ピンポンパン♪
ある秋の朝、町一帯に響き渡ったのは午前7時を告げる時報のチャイムだ。
毎朝流れるこのおなじみの音を合図に、町は活動を開始する。
しかし普段はチャイムだけで終わる町内放送だが、今日はそれに続いてリムルの声が町中に届けられた。
「おはようございます。リムルです。長かった夏も終わり、待ちに待った収穫の時期となりました。以前から通達していた通り、今日は町の皆で野菜の収穫を行います。住民の皆さんは速やかに農場に集合してください。繰り返します。住民の皆さんは速やかに農場に集合してください」
実りの秋。
ジュラの森にも収穫の季節がやって来た。
という訳でおなじみの町内放送を使ってリムルが収穫時期の到来をアナウンスしているのだ。
「おはようございます。マツリです。ちゃんとリグルドとリリナの言う事を聞いてお手伝いするように。そして……今日はテンペスト収穫祭もやるから張り切って行こうね!」
イベントがあればついでにお祭りや宴をやるのがこの町の流儀。
作物の収穫があるならば、当然収穫祭もセットということだ。
町中に響き渡ったマツリの少しだけ舌足らずな声を聴いた魔物達にも気合が入る。
そしていつも通り、放送終了のチャイムで朝の町内放送は終わった。
……はずだった。
「良く言えたなぁマツリ! こりゃあ将来はアナウンサーかな? マツリの声は透き通っていて綺麗だからなぁ、歌を歌っても様になるかも。 いややっぱり──」
放送は終わったにも関わらずリムルのご機嫌な声が町に垂れ流されている。
可愛い我が子を褒めるのは良いがせめてマイクのスイッチは切れと言う話である。
それを聞かされる魔物たちは慣れたもので、放送が終わるのを待つまでも無く移動を始めるのだった。
「──じゃあそろそろ俺達も農場に行くか。パパが抱っこしてやるぞ」
「ミリムと一緒にランガに乗って行くからいい。パパは先に行ってて」
たったったっと遠ざかる小さな足音。
えっ!? ちょっ……! というリムルの声にならない声を最後に、今度こそ放送は終わった。
☆
「なあなあマツリ、ついにこの日がやって来てしまったなぁ!」
「そんなに嬉しいの?」
「当然なのだ! 前に訪れた時、あんなうまーな野菜を食べたのを忘れたのか? 秋になればもっと沢山のうまーな野菜があるに決まっているのだ! 行かない手はあるまい!?」
「その野菜はシュナの料理でいつも食べてるじゃん」
「そういう事ではないのだ!」
巨大なランガの背に乗ってマツリとミリムが農場へと向かう。
森を突っ切る細い道を、のんびりと。
以前農場を訪れた際にリリナが振舞った野菜が余程美味しかったらしく、ミリムのテンションは最高潮だ。
塩を振っただけの素朴な野菜が魔王の一角でもあるミリムをこれほど喜ばせるとはさすがのリリナでも想像できなかったに違いない。
ミリムの野菜嫌いは完全に克服され、今となっては食卓に並ぶ野菜を目を輝かせて頬張るのだ。
もちろんその裏にはミリムとマツリの為に野菜を飾り切りして丁寧に盛り付けているシュナの努力があるのは言うまでもない。
「野菜はちゃんと料理すれば美味しいからな。リムルの蜂蜜ほどではないが、うまーなのだ!」
「うまー、だね!」
「うむ! うまーなのだ!」
「うまー!」
二人して変なテンションである。
ミリムは野菜の収穫に、そしてマツリは収穫祭に心を躍らせているのだ。
そんな二人を背に乗せてのっしのっしと歩くランガも、楽しそうな雰囲気につられて尻尾をブォンブォンと振り回す。
森を抜けて農場に来てみれば、そこには既に多くの魔物がマツリ達の到着を待っていた。
どうやらマツリとミリムが最後のようだ。
千名を超える魔物達が空き地に整列し、リグルドから作業内容の説明を受けている。
「パパ、来たよ」
「……」
リムルを見つけたマツリが挨拶するのだが、返事が無い。
どうやらリムルは機嫌が悪いらしく、ランガに乗ってやって来たマツリとミリムを見て、不満げな顔で大きなため息を吐いたのだ。
