これを書くために初めて「よう実」のアニメ見ました。
葛城くん結構怖いですね。あと高円寺くんは結構外見のイメージ違いました
ホームルームが始まる前から、1年Aクラスは異様な雰囲気に包まれていた。
まるで自分たちが場違いだと、違う世界の住人だと、誰もが思ってしまうようなそんな雰囲気があった。
「アリスちゃん学校の中見に行かないの?まだ結構時間ありそうだけど」
廊下から2番目の1番後ろの席に座っているアルビノの少年が、絵本の中から飛び出してきたようなお姫様に向かってそう言った。
それを、今いるクラス全員が心の中で賛成した。
「「「そこの2人出てってくれ!」」」
というのがクラスの総意だった。
しかし、そんな甘い希望をこのドSロリが許すはずがない。
自分たちが異質な見た目をしているのを彼女は分かっている。異質といっても良い意味で現実離れしている容姿だ。
それが2人並んでいるのだから、一般的な人だと場違い感を感じてしまう。
それを彼女は分かっている。
そして、自分たちがいるのが、彼ら彼女らに疎外感を与えられるのも分かっている。
──本当に少年は罪深い。この少女がドSロリ化してしまうのを防げたのは君だけだったというのに、防げなかった。
その罪は彼ではなく、他のクラスメイトへと降りかかる。
「ええ、···少し疲れてしまいました──白兎君が抱えてくれるのなら考えますよ?」
恋人だとしてもそんな提案はしないだろうことを言い出した。それも隣の少年以外にも聞こえる声で。
今のAクラスは静かで、その2人しかまともに話してなく、小さな声ですら大体の人には通る。それなのに少女は普通の声で話した。そのため全員に一言一句違わず伝わる。
この少女は分かってやっているのだろうか?
この人は私の
「んー、どこに段差があるとか滑りやすいとか、まだ全然把握できてないから却下。もしアリスちゃんを落としちゃったら嫌だからね」
相手の声に合わせて普通の声で返してしまうバカ1匹。
この少年は分かっていない。ただただ自分が優しさの塊であることと、自分が少女のことを大事に想っていることが筒抜けになっただけだ。
君がこのクラスに彼女なんてものができる可能性が限りなくゼロになってしまう行為だ。このドSロリから奪うことを決意するほど強く想われたら話は別だが······
まあ、そんな不届きものが現れたら、少女は全力で退学まで持っていくだろうが。
「ふふ、冗談ですよ、真剣に考えてくれてありがとうございますね」
「だろうね────そんなに僕の頭撫でるの楽しい?」
「ええ♪白兎君がとても気持ちよさそうにしてるのを見るのは楽しいです」
「···そっちね」
大衆の面前で頭をよしよしされ、目を細めてしまってることに気づかない。
君は自分たちがどれだけ注目されているのか分かっているだろう?
これを入学して早々、初対面ですらないクラスメイトの前で行うのはメンタルがどうなっているのだろうか?
絵本の中から出てきた可憐なお姫様と、アルビノの兎のような可愛い少年。どちらも現実では考えられない2人だ。
その2人が人目を気にせず、いちゃついているのだ。クラスの雰囲気が狂うのは仕方ない。
そんな異様な雰囲気は、チャラそうな男が話しかけてくるまで続いた。
僕ら2人が着いたのは、まだ朝の早い時間帯だったため他のクラスメイトは少なかったが、次第に人が増えてきて教室の中は賑わいを見せた。
しかし、それは僕ら2人を見ると不気味なほど収まった。
内心、僕らみたいに異質な見た目をしてる生徒いないかなぁ···
そう思っていたが、お坊さんみたいな頭の男の人しかいなかった。僕でも分かる、あれは葛城くんだ。親しみづらいとされていたけど、実物を見て普通に怖かった。──見た目で損するね、お互い。
そんな葛城くんを抑えて、1番目立ってしまったのは隣の席のアリスちゃんと僕だ。見た目に関して儚げな雰囲気を持った美少女で、まるで何かの物語から飛び出してきた感じだし、それに加えて僕はアルビノだ。
やっぱり注目する者は多いらしい。
けど、他のクラスメイトから声を掛けられることはなかった。
これは中学校のときからそうだ。僕らが2人でいると話しかけづらいらしい。
──まぁ、異物すぎるよね。
それを仕方ないとし、アリスちゃんと適当にお話ししながら周りを観察した。
(どれが神室さんで、どれが橋本くんだ?)
