RockmanX:Bounty Hunter 作:赤バンブル
ジャンゴがケインの下で生活をするようになってから数か月。
ケインの仕事の手伝いをする傍ら彼は、レプリロイドの体に慣れるために記憶を頼りにマンダロリアン方式の訓練を空いている時間を利用して可能な限り実践していた。
体は民間レプリロイドのものとはいえ、身体能力は人間以上であるため戦士でもあったジャンゴの動きは明らかに常人離れしていた。
その様子を遠くから眺めていたケインはあることを思いつき、後日ひと時のティータイムをしているとき彼に提案をしてきた。
「のう、ジャンゴ。お主、イレギュラーハンターになってみんか?」
「イレギュラーハンター?あぁ、街でデカいマシンや暴走したドロイドを処分している奴らのことか。」
「ここ数か月の訓練の様子を見てお前さんなら十分な素質があると思うんじゃ。どうかね?」
この数か月一緒に生活して彼は、民間タイプでありながら上級ハンター張りの能力を持つジャンゴをこのまま自分の屋敷に留まらせるのは勿体ないと考えていた。もし、イレギュラーハンターとして活動してくれるようになればどれだけ頼もしいか。
「悪いが治安維持組織に入るような柄じゃない。」
「じゃがこのまま屋敷で隠居生活のような暮らしも満足できんじゃろ。訓練も試行錯誤のようだし、ハンターベースに配属されれば実践で勘を取り戻しやすくなる。」
「今の俺は、マンダロリアンでもなければ賞金稼ぎでもない。年老いた爺さんの仕事と話し相手をしているだけのポンコツドロイドだ。」
「儂にはそうは見えんよ。昔のことは知らんがお前さんが今こうしてここにいるというのは何か意味があると思うんじゃ。」
「・・・・」
ケインの説得を聞き、ジャンゴは少しばかり黙る。
賞金稼ぎ時代も何度も戦いから身を引こうと思ったことはあったが気が付けばまた普通に仕事を受けていた。それは、自分の中に流れている戦闘民族『マンダロリアン』の血が由来していると思っていたがこちらで生活するようになってからもその習慣が抜けることなく、寧ろ物足りないとすら感じていた。
「・・・俺には、隠居生活は無理なのかもな。」
「では、受けるかね?」
「爺さんが言うならな。だが、条件がある。」
「ほう?」
「俺のための装備を作って欲しい。可能な限り注文通りのものをだ。」
「例のマンダロリアンのアーマーか。ふむ・・・・わかった。難しいができる限りやってみよう。それまでは悪いが一般ハンターの装備で我慢してくれるか?」
「いいぜ。」
「ありがとう。ハンター試験については儂が手続きをしておこう。」
3日後、ケインの推薦でジャンゴは、イレギュラーハンターの本拠地『ハンターベース』で試験を受けることになった。
担当することになった試験管たちは、彼が民間レプリロイドであることを知るや期待が薄いと内心思いながらもレプリロイド工学の権威であるケインの推薦のため、半ば呆れ気味に試験を行うことにした。
『ジャンゴ、事前の説明通りイレギュラーハンターに入隊する辺り、その実力を見極めるためのハンター試験をこれから行う。試験は、このシミュレーションルームで仮想エネミーの討伐、現場での対応で評価、入隊時の君のハンターランクを付ける目的でもある。準備はいいかな?』
「いつでもOKだ。」
『では、シミュレーションスタート。健闘を祈る。』
試験管の声と同時に立体映像が映し出され、仮想エネミーが攻撃を始める。ジャンゴは横転して物陰に隠れると装備されたブラスターを構えて一体ずつ確実に破壊していく。
「現場の再現度は十分だな。カミーノの訓練所と比べても遜色ない。」
近づいてきたものに対してはナイフを額に投げつけて怯ませた隙に急所を撃ち抜く。
民間タイプでありながら上位ハンタークラスの戦い方にモニター室で見ていた試験管たちは、息をのむ。
「彼は本当に民間か?」
