネルギー変換翼を展開させ、艦内・艦外作業用ドローンを生成、作業に取り掛かる。急ぐはアルマを作成するための培養槽だ。丈夫に作られた容器といえどもこれほど過酷な状況までは想定外だろう、無事成長するかの保証は無い。

 

 必要な作業を挙げ、タスク化する。足りない装甲部の取り付けやJファイバー接続作業、ESミサイル等の弾薬生成と充填・・・必要作業は山ほどある。

 

 完成したドローンに順次指示を出しながら、無様に伸びている戦士をメンテナンスベッドに放り込むのだった。

 


 

 意識が浮上すると同時にカプセルが解放される。確か私はJタワーコンピューターの前で・・・ここは?と周囲を見渡せば、自分はメンテナンスベッドに寝かされていたようだ。トモロが運んだのだろう、どれほど休んでいたのかは分らんが、体調はすっかり回復していた。

 改めて自分の姿を見ればアーマーに入った無数のヒビや損傷が確認できた。とにかく動いていないとおかしくなりそうだった、とは言え無茶が過ぎたか?

 休めたお陰で落ち着いて考える事もできる。切って捨てられたが、それではいそうですかと整理は付けられない。付けられないが少なくとも戦う事を諦めていないと自分の芯を思い直す事が出来た。トモロに感謝すべきだな。

 

 艦橋までの移動中、アルマの培養槽を確認できた。液体に満たされた培養槽に浮かぶアルマに成長するであろう胚、状況を逐一観察する作業用ドローン。太陽付近に到達したのだろう、作業は順調に進んでいるようだ。

 

 

『オ早イ オ目覚メダナ、戦士ヨ。自己管理モ戦士ノタシナミ、ト考エルガ ドウカ?』

 

 

 艦橋に到着するなり手痛い攻撃を食らってしまった。全く、反論の余地も無い。

 

 

「これはこれは・・・敵わんな、トモロよ。済まなかった、具体的な指示も出せずに無様を晒してしまった」

 

『体調ハ万全ノ ヨウダナ。気ニスル事ハ無イ、作業ハ ドローンガ行ッテイル。装甲ノ取付ガ 終ワレバ ジェイアーク ハ完成状態トナルゾ』

 

 

 それは重畳。ようやく本来の力を発揮する事が出来る。ジェイアークが完成した今、ゴチャゴチャと拘っているのは自分だけ。だが私の腹は決まった。

 

 

「トモロよ。私が002を、アベルを、赤の星を見捨てて逃げ出した事に事実に変わりはないし変えるつもりもない。私に巣食った罪悪感は、早々消える物では無いだろう」

 

「だが罪悪感に潰され自らの殻に閉じこもる事は女々しい、戦士にあるまじき行為だ。故に誓う!」

 

「私は自らの弱い心に敗北した。だがお前の言葉で立ち上がる事が出来た。立ち上がった戦士に同じ敗北は無いと。例え敗北しようとこの命ある限り何度でも立ち上がろう!」

 

 

私は赤の星の誇り高き戦士、ソルダートJ №-028!

 

 

 艦橋に響き渡る私の声。決意を口に出せば自分の中の芯が強固になった気がする。過ちは認めるが屈する事無く進み、戦い続けよう。

 

この身ある限り。

 

Jジュエルの輝きがある限り。

 

 

『ワタシハTYPEトモロ-0147、ソノ誓イ確カニ聞キ届ケタ。ソノ誓イ 永久ニ 破ラレヌ 事ヲ願ウ』

 

 

 

『・・・トコロデ J、ソレヲ 言葉デ表ス 必要ガ 「必要だ。必要なのだ、トモロよ」 ・・・ソウカ』

 

 

 トモロも心と言うものを学んで貰う必要があるな。アルマと共に学ばせるか?地球で何らかの書籍を購入すべきか。流石にam〇zonは届かんだろうしなぁ・・・

 真剣に検討を考えているところにトモロからの提案が。

 

 

『改メテ ジェイアーク構成ノ生体ユニット:ソルダートJ №-028ヲ 登録スル。ソシテ艦名ダガJ、オ前ガ 名付ケルト イイ』

 

「名、か。それならば・・・この誇りある誓いと共に、スペルヴィア。ジェイアーク・スペルヴィアだ」

 

『了解。本艦ハJ-ARK級戦艦“スペルヴィア” 登録完了』

 

 

戦い続けよう、羽ばたき続けよう。新たなこの翼で、どこまでも!




何だこのJ。勝手に落ち込んで勝手に立ち直ってる・・・めんどくせぇ男・・・

スペルヴィアですがSUPERBIA、ラテン語でまんま誇り・矜持って意味で格好良いので採用。発音はグーグル翻訳先生を信じます。
他候補には敗北・負け犬・避難船・難破船・・・ネガティブワードだらけでしたが、別にジェイアークが悪い訳じゃないよ!って事でカットカット。

区切りとしてはこれで第一章・完了みたいになります。

数話閑話として他作品とクロスの話やオリジナル展開の話を作っていこうと思いますが、クロス先もタグ付けするのかなぁ。
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