ウマ娘 ハルノナナクサ   作:ウマ侍

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第17話 チャンピオンズカップ

 

バルクアップを始めてから、数ヶ月の時が流れた。その途中、帝王賞とJBCクラシックに参加して、どちらも好成績を収めた。それでもハルノナナクサは満足していなかった。

というのも、帝王賞ではスマートファルコンに敗れ、ハルノナナクサが勝利したJBCクラシックには、スマートファルコンが参加していなかったからだ。

「チャンピオンズカップにはファル子ちゃん出てくるよね」

「登録はしてるみたいだな。勝つならここが一番のチャンスだ」

「よし。そうだよね。今度こそ勝利してみせるよ!」

「その意気だ。今度こそ砂のハヤブサを撃ち落とそう」

GIレース、チャンピオンズカップ。中京レース場、ダート1800m、左回り。天候は曇り。バ場は良。15人で行われる。ハルノナナクサは実績を考慮されての二番人気。相変わらず一番人気はスマートファルコンだ。

「みんな応援ありがとー!今日も勝つからね☆」

パドックで笑顔を振りまくスマートファルコン。

「ファル子ちゃん!」

「ナナクサちゃん!今日もライバルだね!」

「そうだね。今日こそファル子ちゃんに勝つつもりだよ!」

「そっか!ファル子は今日も負けないつもりだよ!一位が欲しかったら奪い取りに来てね☆」

「もちろん、奪わせて貰うよ!今日はよろしくね」

「うん、よろしく!」

握手をかわして、それぞれが運動の為にパドックを移動する。今回の作戦はひとつだ。スマートファルコンをマークし、得意のロングスパートでゴールする。いつもの手口だ。

「(成長した私を見せ付けてやる!)」

ウマ娘達は落ち着いた様子で、ゲートに収まっていく。ダートに揃った15人の精鋭達。彼女達の中から優勝できるのはたったの一人。多くのファンがその瞬間を待ちわびながら応援する。

『最後に大外のポップンシャワー収まりまして態勢完了!果たしてチャンピオンの座に着くのは誰か!チャンピオンズカップ!』

────ガコン!

『スタートしました!まずまず揃ったスタート!さあ先頭を主張するのはやはりスマートファルコン!他の逃げウマ娘と競り合っていきます』

「(ファル子のペースに持ち込んでいくよ!)」

競り合いを制し、自分のペースで逃げ始めるスマートファルコン。予想通りの展開となる。ハルノナナクサは後方に控え、マークを外さないようにしながら脚を温存しておく。

「(逃げ切らせたら勝ち目が無くなっちゃう。簡単には逃がさないよ!)」

序盤から激しい競り合いが起こっていたためか、かなりのハイペースでレースは流れていく。後方に控えたナナクサ的にはチャンスだが、スマートファルコンがこれで沈むとは思えない。むしろこのハイペースこそがスマートファルコンのリズムとも言えるだろう。

「(多分ハイペース…でも、私は私の走り方で!)」

ハルノナナクサは狙い通り、ロングスパートの体勢に入る。前を行くスマートファルコンとの差は6バ身。この差を埋め切り、必ず差し切ってみせる。覚悟を決め、力強くダートを踏み込んだ。

『おっとハルノナナクサ!仕掛け始めました!得意のロングスパートです!』

4バ身、3バ身。距離は少しずつ縮まっていく。けれど、スマートファルコンがそれを簡単に許してくれるはずもなく。

「(来たねナナクサちゃん。でもファル子も負けないよ!)」

────ダンッ!

と力強い足音。それと同時にスマートファルコンは加速していく。あれだけのハイペースで逃げながら、最後に使う脚を残していたのだ。こんな化物にどう勝てば良いのか。去年のナナクサならそう思っていただろう。

『さあ最終コーナーを抜けていよいよ最後の直線!先頭はスマートファルコン!ハルノナナクサ外から追い縋る!』

今回は力負けしていない。置いていかれる事もなく、競り合っている。その力強い姿に、ファン達も思わず声援を送り続ける。

「頑張れー!ナナクサー!」

「追い付けー!」

ファン達の声援を受けたナナクサの瞳に炎が宿る。まだ負けていない。差し切って勝ってみせる。情熱の炎が燃え盛っていく。その力が、彼女の脚を更に動かしていく。

『更に伸びるハルノナナクサ!いよいよ横に並んだぞ!スマートファルコンは苦しいか!』

「はああああああああああっ!」

「(負けない……ファル子もファンの期待に応えたいから!)……やああああああああああっ!!」

交わすかと思われたその瞬間、スマートファルコンがもう一度伸びる。どちらも一歩も譲らない。まさに砂上のチャンピオンを決める為の戦い。私が。いや私が。最高の栄誉に向かって、二人は突き進んでいく。

「「はあああああああああっ!!」」

『二人並んでゴールイン!ほとんど同時に入りました!これは写真判定でしょう!』

掲示板には、写真判定の文字が浮かぶ。後ろに5バ身ほどの差を付けた信じられない程の競り合い。どちらが勝ってもおかしくない。

そして、判定が終了した。

1着 2番 ハルノナナクサ

2着 4番 スマートファルコン

その瞬間、歓声がワッと盛り上がった。ハルノナナクサは、目標としていたスマートファルコンに勝利した事で大喜び。

「やったー!私の勝ちだー!」

「おめでとう。ナナクサちゃん。ファル子の負けだよ」

「ありがとう。でも、ファル子ちゃんもとっても強かったよ!」

「えへへ、ありがとう!また一緒に走ろうね!」

「もちろん!何度でも勝負しよう!」

ライバルと固い握手を交わす。かつては全然追いつけなかった砂のハヤブサ。それに追いついて勝つことができたのだから、見事なものだ。

それからナナクサは、ウイニングライブを行い、ファン達に感謝の気持ちを精一杯送り届けたのであった。

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