白兎とアリスちゃん   作:パッチワーカー

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前回後書きに入れようとして忘れた部分。

「白兎?···それ何に吸われた?」

「蚊に吸われた」

「間違えた、誰に吸われた?」

「···蚊に吸われたよ」

「ほう、うちの姫様のことを『蚊』呼ばわりか?」

「君みたいなコウモリ野郎には言われたくないな」


クラス間闘争
プールの主役は小さな兎であった


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兎月白兎と坂柳有栖の関係は進むことも戻ることもなく、

 未だ曖昧な関係を続け5月1日を迎えた。

 

 

 その間の出来事として語らなくてはならないのは、

 プールの授業だろう。

 

 

 本来、プールの授業は男子が女子の水着姿や女性的特徴を妄想し女子から怒られるというのが普通だろう。

 

 が、ことAクラスに関しての主役は小さな兎であった。

 

 

 

 

 

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 体育の授業がプールである日。

 Aクラスは男女問わずにどこかそわそわしてる雰囲気が漂っていた。

 

 ──何をそんなに思うことがあるのか尋ねても、濁したり普通に答えてくれなかったりした。

 

 それについてアリスちゃんに聞いても、「なんででしょうね?」といつも通り微笑んでた。

 

 ──その後ラッシュガードの有無について聞かれたから、「持ってきてないよ」と言ったら唖然とした表情を向けてきた。

 

 ···珍しいね、アリスちゃんがそんな顔するの。その後アリスちゃんから何故か呆れられた。···なんで?

 そわそわしてる雰囲気はプールの授業前まで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

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「ねぇアリスちゃん?──なんで今日こんなにみんなそわそわしてるのかな?」

 

「さあ、なんででしょうね?」

 

 白兎君は、男性がソワソワする気持ちはなんとなく分かるでしょうが、女性がプールの授業で何か期待感に包まれている気持ちになっているのは白兎君には分からないでしょうね。

 

 だって貴方のことなのですから。

 

 雑誌やテレビに出ている女性とは比べ物にならないほど、美しい見た目をしてる白兎君ですよ。

 

 ──貴方の水着姿、はたまた上半身が裸の姿を考えてしまう女性も多いことでしょう。

 

 ですが、そんな心配はいりません。

 

 中学時代、そういうことを危惧した私は白兎君用のラッシュガードを一緒に買いに行きました。この学校にも持ってきているはずです。

 

 一応確認のために聞いておきましょう。

 これで、クラスの皆さんが思っているようなことにはならないはずです。

 

 ──ならないですよね?

 

「ラッシュガード?アリスちゃんと買いに行ったやつだよね?────あー、この学校温水プールだし、日光遮断できる屋根あるからいいかなって思って今実家にあるね。だから買いに行かないとないよ?」

 

「──あなたは馬鹿なんですか?」

 

 やはり白兎君は自分の容姿に無頓着です。

 貴方のような中性的でどちらかというと女性寄りな見た目の貴方が、上半身裸でいい訳がないでしょう?

 

 それに、私がせっかく選んであげたラッシュガードを持ってきてないとは···これは、何かお仕置きが必要ですね···

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「──白兎、お前まさかとは思うが、上半身裸でプールに行くのか?」

 

「?······温水プールだし直射日光に当たらないからそのつもりだけど?」

 

「いや、そういう心配をしてるんじゃなくてだな」

 

「アリスちゃんもそういうこと言ってたけど、今日ラッシュガード必須だった?」

 

「いやそうじゃない、そうじゃないんだ···」

 

「でも、まぁ確かにちょっと紫外線怖いかな······アリスちゃんに背中、日焼け止め塗ってもらうよ。あの子見学するだろうし」

 

「だからそういうことじゃなくて······なんというか······」

 

「??どうしたの?」

 

「──いや、なんでもない」

 

「そっ」

 

 橋本くんは、僕がプールの授業に上裸で臨むことをやけに渋っていた。

 色素の抜けた白い肌を気遣ってくれたのかな?って思ったけど、そうじゃなかったらしい。

 

 それが分かったのは水着に着替えたときだった。

 

