一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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ズィー・ズィー戦

 

 ズィー・ズィーのスタンド、ホウィール・オブ・フォーチュンがごうごうとエンジン音を響かせて俺たちのジープの前を走っている。

 普通の車のように、と言ったら語弊があるが。

 こうしてはたから見れば不思議な点の無い車のように見える。

 

「ポルナレフ、前の車を抜かせ。追い抜きざまにスタープラチナで殴り抜ける」

「おっしゃ!やっちまえ承太郎!俺のかわいそうな左腕の仇を取れ!」

「……やれやれだぜ」

 

 ポルナレフが思いっきりアクセルを踏み、車は盛大に砂埃を上げながら前を走るスタンド車と並走を開始する。

 

 瞬間、バコン、とホイールが外れる音がした。

 ホウィール・オブ・フォーチュンだ。

 有機的とも言える動きで機構が組み変わり、刺々しいホイールが隣接車を牽制するように迫り出してきたのだ。

 

 なにーっ!と驚愕し思わずブレーキを踏もうとするポルナレフを承太郎が押し留める。

 

「アルカナテラー」

「あいよ、承太郎」

 

 よっこいしょ、と長大な尾をおもむろに車体の上から降ろす。

 俺たちの車両とホウィール・オブ・フォーチュンの間に滑り込むように落ちた尾へ、金属製の棘がものすごい勢いでぶつかり合う。ぎゃりぎゃりぎゃり、と工場じみた大音量。

 

「この程度で突破できる強度じゃないんだなぁ、蛇さんの鱗は」

「尾を足場にする。シャキッとしてろよ蛇」

「おっけ。まかせとけ」

 

 軽い動作で俺の尾へと飛び乗った承太郎がこぶしを構える。

 勢いよく走る車両の間で、そのスピードに恐怖を覚える様子もなく、承太郎は背後にスタープラチナを浮かび上がらせた。

 

「オラオラオラオラ、オラァ!!!」

 

 横っ腹からはガソリンの弾丸も発射できないらしい。

 まぁ、たとえ発射できたとしても俺が予知して尾で受けるだけだが。

 

 無防備なままスタープラチナのラッシュを受けたホウィール・オブ・フォーチュンが紙切れのように吹き飛んでゆく。

 そして反対側にせり出した岩場に盛大にぶつかった。

 窓ガラスは軒並み割れ、もうもうと黒い煙を上げている。

 

 ぶつかった拍子にズィー・ズィーが運転席から転がり出てきた。

 もんどりうって血だらけになりながら這いずって逃げようとしてる。

 

 俺はうんうんともう一度頷いた。

 

「第三部、完!」

「まだエジプトにも着いてねぇ」

「しかし本当に苦戦らしい苦戦をしませんね。アルカナテラーの予知があるからとはいえ、少しばかり先行きに不安を感じざるを得ません」

「花京院は考えすぎだぜ。苦戦しなくていいんならそれ以上いいことあるかよ」

「ん、どうしたんですジョースターさん、腕なんか組んで」

「アヴドゥルか。あー。うーん。いやぁ、どうして三部なんじゃ、と思ってな。もしかして二部がわしの大活躍を描く物語じゃったり~?」

「そこまでにしとけよジジィ」

 

 ぴしゃりと孫の言葉が冷たい。

 しかしジョセフさんの予想、マジで大当たりなんだよなぁ。

 はい。貴方が第二部の主人公です!!

 

「なんで………わかった………ッ!!!」

「蛇ってそんなに表情豊かに驚愕できるのか……知らなかったな」

「へー、ジイさんそんな大冒険してたのかよ。いっちょ俺にも聞かせてくれよ!」

「おうともよ!これはわしの若い時の話でな、柱の男という最強最悪の敵が──」

「この話俺が何回聞いたと思ってんだ蛇。責任取りやがれ」

「運命には己の力のみで抗うのです……蛇さんは応援しています……」

「てめぇ表へ出な」

 

 と、そんなかんじでちょっと承太郎に殴られつつ、無事パキスタンへの道は車共々無傷での旅となったのである。

 

「蛇の方が語り口に抑揚があって上手ェ」

「なんじゃとーッ!!!わしのどこが話し下手じゃと!?」

「アルカナテラーの話ってなんだか歴史ドラマを聞いてる気分になるんですよね」

「俺鼻高々」

「ジジィ並みにウゼーのが玉に瑕だが」

「なにーっ蛇さんのどこがウザいだと!?」

「クリソツってやつだ」

 

 思わず納得したポルナレフがオーっそっくり!などと気の抜けた声を上げた。

 気がつけばズィー・ズィーは逃げる体力も尽きて岩場で行き倒れており、世は全てこともなし。

 計画通りというわけだ。

 

 運命に抗えクルセイダーズ。

 一巡に絶望した我が本体の願いを叶え、加速した時を止めるがいい。

 その時にこそ我が怨念は昇華され、ようやく無なる安寧を手に入れるのだ。

 

 

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