起きたら深酒日記、買いに行かんとな。
「ヌゥゥゥゥゥン! いきなりゴミバコに入るな! 出てこーい!」
「やややや、やっぱり無理ですー!」
「プププ、おもしれー女」
ゴミバコダイバー、ゴトゥー・ヒトリは絶体絶命! どうする! どうなる!
ここはゴトゥーの心象風景。物の少ない殺風景なタタミ部屋。
「や、やっぱりいきなりライブだなんて……無理」
(そう無理だ。我に意識を委ねるのだ。キサマは大人しくフートンで寝ておれ)
「う、うるさい! 私はこの人たちとバンドをやるんだ!」
(キサマには無理だ。その体を我に貸せ)
「止めろ、ギターヒーロー=サン! い、嫌だ……やめ、て……」
ゴトゥーの意識が眠りにつく。内なるギターヒーローが目を覚ます。
「かくなるうえは!」
「ヒトリ・チャンどうした? いきなりダンボールなんか被って!」
「オオオオオ……こ、これは……」
「何か知っているのか? リョウ!」
「いや、知らん」
「ヌゥゥゥゥゥン!!!」
「ンアー!!」
インガオホー! レインボーサマーがセカイノヤマダに鉄拳制裁! ツッコミという名の暴力がヤマダを襲う。古代の勇士『遷都君』を思わせる逞しいドリトスを誇るレインボーサマーはスターリーでは無敗かつ無敵。しかも七色に光る。
その間にゴトゥーが装備したものは『完熟マンゴー』のダンボールだ。ゴトゥーの体をすっぽり覆う。ダンボールから手足が飛び出す! 瞬く間にピンクジャージの手足が赤黒く変色した。
「ドーモ。ギターヒーロ……もとい、マンゴ・カーメンです」
「……ヒトリ・チャンだよね? なんだその名前は!」
「魂の名前だ!」
「オオオオオ……嵐吹く予感に似たり」
赤黒いギタリストのエントリーだ! 気づけばダンボールも暗い赤、血の色に変色している。
「往くぞ! 遅れるな!」
「ちょ待てよ! ヌゥゥゥゥゥン! リーダーは私なのにぃ!」
「ええい、ままよ」
――Naraku within
ニューロンに刻まれる楽譜。今日これを演奏しなければならないと遺伝子が絶対的に命令する。
「ドーモ。ケッソク・バンドです。このたびは……」
有史以来上手いバンドのMCなど存在しない。たとえ笑いが起きたとしても、ファンが愛想笑いしてくれるだけ。ギタマガにもそう書かれている。
レインボーサマーのヘタクソMCを待たずして赤黒いダンボールが爆発四散! 奴が姿を現す。
「ドーモ! はじめまして。私は……ボッチ。ボッチ・ザ・ロック!!! ……です」
見よ、この『かっこいいポーズ』を! 恐るべきバンドマンがネオシモキタザワに狂気の産声を上げた!
「イイイ、イキッテスミマセン!」
――ゴトゥー・ヒトリ改め、ボッチ・ザ・ロック! 覚醒!
次回 レイジ・アゲインスト・ザ・ニゲタギター