UVめちゃくちゃ増えててビビるとともに嬉しんでいます。
これからも読んでいただければ嬉しいと思います!
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良ければまた次回!!
2024年2月2日
内容を少し変えました。良ければ見てみてください。
五条雪は、呪骸を操るにおいて、三つの
一つ。家から出ないこと。
二つ。常に酩酊状態でいること。
三つ。痛覚を、操る傀儡と同期すること。
この三つの縛りによって、五条雪は自らの術式効果を底上げしている。
傀儡術式において、操る傀儡は、術師本人の呪力操作範囲、呪力探知範囲、術式効果範囲に依存する。
本来五条雪は、他県まで自分の傀儡を送れるほどの術式効果範囲を持ち合わせていない。幼少期から自室にこもり、その中でのみ自らの傀儡術式を運用し、研鑽を積んできた彼女の術式効果範囲は、せいぜいでも都市一個分程度であった。これだけでも逃◯中をセルフで開催できるほどのレベルだが、他県に傀儡を送り込み、そこで事細かに操作、管理できるほどにはとてもならない。
そこで彼女は、自室に引きこもるため、自分の部屋から絶対に出ないため、それでも金は欲しいからフリーランスで任務をこなすため、上記の三つの縛りを自らに課すことにより、自らの術式効果範囲を底上げした。本人もまだ限界を試したことはないが、とりあえず静岡から東京までコミケに行かせることは成功した。行ったのは冬コミなので行ったのは冬ちゃんだった。
そんなわけで、彼女は今回、仙台にまで自分の傀儡、『実寸大四季お人形シリーズ:夏ちゃん』を行かせたのだが――――
「
自室のパソコンの前で、五条雪は転げ回っていた。
「ああああああ――――――――ッ!!!」
痛い。痛い痛い痛い!! 痛い痛い!! 痛い痛い痛い痛い痛い!!!!
「クッソッ――――!! あああああっ――――!!!」
抑えた左脇腹と、右脇腹に、傷はない。
怪我をしたのは、夏ちゃんの方。
左脇腹から右脇腹にかけて、
「ッッッ――――――!!!」
痛い。痺れる。頭がかき回される。
視界が激痛に狭まり、顔の筋肉はめちゃくちゃに歪み、涙腺から熱いものが吹き出し、歯は全力で噛み締められる。
ビクビク、ガクガクと、全身が震える。これならば、本当に腹を貫かれたほうがマシだった。痛みだけであるがゆえに、終わりがないのだ。本当に腹を貫かれていれば、血液がどっと体から流出し、一瞬で出血性ショックで意識と命が吹き飛んでいく。
しかし痛みだけならば。痛みだけならば死ねない。神経性ショックというものがあるが、生憎彼女の体はそんなに弱くない。
いつ引くかもわからない
同期した感覚の向こうでは、夏ちゃんが壊され、仰向けに地に伏せている。
脳を埋め尽くす忌々しいほどの痛みをなんとか押しのけ、そちらに意識を向ける。
ゲラゲラゲラゲラゲラ――
禍々しい呪力のなかに、禍々しい
視界に映る、禍々しいバケモノ。
その手が、夏ちゃんに伸びていた。
頭の上に、歪な形をした腕がかざされる。
そこに呪力が、こめられる。
――頭を潰される!!
