たいへんおくれました。すいません。
その夜、私たちは闇に紛れながらポイントへと向かった。全員、全力で走っているが、その音はせいぜいそよ風が吹くぐらいだ。
目的の洞窟の前には見張りだろうか、男が二人立っていた。
(みんなは………まだか)
正直、ホッとした。デルタ、という獣人が仲間にいるんだが、某サ○ヤ人並みの戦闘狂で、
「敵!」――> 突っ込む
となるからだ。死にはしないだろうが、やはり殲滅は囲んでから、というのがロマンだ。
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いつものように、俺とゲイルは見張りに立たされていた。風に吹かれたり、雨にぬれたりと、いろいろつらい。少しでも会話をしてると、オルバ様が怒鳴りながらでてくるから、少しも気が抜けない。さっさと交代の時間にならないか、と考えていると
「すまん、ちょっと用足してくる」
ゲイルが小声で言い、入り口の裏へと向かった。
おう、と小さく返すと
「おい、ゲイルはどこだ」
入り口からオルバ様が出てきた。
「ゲイルなら、いまは……
「いや、何でもない。わかった」
そう告げると、中へと戻っていった。もし今回の『実験』が成功すれば、オルバ様は我々にボーナスを出す、とおっしゃっていた。そう思うと、つらい仕事も幾分か気も楽になり始めた。
ゲイルはまだか、と彼が行った方向に視線を送るとちょうどゲイルはズボンを直しながら戻ってきた。
「ゲイル、お前長す………」
話してる途中で気づいた。ゲイルは身長が低く、見下ろすような形で話してた。しかし、今はまっすぐと見れてしまう。じゃあ、こいつは誰………
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心臓を一突きし、もう一人の見張りを始末する。
「……イータからテストを頼まれたスライム、色々使えそうだな」
顔に着けたスライムを引っぺがし、そこらへんに死体と一緒にポイっと投げる。怪盗の1412や三世の人を彷彿とさせるような変装用スライム、出来は完璧だった。
「シェイド様」
そういって声をかけてきたのはアルファだ。とても聡明であり、みんなのリーダー的存在となっている。そして、初めて治療した悪魔付きでもある。
「前も言いましたが、呼び捨てでよいですよ、アルファ」
聡明な彼女が凡庸な自分に敬語を使うのが何となく気持ち悪かったので、呼び捨てるようにお願いする。
「では。シェイド、作戦はどうしましょう?」
作戦か。正直、彼女たちなら死ぬことはないだろう。だから突っ込んでもいいが、それは戦闘においてだけの勝利だ。でも、答えを教えるのは成長しない。だから、あえてひっかけてみた。
「主戦力のデルタを先頭で突入。
アルファは少し考えた後こう返した。
「いえ、トラップがあることや資料の回収も考えてシェイドが入り回収、離脱。そしてガンマを除き突入ですかね」
やはり聡明な子だ。大局観もある。指導者として適任ともいえよう。
「見事な作戦だ、アルファ」
「ありがとうございます」
「それでは行ってくる」
そう言って私は洞窟に入った。
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(……まさか、こっちでもリアルメタル〇アするなんてね)
気配を殺しながら入り組んだ屋内を少しずつ進んでいく。
(警備が一人)
こっそりと背後から忍び寄り、スライムをアイスピックのようにとがらせ頸椎に突き刺した。
(おっ…と)
倒れる音がしないように抱え、端のほうに座らせて身ぐるみを剝ぐ。
そして、見張りに成り代わった。
そのまま次の部屋へ行くと、大量の資料とそれを眉をひそめながら見ている男がいた。
(ちょっと見せてもらえないか“交渉”してみるか)
「すまない、何を見ているんだ?」
「おいテッド!こっちの部屋には入ってくるなって言っただろうが!」
すると、男は罵声を浴びせてきた。話し合いはできそうにないが、
「だから!テッ…」
その男の腹に向けて思いっきり正拳突きを食らわせる。その男は『怒鳴ってすまない、好きなだけ見てくれ』と言ってくれた。
…………駄目だ、あまりにも興奮しすぎてパブロの心が出てきてしまった。
そんなこんなでめぼしい資料はサッと取る。ファイル系統は制圧後でいいだろう。
そう思い、アルファの元へ戻った。その後は逃走兵の後処理のために待っていたが、何事もなく姉さんは救出された。