一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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アラビア・ファッツ戦

 

 場所はジリジリと暑い砂漠の只中。

 ペルシャ湾を越え、やってきましたアラブ首長国連邦。

 砂漠横断は本来ならラクダを使う所だ。

 しかし、アヴドゥルの鶴の一声「海と同じようにアルカナテラーの背に乗っていけば敵に足を潰されることもありませんし、いいのでは?」が発動。

 俺の背に乗ることが決定した。

 

 今回は車の座席を俺の頭に括り付け、全員がそこに座る形だ。

 

 前と違って胴体に乗らないのは、花京院が頭の方が揺れないのでは、と提案したためだ。

 屋根付きのそれは意外と快適らしく、ちょいと俺が頭を上げれば見晴らしも良いため高評価。

 

「意外と優雅でいいじゃねーか。ラクダと違って手綱をとる必要もねぇんだしよ!」

「私もこんなふうに砂漠を渡るのは初めてだ。こんな高さから見る砂漠も荘厳で過酷な絶景だよ」

「それよりワシはラクダも風情があって良いんじゃないかと思うんじゃがァ〜」

「乗れてなかったじゃねーか。ジジイ」

「アレは何かの間違いだと言っとるじゃろうが!ワシは若い頃砂漠横断の経験もある!」

「あっ、承太郎!サボテンだ。漫画に出てきそうな風景を実際に見られるとはね」

「花京院、乗り出しすぎて落ちんなよ」

「失礼な。ちゃんとハイエロファントの触手をシートベルト代わりに括り付けているさ」

 

 ちゃっかり光る緑色の触手を腰の辺りに巻き付け、花京院は遠慮なく身を乗り出している。

 スタンドの使い方はこれで良いのだろうか。

 超能力バトル漫画として若干の心配が残る絵面だが、まあ平和なことは良きことなり。

 さりげなくジョセフさんが花京院を見習って自分の体にハーミットパープルを巻き付けている。

 

 なお、花京院の触手は俺の後方にも伸びており、そこにはアラビア・ファッツがぐるぐる巻きで市中引き摺り回しの刑にあっている。

 

「ガボガボガボガボ、ひっ、やめてくれぇえええ!!!」

「どうしますコレ。やっぱうるさいので捨てていきません?」

「いやぁ、砂漠に捨ててったら流石に死ぬだろ。雑魚だったし、死なれたら後味悪いぜ」

「君はどう思う、承太郎」

「どっちでもいい」

「ならひとまず砂漠を越えるまでは連れていき、後は放置とするかのォ」

 

 日中に襲ってきたアラビア・ファッツは承太郎が未来視で片付けた。

 

 奴の戦法はシンプルで、大型の四駆に乗って逃げながら大気の温度を70度にまで上げての熱線攻撃だった。

 ちょこまかと走る車に、蛇乗りというスピードの出ない移動手段だった俺たちは苦戦させられた。

 が、そこは承太郎。

 

 パキスタンでSPW財団に取り寄せてもらったライフル弾をスタープラチナの指で弾くと言う新技を見せてくれたのだ。

 他にも九ミリ弾なんかも小ぶりの箱に詰め込まれていて、横で見ていたポルナレフがオーッと声を上げた。

 ただし本人いわく「岩の方が威力が出る」とのこと。

 せやろな……。

 

 砂煙をもうもうと上げて走行する車のタイヤに的確にライフル弾を命中させれば、車はタイヤを取られて横転。

 中で怯えるアラビア・ファッツは無事御用となったのであった。

 

「狩り(ハンティング)完了ってな」とのことだが、それって4部じゃん?

 

 万が一を警戒してか、承太郎は俺の進行方向を指示してアラビア・ファッツの車が横転するよう未来視でルート調整もしていたようだ。

 ミリ単位の位置調整はスタープラチナと違って俺には不可能のため、「テメー不器用過ぎねーか」のお言葉をもらった。

 うるせースタープラチナと比べたら大半のスタンドは不器用だよ!

 

 と、そんな俺の言い訳を知ってか知らずか旅は続く。

 俺の尾によって熱線攻撃から守られ、ほぼ無傷な皆は優雅に砂漠横断を再開したのであった。

 

「その銃弾、一つ僕にもくれないか?」

 

 アラビア・ファッツを仕留めた弾丸の余りを手の中で弄んでいた承太郎に、花京院が声をかけた。

 

「オメーもスタンドで銃弾を飛ばすつもりか?」

「いや。僕のスタンドではパワーが足りないからそう威力も出ないだろう。そうではなく、エメラルドスプラッシュの参考にしようと思ってね」

「なるほどな」

 

 ほらよ、とライフル弾を投げ渡す承太郎の瞳は宇宙色に輝いている。

 花京院がぱちくりと不思議そうに瞬く。

 俺は承太郎をピシャリと叱りつけた。

 

「こら。驚きがなくなるから結果の先取りはやめーや」

「おや……承太郎。僕がこれからどうエメラルドスプラッシュを改良するのか見たのかい?」

「確かに不躾だったな。悪かった」

「いいさ。僕の努力が実らず君をがっかりさせるような姿を見せていなければ良いんだが」

 

 そこまで言った瞬間、不意に視界がザザザ、と砂嵐に包まれたように乱れた。

 DIOの時止めだ。

 それはコンマ数秒で収まり、更新された未来が正常な視界へと映される。

 どうやらDIOの方もスタンドの練習に余念がないらしい。

 

 俺は承太郎をチラリと見てから、注意がてら声をかけた。

 

「承太郎、さっきいた位置から8ミリほど肩の場所がズレてるぜ」 

「しくじった。今度はもっと上手くやらねーとな」

「……どういうことだい?」

 

 止まった時間を俺は感知できない。

 承太郎が望めば、もしかすると俺も止まった時の中に入門することができるのかもしれないが。

 少なくとも今は、こうして止まった時の痕跡を指摘するに留まる。

 

 人外の成長性は承太郎の十八番だな。

 僅かとはいえもう入門するとは。

 

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