「――クソッたれ!!」
痛みも冷めやらぬまま、五条雪は全力で手を動かした。
地を掴み、全力で引き、上半身だけで必死の一撃を避ける。
その瞬間、雪は浮遊感を覚えた。夏の体が飛んだのだ。
ついさっきまで頭の――夏の上半身のあった地面が、その呪霊の呪力によって吹き飛ばされていた。
夏の上半身が二人の近くの地面に着地し、若干転がった後にそれを見て認識した。
「――はっ、はあっ、はあっ――――っ」
全身の毛穴が熱くなり、体中から汗が噴き出す。
「夏さん……!?」
七海が驚愕の表情でこちらを見ていた。上半身と下半身がグッバイしたあとに動いている人間を見て驚かないのは
「私はっ……大丈夫ですっ」
上半身だけのテケテケ状態でうつ伏せになりながら、雪は夏を通して言う。
未だ続く痛みで言葉がうまく回らない。
「それより……ッッ……あの呪霊を」
ケタケタケタ、と頭を揺らしながら、首についた大きな口で笑う。その呪霊が口を開けるたびに、頭が押し上げられて、不気味に揺れる。
「……伏黒君」
七海が懐から、呪符が書かれた包帯のようなものにぐるぐる巻きにされた、ドスのような鉈のようなものを取り出した。
油断なく、未だに気持ち悪いほどに笑うその呪霊に目を向けている。
気持ち悪い。なんで呪霊はこうも気持ち悪い見た目をしているのか。
「夏さんを連れて逃げてください」
右手で鉈を構え、左手でこちらをかばうようにしている。
――――だが。伏黒の様子がおかしかった。
あの呪霊が出て来てから、指を一本も動かしていない。
そして呼吸が浅い。顔じゅうから冷や汗を流している。
特級呪霊を前に、体を動かせていない。
七海はそれに気が付いていない。おそらく今までこのレベルの特級呪霊ならば、相対をしたことはあるのだろう。もちろんしっかりと警戒はしているが、どこか余裕も見せている。
しかし、伏黒は、眼球を動かす余裕すらないようだった。視線はその呪霊にずっと固定されていた。
雪もそれを見て一瞬戸惑った。夏の腹を貫かれて転げまわるほど痛いとはいえ、特級とはいえこのレベルならば何度か相対したことがある。なんならそれを超える相手とも。それに、
だが伏黒は初めてなのだろう。
まったくあの弟め。過保護すぎるだろ。伏黒が間違っても一人で危険な目に合わないように、自分でいろいろ調整……先に偵察したり、常にどこかで見守ってたりして、致命的な目には合わないようにしたに違いない。
それが、今致命的になったわけだ。
「――伏黒くん?」
七海が首だけで伏黒を振り返る。
つまり、その特級呪霊から目をそらした。
その一瞬、特級呪霊が姿を消した。
夏の目が、伏黒の首元に迫っていたものを捉えた。
そこに、一瞬にして移動をした、呪霊のいびつな形をした腕が――刃のような形に変化をしていた腕が迫っていた。
致命的な一瞬を遅れて、伏黒が目だけでその腕を捉えた。
刃はすでに、首のほんの数センチの前まで迫っていた。
伏黒は走馬灯を見た。
――――ザンッ ドサッ
切って落とされた。
すべての動きが硬直し、赤いものが噴き出す。
七海建人だけが、半瞬遅れて気づいていた。
伏黒の首に、刃が届くことは終ぞなかった。
落ちたのは呪霊の腕だった。呪霊の二の腕の断面から、血が滝のように吹き出、地面に落ちたものが血に浸っていた。
七海建人が、伏黒の首に到達する直前で腕を切り落としていた。その振り下ろした手には、呪力のみなぎる鉈が握られている。
何が起こったのか把握できていない呪霊。その腹に、七海建人は蹴りを叩き込んだ。呪霊が道の外へと吹き飛び、木々の中へ入りこむ。
そしてようやく、伏黒恵がハッとする。
「伏黒君!」
今度はしっかりと呪霊に目を向けながら、七海が叫んだ。
視界の向こうの呪霊は、体制を立て直し、立ち上がろうとしている。
「夏さんを連れて、行ってください。術式の付与されていない領域ならば……自然の地形を利用して展開された領域ならば、どこかに出口があるかもしれません。頼みます、伏黒君」
「――――了解!」
死の恐怖から脱したばかりの汗ばかりの表情で、伏黒恵は返事をした。
伏黒恵が手を構え、パンっとそれを合わせ、掌印を結ぶ。
その手の形は、影絵の『犬』の形になっていた。
伏黒恵から呪力が立ち上り、それが彼の落とした『犬型の影』に注ぎ込まれる。
「玉犬」
その犬の影が増大していき、二次元の世界でしか存在しえない『影』が、ごぽりと地面から湧き上がる。
そして、現れたのは、白い犬。
両目の上に、逆三角形の角に点のついた、星座のような模様があった。
これが、伏黒恵の術式。『
その白い犬が、夏の着物の襟をくわえあげる。
「行くぞ!」
伏黒恵が『玉犬』に命令し、来た登山道の道をさかのぼるように走る。それに追随するように、夏の上半身を咥えた『玉犬』が走る。
その瞬間、夏の呪力探知網が、あの特級呪霊が大きく呪力をみなぎらせたことを探知した。
立ち上がった呪霊は、その歪んだ三つの見開いた目で、道の方から歩き来る
七海は、歩きながら腕時計を見た。
