「やったのよゴトゥーさん!」
オーディション合格の喜びで感極まり、ゴトゥーに抱き着くキタチャン。喜びの抱擁は百合の花めいたアモトスフィアを放つ。
「ゲロゲロー!」
ゴトゥーのゲロリンチョが炸裂。台無しである。かくしてオーディションは大成功。初めてのオリジナル曲『ギター・アンド・ロンリーブループラネット』は練習以上の出来をテンチョサンとPAサンに見せつけることができた。しかしノルマ5枚! ノルマ5枚! まずいぞ! このままではノルマ達成できぬぅ!
「ヌゥゥゥゥン! ノルマ達成できぬギタリストは打ち首獄門ぞ!」
「カラダニキヲツケテネ!」
「ファーック! ファーック! ファーック!」
このままではバンド脱退の危機!
「お姉ちゃんお友達一人もいないもんね!」
非人道的な最終鬼畜妹、フタリ・チャンの発言。人の心とかないんか? でもかわいい。でもかわいい!
また、悪夢を見た。
――ドッペルゲンガーは言った。
(僕が君を救ってあげる)
時はさかのぼり、チューボースクール時代のゴトゥー・ヒトリ。ここはオシイレ。ヒトリぼっちの心の象徴。ギターと教本とPC。父が付けてくれた裸電球が揺れる。
「ななな、なんですか! あなたは!」
そこにはゴトゥーそっくりの少女が立っていた。しかし、違う。クリーニングしたばかりのピンクジャージ、星型のサングラスに一日巡査部長のタスキを身に着けている。なんと禍々しい姿か! ブッダシット! 寝ておられるのですか!
――ドッペルゲンガーは言った。
(君は僕で僕は君なんだ)
張り付いた笑顔で語りかける。
――ドッペルゲンガーは言った。
(ねえ代わってあげる。入れ替われば楽になるよな)
「……」
――ドッペルゲンガーは言った。
(陽キャが憎い? いくらギターを練習しても未だ友達はゼロ。存在感が薄すぎて虐められさえしない。君はそれでいいの? それは全て陽キャのせいなんだ)
「陽キャの、せい?」
――ドッペルゲンガーは言った。
(だから、重なればいい。今日から君がギターヒーローだ!)
「私はギターヒーロー!」
(またの名をヨウキャスレイヤー! 全ての陽キャを殺すものなり!)
ヨウキャスレイヤー。その正体は平安時代にブドーカンで謎のハラキリ儀式を行い姿を消した史上最強のバンドマン。中世においてはバンドマンは半神であり邪神めいたアモトスフィアを持っていた。
――ヨウキャスレイヤー覚醒。
(今日からはキサマが泣いて、ワシが笑うのだがな! フハハハハ!)
心の中で高笑いする一日巡査部長。邪悪なバンドマンが今、復活した!
まさかの復活!
次回『ガールズ・スタンディング・ハッケイ』
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