白兎とアリスちゃん   作:パッチワーカー

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 今これ書いてるの朝の4時です。
 誤字脱字が多いかもしれませんので優しく指摘してください。

 いつも評価やお気に入り、しおりなどありがとうございます!


勝てなかったことと負け続けたことは「≠」だよ

 

 

 

 

 

 

 勉強は好きだ。

 この体になってからは物覚えも良く、積み重ねの勉強ができるようになったことが大きい、

 

 けど、テストは嫌いだ。

 絶対に勝てない相手に挑み続けられるほど僕はイかれてない。

 

 それでも、僕は挑み続けないといけないんだ。

 

 アリスちゃん、これですら君に負けたら僕の存在価値を否定された気になってしまう。

 

 だから、引き分けにさせてもらうよ。

 僕は勝ちたいんじゃない、負けたくないんだ。

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 

「欠席者はいないようだな。

 では、これから中間テストの結果発表を行う」

 

 運命の日。

 Aクラスに赤点を取るようなものはいないはずなので、()()は心配していない。

 だけど、ドキドキはしている。退学云々とはまた別の意味で。

 

 僕とアリスちゃんの戦いはそんな話ではないんだよ。

 

「小テストに引き続き、中間テストでもお前たちAクラスは学年トップの成績だった。赤点を取った者もいない···上々の結果と言えるだろう」

 

 黒板に貼られた大きな紙に目を通す。

 

 うん、よかった。──この点数取れたのはほんとによかった。 

「過去問を見てないから」って恥ずかしい言い訳をせずにすんだ。

 

 点数は全科目オール100点の500点満点。

 

 でも、アリスちゃんも500点···こんなテストじゃ僕らの差は測れないみたいだ。

 ──まぁ、僕らの差を出そうとしたらバケモノレベルのテストってことになるから勘弁願いたい。

 

 

「またいっしょですね」

「またいっしょだね」

 

 

 そう僕らの関係は変わらない。僕がアリスちゃんから提示された過去問を断るくらいには変わってない。

 

 自分の結果に安堵し、周りを見渡すと葛城たちが何やら焦っていた。

 ──あれ?まだ、この段階では葛城くんとの差はない···はずだよね?

 

 なんで、葛城くんはあんなに渋い顔して、アリスちゃんはこんなに満足そうなんだろう。

 

 そう思い、アリスちゃん派閥と葛城くん派閥の点数を比べてると、計算をせずともアリスちゃん派閥の圧勝なのが分かった。

 

 それを疑問に思い、アリスちゃん派閥の人を確認すると明らかに人数が序盤に比べ少なく、葛城くん派閥は多くなっていた。

 

 アリスちゃん、葛城くん派閥にスパイ混ぜたのかな?

 

 葛城くん、こういうことだよ。

 君は攻めるってことを知らない。だから、アリスちゃん派閥の人が混ざってることに気づけない。

 君はそんなことが出来る性質じゃないしね。

 

 君は何か対策しないと、これからもこうやって負け続けるよ?それでもいいのかな?

 

 葛城くんのことを可哀想に思っていたら、真嶋先生が口を開いた。

 

「退学者を出さなかった褒美として、夏休みにはお前たちをバカンスに連れて行ってやる。楽しみにしておくといい」

 

 最後に特別試験の存在を示唆し、先生は退出していった。

 とりあえず、隣のお姫様の勝利を褒めとこ。機嫌が良い分にはいいしね。

 

「おめでと、アリスちゃん」

「ありがとうございます。この結果を見て白兎君はどう思いますか?」

「どうとも思わないよ。前言ったまんま、葛城くんはリーダーに向いてないと思うしかないよ···それにしても徹底してるね」

「ふふっ···手加減してあげる方が惨めではないですか?」

「──葛城くん派閥に自分の派閥の人混ぜるのは、さすがの一言だね」

 

 アリスちゃんが得意げに笑った。···こういう悪い笑いも嫌いじゃないけど、やっぱり君にはちゃんと笑ってほしい。

 僕のエゴだけど。

 

「···ちゃんと彼、後悔してそうですね···白兎君」

「はいはい、お手をお貸ししますよ、お嬢様」

 

 けどね、そんなドヤ顔みたいな表情して、僕に頼み事されるとオッケーしたくなっちゃうじゃん···

 アリスちゃんのドヤ顔はレアだね。こっちまで嬉しくなっちゃうよ。

 

「葛城さん、ごめんなさい···俺らのせいで···」

「そんな顔するな弥彦。反省するのはいいことだ。しかし、必要以上に自分を責めるものではない」

 

 君らの主従関係は美しいまであるね。

 僕らの関係と似てそうで、全然違う。

 

 あそこまで振り切れてたら羨ましいよ。

 僕らには、僕にはあれは無理だ。

 

 

 この後、アリスちゃんが葛城をボコボコに言い負かした。

 純然たる負けであったので、葛城くんが今回は言い返せることなく受け入れていた。

 

 これで、僕といっしょの立場だった無所属の人が、アリスちゃん派閥に流れていった。

 

 原作よりも早くにアリスちゃんが支配しそうだなぁと、言い負かされてる葛城くんを見て思った。

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 

「──白兎君、今日の放課後空いてますか?」

 

 葛城くんに()()恨みがあるかのようにサンドバックにし、満足そうなアリスちゃんが話しかけてきた。

 

「んー、まぁ空いてるけどどうしたの?」

 

「中間テストも終わったことですし、この後私たちは打ち上げをしようと思っているんです──白兎君もよかったらご一緒しませんか?」

 

 ···まだ派閥に入ってないから断る以外の選択肢はないよね?···眼光鋭いよ、普通に怖い。

 

