白兎とアリスちゃん   作:パッチワーカー

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お姫様ご乱心

 

 

 

 

 

 

 

 

 綺麗な海、自然豊かな無人島、暑いが嫌悪感はないほどの気候、バカンスとしては最高の場所だ。

 アルビノの自分は、日傘をさして肌の露出を極限まで減らさないとならないから、なるべく居たくはないけど···

 

「なんだ?こっちを見ても俺しかいないぞ?」

 

 それでも隣にアリスちゃんがいれば完璧だった。清隆くんと仲を深めるのもいいかもしれない。

 一之瀬さんとアリスちゃんの話で仲良くなるのも悪くないし、白波さんに一之瀬さん関連の感謝をしておきたい。

 

「···そんな目で睨まれても何も怖くないな」

 

 なのになんで、なんで、なんでッ!

 

「なんでチャラいのが隣にいるんだろうね?」

 

「俺をチャラいで表現すんなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 初めての夏休み中のバカンス···もとい特別試験のことを先生が教室で説明しているとき、Aクラスは少し異様な雰囲気に包まれていた。

 みんなが見ていたのは説明している先生ではない。

 アリスちゃんと僕を行き来するように見ていた。

 

 ──原因は、いつも余裕綽々な笑みをこぼしているアリスちゃんが、今は顔が死んでしまいそうなほど白くなり、口や手が震えていたからだろう。

 

 ···あと、アリスちゃんが出す負のオーラが半端ないっていうのもありそう。

 みんな僕の方を向いて助けを求めてるみたいだけど、僕にはどうすることもできないよ。

 

 確か、原作の流れでは船に乗ってすらなかったと思うけど、アリスちゃんはどうするんだろ?

 

 説明が終わり、死にかけアリスちゃんの体調が心配で声をかけた。

 

「アリスちゃん?大丈夫?」

「···白兎君、夏休みはいっしょに部屋で休みますか?夏の直射日光は白兎君の肌にも悪いですしね」

「──うん、そうしよっか」

 

 目をうるうるさせて、そんなにいじらしくされたら、どんな誘いも断れないし、断りたくない。

 反則だよ。

 

「···いい訳ないでしょ、兎月。あんたは止める役でしょ?」

 

 アリスちゃんの参加の是非を聞きにきた神室さんに、すぐさまツッコまれた。

 

「うっ···だけどさ、アリスちゃんと2週間くらい離れるのは···僕も···ね?」

 

 今までずっといっしょに過ごしてきて、最近じゃ、朝登校するときから夜お風呂入る前までいっしょにいるんだよ?

 ···そんな人と急に会えなくなるっていうのはキツいよ。

 アリスちゃんもそう思ってる感じだ···し···?なんでさっきよりも震えてるんだろ?

 

「14か···かん···はくとくん?いっしょにすごしてくれますよね?」

「当たり前だよ」

 

 即答してしまうほど、アリスちゃんが弱々しかった。──どうしよこの子可愛すぎる。

 席を立ち、アリスちゃんの膝の上に座らせて抱きしめるくらいには可愛かった。

 

「ダメに決まってるでしょ···橋本、どうにかして···ついでにこの体勢もなんとかして」

「いやー俺じゃ無理だな···でもまあ···白兎?お前が休んだら多分Aクラスのクラスポイント落ちるし、うちの姫さんの評価落ちるぞ?」

「た、確かに···あ、アリスちゃん?」

 

 橋本くんに同意すると、アリスちゃんが泣きそうな顔で僕の胸元にすり付いてきた。

 ──今日のアリスちゃんは甘えん坊だ。よしよし。今日も髪の毛サラサラだね。

 

 でもアリスちゃん、君に無人島の試験は難しいよ?···僕とか神室さんが四六時中いっしょにいても多分無理だし、危険がありすぎる。

 ──一応船には乗れるのかな?分かんないけど。

 

「アリスちゃん、一応、交渉すれば船には乗れるんじゃないかなって思うからさ···一回先生のとこ聞きに行こっか」

 

「────そうですね、ここで駄々をこねても仕方ありませんし」

 

「ん、じゃあ行こ」

 

「ええ、放課後向かいましょうか。ダメだと言われてもギリギリの時間まで毎日粘りましょう」

 

「付き合うよ。1日目ダメだったら、清隆くん連れて行って、頼み続けながら脳内チェスとかすればいいんじゃない?」

 

「それ、ありですね」

 

「ま、1日目で終わらせたらいいんだけどね」

 

「はい」

 

「···話終わったんなら、その体勢やめてくれない?見てるこっちが恥ずかしいんだけど」

 

「あら、真澄さん随分うぶなんですね、可愛らしい」

「神室さん純粋っぽくていいね」

 

「あんたらの仲間だって思われるのが恥ずかしいって言ってんの」

 

「仲間とは思ってる、と」

 

「橋本、あんたどこ殴られたい?」

 

「結構ですー」

 

 

 

 

 

 

 

─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「──お前ら2人とも、何度言えば分かるんだ?10日程度、無人島に行くことになる。これは分かるな?」

 

「「はい」」

 