「試験前のスキャンでも確認済み。一般で普及されているものと変わりません。」
「信じられんな、だとしてもあの装備の使い分け方。A級どころか特A級レベルだぞ。」
「瞬時の判断力も素晴らしい。あの大型メカにロイドの狙撃はあのゼロですら減点ポイントだった。それを難なく・・・」
「試験の状況はどうかのう?」
そこへケインがシグマと共に入室してきた。試験管たちは彼に敬礼すると結果を報告する。
「貴方が紹介したジェンゴ・フェットと言うレプリロイド、信じられないほどの逸材です。とても民間レプリロイドとは思えません。」
「正直言いますとこの目で見るまで私たちは、よくて整備部門の配属が限界だと考えていました。ですが、この戦闘力の高さなら申し分ないでしょう。」
報告と同時に試験が終了し、コンピュータが結果を表示する。
ランク『SA』
特A級ハンター登録を意味した。
「ほう、一発で特A級か。ゼロ以来かもしれんのう。」
「それ以上です。まるで彼は生まれ持っての戦士のようです。とんでもない男を寄こしてくれましたよ、貴方は。」
試験管たちがケインと話している中、シグマは映されているジャンゴの戦闘を眺める。
「ランクが決まった以上、次は彼の配属先を決めなくてはなりませんな。」
「はっきり言ってこの結果を信じるべきか自分を疑っています。できればしばらく市街地で様子を見たいところですが。」
「・・・なら、私の部隊に配備させるのはどうですかな?」
突然のシグマの提案に周囲は、一瞬静まり返る。
「シグマ隊長、本気かね?」
「これまで戦闘タイプが特A級ハンターになったところは、何度も見ていますが民間タイプがなるのは初めての例です。下手に辺境の部隊に配属されれば不満に持つ輩も多いでしょう。それなら私のところに置いておくのがベストではないかと。」
「しかしだね・・・・君の部隊は何というか・・・」
「ケイン博士、貴方の方からは何か意見は?私は彼に興味があります。」
「お前が興味を持つとは余程じゃのう。では、しばらくの間は17部隊に置いといてもらおうかのう。良いかな、諸君?」
「うん・・・・ケイン氏が仰るのなら。」
翌日、ケインから結果を言われたジャンゴは、17部隊の兵舎へと足を運んでいた。
「特A級とはランクが多い割には随分と好待遇だな。」
隊長室の前に来ると彼は、軽く数回ノックする。
『入れ。』
「失礼します。」
部屋に入ると大柄のスキンヘッドが特徴のシグマが腕を組んで待ち構えていた。
「本日を以て第17精鋭部隊に配属されることになったジャンゴ・フェットです。」
「Dr.ケインから聞いているよ。先日の試験、モニター越しからだが私も見させてもらったよ。見事だった。」
「お褒めの言葉、感謝します。」
二人は、挨拶とばかりに握手を交わす。
「しかし、この部隊に入ったハンターランクの上下で特別扱いする気はない。部隊の一員として頑張ってくれたまえ。」
「分かりました。」
「さて、早速だが配属されたばかり君にこの施設は不慣れだろう。そこで、君の教育係をつけようと思う。」
「俺に?」
「「失礼します、シグマ隊長。」」
部屋に二人の男が入ってくる。一人は青いボディで、もう一人は紅白アーマーが特徴で後頭部から金髪を伸ばしていた。
「紹介しよう、私の部下であるエックスとゼロだ。現場に慣れるまではこの二人とともに行動してもらう。エックス、ゼロ、彼は今日から我が部隊に配属されることになったジャンゴだ。しばらくの間、彼の面倒を見てほしい。」
「俺は構いません。ゼロは?」
「世話なら他所で慣れてるよ。ジャンゴだったな、うちは曲者ぞろいだ。覚悟しとけよ。」
「ご忠告どうも。それじゃあ、先輩方お世話になりますよ。」
そういうと二人は、ジャンゴを連れて部屋を後にした。
ぶっちゃけ、レプリロイドって人間よりも強いと思うから今のジャンゴって、EP2の時よりも強くなるんじゃ・・・・