原作でアリスちゃんの手先となっていた2人を探した。
──神室さんはキツそうな感じ、橋本くんはチャラそうな感じとしか知らないため、
いまいちよく分からなかった。
「いやあ、入学して最初から見せつけてくれるね、ご両人」
その2人を探していると、アリスちゃんと逆側から声をかけられた。このチャラさ、君が橋本くんか。君は凄いな。ここまで異質な僕らにも話しかけられるのか。
「──失礼ですが、まずお名前を伺ってもよろしいですか?」
ん?あ、アリスちゃんちょっとキレてる?···話してたの邪魔されたからかな?
「おっと、そんなに怒らないでくださいよ。俺は橋本
この男、今の段階でアリスちゃんがヤバいヤツってことに気づいたのか?
大分下から来たね。
「···坂柳有栖と申します」
「僕は兎月白兎!よろしくね橋本くん」
普段なら男の子は下の名前で呼びたいけど、君は「橋本くん」ってイメージがついてるから苗字呼びがしっくりくるね。
「2人ともよろしくな!白兎とあr···坂柳さん」
ほんとにアリスちゃんはドSだ。気に入らなかったら目で黙らせる。──怖っ。
そんなことを考えてたけど、気になる言葉があった。
「で、『見せつけてくれる』ってなにが?」
「···お2人さん、さっき階段上がるときにお姫様抱っこしてただろ?──もう結構話題に上がってるぜ」
まぁそういうことだろうね。
「あーそれね、アリスちゃんどうするの?」
こういうことを聞かれるのは多いし、そういうときに言うことは変わってないが、
一応アリスちゃんの意思を聞いておこう。
「どうもしませんよ──白兎君はどうしたいんですか?」
いつも通りでいいらしい。いえっさー。
「そうだ···ね、橋本くん。何を思ってるかは知らないけど、僕らは付き合ってるとかそういうのじゃないから勘違いしないでね」
「あら?では私の勘違いでしたか?」
このドSはほんとに僕を困らせたいらしい···ほんとに性格いいね!!
「···アリスちゃん話ややこしくしないで?」
「はははっ!やっぱ面白い!!」
その後は、橋本くんを起点にして多くの人が話しかけてきてくれた。こんなこと今までなかったから、僕は嬉しかった。アリスちゃんはなんとなく微妙そうな顔をしてたけど。
クラスメイトのみんなと話していたら、始業のチャイムが鳴った。
その後担任らしき1人男性が入ってきた。
スーツの上からでもわかる、ガッチリとした体格で厳格そうな男性だ。
「初めまして、新入生諸君。私がAクラスの担任を務める真嶋智也だ。担当教科は英語を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えが存在しない。そのため、基本的には3年間、私が君たちの担任を務めることになるだろう」
あ、そういえばそうじゃん──ってことはアリスちゃんとほんとにずっと同じクラスなんだ···アリスちゃんのお父さん、普通に恨みます。
「1時間後には体育館で入学式が始まるが、その前にこの学校に関する説明をさせてもらう」
そう言って、資料がクラスの全員に回され、説明が始まった。
まず、全員が入学前に知っていた基本的な知識をおさらい感覚でした説明。
そして、3年間の外部との接触禁止のこと。
最後にこの学校独自で発足しているSシステムの存在。
「これから君達に学生証を配るが、この学生証は身分証であると同時に学内施設を使用するためにも必要となる。そのため無くさないよう気を付けるように。学生証にはポイントが蓄積されており、このポイントが学内では金銭の代わりとなる。クレジットカードのようなものだな。この学校の敷地内に存在するものならば
···Bクラスに転入することも視野に入れてmイッ!!!タッ!!!