「無人島での生活を想定した場合、坂柳、お前は参加できない。そして兎月、お前が不参加になれば余計にクラスポイントが減るぞ」

 

「参加させていただきます」「アリスちゃんがいないなら参加しませんし、アルビノの自分からすれば夏のバカンスはお断りしたいです」

 

「──試験の内容は言えないが、坂柳の体では到底不可能だ。そして、兎月。お前の体質を顧みて、学校からの特別待遇で日傘や帽子、日焼け止めの類が支給される。お前は参加可能だ」

 

「参加させていただきます」「今のままだと参加しませんし、もし万が一水脹れになったらどうしてくれるんですか?」

 

「──────はぁ···分かった。船に乗ることは許可してやろう···だが嘱託医をつけるからな···兎月もこれなら参加するな?」

 

「「ありがとうございます」」

 

 

 

 失礼しましたー

 

 

 

「アリスちゃんこのまま買い物行く?」

 

「そうですね、()()買わないといけないですし、行きましょう」

 

「そんなに買うものあるかなぁ?ま、オッケー、···結構早くに決まってよかったね」

 

「ええ、意外にも30分ほどでいけましたね」

 

「まあ、学校側としても想定してた範疇なんじゃないかな?──もし無理だと決められてたら、最悪アリスちゃんのお父さんのところへ直談判しに行こうかと考えてたから良かった」

 

「私もそのような考えでした。卑怯かもしれませんが、これだけは譲れません」

 

「──まあでも、船で待機だから1週間くらいかなぁ?会えなくなるの寂しいね···」

 

「──白兎君」

 

 真剣な表情してどうしたんだろ?

 

「何?」

 

「今日から白兎君の部屋に泊まりますから」

 

 えっ?は?へ?──嘘だよ、ね??

 

「はい?──冗談···だよね?」

 

「1週間分の白兎君を補給しておかないといけないので」

 

 そんな真面目な顔で言われましても···

 

「真剣な顔してそんなこと言わないで?──えっ?ほんと??」

 

「はい。ですので買い物をしてから、一度着替え類を取りに行ったりゴミをまとめたりと、色々しないといけませんね」

 

「──拒否権は「あると思いますか?」···ないですよね」

 

 ──ほんとに?···僕これからソファーで寝ることになるのか···なんか寝やすいクッションでも買おうかな?

 

「もちろんいっしょに寝ますから、その心配はいりませんよ」

 

「···声に出てた?」

 

「いえ、顔に出ていましたよ」

 

「そっか──ちなみにお泊まりっていつまで?」

 

「最短でも船に乗るまでですね···」

 

 最長じゃなくて?···そこで終わりじゃないの?

 なんか嫌な予感するなぁ···

 

「──最長は?」

 

「ふふふっ···卒業まで、ですね」

 

「────これからよろしくね」

 

 こうなったときのアリスちゃんを止められるのは誰もいない。仕方がないとしか言いようがない。

 ──また何かで清隆くん釣って、アリスちゃんを負かしてもらおう。

 

「はい、よろしくお願いしますね···泊まるにあたってあと決めなければならないのは、そうですね···お風呂は先がいいですか?後がいいですか?···それとも···「後で」···分かりました」

 

 僕が先に使うビジョンが見えないし、いっしょに入るのはなしすぎる。

 ──いっしょに入るだよね?最後の選択肢?

 

「ふふふっ···まだ後1つ言っていなかったのに、よろしいんですか?」

 

「うん、どうせ「お風呂だけは私の部屋ものを使おうと思っていましたが、白兎君がそこまで言うのなら仕方ありませんね···白兎君には私が入った後の湯船を浸かってもらいますね」──始めからその3択だったの?」

 

「ええ。──他に何があると思われたんですか?白兎君?」

 

「···黙秘権を行使します」

 

 顔が赤くなってるであろう僕を見て、ニヤニヤしながら繋いでいた手を離して僕の耳元に置き、始めから近かった距離をさらに詰めた。

 ···耳打ちされるのかな?

 そう思い、少し身をかがめた。

 

「ふふっ♪···それは白兎君がキスしてくれてからですよ?

 

「なっ!──あ、アリスちゃん?···そういうの心臓に悪いからやめて?」

 

 耳打ちするときだけ、いつも息遣いが大きくて心臓に悪い。それにそんなことを言われると、まだ勝ってないのにそういうことをしたくなってしまう。

 ほんとに男っていうのは単純だなぁ···

 

「あら、やっぱり白兎君も真澄さんと同じくらいうぶですね。可愛いです♪」

 

「────あーもう、買い物行くよ!」

 

「はい♪」

 

 そう言い、もう一度手を繋ぎ出して顔を上げると、周りの生徒の目つきが怖かったり、生暖かい目が多かったりした。

 

 

 

 ────あ、まだ学校の廊下じゃん。

 

 

 

「アリスちゃん」

 

「なんですか?白兎君」

 

「早く行こ」

 

「白兎君は恥ずかしがり屋だから、仕方ないですね。甘いもの買ってもいいですか?」

 

「いいよ」

 

 

 

 

 




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