五条悟に姉がいたら   作:ケンタ〜

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姉と夜蛾と教員採用面接

「じゃ、ここで校長先生と面接ね」

「はっ!?」

 

 東京都立呪術高等専門学校。

 その中、とある扉の前で、五条悟とその姉五条雪は会話していた。

 

「面接試験だよ」

「待って聞いてないわよ!?」

「言ってないもん。でもどっちにしろ会うつもりだったでしょ?」

「まあそうだけど……でもこんなにいきなりとは」

「まあまあいいじゃん。あ、でも面接ミスったら教職つけないから。そしたら校長との呪骸の話もなしになるからきーつけてね」

「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

 焦った顔を雪はした。

 

「もう五分遅刻してるからむり」

「アンタまだその癖治ってないの!?」

「姉ちゃんが酒癖直したらいいよ」

「それはむり」

 

 あっさり答えた。

 

「でしょ? じゃ、行くよ」

 

 五条悟が扉の前に立ち、手をかける。

 

「緊張する……」

「ま、よっぽどのことがなきゃ落ちないよ。頑張ってね」

 

 五条悟が軽い調子で扉を押し開けた。

 

「遅い!」

 

 その瞬間、部屋の奥から、太い声が響いた。

 

 部屋の奥の一段高いところに、座布団の上にあぐらをかく、黒い服の男――おじさんが居た。

 右手には、細長い木の棒を持ち、左手に持つ羊毛フェルのようなものをつっついている。

 

 その周りには、ありとあらゆる人形たち――寸胴カッパの人形、だるい顔をして上を向く猫の人形、その顔の上に乗る手の生えた芋虫の人形、他にもパンダの人形やなぜか頭に毛が一本生えたオヤジの人形など――が取り囲んでいた。どれもなかなか絶妙なデザインである。

 

(おっさんがカワイイを作ってる……!!)

 

 雪の脳内に電流が走った。

 

「今回は少し早かったが…………」

 

 そして、その渋い顔にサングラス……いやグラサンをつけていた。

 

「責めるほどでもない遅刻。虎杖悠仁時もそうだった。いい加減直せ」

 

 どうやら五条悟()に話しかけているようだ。

 一応雪にも意識は行っているようだが。

 

「別に責めるほどじゃないならいいじゃんって」

「責められないが、苛立つ。社会で損するぞ」

「いつまで担任気分なんだよ」

 

 五条悟が、ため息を付いて聞いた。

 

「お前は更生してもし足りんくらいだ。一生言い続けるぞ」

「ハイハイ、本題入ってもらって良い?」

 

 五条悟は、後ろに居る五条雪()に場所を譲るように横にずれた。

 

 すると、男は手にしていた棒と羊毛フェルトを端に置いて立ち上がった。

 

「五条雪か。話には聞いている」

「あっ、どうも……」

 

 雪はとっさに頭を下げた。

 

「姉がいるということは前から知っていたが、会うのは初めてだな。呪術高専東京都校校長の夜蛾正道だ。はじめまして」

 

 低いトーンで校長は言った。

 

「はい、どうも……はじめまして」

 

 雪はまた頭を下げた。

 

「面接試験の話は?」

「ついさっき…………」

 

 すると校長先生の目線が五条悟に移る。咎めるような目つきだった。

 視線の先では、「オレ、ワルクナイヨー」という感じで五条悟が肩をすくめていた。

 

「じゃあ、早速始めよう。軽い調子の面談のようなものだ。気を張らなくていい」

「はっ、はい」

 

 しかし緊張するものは緊張するものだ。

 

 雪は校長にコワモテの印象を抱いていた。顔は見たことがあるが、実際に会うと雰囲気が違う。

 

「何をしにここへ来た?」

「えっ?」

 

 雪は保けた顔をした。

 

「呪術高専へ、何をしにここへ来た?」

 

 念を押すように、校長は聞いた。

 雪はとっさに口を動かす。

 