「兎月······!!お、お前······本当に男か?」

 

「──戸塚くん、何?今更?──うん、そうだよ。そうじゃなきゃここにいないよ?」

 

「そう、だよな······そうだよな!そうなんだけどさ······お前上半身だけ──って足とか下半身の毛もほぼないじゃん!!こいつ普通に女子に見えて······」

 

「キモいよ?普通に」

 

「──あー、やっぱりこうなるかー」

 

「あ、これの心配してくれてたんだね──次は何か着てくるよ」

 

「そうした方がいい······戸塚だけじゃなく大勢がそういうこと思ってるからな」

 

「······?そうなの?みんな?」

 

 僕がそう言うと、橋本くん以外全員が顔を背けた。──葛城くんや鬼頭くんまで······

 僕をなんだと思っているんだろうか?

 

 

 これが男子だけならともかく、女性陣にもおんなじようなことを言われてしまった。

 

 

 多くの女子から「「「兎月くん!!」」」と呼び止められ、代表の女の子に注意された。

 

 

「う、兎月くん??······ちょっとその格好は······そのぉ、え、えっちすぎるかな?って私たち思うんだけど!!」

 

「??どういう意味?」

 

「えっと、ね······あの······刺激が強すぎると言いますか、女の私たちでも羨ましい美しさと言いますか······とにかく!!裸はダメ!!!」

 

「──うん、分かった。ありがとね。今度からはラッシュガードか何か着てくるよ」

 

 みんな僕の体と顔を交互に見て、顔を赤くするか驚いた顔するからちょっと怖かった。

 ······体育の先生にすら、なんかちょっと渋い顔をされた······そんなにダメかな?

 

 

 アリスちゃんなら僕の味方になってくれると思ったけど、

 現実はそんなに甘くないらしい。

 

 

「──アリスちゃん背中に日焼け止め塗ってくれる?」

 

「······ええ、いいですよ」

 

「ありがと······みんなおかしいね、男の僕が上半身裸で何がダメなんだろ?」

 

「何を言ってるんですか?絶対ダメに決まっているでしょう」

 

「え、アリスちゃんも?」

 

「中学のときから言ってますよね?──ただでさえ中性的な見た目なんですから、注意してくださいと」

 

「うん」

 

「なら、分かりますよね?」

 

「──うん、ごめんなさい」

 

「よくできました──はい、終わりましたよ。······それにしても本当に綺麗な肌ですね」

 

 アリスちゃんにもダメ出しされてしまったし······

 

 確かに中学のときからアリスちゃんにラッシュガードを着用するように言われてたけど、こういう理由があったんだね。日焼けするからだと思ってた。

 

 

「ん、ありがと。小学生のときからアリスちゃんに日焼け止めとか塗ってもらってるからね。アリスちゃんのおかげだよ」

 

「──そうですね。小学生のときからです」

 

「そうだね···いつもありがと」

 

「いえ、こちらこそ───────ちょうどいいですね。白兎君、ここに横向いて頭を乗せてください」

 

 そう言って、ベンチに座ってるアリスちゃんが膝をポンポンと叩いた。

 ──普通にみんな泳いでるんだけど?

 

 まぁ、見られてないし、アリスちゃんの膝にタオル敷けばいいか。

 

 僕はアリスちゃんが持ってきてたタオルを膝に敷き、アリスちゃんの膝に寝転がった。

 

 ···アリスちゃんの膝はほんとに細かった。

 まるで小学生のときから成長してないみたいだ。

 

「それじゃあ失礼します···アリスちゃん細いね」

 

「ふふ♪···いつも抱き抱えていただいてますからお分かりでしょう?」

 

「うん、いつもちゃんと食べてるのかな?って心配になるよ」

 

「貴方の料理食べてますから安心してください···お友達にもお弁当、褒められるんですよ?···すごく美味しそうだって」

 

「ほんと?ならよかった···アリスちゃん、頭撫でるのほんとに上手くなったね」

 

「はい♪勉強しましたから」

 

「そっ──で、そろそろ行かないと怒られそうだから行くよ?」

 

「······白兎君」

 

 そう言って、アリスちゃんはまた耳に息がかかるほど近づいてきた。

 

「ん···アリスちゃん好きだね、そういうの」

 

「ふふふ、好きなんですよ···白兎君のこと

 

 耳に柔らかい感触があった。

 それを感じた瞬間、電流が走ったようなそんな感覚がした。そんな感覚がしたら起きるしかなかった。

 

 アリスちゃんがそんなことを言うとは思ってなかった···この子は今どんな顔をしているのだろうか?