「──僕は君たちとがんばってないからね、今回はパスさせてもらうよ」

 

「···まぁ、そうですよね···」

 

 それを理解してたようで、アリスちゃんも引き止めることはなかった。

 こうやって話してるときだった。

 

「兎月」

 

 僕らの話が切れるのを待っていたかのように、話の切れ目で葛城くんが来て、声をかけてきた。

 

 葛城康平。

 Aクラスにおいて、アリスちゃんと双璧をなす、リーダー候補の大柄な男子。

 強面ではあるけど、慎重な性格で良識ある真面目な生徒。その本質のおかげで人を惹きつけ、派閥を形作れている。

 

「···すまないが、話がある──放課後少し時間をくれないか?」

 

 僕に了承を取っているはずなのに、

 葛城くんはアリスちゃんの方を見ていた。

 

 ──失礼だね、僕はアリスちゃんの所有物じゃないんだよ?

 

 アリスちゃんもアリスちゃんだ。

「どうぞご自由に」とでも言いたげな微笑みをするんじゃない!

 

「まぁ···いいよ──ちょっとだけね」

 

 でも別にいいよ。

 葛城くん、君がこれからのことをどうするかは確かに僕もちょっと気になるしね。

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

「で、話って何?」

 

「──兎月、お前は坂柳と小学生からの仲だと言っていたな?」

 

「うん、小学生1年生からの付き合いだね」

 

「···お前は坂柳に勝ったことはあるのか?」

 

 あーそういう質問ね、まあ予想の範囲内だ。

 あれだけコテンパンにされたんだ、アリスちゃんのことを1番知ってる僕に聞きたくなるよね。

 でも、ごめんね。

 

「ないよ、1回も」

 

 ないんだ。ボードゲームだろうと、トランプだろうと、

 そういう頭を使う系のやつでは勝ったことはない。

 

 けど、

 

「けどね、テストは負けたことないんだ」

 

「···確かに、ずっとお前と坂柳は満点だな···それは小学生のころからか?」

 

「当たり前でしょ。小学生、中学生のテスト、模試、この学校の入試、小テスト、今回の中間テスト。全部いっしょ。2人とも満点だよ」

 

「···そうか」

 

「だから、君の気持ちは痛いほど分かる」

 

「は?」

 

 分かるに決まってるでしょ?···どれだけ僕が勝てなかったと思ってるの?僕だって勝とうとしてた時期もあるんだ···勝てなすぎて途中で諦めちゃったけど。

 

「アリスちゃんに勝てないと思った?···もう降参しようと思った?」

 

 君はこんなとこで折れないと思うけど、一応確認させてくれ。

 葛城くんのリーダーとしての素質が気になるんだ。

 

「この1回で勝てないとは思わないし、降参しようとも思わない」

 

 さすが。

 けどこれがあと何回続けば君の心は折れるのかな?

 

「1回ではね···じゃあさ、あと何回も何十回も負けたらどうするの?」

 

「それは······」

 

 その気持ちはほんとにわかるよ。

 自分では越えられそうにない壁に向かって走ってるような気分だよね。

 それか、押してもびくともしない大岩を押してる気分かな?

 

 まぁでもそんな気分でしょ?

 でも君は「この1回で」って言ったよね?

 あと何回、何十回、何百回も挑み続けても、君はアリスちゃんに負け続けるよ。確実に今のままではね。

 

 君がそれでも折れなかったとしよう。そのときに君を慕ってくれてる人たちはどうかな?君をリーダーとして認めてくれるのかな?

 

 

 ──君はリーダーとして、自分自身で正しいって思えるのかな?

 

 

 まあどちらにせよ、今僕がこんなに詰める必要はないよね。

 

「ま、そのときはそのときだよね、でも今のままじゃこれの繰り返しだから。応援はしてる···加勢はしないけど」

 

「──俺には何が、足りない」

 

「前も言ったけど、クラスをまとめるリーダーとしての能力は十分あるよ。だけど、クラスを守り勝たせるリーダーとしての能力は全て不十分だよ。何が足りてないか自分で気付けないと、君はアリスちゃんに絶対勝てない。ずっとアリスちゃんに勝てなかった人からのアドバイスだよ」

 

「兎月──お前はそれほど坂柳に負け続けて何も思わないのか?」

 

 負け続けることと、勝てなかったことは「≠」だよ。

 いっしょにしないでくれ。

 

 けど、そうだね···何も思わないことはないかもね。

 でもね、僕とアリスちゃんは違うんだ。

 

「僕とアリスちゃんは同じステージに立ってないから、あんまり気にならないかな」

 

「は?」

 

 純粋な「天才」であるアリスちゃん

 努力で「秀才」な兎月白兎。

 同じステージに立っているわけがない。

 

 あの子との経験値、勉強量にどれだけの差があると思ってる?それなのに、もう僕の方が劣ってるんだよ?

 

 勝ちたいなんて気、失せるに決まってるでしょ。

 もう勝ちたいって思えなくなってしまった僕が、ずっと未来を見据えてるアリスちゃんと、同じ訳がない。

 恥ずかしいけどね。

 

「ま、そういうことだから···がんばってねー、しーゆー」

 

 僕の言葉が飲み込めてない葛城くんを放置して、僕は図書室に寄らずに帰った。

 今は本を読む気分じゃなくなっちゃったからね。

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

「あら、思ってた以上に早かったですね···お帰りなさい、白兎君」

 

 ──僕が図書室に寄らないと思ってた人がいたらしい。

 

 というか、君は打ち上げのはずじゃ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




誤字報告など待ってます。

モチベーションにめっちゃ関わるので、評価とお気に入り、感想よろしくお願いします!

≠って見ると球磨川くん思い出します。
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