「ッ!!──ア、アリスちゃん?」
そう小声で言うと、アリスちゃんはいつも通り微笑みながら
「何か邪な感情が感じられましたので。それに白兎君も好きでしょう?私にこうやってつつかれるの」
と、ドS感満載の顔をして、指で僕の頬をツンツンとつつきながら言った。
──この子はなぜこんなにもドSに育ってしまったのか。
誰か止められなかったのだろうか、と真剣に考えた。
僕が静かに悶えてる間にポイントの説明が始まった。
「ポイントには1ポイントにつき1円の価値があり、毎月1日に支給される決まりとなっている。そして新入生諸君には全員に、10万円分のポイントが既に支給されている」
その言葉にクラス内が一瞬ざわつく。
10万なんて大金を高校1年生につらつかせたら、そうなるのが普通だ。それが一瞬で終わったということの方が不自然だ。やっぱりAクラス。みんな優秀だね。
「10万円という額に驚いたかもしれないが、この学校は実力で生徒を測る。このポイントは、君達新入生にそれだけの価値と可能性があると評価された結果だ。自由に使うといい。ちなみにこのポイントは卒業後に全て回収され、現金化もできないので注意するように」
あれ?そうだっけ?なんか低いレートで交換ができた気もする。
──原作を見ておけばよかったなぁ···
僕が少し後悔をしてる中でちらっと隣を見たら、アリスちゃんが悪い笑みを隠せていなかった。
──ほんとにこの子が楽しそうでよかった。
僕を物理的精神的にボコボコにしてるとき以外は、基本的に楽しくなさそうな彼女だけど、この瞬間は素直に楽しそうだった。
「退屈しない場所」とお父さんに言われて来た場所だったから、退屈そうじゃなくてよかったね。
僕としても、この学校に来られてよかった。アリスちゃんの負ける姿が見られる。
──────僕としては早く綾小路くんと戦って、その好意なのか敵意なのかよく分かんないのを吐き出してくれないかなって思ってる。
僕が綾小路くんの代わりにボコボコにされたの、しっかり覚えてるからね。
それに、それが終わらないとアリスちゃんが
「白兎君、端末を貸してください」
真嶋先生の話を悪い笑みを浮かべていたアリスちゃんが声をかけてきた。
「ん?あ、端末ね、いいよ」
手渡した端末を何やら弄られた。
──これが初日でよかった。何もやましいものないし。
「ありがとうございます。どうぞ、ちゃんと増えているでしょうか?」
「??──あ、5万増えてる。ってことはどっか買い物行くの?」
「身の回りのものを揃えたいですからね」
「おっけー、いつ行くー?」
どうせしばらくは予定が詰まることになる。適当に予定をいれて、アリスちゃんとの予定とダブルブッキングしたその日には、僕は五体満足に朝日を拝めなくなる。
ちゃんと空けておかないといけないよね。
「そうですね···今日は色々と見て回りたいので、今週末にでも」
「さっき疲れたって言ってなかった?」
僕がそう言うと、アリスちゃんはにこやかに微笑むだけで、返事はしなかった。
──ま、いっか。それよりも気になることがある。
「ん、でもこんなにポイントいる?」
「多い分は食費ですよ──これから
「もしかして、お弁当って継続?」
「当たり前です──白兎君の料理が1番好きですからね」
「──ありがと」
「ふふ」
真剣な目をして僕を褒めた。まれにしかしない行為だ。ドSの癖に、ちゃんと人を褒めるのは反則だよ?