楽しそうなマツリやミリムを見て、その表情に落ちる影は一層濃くなった。
「どうしたリムルよ。元気が無いのだ」
「しーっ! 聞いちゃ駄目だよミリム。パパはミリムに俺を取られて拗ねてるんだから」
リムルが落ち込んでいることに気付いたミリムだが、マツリにはその理由までひと目で分かってしまう。
さすがは親子である。
魔物は感情が伝わりやすい性質を持つ。
魔物が発する妖気の揺らぎ、あるいは波長のようなものを感じることで、その魔物の状態がなんとなく分かるようになっている。
名前が無い魔物の集団でも意思の疎通に困らないのは、それぞれの魔物が固有の波長を持っているからに他ならない。
さらに言えば、英雄覇気や思念伝達と言ったスキルはこの妖気の波長を意図的にコントロールする技術だとか、そうでないとか。
リムルはマツリにとっての名付け親であり実の親であり、もっと言えば元々は一匹の魔物だったので、その妖気の質も波長も完全に一致している。
互いの思考が無意識に影響を及ぼし合うレベルで深く繋がっているのだ。
一心同体を地で行く親子なのである。
「なんだそういう事なのか。気にするなリムル! マツリはリムルが大好きなのだぞ! もちろん私もな!」
「……別に拗ねてるわけじゃねーし? 仕事の前にちょっと考え事をだな」
完全に拗ねているし、放送が終わったあの瞬間から今に至るまで憂鬱な気持ちで頭が一杯だったのだが、それを素直に白状するリムルではなかった。
マツリには筒抜けなのだが、それでも意地を張るのである。
「まあそれは良いとして……マツリ、パパの事好きか?」
分かっているくせに、改めてマツリの口から言わせたいリムル。
そんなパパのとても面倒な思考もキッチリ読み取ったマツリは、すかさず最高の答えを返す。
「大好き!」
マツリだってパパの喜ぶ姿が見たいのだ。
「……じゃあ、良いけどな」
照れ隠しなのか、思わずにやけそうになった顔を背けてリムルが言う。
マツリのこの一言は多少の忖度はあれど確かに本心なのだと、リムルはその魂で理解できた。
朝から続いていた憂鬱な気持ちもマツリの笑顔を一目見れば吹き飛んでしまったようだ。
いつも通り平常運転なスライム親子がイチャイチャしている間に、集まった魔物への作業の説明は終わっていた。
何やら取り込み中のリムル達のことを気遣って作業を始めずに待機しているようである。
リムルの機嫌が戻るのを見計らって、リグルドが駆け寄ってくる。
「リムル様、作業の準備は万全です。後はリムル様の御言葉のみですな」
「了解。すぐ行くよ」
リグルドから準備完了を告げられ、呼びかけに応じて集まった住民の前にリムルが立つ。
その手にスライム状態のマツリを抱きかかえ、ルンルン気分で軽快に語り始めた。
「さて、今日皆に集まってもらったのは他でもない。農業部門の皆の努力の結晶、丹精込めて育て上げた野菜や稲の収穫を手伝ってもらうためだ。俺もこっちに来るのは久しぶりなんだが……見ろ、この広大な田畑を。我が国の豊かさを象徴する景色だと思わないか? 農業部門の皆が言うには食うに困らないだけの食料を確保できるとのことだから、これで冬も安心して暮らせるってもんだ。リリナさん達農業部門の皆の頑張りと自然の恵みに感謝だな。と、いう訳で、今日はその最後の仕上げ、待ちに待った瞬間、収穫を楽しもうじゃないか!」
見晴らしの良い農場全体に響き渡るほどの、大歓声。
広大な田畑に整然と野菜が並ぶ光景と合わせて国の発展をリアルに感じられる良い演説になった。
これには演説にうるさいシュナもにっこりだ。
演説を終え、今日の仕事は終わったとばかりに一息つくリムル。
これ以降の作業はリグルドとその部下たちが仕切り、リムルのすることと言えば適当に作業の様子を眺め……視察する予定である。
視察とはつまり何もせず配下にお任せするという事なのだがそれは言わないお約束だ。
「さてマツリ、ミリム。今日はお前達にも仕事がある。俺についてこい」
「何だろうねミリム」
「何でも良いのだ♪」