「面接……」

 

 それしかないだろ、と内心思った。

 

「違う」

 

 何を言ってるん、このオッサン。雪はそう思った。

 

「教員になりに……?」

「その先の話だ」

 

 先の話ぃ……? そんなこといわれてもなぁ……。

 

「コイツに言われてきただけなんで……」

 

 親指を立てて、後の五条悟()を指差す。

 

「他人に言われてか?」

 

 少し校長の雰囲気が重くなった、と雪は感じた。

 

「他人じゃないですけど」

「家族も他人のうちだろう」

「まあ身内にしては重すぎるんですけど」

 

 議論がどこへ進んでいるのかわからない。

 雪は頭の後ろを搔いた。

 

「ああ…………つまり、私が他人の言葉で動くっていうのを心配してるってこと? ……ですか?」

 

 少しの間をおいて、校長は口を開く。

 

「呪術師には多少のイカレ具合とモチベーションが不可欠だ。常に死と隣り合わせの時、一人でいる時、自分を動かせるのは自分だけだ。フリーでも呪術師として活動していたのだから、お前にそれはあるのだろう。しかし、お前は教師としてここにやってきている。生徒に何かを教える時、呪術師とは何たるかを語る時。それが他人の言葉で動いた、とは示しがつかない。それに仮にお前の生徒がお前の言葉で呪術師として動き、そしてもし殺され死ぬときが来たとき、生徒はお前を呪うかも知れない」

「…………へー?」

 

 呪われる、か。

 生まれて五年、そこから今まで。既に自分の周りには誰も居なかった。自分を呪うほどの関係性がある人間なんて…………

 

「別に、私が呪われたって、なんだっていいけど」

 

 雪は一呼吸おいた。

 

「でも、それだと困るってことね?」

「そういうことだ」

 

 校長は低く答える。

 

「う〜ん…………」

 

 顎に手を当て、雪は考え込んだ。

 

「なにしにここにきたってことは、何を教えるか、ってことか」

「そうだ」

「でも、今まで自分を教える教師って見たことないんだよね。私最終学歴どころか義務教育すら受けてなかったもん。だから教えられる側の気持ちすら知らない。どんな信念があって教えるか、どんな信念を分かってほしいか、どんな信念で生きてほしいかなんて、一度も考えたこともない」

 

 う〜ん、とまた考え込む。

 

「でも、別にここに来る目的はあったんだよね」

「それはなんだ?」

 

 校長が聞く。

 雪が手を上げ、ビシッ、と校長を指さした。

 

「あんたに教えを請うこと。それはアイツ(五条悟)も何も関係ない。ていうか、教職につくのはそのついで。私のメインはあなたに会って、あんたの呪骸の動かし方を学ぶこと。それだけ。ぶっちゃけそれができれば、別に教職なんてどーでもいいんだよね」

「それでいいのか?」

「なにが?」

「逆に俺に教えを請えれるのならば、教職に就いても良いのか?」

「いいよ別に」

「なぜ?」

「なぜって…………

 

 雪は不思議そうな顔をする。

 

「アイツとの約束だから。それを守るっていうのは、何もアイツに依存してることからくるものじゃないし。私が約束守るって、一方的に思ってるだけ。それは『自分』の範疇に入ってる、と思う」

「…………そうか」

「ていうか逆に、五条悟との約束やぶれる?」

「姉でも無理なのか?」

「無理」

 

 少なくとも、それを無理だと思うのは、彼女自身の信念だ。

 

「……なるほど」

 

 なにか納得したように、夜蛾は頷いた。

 

「姉に高専を案内してやれ。セキュリティもろもろ含めてな」

「え? 何?」

「ようこそ、呪術高専へ。五条雪教諭」

 

 

 

 

五条姉やこの話に何を求めますか? 参考までに

  • 姉っぽい感じ
  • 戦闘
  • エッ
  • 日常のほんわか
  • 人心無?(シリアス的な)
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