 

 体を素早く起こし、アリスちゃんの顔を見た。

 

 そうして、アリスちゃんを見ると、

 してやったりって感じの顔をしていたので落ち着いた。

 あぁ、揶揄われただけか···

 

 ──けど、頭ではそうは分かっていても、この胸の高鳴りは収まってくれない。

 

「!!!──それはどういう意味で?」

 

 分かってる、

 その答えが僕が、僕らが求める答えじゃない。

 そうだと分かっていたとしても、

 声が上擦る、顔に熱が帯びるのを感じる、鼓動がうるさくなる。

 

「さあ、どういう意味の、なんでしょうね?」

 

 ほんとにこの子はドSだ。絶対答えを提示してくれない。

 僕はそんな意地悪な子に背を向けて、プールへと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、こんなこともありながらも、

 基本的に平穏な日常を過ごしていた。

 

 戸塚くんが授業中少し騒いでいたのを葛城くんが嗜めたり、

 神室さんがいつの間にかアリスちゃんの友達?手下?になっていたり、

 抜き打ち小テストをしたりした。

 

 小テストに関しては小、中学生の頃から大学生の範囲を履修してたから多分大丈夫だけど、最後の3問は一般的な高校生に出す難易度じゃなくてちょっと引いた。

 

 ──あとは僕が1人でいるときの一之瀬さんとの遭遇率は異常だった。

 1人でいるときに高確率で一之瀬さんと遭遇し、弟のような扱いをされる。

 それを白波さんが必死に止めてくれるので、白波さんへの好感度は非常に高い······多分あっちは嫌いだろうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな平穏が破られたのは今日。

 すなわち5月1日だ。

 

 

 

 

 

 

「────アリスちゃん、どうだった?今月振り込まれたポイントは?」

 

 スマホで所持ポイントを確認した僕は、隣で手を繋ぎ、いっしょ登校しているアリスちゃんに質問をする。

 

 原作を知っている自分からするといらない質問だけど、やっておかないといけない。

 

 ──自分という異物がいることによって、この後の展開が変わることが何よりも怖い。

 

 だから基本的にアリスちゃんが複数の人と行動するときや悪巧みをするときに僕は関わらないようにしていた。

 当然アリスちゃんは手伝ってくれると思ってたみたいだけど、ごめんね。

 

 クラス間闘争には興味ないんだ。

 

 

 

 

 ──僕はただ君に負けたくないだけ。 

 

 

 

 

 だから、君と同じクラスになった時点でそれに対するやる気は無に等しい。ま、足は引っ張らないようにするし、僕にできることはやるけどね。

 

 

 

「94000pptですね」

 

「僕も同じってことは、そういうことなんだろうね。──で、どう?······この学校は、アリスちゃんにとって楽しい?」

 

 どうでもよさげな僕とは対照的に、アリスちゃんは楽しそうな笑みを浮かべている。

 よかった。アリスちゃんは楽しそうにしているときが1番可愛い。この表情を多く見せてくれる、この学校に深く感謝したい。

 

「────ええ。この実力主義の学校は私に何を齎してくれるのか······とても楽しみです」

 

 

 楽しげなアリスちゃんの横顔を見ながらゆっくりと登校した。

 

 

 ──多分Dクラスは0なんだろうなぁ······とDクラスっぽい人が焦ってるのを見てそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 日間(加点)ランキングや新作ランキングにこの作品が上位にあって、本当に嬉しいです。
 メジャーな作品の2次創作を書くのが初めてなので大分緊張していますが、優しい評価や感想、お気に入り、しおりの数などが励みになって書けています。
 これからもよろしくお願いしますね!
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