リムルは視察という名のサボりだが、マツリとミリムは収穫に参加することになっている。
パパを除け者にして野菜パーティーをする二人への嫌がらせ……ではない。
教育の一環だ。
お勉強というかお遊びというか、とにかく普段あまり経験できないことを経験させてやろうというリムルの計らいなのである。
ちなみに面倒を見るのはリムルではない。
「それじゃあリリナさん、マツリとミリムをよろしく頼む。お前ら、今日は町を挙げての重大な仕事だから、いい子にしてるんだぞ?」
「はーい」「なのだ」
「お任せください。私がしっかり見ておきます」
そう、リリナが子守りを担当することになっている。
マツリと仲良く収穫作業を楽しみたいリムルとしては面白くない展開だ。
実は前日にリムルが一緒に収穫しないかとマツリとミリムを誘ったところ、既に約束があると断られた経緯があった。
「うまーな野菜をマツリと一緒に食べる約束をしているからな! リリナは私が予約するのだ!」
「リリナはどれが美味しい野菜かすぐ分かるんだよ! だからリリナを呼んで、ミリムと一緒に野菜パーティーするんだよね!」
一応、「パパは?」と食い下がったリムルだが、これはマツリとミリム、そしてリリナの三人での約束なのだと突っぱねられてしまう。
リムルがいたのではリリナが気を遣うだろうというミリムの一言が決め手であった。
そんなわけでマツリとミリムはリリナが予約済みなのである。
「じゃあパパ、また収穫祭で」
「うまーな野菜を沢山採ってくるのだ!」
「おう、楽しんで来いよ」
リムルはやや渋い顔で二人を見送った。
☆
マツリとミリムはリリナに案内されるまま後をついていく。
リムルを置き去りにしてリリナに案内された先は、芋畑だ。
ホブゴブリンの子供たちが集まっており、普段とは異なる場所に来たのが楽しいのかわいわいと騒いでいた。
「あやつらは何なのだ?」
「学校で私が担当している子供たちですよ。今日は課外授業としてお芋掘りをするので、マツリ様とミリム様もそこに加わってもらいます。野菜パーティーはその後でゆっくりと」
リリナは管理部門の長として働くのみならず、出来たばかりの学校で教師も兼任する働き者だ。
見れば下は5歳程度の幼子から、上はマツリと同程度、人間の年齢で言えば10歳に満たないくらいまでのホブゴブリンが一つのクラスに纏められていた。
「それじゃあ皆揃ってますね? 今日は課外授業としてお芋掘りをしますが、特別にマツリ様とミリム様も一緒です。失礼の無いようにしてください」
「「「はーい!」」」
クラスの子供たちに交じってマツリとミリムも元気よく返事を返す。
その正体は魔国の王子と魔王なのだが、こうしてみると本当にただの子供である。
☆
リリナに連れられて行くマツリを、リムルが見送る。
できれば一緒に視察をしたかったのだが約束があるなら仕方がない。
空よりも広い心で受け入れるだけだ。
そのまましばらく天を仰ぎ、流れる雲を眺めて心を癒す。
「まあ、別に嫌われたわけじゃないしな……」
そこへやってくるベニマル。
物思いにふけるリムルはそのことに気づいていない。
「リムル様、そんなに落ち込まなくても」
「っおおベニマル君! い、いいや? 別に俺は冷静だとも。可愛いマツリをミリムに取られたからって落ち込んでなどいないよ?」
「……まあそれで良いですよ」
「本当だぞ?」
「はいはい分かりましたよ。そんな事より早く視察に行きませんか。リムル様が顔を出さないんじゃ皆のやる気も削がれてしまいますよ」
実はベニマルも作業の割り振りは無く、視察がメインである。
幹部連中は作業をするより応援した方が皆の士気が上がって効率が上がるだろうというリグルドの采配だった。
「じゃあ行くか」
ほんの一瞬も迷う素振りを見せず、芋畑に直行するリムル。
そこではリリナが引率する子供たちが一生懸命に芋を掘っている。
マツリとミリムも一緒だ。
「やはりここですか……」
まあそんな気はしてましたけどね!
