RockmanX:Bounty Hunter 作:赤バンブル
ジャンゴがハンターとなってから数週間後。
最初こそ、民間タイプという理由でその実力を疑う者が多かったがイレギュラーを難なく仕留める姿に愕然とし、上位である他の特A級ハンターの一部からも認められるようになった。
世話係を頼まれていたエックスも彼の姿を見て驚きながらもほとんど破壊せず機能停止状態に留めているのを知り、一種の尊敬のような感情を抱いていた。
そんなある日、シティ・アーベル市街で工事を行っていた作業用大型メカニロイドが暴走。
シグマ指揮する17部隊は直ちに出撃。上空からエックスが狙撃をすると同時に確保することになった。
「ゼロ、全員配置についたか?」
『はい、いつでもいけます。ところでシグマ隊長、ジャンゴの奴どうしたんです?今日は姿を見ていませんが。』
「彼はDr.ケインのところへ行ったよ。受け取るものがあると言ってな。しかし、今回の作戦に支障はない。間もなくエックスが降下する。攻撃がメカニロイドに命中し、機能停止を確認次第確保を行う。」
『了解。』
その後、一分も立たないうちに上空から高出力のエネルギー弾がメカニロイドに直撃。動かなくなったのを確認して確保しようとするが再起動したことで周囲のハンターへ攻撃を始めた。
シグマは、すぐにメインジェネレーターを破壊するよう指示するが胴体の下にある上に動きが早いため、近づけずにいた。
何とか事態を打開しようとペンギーゴがショットガンアイスを飛ばして動きを封じるがそれでも一時的で一般ハンターの一人をアームで捕らえてしまう。
「クッ!」
ゼロの攻撃のおかげでジェネレーターを視界に捉えられるようになったが仲間に当ててしまう危険性を感じてエックスは攻撃を躊躇ってしまう。
「エックス、何をしているんだ!?ジェネレーターを撃つんだ!早くしろ!!」
傍でペンギーゴが急かす中、エックスはバスターを構えたまま撃てずにいる。
シグマは、止むを得ず接近してサーベルで破壊しようとすると後方からの銃声で足を止める。向き直るとジェネレーターに小さな穴が開いており、メカニロイドは、目の光を失い、ゆっくりとその場に崩れ落ちた。
一体何が起きたのか全員が銃声が聞こえた方へと向くとそこには銀色のアーマーに額にT字のバイザーが特徴のヘルメットを被ったレプリロイドがピストルを構えていた。
「VAVA?」
エックスは一瞬、他の現場に向かわされたはずのVAVAと見間違えそうになる。他のハンターたちも同じ反応だった。レプリロイドは、ピストルを回転させながらホルスターにしまうとシグマの元へと歩いていく。
「隊長、申し訳ありません。遅れました。」
「えっ。」
「「ヴァ、VAVAが隊長に謝った!?」」
全員が驚ていることに気づくとレプリロイドは、彼らの方を向く。
「なんだ、お前ら。俺が分からないのか?」
メットを外すとそこにはジャンゴの顔があった。
「じゃ、ジャンゴ!?」
「悪いな、爺さんから頼んでいた装備の一部が完成したって聞いたから取りに行ってたんだ。いや、すまんすまん。」
ジャンゴは、メットを片手に抱えて笑いながら謝罪する。
「まさか、そんな装備を作ってもらっていたとはな。」
「色々注文付けたからもう少しかかると思っていたんだがね。見所ある爺さんだ。」
「ジャンゴ、博士のことをそういう風に呼ぶのはよくないと思うんだけど。」
ハンターベースに戻ると三人は会話をしながら通路を歩いていた。
「聞いたか?メカニロイドのイレギュラー、今月で7件目だそうだ。」
「先月よりも増えていないか?それでシグマ隊長はケイン氏の元へ?」
「そうらしい。それと何か考えがあるとか・・・」
すれ違った隊員たちの会話を聞き、エックスは足を止めてふと呟く。
「イレギュラーか。イレギュラーはどうして発生するんだろう?」
「そうだな、プログラムのエラー、電子頭脳の故障、俺達レプリロイドの高度な情報処理能力の言わばツケって奴だな。」
「だが、奴らがいるから俺たちの仕事にも需要があるのもまた事実だ。大量発生して無法地帯になるのは困るがいなかったらいなかったでここで働いている連中のほとんどが途方に暮れることになる。」
「そんなものかな?寧ろそれがいいと思うけど。」
「少なくともそう思うのはごく少数だろうさ。あれを見てみな。」
