そのJ、外れし者につき   作:むすけ

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神は言っている・・・ヒロイン成分(ヒロインとは言っていない)が必要だと・・・

あとエルヴィン団長最後の演説は何回聞いてもいい。抗う術なのら!って聞こえるのも実にGOOD。


※田吾作Bが現れた様、SIGSEGV様、誤字修正報告誠にありがとうございます

※アルマの羽の枚数の間違いをこっそり修正


8話 アルマ着任しました

 対宇宙怪獣との戦いの傷を癒した後、いくつかの宇宙を巡りながらアルマの成長を見守っている。管理調整は培養槽付きのドローンに24時間フルタイムで任せっきりだが、データを見る限り順調に育っている。赤ん坊の姿にまで育っているのを確認した時には感動のあまり声を漏らしたほどだった。

 

 これでも通常の何倍ものスピードで成長させているのだが、赤の星で犠牲になったアルマ達には実戦投入に際し強制的な成長を強いられた個体も少なくは無い筈だ。倫理時に云々、などと甘い事を言っている暇など無かったのだが原種と相打ちになる為だけに生まれた存在に感情や情緒と呼べるものはあったのだろうか?無表情で浄解の呪文を唱え原種核と共に消えていく・・・そんな光景がやけにリアルに浮かんでしまう。

 

 頭を振り嫌な想像を消し去る。戦いの運命に引きずり込んだ自分が言えた義理ではないが、アルマには人間らしい感情や情緒を与えてやりたい。戒道少年は培養槽から出せるギリギリの状態で赤の星を脱出させられ、地球で御婦人に拾われた。十分な愛情を注ぎ育てられ、感情表現は乏しかったものの「地球人・戒道畿巳」としての人格と情緒を得た。こればかりはトモロのデータベースにも入力されてはいないだろう。はて、と考えているとトモロからの呼び出しを受けた。

 

 

 

「アルマを起こす?それは構わんが、急な話だな?」

 

『別ニ 急ナ 話デハ ナイ。培養槽ノ キャパシティモ アルガ実戦投入 ニ耐エウルト 判断シタ』

 

 

 アルマを培養槽から出すとの報告だった。ジェイアーク級戦艦で原種の体を砕き、原種核までアルマを確実に送り届ける為の絶対的守護者にして剣である我等ソルダート師団、そして原種と対消滅する事で確実に倒す為のアルマ。本来の運用で考えれば能力行使に必要なだけの体力があれば問題は無い。そう、問題は無いのだが・・・肉体年齢で11~12歳程の、女性型の体躯-この子は女の子だった-で本当に大丈夫だろうか?

 

 

「ふむ、知識に関してはどうなっている?」

 

『ソチラモ 問題ナイ。脳ニ負担ノ 無イ範囲デ 言語 ヤ能力行使、一般的 ナ知識ノ 転写ヲ 行ッテ キタ』

 

 

 標準的な知識は備わっているようだ。あくまで赤の星の、が付くが。その辺りはおいおい解決するとして、培養槽から出すとすると服も必要だな。

 

 

「トモロ、アルマ用の服装一式の用意を。流石に年頃の女性を裸で放り出す訳にもいかん」

 

『標準的ナ アルマノ装備 ナラバ スグ用意 デキル。サスガニ ソノ位ノ 分別ハ アル』

 

 

 あったのか。そんな考えをおくびにも出さずに艦長席に座る。

 

 

「では準備が出来たら連絡をくれ。迎えに行こう。子供とは言え女性の肌を見るような趣味は無いのでな」

 

 

 戦士とは紳士であるべきなのだ、という真摯な思いはトモロに届くだろうか。

 

 

・・・

 

 

『J、アルマノ 準備ガ 出来タ。装備ガ 完了シタノデ 行クトイイ。ダガ 問題ガ 発生シタ』

 

「問題?何が起きた?」

 

『視力ニ 異常発見、光量ヲ 落トサナイト 目ガ 開ケナ イラシイ』

 

 

 報告を聞くや否や艦橋を飛び出す。目が開けない?光に過剰に反応してしまうのか若しくは視力自体が?室内の灯りが落ちている培養槽があった部屋に入室すると、両目を閉じ作業ドローンに掴まり立ちをしているアルマがいた。