ベニマルは心の中で呟いた。
リムルの視線はマツリに固定されている。
視察とは名ばかり……というのは元々そうなのだが、流石に開き直りすぎでは? とベニマルはそう思わずにいられない。
溺愛する娘の授業参観に来た父親の顔である。
「なあベニマル」
「何でしょう?」
「何でマツリって、あんなに可愛いんだろうな……?」
あ、コレ長くなる奴だ、とベニマルは直感する。
リムルとサシで飲む機会も多いベニマルはこの手の話に付き合う機会も多いのですぐに分かるのだ。
ベニマルの読み通り、返事も無いのにリムルは語り始めた。
「もう何て言うかさぁ、オーラが違うんだよね。傍にいるだけでこう……心が温かくなるって言うか、雲の隙間から陽光が射しこむように明るい気持ちになるみたいな? 居るだけで良いんだよ、居るだけで。いや勿論おしゃべりしたいし一緒に遊びたいけどな? 面と向かって笑ってくれたらもうヤバいんだけどね? そういう事だけじゃないんだよマツリの可愛さって。魂が違うって言うの? もう存在自体が天使なんだわ」
「はぁ」
「え? 何? 分かってない感じ? ほらよく見て見ろよマツリの姿を。魂で感じるだろ? マツリがこの世で最も天使な存在だって理解出来るだろ?」
「ええっと、はい、理解しました」
「分かれば良いんだよ分かれば」
リムルはうんうんと満足気にうなづいた。
面倒くさいが、扱いは楽なのだ。
☆
「見ろマツリ! ワタシの芋が一番大きいのだ!」
「いやこっちの方が大きい!」
互いに掘り出した芋を見せ合うマツリとミリム。
普段の仲の良さは何処へ行ったのか、自分の芋の大きさをそれぞれが主張していがみ合っている。
喧嘩というほどではではないものの意地の張り合いはエスカレートする一方だ。
それは数分前、ミリムが大きめの芋を掘り当てたことから始まった。
「見ろマツリ、これは大物だぞ?」
「ふっふっふ、まだまだ甘いねミリム。見よ、この大きな芋を!」
そう言って自慢げに笑うマツリの手には大きな芋。
ミリムが掘り当てたものよりほんの少しだけ大きい。
しかしマツリの隣で熱心に芋を掘る少女はさらに大きい芋を掘り当てていたのである。
「っていうか、ココブちゃんの芋が一番大きいじゃん」
「むふー」
ココブとはリリナのクラスに在籍するゴブリナの少女だ。
彼女はマツリよりもさらに幼く、年は5歳ほどだろうか。
まだ会話もそれほど流暢ではない。
髪を頭のてっぺんで結んでちょんまげのように立たせており、一部の者からはちょんまげちゃんの愛称で可愛がられている可愛い女の子だ。
そんなココブの両手に抱えられているのは、ココブの頭ほどのサイズがある大きなサツマイモ……もどき。
持ち上げるのも一苦労なそれを手に立ち上がるココブにクラス中から尊敬の眼差しが向けられる。
おー、すげー、とあちこちから漏れ聞こえてくる感嘆の声。
間違いなくこの場で一番大きな芋だった。
芋掘りの場において最も重要なのは、掘り当てた芋の大きさ。
最も大きな芋を掘り当てた者が最も偉いというのが絶対のルールなのだ。
それは魔国の王子や
「わぁ……凄い。凄いよココブちゃん! いや、ココブ様!」
「むぅ、確かにでかいのだ。ここまで明確に実力差を見せつけられてはこのワタシも黙るしかないのだ……!」
思わず平伏するマツリ。
ミリムも悔しがるが、いかに魔王と言えど
「うふふ、見た目通りの子供過ね。魔王だという事を忘れそうだわ」
遠目に眺めるリリナとしては、その名を世界に轟かせる魔王が芋ひとつでゴブリンの少女に下るという展開に飽きれるばかり。