「時刻は八時五十七分……」
低く響き渡る、いい声だった。
「三分だけですが……時間外労働です」
解放された呪力が、七海から立ち昇る。
「少し早めの、仕事の時間です」
七海建人一級術師は、全力を出した。
×
伏黒恵が前を走り、その後ろに白い玉犬が追随する。夏はくわえられた着物の中で縦に揺れるだけ。
「ッくそっ! どうなってる!」
伏黒恵が足を止める。
異変が起こっていた。目の前に、二つの分かれ道があった。
こんなものは、最初に上ってきたときには存在していなかった。それに、そのほかにも、通ってきた木々の配置や形、種類が最初のものとは全く異なっている。伏黒恵は気づいていないかもしれないが、夏はそれをしっかりと記憶して捉えていた。
「もうさかのぼっても出口には行けません」
玉犬の口からぶら下がった着物の中で、夏は伏黒恵に言った。
「――やっぱりか」
伏黒恵は振り返らずに独り
「もうあの呪霊の生得領域の中――――逃げられません。他の場所にあるであろう出口を探さなければ……」
「くそッ!」
ともかくここから離れねばと、伏黒恵は左の道を選んで走った。玉犬も一緒に走り出し、一瞬夏は慣性の法則で振り子のように揺れた。
「初めから玉犬を出しておくべきでしたね」
夏は揺れながら伏黒恵に言った。
「知ってるのか?」
恵は首だけ回して後ろを見て答えた。
「五条家の人間なので、それくらいは知っています」
まあ、実際は雪は一度伏黒恵に術式を見せてもらったことがある。ので知っているのだが、まあここは面白そうなのでわざと言わないでおいた。
玉犬は嗅覚に優れている。その匂いで普通の人間の匂いなどのみならず、呪力の残穢をもたどることが出来る。
しかし条件として、一度嗅いでおく必要がある。普段は影の中にいる玉犬は、当たり前だが外に出ねばその匂いを嗅いで覚えることはできない。
もし覚えていれば、出入り口の匂いを覚えた玉犬が道しるべになったのだが。
すると走りながら、伏黒恵が背中で聞いてくる。
「――なんで生きてるんだ?」
率直な質問だった。なんだかとんでもなくひどい悪口に聞こえてこなくもないが、まあ意味はちゃんと分かる。
「そういう術式です」
「傀儡操術か?」
「そうです」
意図せずこの場で術式の開示をしてしまった。あの呪霊に聞かれた可能性もある。まあばれたところでどうってこともないが。
「……」
何か言おうとしているが、言いにくそうに伏黒恵はしていた。
「どうかしましたか?」
「いや……」
とっさに否定の言葉が出る。
「どこかで会った事あるか?」
首で振り返って夏を見ながら、伏黒恵は聞いた。
にやり、と雪は笑った。
それが同期され、夏の表情にも表れる。
「ええ。ありますとも。
愉快そうに雪は言った。
前を走る伏黒恵の顔が、ハッとしたものになる。
「――まさか、雪――――」
「
ああもう、せっかくいい顔してくれたのに! 雪はそう思って叫んだ。
その警告を聞いて顔を前に向けてしまう。
そこには――呪霊がいた。
これほどの巨大な、特級の生得領域。そのなかに呪霊の一匹やに二匹や三匹、いくらでも紛れ込む。
それに山と言うのは、古来から
目の前の呪霊は、キノコだった。
キノコをそのまま巨大化させ、カートゥーンアニメのような短い手足をつけ、キノコの笠の丁度したらへんに、三日月形の口が付いていた。
ここまでなら、かわいいカートゥーンキャラクターで済ませられただろう。
しかし、質感がめちゃくちゃリアルなのだ。キノコの幹のしわの細部に至るまで、笠の裏の胞子の付着した場所も、笠の上の模様も(というかベニテングダケだ)、すべてリアルだった。なんならキノコ独特のにおいまで漂ってきそうだ。
そして、でかい。笠を含めれば二メートル越えだろうか。伏黒恵の背丈よりもでかい。
そして、そこまでならまだ、いい。看過できる。
問題は。
それが、後ろの方にも、三十体ぐらい控えているということだった。
ワラワラワラワラと、こちらに気づき、目線を向けてくる。(目などないが)
一斉に。
ぎゃーっ、と声を上げ、ワラワラワラと、襲い掛かってきた。
「気もっち悪い!!」
雪は思わず口走っていた。
伏黒恵は呪力を開放し、五条雪は、次の手段に出ようとしていた。
五条姉やこの話に何を求めますか? 参考までに
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姉っぽい感じ
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戦闘
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エッ
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日常のほんわか
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人心無?(シリアス的な)