 目の前にアルマがいる。全身一体型の黒いインナーに身を包み白いコートとJジュエルのペンダントを身に着け、戒道少年をそのまま少女にしたような、私の胸元にも及ばない小さな子だ。

 

 

「おはよう、でいいのか?私がこのジェイアーク・スペルヴィアに登録されているソルダート№J-028だ。お前を登録する為にJタワーコンピューターまで案内しよう。だが、その前に確かめたい事がある」

 

 

アルマの顔の前まで近づき片膝をつく。

 

 

「目が開けないとの事だが、この明るさでも無理か?無理でなければゆっくりとでいい、開ける事は出来るか?」

 

「はい、J。私はアルマ、ナンバーは与えられていません。目なのですがこの明るさであれば何とか開ける事は出来ます。待って下さい」

 

 

 ゆっくりと瞼が開かれて行く。紫の美しい瞳が私を見据え、数回瞬きをして口を開く。

 

 

「目の前が貴方なのですね、J。ですが輪郭がブレて貴方の顔が見えません。何故でしょう?」

 

 

 見えていない訳ではないが近視か遠視か、視点のピントが合っていない。それに加えて光への過敏な反応。先天的な弱視のようなものか?盲目でなくて何よりだが、これでは日常的な行動に支障をきたす可能性が高い。まずはトモロに相談か。

 私はアルマの背中と両膝の下に手を回し、抱き上げた状態でトモロの元へと向かう。

 

 

「お前を歩かせるには少々心許ない。少々苦しいかも知れんが急ぎ運ばせてもらう。しっかり掴まっていろ、目を閉じたままで構わんが眩しいようなら顔を背けるなりするんだ」

 

 

 マフラーを翼に変え艦内を飛ぶ。視力を補助するような物を用意させる必要がある、が補助があっても視力を矯正しきれない可能性もある。これも私の行動のツケなのだろう、必要の無いハンデをこの子に背負わせてしまった。さらに戦いに利用しようというのだから、つくづく救えない奴だな私も。

 この時私は気づきもしなかったが、アルマは私の胸元に顔を埋める形で抱き着いていた。

 

(貴方の心が流れてきます。何を悔いているのでしょう?私の事で心を痛める事は無いというのに)

 

 

 

『来タナ。コレニテ 生体ユニット:アルマ ノ登録認証ガ 完了シタ』

 

「初めまして、トモロ。私こそお願いします。これで対原種殲滅戦が開始されるのですね」

 

「それに関してだがアルマ。我等はな・・・」

 

 

 アルマにもトモロと同様の事を伝える。赤の星の滅亡、最終的には遊星主の打倒、力を蓄えるべく様々な宇宙を巡っている事を。大人しく聞いていてくれた彼女がおずおずと口を開く。

 

 

「お話は分かりました。しかしそれでは私の力は必要ないのでは?私の使命は原種を討ち取る事。原種と共に消える事。それが私の存在意義である筈です。それが出来ないとなったら私に意味はあるのでしょうか・・・」

 

「アルマ!聞け!確かに我等はその為に造られた存在だ。それが存在意義だ。だがそれがどうした!それが無ければ我等は生きてはいけないのか?生きる事は許されないのか!」

 

いや違う!

 

「我等には戦う義務がある!同時に生きる権利もある!戦い、勝利し、生き延びるのだ。アルマよ、お前は存在に意味が無いと言ったな?それは違う、そんな悲しい事を言ってくれるな。我等にはお前が必要なのだ。共に戦う戦友が必要なのだ。誰が欠けても駄目なのだ」

「戦いに生き戦いに散るが戦士の定め、だがお前はまだ生まれたばかりだ。戦いだけではない事を、歩む道はそれだけでは無い事を、お前には知って欲しいのだ」

 

 不安に震えるアルマを抱きしめ叫ぶ。己の芯を思い返しながら、この子の心に響くようにと思いを込めて。感情の高ぶりに呼応し左腕に埋め込まれたJジュエルの輝きが増し、共鳴するかのようにアルマのペンダントも光を放つ。

 

 

『アルマ、能力行使ハ 問題 ナイカ?Jジュエル ガ活性化 シテイル、浄解ノ テスト ヲシテミロ』

 

「はい、トモロ。J、離して貰えますか?」

 

「分かった。お前なら問題無く出来るとは思うが、無理はするな」

 

 