ジャンゴが指を差した先を見ると拘束されたレプリロイドが保安員によって連行されているところだった。
「VAVAか、大方また揉め事を起こしたんだろうな。」
「俺たちハンターですら甘ちゃんな先輩もいればアイツみたいに狂犬みたいな奴もいる。まっ、こんなにレプリロイドが普及した世の中じゃ根絶やしにするのは至難の業だ。」
「ジャンゴ・・・・」
「おっと、喋り過ぎた。俺はトレーニングルームに行く。アーマーのテストも兼ねてな。」
彼は、メットを被ると二人と別れて行った。
「博士、お食事中失礼します。」
同じ頃、シグマはケインの屋敷を訪問していた。
ケインは、食事をしている傍らシグマからここ最近のイレギュラーの増加傾向にあることを聞いていた。
「そうか。最近騒がしくなったわけじゃ。エックスはどうしておる?」
「状況分析、戦闘能力共に極めて高いレベルにあります。っが、時に悩み・・・判断を遅らせるところがあります。」
彼は、食事を下げて眉間に手を当ててため息をつく。
「悩むか。・・・正しくそれこそがエックス最大の特性なのじゃよ、シグマ。」
「っと言いますと?」
「お前は悩むことはあるまい?かつて私は、過去の遺跡で謎のロボット、封印されていたエックスを発見してその設計思想を流用し、お前達レプリロイドを生み出した。レプリロイドは人間と同じように考え、行動することが出来る。深く思い悩むレプリロイドはエックスだけだ。それは一つの可能性でもあると思っておる。」
「悩むことが欠陥ではなく可能性?」
「確かに判断の遅れはお前たちにとっては致命的だと考えているじゃろう。しかし、エックスは深く悩み、これまでの常識であった『ロボット三原則』にも縛られない新たな答えを出すことが出来る。その可能性が希望となるか危険となるかまではわからんがな。」
ケインは、席から立つと窓から屋敷の庭を見る。
「その答えが私が生きているうちに出るかは何とも言えん。ただ、この命が続く限りは見守ろうと思っておる。」
「・・・・私からは何とも言えませんな。ところで博士、上層部からの相談なのですが・・・」
夕方、ジャンゴはシミュレーションルームでトレーニングを行っていた。
近づいてくるエネミーに対してはブラスターピストルで撃ち抜き、至近距離に入ったら腕部の火炎放射器で焼いていく。更にはワイヤーを飛ばして相手を拘束し、収納ナイフで止めをなすなどかつての賞金稼ぎ時代を彷彿とさせる戦い方を繰り広げる。
「おっと!?」
バックステップを取ったところをバランスを崩して倒れたところで訓練は強制終了してしまった。
「ジェットパックがまだできていなかったのを忘れてたな。」
昔の感覚で短距離跳躍で距離を取りながら射撃を行おうとしたことで失敗し、ジオノーシスでの死因を思い出す。
あの時もジェットパックが故障して逃げられなかった。
「注意しねえとまた、首刎ねられちまうな。」
部屋から出るとゼロと同じ上級ハンターであるイーグリードが話をしているところだった。
「やあ、ジャンゴ。君もゼロと同じく訓練か。」
「まあな、博士ご自慢のアーマーのテストだ。それより、ここにいるなんて珍しいじゃないかイーグリード。お前は確かミサイル基地の守備任務じゃなかったか?」
「ゼロにも丁度話したところさ。自動警報装置が完成したおかげで守備隊の縮小、今日から通常のハンター業務というわけだ。」
「世知辛いな。」
「元々装置が完成するまでの措置だったからな。まあ、そんなことよりもメカニロイドの暴走事件で召集だ。みんなで行こうぜ。」
三人がブリーフィングルームへと到着するとそこには既にエックスをはじめとするハンターが集まっていた。
「解体中のビルで起きたメカニロイドの暴走ですが、現時点での調査でコントロール系が何者かに乗っ取られていたと判明しました。」
「中には誰も乗っていなかった。つまり、遠隔操作されていた?」
「そうです。」
エックスの問いを肯定するオペレーターに対し、ジャンゴは補足を求める。
「ちょっと待った。メカニロイドの警備システムの管理はこっちでやってたよな?」
「はい。」
「いくらなんでもそれはおかしいぞ。そんな簡単にハッキングされるような防壁ではないはずだクワッ。」
「まだ断定できませんが犯人は、こちらの警戒体制に精通している可能性があります。」
