こんなに読んでもらえてることが、あまり現実味がないです。
ありがとうございますね!
──なんか新鮮だ。僕がこうも1人で自由に歩けているのは。
いつもアリスちゃんや橋本くん(監視係)たちがいるのに、彼らはクラスの話し合いで釘付けだ。
他クラスの人も自クラスの話し合いで出てこないだろう。
···僕を邪魔できるものは誰もいない。──授業が始まるまであと僅かな時間だけど、
今はこの時間に浸りたい。
「──あっ、あの後ろ姿は??!!おーい!···兎月くん──!!!」
──ほんとに勘弁願いたい。なんでこうも彼女は僕が1人のときに来るんだろうか。
けど、今回はそんなに···嫌では···ない。この大天使の統制が気になるし。
「···一之瀬さんおはよ。いつも元気だね、羨ましいよ」
「うん!!兎月くんはいつもそんな感じだよねぇ···もっと元気いっぱいの方がお姉ちゃん嬉しいけどにゃぁ···」
最近の彼女はいつもこうだ。
顔は赤いし、鼻息も荒く、手はわきわきとさせている。
──この子は本当にどうしたのだろうか?
極め付けに、自分のことを「お姉ちゃん」?僕にいつ姉ができたと言うんだ?
「──君は僕の姉ではないし、君の前では元気な姿見せないように心がけるね」
「もうっ!なんでそんなことばっかり言うの?──あっ!···もしかして、反抗期??お姉ちゃんにも反抗しちゃうようになっちゃったの??」
「あー、うん、そんな感じ」
ほんとになんなんだこの勢い?──僕の意見や気持ちを潰してくる、ペース乱されるなぁ。
こんな話をしにきた訳じゃないでしょ?
「──で?一之瀬さんは何ポイントだった?」
この人に鎌をかけたり、回りくどいことをしたりするのは違うと思ってしまう。
──根っからの善人を相手にそんなことをすると心が痛むからね。
「···65,000ポイントだよ?さっき先生から他クラスの状況伝えられなかった〜?」
「正確な数値覚えてた訳じゃないから一応ね、でもそっか···とりあえずBクラス維持おめでと」
そう言うと、一之瀬さんは困ったように笑った。
「あ、ありがと···?嬉しいけど、Aクラスの人に言われちゃあね?···兎月くんこそAクラスおめでと!すごいね!」
「ありがと──確かにそうだね、でも言わせて欲しかったんだ。君らが、ううん、君がAクラスの敵になったことを自覚してもらいたかったからね」
君は優秀だ。過去にやらかしたことを除いたら、文句なしに君はAクラスだったと思う。
この意見は今も昔も変わらない。
──けど、今の君はBクラスにいるし、そのリーダーなんだよ?もう少し危機感を持ったほうがいい。僕の言ったことの意図、全然分かってなさそうだし···
「??違うクラスだし争う相手ではあるけど、敵ってほどではないんじゃない?」
「甘いね。僕がもしもAクラスにしがみつきたいって思ってるなら君を妨害するし、危害を加えようとするかもしれないよ」
「でも兎月くんはそういうの興味ないでしょ?」
は?
──その通りだけど、なんで分かった?