 彼女を開放し数歩下がる。深呼吸を一つすると彼女は“アルマ”の能力を解放した。紅の光に包まれ頭上に光の輪を、背中に3対6枚の不死鳥の尾羽を模した光の翼が顕現する。そのまま浮かび上がり、Jタワーコンピューターの中心部-トモロの位置だ-の前で停止する。

 

 

「どうです、トモロ。能力の開放に問題は無いでしょう?」

 

『ソウダナ、問題ハ 無イ ヨウダ。能力ノ 行使ハ 試セナイガ スペックハ 満タシテイル ヨウダ』

 

 

 トモロに対しフンスッと胸を反らしている姿についつい笑みが浮かぶ。何というか背伸びしてる親戚の子を見ている気分だな。微笑ましく感じていると彼女が目の前に飛んでくる。ジッと目を合わせて・・・目を合わせる?

 

 

「どうしたんですJ?そんな失礼な事を考えて。貴方は心配のし過ぎですし、貴方が苦しみなど覚える必要は無いのですよ?嬉しいですけれどもね」

 

「いや・・・スマン。と言うより目を開けても大丈夫なのか?苦しみを覚えるとはどういう事だ?」

 

「力を解放している時だけ、ですが大丈夫です。J、貴方の顔がよく見えます。それに私をここに運んでくれている時、貴方は思ってくれたのでしょう?何と言いますか・・・心が伝わって来るんです。途切れ途切れの単語と言う形で流れて来るんです」

 

 

 思わずバイザーの下で目を見開く。心が流れて来る?読心とだでも言うのか?原作ではそのような描写は無かった筈。疑問を感じトモロに尋ねる。

 

 

「これもアルマの能力なのか?少なくとも私は聞いてはいないが」

 

『スペックニハ 無イ能力ダ。アルマ同士 デアレバ アルイハ・・・ダガ ソノ様ナ 能力ノ 付与ハ 考慮サレテ イナイ』

 

 

 アベルが組み込んだ能力でもないと。テレパス能力が開花したと?テレパス、心、その場の意識を読む?これではまるで・・・

 

 

「リミピッドチャンネル、それがこの力の名称なのですね?」

 

「ム、その通りだ。その場にいる者が考えていた事・知っていた事を読み取る能力だ。制御出来ねば際限の無い情報が常に頭の中に入ってくる危険性も孕んでいる。今は良いのだが・・・」

 

 

 よく観察してみると彼女の額に時折明滅する光が見えた。間違いないとは思うが、しかし制御と言ってもな・・・無責任な話だが方法など皆目見当もつかん。備わった機能を使わずに、とは私に飛ぶなと命令する様なものだ。かと言って能力に慣れろ、と人の多い所に連れて行けば情報を処理しきれず脳への負担は予想できない。どうしたものか。

 

 

「ですから。貴方は考え過ぎなんです、J。私だって戦士として生まれたのであればこの力も制御して見せます。それに」

 

 

 そこで言葉を切り彼女は柔らかな笑みを浮かべて

 

 

「私を守ってくれるのでしょう?私を守り通す守護者なのでしょう?」

 

「当然だ。私はソルダート№J-028、アルマの盾にして剣。例え何が起ころうと万難を排してお前を護ると約束しよう。」

 

 

「改めまして。私はアルマ。宜しくお願いしますね、Jにトモロ」

 

Sit lux ite(我等の旅路に光あれ)

 

 

 こうして新たな仲間であるアルマが加わった。地球のゾンダー共も今はまだ地下に潜んでいるようだが事を起こすのも時間の問題だろう。我等も力を蓄えねばならん。進むべき目標の為に。




暑苦しい野郎共のやり取り書くのも好きなんですが、今回の様な女の子が出て来る場面考えてたら割とノリノリな気分で書いてました。好き勝手書いてる以上、こういう成分も必要なのかなと学びました。

ここで「能力の制御が出来ても貴方の声は聞いていたいのです」とか付け加えると卑しか杯の出場権獲得できそうです。

今回のJは割と事案なのでは?12歳くらいの女の子に対し
・お姫様抱っこする
・抱きしめる
・耳元でしゃべる
3OUTかな?

でもJも生後(稼働時間)一年と少しの可能性も。そうすると一番の年上がトモロになる不思議。

ラテン語ですが読めると一番活躍できるかもしれないゲームもあるんですよね。クトゥルフの呼び声って言うんですけど。
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