──普通に顔が熱い······
前世から自炊しておいてよかった。
「────皆、少し聞いてくれないか」
僕が顔を赤くしてたら、1人の男子生徒がクラスメイトに呼びかけるように席を立った。身長は高く、体格はかなり恵まれている。そして、お坊さんのような頭。葛城くんだ。そんな頭をしてるのは彼しか知らない。
「これから俺たちは3年間共に学ぶことになる。
だから自己紹介をしようと思うのだが、どうだろうか」
さすがリーダーとして、アリスちゃんにボコボコにされるだけはある。
統率力素晴らしいね。
「いいね!さっき話してた以外の人のことも知りたいしね!」
「そうですね。私も皆さんのこと知りたいです」
声色をワントーン上げて同意した。────アリスちゃんの作ってる声聞くの久しぶりだ。どっちの声も可愛いからどっちも好きだなぁ。
「ありがとう。では言い出した俺から自己紹介をさせてもらおう」
彼はこちらを向いて感謝した──Aクラスで最も異質な僕らが賛同したのがデカかったのかな?
「俺の名前は葛城康平だ。趣味は────」
こうやって自己紹介が始まった。
「私は
あ、彼女が神室さんなんだ!ちょっと紫かピンク色の髪で、やっぱり目が怖い。──イメージ通りだ!······ん──アリスちゃんの目がめっちゃ怖い···?
僕なんかした?
葛城君から順番に自己紹介をし、僕の番が回ってきた。
注目が集まっているのを感じる。まあ、特徴的な見た目だし仕方ないね。
「僕は兎月白兎っていいます。見ての通りアルビノです。趣味は読書と体を動かすことかな?中学ではテニスで一応全国出てます。···結構見た目がアレだけど、みんなと仲良くなりたいって思ってます!よろしく!」
「よろしくねー!」
「よろしくな!」
うん···結構上手くいったね。
さぁ、あとは祈るだけだ。
────アリスちゃんが僕を困らせませんように。
僕の自己紹介と質問を答え終わり、次はアリスちゃんの番になった。
「坂柳有栖と申します。趣味はチェスと本を読むことです。中学、高校共に部活動に所属するつもりはありません。先天性の心疾患があり、体が弱いもので」
部活に誘われるのは面倒だと思ったのかな?
アリスちゃんは、ここで部活をする気はないと切り捨てた。
──君はチェス部みたいなのに入ってなかったっけ?──別に潰しに行ってるだけで入ってないのかな?
アリスちゃんの言葉に同情の空気が流れたが、アリスちゃんが弱みを見せて終わるような人じゃないんだよね。
「ですがその分、勉学は励んできましたので勉学には
流石アリスちゃん。苦手な事、得意な事をはっきりと伝えてるし、自分を謙虚に見せた。
こういうアリスちゃん貴重だね。
「よろしくー」
「よろしくね!」
女子を筆頭に歓迎する雰囲気が完璧に整った。──だからだろう。質問しやすい空気ができてしまった。
「ね、坂柳さん!兎月君とはどういう関係なの!さっきは濁してたけど!」
「私もそれ気になってた!」
自己紹介を終えたアリスちゃんが席に座ろうとすると、歓迎していた女子がそう質問した。してしまった。
その問いにアリスちゃんが答えることは
「──みなさん気になってるらしいですよ?」
こうやって僕に押し付けて、僕の揚げ足を取ったり含みを持たせたりして僕を困らせる。
···そうなるのは分かってるけど、言わないと余計に仲を疑われてしまう。
──がんばれ、僕。
「小学校からの仲なんだよね···いわゆる幼馴染ってやつ。
だから、さっきも言った通り彼氏彼女の関係じゃないからね」
「ほんと??橋本くんが言ってたけど、階段上がるときお姫様抱っこしてあげてるんでしょ?それで付き合ってないは無理あるくない?」
「さっきも、頭撫でてもらってたよね??それで幼馴染はちょっとね···」
頬を掻きながらそう答えるが、さすがに信じてもらえないらしい。
普通に1日目にして証拠が揃い過ぎてしまった。
──多分、もう僕がどれだけ言っても無理だなぁ···
そう思い、隣で微笑んでるだけのアリスちゃんを見る。
──頼むから普通に弁明してください。
目でそういったことを言うと、アリスちゃんは悪い笑みを浮かべながら口を開いた。
ああ、神様。この子はなぜドSになってしまったのですか?
「そうですね。私と白兎君は
────ほんとこのドSロリは、性格が良すぎるね!!!!
評価やコメント、誤字報告など待ってます。