僕が少し呆気に取られてると、一之瀬さんはドヤ顔になって頭を撫でようとしてきた。
──何度も言うけど、僕はアリスちゃん以外に頭を撫でられるのは好きじゃないんだ。
いつも通り躱させてもらうよ。
「ふっふっふっ···お姉ちゃんは弟くんのことはお見通しなのです!」
「そっか···じゃあね」
まともに会話する気がないらしい···ならどっか1人になれる場所に行くか。
「あっ!待って待って!ちゃんと話すから待って!」
「分かったから──手、掴まないで···」
なんで一之瀬さんは僕の手を掴んでくるのだろうか?せめて手じゃなくて腕を掴んでほしい。
そんなに強く握ってくるのは、アリスちゃん以外で君だけなんだ。普通に恥ずかしい···
「──その、さ···食堂でしてもらったときのね···
感触が忘れられなくってね···ごめんね?」
「······一之瀬さんって絶望的に言い方悪いね、隣にいる白波さんの顔が怖くなってしまったよ?」
一瞬この子修羅みたいな顔したけど、一之瀬さんが向いた瞬間にいつもの笑顔に戻った。
女の子って怖いね。
でも、ありがと。僕はこの人の相手は向いてないんだ。しーゆー。
「え?──え、千尋ちゃん??!!···いつの間に?」
「ずっとです···もうっ、帆波ちゃん早く行きますよ!もうそろそろ授業が始まっちゃいます!」
「あ、ほんとだね···兎月くんまた
「帆波ちゃんが私の方を向いたときには
どこかに行ってましたよ〜」
「そ、そうなんだ···はぁ、また頭撫でられなかっなぁ···」
「···そこまであの人に固執する理由はあるんですか?」
「お姉ちゃんは弟の頭を撫でるものなの!!」
「···そう、なんですね···」
────────
Aクラスに入るとそこは雪国だった。
2つの派閥にキッパリと別れていて、冷戦状態だった。
まあやっぱり穏便に行くはずないよね。
──でも、ああ言ったんだ、どうせアリスちゃんが勝つんだろうな。
そう思って授業を受けた。
杖で小指を痛めつけられるのならともかく、何か言いたげな視線から目を背け続けるのは結構堪えた。
それから中間テストまでの日常は特に何も変化がなく、ただただ平穏だった。
その中の出来事として、1つ挙げるとするならば原作主人公との邂逅だろう。
「──やっぱりいいよね、樋口一葉さんの文学って」
樋口一葉、
彼女は裕福な時期も極貧な時期も両方経験している。
そのため、どちらの視点からも物語が書け、
女性の強かな強さを描いている。
普段女性視点の物語や文学を読まない僕にしては珍しく読んでる女性作家だ。
なんで僕がこんなことを語っているのか、
答えは図書室にいるからだね。
冷戦状態になってからの放課後、僕は大体図書室にいた。
アリスちゃんは何やら悪巧みをしてるし、橋本くんもそれに手伝ってる。
そうなれば僕は1人で居られる。
他クラスの人と交流することはほぼないし、交流するとしても一之瀬さんだけだ。
そこで僕はこう思った。
──図書室いれば、一之瀬さんとの遭遇をグッと減らせられるんじゃないか?
まあそういう思いと、ただ単純に僕が本好きということもあってずっと本を読んでいる。
──ここはいい。色んな作家の本を置いてるし、うるさくない。
そしてなにより一之瀬さんも来ない···最高だ。
ずっと見てくる
けど、今日は違った。
樋口一葉さんの『大つごもり』を読み返して、次は何を読もうかと真剣に本を選んでるときだった。
普段なら人も疎らで静かな空間である図書室が、試験も近いからか、やたらと賑やかだった。
それはいい、最近結構人いるし。
でも、騒ぐのは違うでしょ。手前の方で騒いでるみたいだったので、どうしたのか見に行った。そしたら、知り合いが仲裁してた。
──あーそういうイベントあったね。···ってことは、もしかしているのか···?彼が···
そう思い本棚のところから出た。
「···一之瀬さん、図書室で騒ぐのはやめてくれないかな」
「う、兎月くん!?···な、なんでここに??って騒いでるのは私じゃないよ!?」
「···今うるさいのは明らかに君らだよ──まあでも、発端は違いそうだね」
そう言い、ガラの悪い人たちに視線を向けた。
···多分Cクラスの人だよね?
