五条悟に姉がいたら   作:ケンタ〜

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 エッな行為をギリギリ避けながら、五条姉のエッさを出すのを生きがいにしております、よろしくお願いします。

 え? 前回のマッサージ編は完全にアウトだって?

 それはそう。

 それはそれとして限界突破でエッさを出してみたい気もする。


姉、呪術高専へ

「合格だってさ」

 

「ヌルっと言ったわね」

 

 雪がいつも通り暗い部屋のちゃぶ台の前で座り、酒の缶を手にしていた。服は上ダボダボTシャツ下ショートパンツのいつもの格好だった。

 

 その対面に弟である五条悟は適当に座り、スマホをぽちぽちしていた。

 

「特級討伐でもろもろの手続きぶっ飛ばして二級合格。ちゃんと証言してくれた七海のおかげだね」

 

「あんたが何か裏でごにょごにょやったんじゃないの?」

 

 雪は、ア〇ヒ激乾燥の六〇〇ミリリットル缶を一口ぐびりと飲んだ。

 

「失礼な。やりすぎると後々めんどくさいからね」

 

「今までもやりすぎだとご存じない?」

 

「それは……まあうん」

 

 五条悟はあっさりと認めた。

 

「でもまあ僕の中でいろいろ線引きはあるよ。ていうか最終的には……ね」

 

 五条悟は顔を上げ、自らの姉に目を合わせた。目隠し越しだが。

 

 雪はため息をつく。

 

「……私もあいつらは嫌いだけどさ……」

 

「じゃあ気にしなくてもいいよ。これは僕が始めたことだ。姉ちゃんがあれこれ気負う必要はないよ。それに今は二級合格を祝わないとね」

 

「え、何かくれるの? ヌルっと流したから何もないかと」

 

「よし、じゃ、これから夜蛾先生に会いに行こうか」

 

 よいしょ、と五条悟は腰を上げた。

 

「え?」

 

 姉は呆けた顔をする。

 

「よし、じゃ、これから夜蛾先生に

 

「二回言えってんじゃないわよ!」

 

 雪は空になったビール缶をぶん投げた。

 

 パシッと五条悟は眼前で受け止めた。

 

 受け止めた手に数センチの蒼の虚空を形成する。

 

 パキパキと音を立ててビール缶が潰れ、あっというまに缶がビー玉サイズになった。

 

 それを上に投げてもてあそびながら、五条悟は説明を始めた。

 

「アポはとってあるよ。これから三十分後ね。じゃ、準備してよ」

 

「はあ!? 三十分後!?」

 

 室内に怒号が響く。

 五条悟は思わずのけ反った。

 

「以前私が何言ったか忘れた!? 女の子は準備に最低三日――ていうか東京校に行けるの今から!?」

 

「服装はそのままでいいよ。校長先生そんな気にする人じゃないし」

 

「向こうが気にしなくても私が気にするわよ! こんな適当な格好あんたにしか見せられないわよ!」

 

「じゃあなんでわざわざいつも服着るの? 服着ても俺にしか見せないんだった別に裸でもよくない?」

 

「恥ずかしいから」

 

 姉は急にトーンダウンした。

 

「あんなに体中触ったのに?」

 

「時と場合っていう言葉知ってる?」

 

「姉ちゃんの場合は随分と特殊な時と場合だけど」

 

「温泉とかだったら誰でも裸になるでしょうよ。マッサージ店でもほとんど下着姿になるし」

 

「まあそうだね」

 

「時と場合ってそういうもんよ。私の場合、一人で裸、あなたとは軽装、外行きで正装なの」

 

「俺だけのために軽装?」

 

 最強(五条悟)は首を傾げた。

 

「ていうか――家族の前では」

 

「ああ――――」

 

 一瞬、二人の間に間が出来た。

 

「……ここ来る家族って、あんたしかいないじゃん」

 

「――そうね。ごめん」

 

 五条悟(最強)が、少しの間のあと謝罪した。

 

 本来それはあるまじき光景だったに違いない。彼が謝るなどと。

 

「いいわよ別に。かれこれ一五年くらい……来てないんだから」

 

