一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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ヌケサク「お前は邪魔だから消えろって言われた…」


DIO戦①

 

 初手でまず動いたのは遠隔攻撃能力のあるアヴドゥルと花京院だった。

 

「エメラルドスプラッシュ!」

「クロスファイヤーハリケーンスペシャル!」

 

 真っ直ぐに放たれた破壊の結晶の群れと、それを邪魔しないよう弧を描いて迫る紅蓮の炎。

 どちらもが常であれば必勝の威力を持つ。

 しかしそれでもDIOの余裕は崩れない。

 

 両腕をゆったりと開き、己の力を誇示するように立ったままだ。

 

 それを、承太郎はただ異様な圧を放つ極彩色の瞳で静かに見ている。

 DIOは舌打ちして己の能力を発動させた。

 と、同時に発動される承太郎のスタンド。

 

「スタープラチナ・ザ・ワールド!」

「ザ・ワールド!…ッ!?」

 

 時が止まる。

 

 瞬間。

 5メートルはあったはずの距離を一瞬でゼロにし、承太郎がDIOに肉薄していた。

 あり得ざる速度で一気に距離を詰めたのか、はたまた瞬間移動でもしたのか。

 DIOは動揺のままにラッシュの速さ比べへと移行する。

 

「オラオラオラオラッ!」

「無駄無駄無駄無駄無駄ッ…!」

 

 ジュッ、と攻撃のあまりの速度に燃えたような音とともに承太郎が血を流す。

 表面を僅かに抉る程度ではあるが、出血がモルタルの床を濡らす。

 

 パワー・スピード共にDIOのザ・ワールドに軍配が上がった。

 血を流す承太郎に、DIOはニヤリと邪悪かつ残酷な笑みを浮かべてせせら笑った。

 

「先ほどの不可解なスピードは不愉快だが、それだけだ。そらそら、大事なお仲間がガラ空きだぞ!」

 

 懐から取り出したナイフ15本を手がブレるような速度で投げ放つ。

 それらは停止した時の中を進み、無防備なアヴドゥルに突き刺さろうとする。

 

「させるかよ!」

 

 間に割って入ったのは蛇だ。

 長大な胴体を盾として使い、鋭いナイフの間へと身を滑り込ませる。

 

 それを読んでいたかのように、DIOは目から吸血鬼のエキスを別角度にて勢い良く発射。

 慌てた蛇の動きによりギリギリで鱗に弾かれたが、反動で部屋の入り口にあった人骨へと命中する。

 

「分かっているぞ、アルカナテラー!貴様の瞳は停止した時間の中では用を為さないということを!」

「ッ承太郎!」

「焦るんじゃねー、蛇」

 

 5秒経過。

 

 DIOの止められる時間を超過し、DIOの体は停止した時間への適性を失い凍りつくように動かなくなる。

 DIOは顔を歪めて舌打ちした。

 

 その間に、承太郎は素早く吸血鬼のエキスを浴びた人骨を粉砕する。

 アヴドゥルのちょうど背後にあるこれが屍生人と化してしまえば、最悪アヴドゥルが奇襲されかねない。

 砕かれた人骨に一瞬痛ましい顔をしたアルカナテラーをちらりと見て、承太郎は視線を落とした。

 

「このDIOのザ・ワールドが能力で奴のスタンドに負けるだと…!」

「テメーが5秒までしか止められねーのは知ってるぜ。残念だったな」

「貴様……!」

 

 6秒経過。

 

「なんだ!?」

「アルカナテラーッ!?いつのまに…!?」

 

突然目の前に現れたアルカナテラーに驚いてアヴドゥルと花京院は無理やり攻撃を中止する。

多少の炎と結晶は止めきれずアルカナテラーの鱗を掠ったが、それらは蛇に傷一つつけることはなかった。

 

「今、移動の瞬間が見えなかったぞ!」

「承太郎もDIOも一瞬で位置が変わっている!まるで時が飛んだように…!」

「いったいどういうことなんだよ!おい承太郎、お前一体何を……」

 