「げ、
「おいっ、もう行くぞ!不良品どもせいぜい頑張るんだな!」
「んだとッ!コラァ!逃げんなぁ!!」
小物じみたセリフを吐いてどっか行っちゃった···普通に謝ってほしかったのに。
さて、後は一之瀬さんに状況だけ聞いて、目的を達成しよう。
「はぁ···一之瀬さんも大変だね、変な人に絡まれたけど大丈夫?」
「にゃはは···私1人で治めたかったんだけど、兎月くんに助けられちゃったね──それよりもお姉ちゃんの心配してくれるなんて···!やっと反抗期終わったの??」
「で、何があったの?」
「──そういうことじゃないんだ···実はね···」
一之瀬さんの説明を聞き、龍園くんのやり方の徹底さに感心した。やっぱりCクラスなんだね。
「一之瀬さんも兎月くんもありがとう!」
「友達が困ってたら助けるのが当たり前だよ〜!」
なんか可愛らしい子が増えた。一之瀬さんと友達っぽいからBクラスの人か櫛田さんかなぁ。話の流れ的に櫛田さんだと思うけど。
そう思ってると、その女の子が僕の方を見て変な顔せず、にこやかに自己紹介してくれた。
「はじめまして!わたしDクラスの櫛田桔梗っていいます!友達をいっぱい作ることを目標にしてるので、兎月くんもよかったら連絡先交換しましょ!!」
「僕のこと知ってるんだね、でも一応自己紹介しとくよ。僕は兎月白兎、見ての通りこういう感じだけど、よろしくね」
この子やっぱりすごいなぁ、僕の姿を見て変な顔1つしないのはすごい。
初見は何かしら反応あるのに、それが僕にとって嫌なこと、失礼なことだって思ったのかな?
「兎月くんは有名だからね!知り合えて嬉しいっ」
「こちらこそ」
こういうグイグイ来る人は好きじゃないし、目的は貴女じゃない。距離を詰めてくる櫛田さんを躱しながら、僕は目星をつけた。
やる気なさそうな顔···あれだよね?
連絡先交換をしたがっている櫛田さんを一之瀬さんに押し付け、Dクラスの男子4人の方へ行った。
さっきまでキレてた赤い人が須藤くんで、もう2人は分かんないなぁ···でも僕が探してるのは君らじゃないんだ。
君だよ、綾小路くん。そのやる気なさそうな目。君だよね。
「はじめまして、いや久しぶりの方が正しいかな?」
「は?······どういう事だ。俺はおまえと会った記憶はないんだが」
「合ってるよ、僕が一方的に知ってるだけなんだ、気にしないで
──Dクラス見に行ったときに君のことが気になってね···ぜひ僕と友達になってくれない?」
「確かにおまえDクラス見に来てたな···だが、すまない。男は恋愛対象外だ。諦めてくれ」
「あー、ほんとそういうのじゃないから安心して」
ほんとに?この時期の、まだまだ人間ではない綾小路くんにもそういう扱いをされるの?
──そんなに男子を恋愛対象にしてそうと思われるのかな?嫌だなぁ。
「冗談だ、Dクラスの綾小路清隆だ」
「ならよかったよ、Aクラスの兎月白兎だよ、よろしく」
実際に話してみたらおもったよりまともだった。さすがホワイトルームの最高傑作。
そんな君にやってもらわないといけないことがある。
アリスちゃんを折ってくれ。そして過去の君の幻影をぶっ壊してください。
あの子は君に囚われてる。
原作ではそうだったし、アリスちゃんが綾小路くんを見たときの反応も明らかにおかしかった。多分この世界の坂柳有栖も囚われてる。
だからね、君に全て壊してほしいんだ。
壊して、変な考えを捨てて、純粋に楽しんでほしい。
くれぐれも勝ってくれよ?
「綾小路くん連絡先、交換してくれる?」
「ああ、俺の方からもよろしく頼む」
「友達が1人増えて嬉しいよ」
「俺も同じだ」
「···私は?」
「にゃはは···ごめんね、兎月くんはこういう子なんだ〜」
白兎くんが図書室にいるのは噂になってますが、白波さんの手によって一之瀬さんにいかないようにしてました。
彼女ならこういうこと平気でやってくれそうです。
誤字報告など待ってます。
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