 ほかの家族(・・)は。

 その後にはそう続いたのだろう。

 

 酒に酔っている雪の表情が、心なしか曇っていた。

 

 五条悟が口を開く。

 

「姉ちゃん、二人とも……べつに

 

 雪が手で制する。

 

「……別にいいって」

 

「でもさ、俺が

 

「いいって」

 

 五条悟は押し黙った。

 

 目隠しの向こうの表情をうかがい知ることはできなかったが、少なくとも明るい表情でないことは明白だった。

 

 最強は顔を俯かせた。

 

「……怖いから」

 

 姉は小さくこぼした。

 

 二人の間に、沈黙が流れる。

 

 重い沈黙だった。

 

「……べつに、不幸を願ってるわけじゃないわよ。元気ならそれでいい。ただ、私がもう……私の方がダメになってるだけ。それで、こんなとこにいる。あんたが居れば五条家は一生安泰、家族全員天国まで幸せ。だから――そんなに心配してない。たぶん」

 

 また、間が空いた。

 

「……うん」

 

 五条悟は静かに言った。

 

「……行こ。ごめんね」

 

 姉は立ち上がった。

 

「うん」

 

 頷いた。

 

 


 

 

「待って待って待って待って待って待って待って!!!」

 

「なに姉ちゃん怖がってんの?」

 

「あんたと一緒にしないでこんな上空に命綱もなしで

 

「出発するよ?」

 

「まってホントにまって!!」

 

 現在、五条家上空、三〇〇メートル。

 

 術式を使い空に浮く五条悟に、姉五条雪は全力でしがみついていた。

 

「ってか姉ちゃん首苦しい」

 

「緩めると死ぬから!!」

 

「あと胸で前見えない」

 

「眼福と思いなさい!!」

 

 左半身にしがみついているため、豊満な胸が五条悟の目隠しの片目にあたる部分をふさいでいた。

 

 脚もつかってしがみついているため、掌印を結んでいる右手以外、左手は完全に固定されてしまっていた。

 

 上空で突風が吹き、姉のピンクの長い髪がバタバタと吹き荒れる。

 

「きゃあああああ風吹いた!! 揺れる!!」

 

「揺れてないよ別に」

 

 五条悟は極めて冷静に対応する。

 

「もういいから! 分かったからお願いもう出発して!」

 

 雪はもう涙目になって懇願していた。声が上ずって今にも泣きそうだった。

 

「よーし、怖いのは一瞬の方が良いよね。じゃ、全速力で出発しまーす」

 

「えっちょま――――あああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 五条悟の術式、「無下限呪術」による、前方の空間の圧縮により、二人の体は高速で加速する。

 

「きゃあああああああああああ!!」

 

 雪の目からは涙が噴き出した。目から出るごとに、風に吹かれて涙の玉が後ろへすっ飛んでいく。

 

 最初の風がそよ風と思えるほどの暴風が雪の体を直撃する。

 

 長い髪が暴れ、すべて後方へ集中してはためいていた。

 

「待って待って待って待って待って待って待って――――――――――!!!!」

 

 心の底からの叫び声が喉の奥から響く。

 

 しがみつく腕の力がより一層強まった。

 

「姉ちゃん首締まる」

 

「あああああああああああああああ!!!」

 

 五条悟の声は全く(五条雪)には届いていなかった。

 

 長い髪が風の抵抗を受けているせいで、彼女の頭は後方へ傾いていた。

 それが彼女の恐怖を助長していたのだろう。

 

「いつ着くのいつ着くのいつ着くの――――!?」

 

 恐怖で早口で何度も質問が口から出る。

 

「あと三秒くらいかなー!」

 

 若干声を張り上げて五条悟は言った。若干声が楽しそうだった。

 

「さんびょう!? ぐえっ!」

 

 ブレーキがかかり、がくんと頭が逆方向に振り回された。

 

 同時に、体を支配していた浮遊感と体中を吹き付けていた風がすべて停止したのを感じた。

 

「はっ、はっ、はっ、はっ……ほんとに、やば……」

 

 五条悟と、それに捕まっていた雪は、すでに地面の上に居た。

 