本来ミリムは
こんなことを思うのは不敬だろうかと悩んでも仕方がない。
魔王ミリムとはそういう存在なのであり、考えるだけ無駄なのだ。
リリナの視線の先では
「くそぅ、負けるか!」
「俺だってもっと大きい芋を……!」
「ワタシが一番になるのだ!」
皆必死だ。
最早ココブはこの場の支配者……つまり女王なのである。
魔王も王子も関係ない。
それほどまでに大きなお芋の放つ威光は強烈なのだ。
「もっと掘れー」
女王の一声で配下のクラスメイト達は一心不乱に芋を掘り進めていく。
ココブの時代がやって来たのだ。
しかし、ココブの時代も長くは続かなかった。
「ん? ……これは!」
「どうしたマツリ……あ!」
ココブが掘り出した芋よりもさらに大きな芋がマツリによって掘り出されたのだ。
形勢逆転。
次はマツリの時代である。
「はっはっはー。俺が一番!」
芋をこれ見よがしに掲げ、畑の中央に立つ。
悔しがるもの、尊敬の眼差しで見る者、我関せずで芋を掘り続ける者。
反応は様々だ。
しかしここに一人問題児が居た。
いうまでも無く、ミリムである
「マツリのくせに生意気なのだ! 魔王たるこのワタシの方が大きい芋を掘れるのだーっ!」
ミリムはその手に膨大なオーラを纏い、無造作に土に突っ込んだ。
直後、鋭い斬撃音と共に大地が裂ける。
子供用のスコップでちまちま掘るのでは埒が明かないのでついに実力行使に出たという訳である。
これがただの子供のホブゴブリンなら可愛いだけで済むのだが……
「ちょ、ちょっとミリム様!? 流石にそれはやりすぎでは!?」
「うるさいのだ! 芋! 大きい芋を見つけるのだ!」
リリナが慌てて制止しようとするも聞く耳を持たない。
「ちょっと掘っただけでは駄目か……。ならば、とう!」
今度は拳。
農場一帯に響き渡る轟音と共に畑の土が吹き飛んだ。
ミリムの直下には大きなクレーターが出来上がっており、その中には無数の芋が転がっている。
芋が爆散せずに無傷でその場に残ったのはミリムの「手加減」によるものだろう。
「むぅ……無いのだ。大きい芋が無いのだ!」
芋は粗方掘り尽くされていたようである。
残っていたのは芋掘りスト達が気づかないような小さな芋ばかりであった。
「ならば隣の畑だ!」
「はいストップ!」
「げえっ!? リムル!?」
「げえっ!? じゃない! 何やってるんだお前は!」
「いやぁ、ええっとだな? 芋を掘っていたのだ……」
リムルの登場にバツの悪そうな顔に冷や汗をだらだら流しつつ応えるミリム。
ちなみに嘘は言っていない。
「どう見ても畑を殴って滅茶苦茶にしてくれてるよな?」
「違うのだ! 芋は無事だし、そう、これは効率を求めた結果なのだ! 芋を掘るお仕事も早く終わっただろう!?」
「バカ野郎! 吹き飛んだ畑は誰が元に戻すんだ!」
「ううっ……ごめんなさいなのだ」
「ったくもう。ちょっと目を放した途端コレだよ。吹き飛ばした土は戻しておけよ」
結局リムルが出張って場を収めることになるのだった。
大きい芋は見つからないし、畑の復元という面倒な仕事も増えてしまってミリムは涙目だ。
一方マツリは一番大きい芋を両手に抱えてご満悦の表情。
2位のココブと共に子供たちから尊敬の眼差しを浴びる。
「やったねココブ。俺とココブが一番だ」
「うん」
「野菜パーティーでは焼き芋もやるんだって。焼き芋ってどんな味なんだろう。楽しみだなぁ」
「美味しいよ」
「そうだね。リリナが作るんだから美味しいに決まってるよね!」
午後の野菜パーティーに向けて幸先の良いスタートを切るマツリなのだった。