一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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明日の投稿はお休みだと言ったな。
あれは嘘だ。


ネーナ戦

 

 四輪駆動の大きなアメリカ車に乗って、一路パキスタンへと俺たちは向かっていた。

 砂煙が舞う大気は乾燥していて煙たい。

 

「おもっ苦しいんだよなぁ、見た目が」

 

 ポルナレフが眉間に皺を寄せて窓から車両の上をのぞいた。

 

 現在、俺は体に対して狭いジープの上にとぐろを巻いてのっしと居座っている。

 車がつぶれてしまいそうといえばその通りなのだが、それは見た目だけ。

 スタンドたる俺の重さは可変なので、これでもジープがミシミシ言ったりはしないのだ。

 

「気分の問題だろぉ、俺は軽く重く優雅な蛇さんなんだ、そんな贅沢言うなよ」

「贅沢はテメーだ蛇。テメーが引っ込んでりゃいいだけの話だろうが」

「喋れなくなるからヤダ」

「どうして承太郎みてぇな寡黙な奴からこんなおしゃべり野郎が生まれるんだよ。スタンドってわっかんねーな」

「ああそれはアルカナテラーはもともと流れスタンドで……ってポルナレフ前を見ろ!ハンドルから手を放すんじゃない!」

「おおっとぉ。悪ィ悪ィ。分かってるって、ハイエロファントの触手出すほどじゃねーだろ」

「お前の運転は荒っぽいんだ…!」

「やれやれだぜ」

 

 もうすでに1回、ポルナレフの運転で事故りかけている今日この頃。

 いいとこ育ちらしき花京院はご立腹だ。

 ポルナレフは癖なのか何なのか、治安の悪い煽り運転じみた動きをするので俺も何度か振り落とされそうになった。

 

「ワシの体感じゃが、これでもアルカナテラーが憑いてからの承太郎の口数の増え方は五倍は下らんはずじゃ。前なんぞ何をしゃべりかけても二言返ってくればいいほうじゃったわい」

「それはテメーが喋りすぎなんだよ、ジジイ。五分ごとに同じ天気の話題を振ってきやがって」

「ジョースターさん、それはさすがに嫌われても仕方ないかと……」

 

 擁護できない、とアヴドゥルが首を横に振った。それはそう。

 

「孫と会話したいけど話題が思い浮かばない祖父ムーヴ過ぎて笑い止まらねーんだけど。ナニソレそんな面白ジジ孫コントやってたのかよ蛇さんびっくり」

「メーワクだぜ」

 

 シンプルな孫の一言でばっさり切り捨てられ、ジョセフさんはおろろろーんと情けない声を上げた。

 

 と、そんな愉快なわいわいスタクル劇場をやっていると、ふと視界に未来が迫っているのを感じ取った。

 

「きんきゅーけーほー。敵さん襲来の時間だぜ」

「!」

 

 一気に緊張を取り戻すのはさすがスターダストクルセイダース。

 熟練のスタンド使いとしての張り詰めた空気が車内を圧迫する。

 

「敵の1人はズィー・ズィー。ホウィール・オブ・フォーチュンという車と一体化したスタンドを持つ。前方の赤い車がそうだな」

「普通の車にしか見えんのが恐ろしいな」

「ポルナレフは調子に乗って煽らないように。スタンドに勝てるほどハイスペックじゃないんだよな、このジープ」

「うるせー、俺だってんなことしねーよ!」

「もう1人の敵はネーナ。車の助手席に乗っていて、血液を介して標的の皮膚に取り憑き成長するスタンドエンプレスを持つ」

「はっ、車越しじゃ何もできねースタンドじゃねーか!」

「ちなみにだがポルナレフの左腕にあるかさぶたがスタンド、エンプレスだ。もうすぐ成長して喋れるようになるから、成長してハンドルを取られる前に処分しろよ」

「げぇーーーーッ!?」

「ポルナレフ……」

 

 悲しそうなというかなんというか、沈鬱な面持ちで花京院がため息をついた。

 この1時間で急速にポルナレフが信用を失ってきている気がする。完全に本人のせいだが。

 

「どうすりゃいいんだよこれ!チャリオッツでそぎ落とせるか!?」

 

 ぱみーっと可愛らしい掛け声とともにチャリオッツが実体化し、美しい軌跡ですっぱりと僅かに飛び出た人面瘡を切り落とす。

 うぎゃああああああああ、と遠くで悲鳴が上がる。

 声の元は前を走る車の中のようだ。

 対するポルナレフはおー痛ェ、と断面をひいひい言いながら見ている。

 

 俺は大きく頷いて勝利を祝った。

 

「エンプレス戦、完!」

「やけにあっけないスタンドでしたね。スタンドが相手の体で成長するのに時間がかかるのがネックだ」

「もし育ち切って車のハンドルを取られたらと思うとぞっとするわい。まぁ、近距離パワー型のチャリオッツならばこの距離ではよほどのことが無い限り負けんとは思うが」

「スタンドパワーに乏しいのだろう。なんにせよ早めに敵の数を減らせてよかった」

 

 すごいボロクソ言われてるエンプレスが哀れだが、まぁ確かにどっちかといえば人面瘡による変装の方が有用そうだったよね、彼女。

 相手に自分の血液を取り込ませて体内に人面瘡ならぬ人面腫瘍を作ることができるのなら一気に致死ダメージまで持っていけるのだが。

 つか血を盛れるんなら毒盛ったほうが早いな。

 

 そのとき、急に前方を走るズィー・ズィーの車の助手席側のドアが開いた。

 ぺっ、と蹴り出される太めの女性。

 

 女性──おそらくネーナだろう──は気を失ったまま勢いよく俺たちの前方の乾いた砂地に投げ出される。

 俺たちの車のタイヤが彼女に接するまで僅か0.5秒。

 しかしそこで轢いてしまう、という危機は訪れなかった。

 

「ひでーことしやがるぜ。しっかし、どうするよコレ」

「どうしようもない物を拾うんじゃないポルナレフ。元の場所に捨てておくんだ」

 

 シルバーチャリオッツの剣先に襟元を引っ掛けるようにネーナがぶら下がっていたからだ。

 ぴしゃりと花京院の一言が心無い。

 

「DIOについて何か知っているかもしれん。聞くだけ聞くのもいいじゃろう」

「いやそれなら俺が全部語れるんだよな。ディオ・ブランドーの恥ずかしい過去までつぶさに」

「いよいよどうしようもなくなってきたな。捨てるか」

「賛成」

「テメーら人の心がねーのかよ!?」

 

 賛成多数でネーナは道路脇にポイと放棄されることとなった。

 後続車に轢かれないような場所にやさしく下ろされたのはせめてもの情けか。

 

 あとはズィー・ズィーのホウィール・オブ・フォーチュンのみ。

 




アルカナテラーとの契約

一、大蛇はお前に未来を見せる。
一、お前は大蛇に精神エネルギーを渡す。
一、お前は運命に抗う。
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