 ずるり、と雪の体が五条悟から剥がれ、尻からどさりと地面に落ちる。

 

「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ…………」

 

 土の上に大の字になって息を切らす。

 

 大きな胸が激しく上下した。

 

「どう、姉ちゃん?」

 

 上から覗き込む五条悟が、五条雪の視界に入った。

 

「どっ、どうしたも、こうしたも、はあっ、ない、わよっ」

 

 目が虚ろになって、焦点がまだよく定まっていないらしかった。

 

「こっからは歩きだよ。高専の結界がめんどくさいからね」

 

「はっ、はっ……はー……はー……」

 

「時間かかりそう?」

 

「いやっ……はあっ、だいじょぶ……」

 

 上半身を起こし、手をついて足に力を入れる。

 

 しかし、かくんと脚が折れ、しりもちをついてしまった。

 

「大丈夫?」

 

「あれっ……?」

 

 本人は目を丸くした。

 

「待って……」

 

 再び手をついて、立ち上がる。

 

「いったっ」

 

 また転ぶ。

 どうやら足に力がうまく入らないようだった。

 

「腰抜けた?」

 

「……」

 

 雪はすぐに答えなかった。

 

 雪の顔が、だんだんと赤くなっていた。

 

「……そうみたい」

 

 ようやく彼女は言った。

 

「負ぶるよ」

 

 雪の前に、五条悟はしゃがみ込んだ。

 

 一瞬雪はそれを呆けるように眺めていた。

 が、すぐに、体を動かした。

 

 五条悟の背中に覆いかぶさる。

 

「じゃ、行くよ」

 

 姉の両脚を持ち、軽々と立ち上がった。

 

「……ありがと」

 

 雪は、弟の背中に顔をうずめていた。

 

「べつに?」

 

 こともなげに、五条悟は言った。

 

「……重くない?」

 

「二年前とあんまり?」

 

「……そう」

 

 あたりは自然の多い山道のようだった。誰もおらず、木々のざわめきが聞こえる道。そこを、二人は小さな会話を交わしながら、ゆっくりと歩いて行った。

 

「――でも、胸がつぶれてるの苦しくないのかは気になるな」

 

 突然、五条悟は言い出した。

 

「なっ――――」

 

 雪の顔は一瞬にして紅潮した。

 

「さっきからずっと背中に当たってるんだよね。実際のところどうなん?」

 

「うっさいっ!!」

 

 雪は遮るように叫んだ。

 

「元気出たみたいだね」

 

「いい! もう降りる!」

 

「やだ。降ろさない」

 

「こんのっ! ちから強いっ!」

 

「ははっ」

 

 五条悟は楽しそうに笑った。

 

「なに笑ってんのよ! こんなエロガキに育てた覚えはないわよ!」

 

「大丈夫だよ。別に姉ちゃんの体に興味ないって。それともそういう趣味嗜好が姉ちゃんお好み?」

 

「うっさい黙れっ!」

 

 ぴしゃっ、と五条悟の頭に手刀が撃ち込まれた。

 

「いってっ」

 

 雪は自身の上体を起こして、五条悟の背から胸が浮くようにした。

 

「え~。柔らかかったのに~」

 

 ごねる子どもを演じるように、五条悟は冗談めかして言った。

 

「もうあと二年は触らせたげない」

 

 姉の言葉に、五条悟はまた笑った。

 

 実際、五条悟から見ても、姉の体は魅力的だと思っている。逆にこれを魅力的だと言わなければほかのこの世の女性は何といえばいいかわからない。

 

 だからと言って、姉に対してそういう趣味嗜好があるわけでもない。まあ胸が柔らかいのは事実だし、性的なことを抜きにしても、普通に柔らかくて気持ちがいい。

 

 突然その言葉を発して怒らせたのは、意図してのことだ。

 そして、全力で空中を飛んで、姉を怖がらせたのも。

 

 部屋の中でのあの会話を忘れてほしかったから。

 

 

 

 

 

 

五条姉やこの話に何を求めますか? 参考までに

  • 姉っぽい感じ
  • 戦闘
  • エッ
  • 日常のほんわか
  • 人心無?(シリアス的な)
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