 極彩色の瞳で承太郎が振り返る。

 その瞳の圧にポルナレフが思わず押し黙った。

 代わりに蛇が彼らの疑問に応える。

 

「奴の能力は時間の停止。一定のクールタイムを挟んで時を止めることが可能なスタンド。それが奴のザ・ワールドだ」

「饒舌だな蛇。そんなに私の能力を暴けて嬉しいのかな?」

「そういうお前は不機嫌極まりないな。対抗馬──承太郎の出現ぐらい予測しておけ、悪のエリートさんよ」

「……このDIOに向かって口の利き方がなっていないな。躾が必要か?」

「やってみな」

 

 DIOはアルカナテラーの煽りに無言でパチンと指を鳴らした。

 

 次の瞬間、これまで廊下に転がっていた死体たちが雪崩をうって部屋へ押し入ってくる。

 全て屍生人だ。

 

「オアァァアア…」

「ギッヒッヒヒヒ」

「ぐげげ」

「どういうことじゃ、先ほどの波紋に反応は………いや、そうか、つい先ほど、ワシらが突入してからエキスを与えたのか!時間差で奇襲するために!」

 

 ジョセフは屍生人を見て顔色を変え、息を大きく吸った。

 

「コォォオオオオオオオッ、ハーミットパープル!」

 

 鞭打つような動きで紫の蔦が駆け巡り、そこに流された高濃度の波紋によって屍生人達を灰へと還してゆく。

 あぶれた屍生人達は純粋な火力、すなわちマジシャンズレッドによる炎で塵に還った。

 

 が、それを黙して見送らないのもDIOである。

 

「承太郎、貴様の先ほどの速度……あれは時止めのなり損ないだな?時の速度を落として自らが早く動く……小手先ばかりの人間の考えそうなことだ」

「だが、どうやらテメーに同じことは出来ねぇようだな」

「ふん、我がザ・ワールドにそのような小細工は不要!」

 

 するりと。

 ナイフで承太郎を牽制すると同時に射程10メートルという距離を活かし、ザ・ワールドだけを肉薄させる。

 

「無防備に近づいてくるだと!?舐めやがって!シルバーチャリオッツ!」

 

 DIOはポルナレフのシルバーチャリオッツで胸を抉られながらも、吸血鬼の不死性にてせせら笑いながらスタンドを発動する。

 

「ザ・ワールドッ!!!」

 

 再び発動する時止めに、為すすべなく停止するポルナレフ。

 様相はほとんど乱戦に近い。

 蛇が体を小さく縮めるもスピード不足ゆえに動きづらそうに体をくねらせた。

 

「死ね、ポルナレフよ!」

 

 アルカナテラーの速度では追いつけない程のスピードでもって、DIOが拳を振り下ろす。

 命が奪われる瞬間がスローに見える。

 

 

 その時。

 

 

 突如破壊された床の石片が、DIOの足へとめり込むように突き刺さって体勢を崩す。

 

「何!?」

「ようやく捉えたぜ、テメーの運命を」

「っ貴様、いつのまに後ろに──」

 

 体勢を崩したDIOの背後からの強襲に、なんとかDIOは対応した。

 二度目のラッシュ比べは足場の悪いDIOの分が悪く、わずかな打撲跡を残して距離をとる。

 

 4秒経過。

 

「……どういうことだ。何をした?」

「言うと思うか?」

「小賢しい小僧だ。だが………っ!?」

 

 次は手だった。

 偶然舞い上がったちぎれた絨毯の毛が、銃弾のようにDIOの手へと突き刺さっていた。

 

「馬鹿な、一体、何なんだこれはーッ!!!」

 

 

承太郎は相変わらず、極彩色の瞳でDIOを見ていた。

 




明日は投稿お休みになると思います。
DIO様にどう潔く散ってもらうか考えるため……。
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