「厄介なことだな・・・犯人はどこから操作を?」
今までにない事態に困惑しつつもイーグリードは、犯人の所在を聞く。
「いくつもの衛星を経由してカモフラージュしていましたが・・・・・発信源はここ。シティ・アーベル東16番地区です。」
オペレーターは、腕部の装置を操作してマップにポイントを表示させる。
意外にもハンターベースからそう遠くない廃ビルが並ぶエリアだった。
「すぐ近くか。ふざけやがって!」
「・・・」
「シグマ隊長にこのことは?」
「既に連絡済みです。エックス、ゼロ、ジャンゴのチームはブリーフィング終了後、現場に偵察に向かうようにとの指示です。」
「「了解!」」
エックスとゼロが返事をする中、ジャンゴは一人黙って表情を曇らせていた。
三人は、発信源である現場へと到着したがあまりの静けさに違和感を覚えた。
「あまりにも静かすぎないか?」
「あぁ。」
エックスとゼロが訝しむ中、ジャンゴはメットのセンサーで犯行グループが潜伏していると思われるビルを覗いている。
「熱反応がない。だが、コンピュータの熱反応があるからにはアジトなのは確かだな。」
「行ってみるか。」
先行を二人に任せ、彼は足場をうまく飛び越えながら屋上へと目指す。エックスたちは特A級ハンターでも一部しか扱えるものがいない壁蹴りで難なく登れるが民間タイプであるジャンゴには流石にできなかった。
中に入るとこには犯人グループであろうレプリロイド達が無残な姿で倒れていた。
この光景にエックスは愕然。
ゼロがすぐにハンターベースに連絡を入れて調査隊が急行するが余程用心深いのか証拠は残されていなかった。
「何か手掛かりになりそうな情報はあったか?」
「駄目ですね、恐らくデータは全て持ち出された後でしょう。」
「かなりの手練れだな。」
「お前もそう思うか、ゼロ。俺も同意見だ。ほぼ急所を狙ってやられている。」
調査を進めているとシグマが遅れて現場へと駆け付ける。
「状況は?」
「ハッ!飽くまで現場状況での推論ですが仲間割れの可能性が高いですね。メカニロイド暴走事件のすぐ後にやられたようです。」
「ふうむ・・・ゼロ、ジャンゴ。お前たちはどう思う?」
彼は、隊員からの報告を聞くと犯人達の状態を見ていた二人に意見を求める。
「さあ、ですがどちらにせよやったのは相当の戦闘能力を持った奴でしょう。全て急所を一撃です。」
「それに頭がよく回る。これまでのイレギュラーはどいつもこいつもイカれた奴がほとんどだった。それが用意周到に証拠一つ残していない。かなり厄介なやつなのは間違いないです。」
「うむ、恐らく奴らの残党がまだ付近にいるのかもしれん。ここは部隊を分散させて捜索をするとしよう。お前たち三人は本部へ戻り指示が出るまで待機。いつでも出れるようにしてくれ。」
「「「了解。」」」
シグマは、一瞬エックスをちらりと見るとそのまま外へと出て行った。
「さて、俺たちはサッサと言われた通り帰って寝るか。」
「ジャンゴ、シグマ隊長は待機って言ったんだ。もっと真面目に・・・・」
「大真面目だぜ、俺は。明日は休めるとは限らないからな。休めるうちに休む。どこの業界でも通じる常識だ。」
「ふう、お前の言うことには一理あるな。ただでさえいつ事態が変わってもおかしくない状況だ。早く戻って休むとしよう。」
三人はひとまずハンターベースへと戻り、休息をとることにしたのであった。
ジャンゴの現時点の装備
マンダロリア・アーマー(仮)
前世で身に纏っていたアーマーをケインが可能な限り再現したもの。ベスカーが存在しないため、アーマー・アルマージの盾と同じ特殊合金で代用している。そのため、バスターへの耐久性が高く、ビームサーベル系の攻撃を受け止めることができる。ギミックも満載。
ブラスターピストル
ジャンゴ用に調整したバスターショットの発展型。出力を上げると同時に収束率の高めているため、大型メカニロイドの装甲も撃ち抜ける。エネルギー切れを起こした場合は、装着者のエネルギーで賄うことも可能(但し、ジャンゴは戦闘タイプではないので長時間使えない)。2丁装備している。
ジェットパック
次回登場予定。
背中にマウントして飛行することが可能になる。
ジャンゴの生前の話から不具合を起こすことを聞いたケイン博士が若干改良をしてくれた模様。