一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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イギー先輩

 

「ってわけでの、随分苦戦したんじゃよ」

「よく勝てましたねそれ」

「じゃろ?そう思うじゃろ?」

 

 一人でイエローテンパランス戦を終えていたらしいジョセフさんがあちこちに包帯を巻いた病院帰りでくだをまく。

 

 ついに場所はカイロ、朝一で到着したそこでペット可のホテルを取り、今は一晩明けてゆっくりと遅い朝食を楽しんでいる所だ。

 

「油断した奴の背後から近隣民家の石壁を引き倒したんじゃ!奴はあらゆるエネルギーを吸収するが、継続的にかかる力を吸収するには限界があった!」

「重力という永遠にかかり続ける力を吸収することはできず、重量に負けて潰れたということですか」

「そうじゃ。まったくまいったわい。義手は喰われるし」

 

 どうやら随分トリッキーに戦った様子。

 ハーミットパープルでイエローテンパランスを下そうと思うと相当な苦戦が予想されるのだが、よくぞまぁ勝てた物だ。

 ……なんて、承太郎ともどもジョセフの激闘は全部【目】で見えていたので、負ける想像はしていなかったのだが。

 

 はあ、と机に突っ伏すジョセフさんを確認してから、承太郎は今回の話題を切り出した。

 改まった様子に何事かと視線が集まる。

 

「今後の戦いのことで話がある」

「どうしたんだい、いつも直前になってからでないと話さないのに」

「今まではそれで十分だったから話さなかっただけだ。次からはそれじゃちと遅いんでね」

 

 イギーは我関せずでガムを噛んでいるが、俺の姿に気がついてペットトイレまでの道を開けてくれた。

 親分優しい……でもごめんけど俺はスタンドだからトイレしないんだわ……。

 

「特に警戒すべきは亜空間作成の能力を持つスタンド、クリーム……持ち主の名をヴァニラ・アイスという」

「バニラアイスだあ?ふざけた名前しやがって」

「ふざけた能力にはふざけた本体がお似合いって奴だぜ。なにせ奴のスタンドが通ったところは……」

 

 承太郎がこちらに視線だけよこした。説明しろという意味らしい。

 

「ガオン!と全ての物質が削り取られてしまうんだからな」

「……なんだいその妙な効果音」

「いや、空間が削り取られる時の効果音はこれって決まってるからな」

「なぜ」

 

 花京院が疑問符まみれになっている。

 なぜもなにも、そうと決めたのは唯一神たる荒木御大だからね。仕方ないね。

 「やれやれだぜ」と帽子を被り直した承太郎がこの妙な流れを無かったことにして、場を仕切り直した。

 

「奴はDIOの屋敷の中を守っている。物が多い分位置の把握もまだし易いのが幸運だな。これで荒野のような位置把握が困難な場所だったらと思うとゾッとするぜ」

「移動中も常に物質を削り取っていて、しかもその状態の敵スタンドは目視不可能ということかい?」

「そうだ。しかも本体がスタンド内に隠れるから攻撃もできない」

「そりゃ……一体どうやって倒すんだよ!」

「隠れている間は外が見えてねーようだから、位置確認のため顔を出した瞬間を狙うしかねぇ」

「オーマイゴッド…、途轍もない難敵じゃわい」

 

 その通り。原作でも二人は討ち取られ……どころか今現在でも敗北の可能性がある強敵である。

 【目】でクリームの位置がわかる承太郎はいい。

 防御できない以上、仲間を不意を打たれてしまえば護るのは至難の業だ。

 

「アルカナテラーの鱗で防げないのかい?」

「無理無理。全盛期の俺でも胴で受けようとは思わねーよ。削り取るってのは攻撃力の話じゃなくて、「ルール」の話だからな」

「イギーの砂で見えなくなった敵を炙り出すというのはどうじゃ?」

「その犬っころが協力的ならそれもありだろうな」

 

 全員にじろっと見られたイギーはフンと息をついた後オナラをした。

 ダメらしいな。

 俺は姿勢を低くしてイギーと同じサイズまで体を縮め、ペコペコする後輩ヤンキーみたいな態度でイギーへと近づいた。

 

「イギー先輩、ここはどうか一つ…」

「アギっ」

「そうっす。ふてぇ野郎ですよ。先輩も見ればわかるっす」

「アギギ…バウ」

「!マジっすか先輩!!はい、俺も約束のモン十箱は用意するっす!直近で明日にでも三箱は持ってくるので!」

「アウゥ……フン」

「アザーーッス!流石先輩!俺、尊敬するっす!」

 

 俺はイギーと話をつけ、承太郎のもとに戻った。

 承太郎は無言だった。

 

「イギー先輩、一応協力してくれるってよ」

「……」

「ギャハハハハハなんだそりゃ犬の舎弟かよお前!」

「それでいいのかい君……」

「イギー先輩意外と優しいぜ?要らないドッグフード押し付けてくるけど」

「意外な力関係を見た…」

「それよりコーヒーガム三箱すぐに用意してくれ。先輩に献上しなきゃならんからな」

「それは私が買ってこよう。ジョースターさんも買い出しがてら行きましょうか」

「そうじゃな。イギーが協力してくれるとなればありがたいことこの上ないしの」

 

 ガヤガヤ騒ぎ立てる外野に鬱陶しそうな顔をしたイギー先輩だったが、一応協力姿勢を覆すことはなかった。

 ほんと後輩に優しいな、イギー先輩。

 




イギー先輩「大丈夫かよこいつ、体デケェくせにトロトロしやがって。それじゃ人間共に舐められるだろうが」
アルカナテラー「うす!先輩!」
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