一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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運命
・片桐安十郎は理由はどうあれスタンド使いになる
・音石明はいずれかの矢を奪う
・一定条件が満たされるまで、吉良吉影は何があろうと健在である。


第4部 ダイヤモンドは砕けない
※仗助はこの後めっちゃ徐倫と遊んだ


 

 時は1999年。

 ノストラダムスの大予言を終えてなお杜王町はいつも通りの静けさで、いつも通りの奇妙さを秘めている。

 

 そこを歩く承太郎の服は白い。

 あれから10年経ち、28歳になった承太郎はワイルドさの中に大人の落ち着きを身につけていた。

 一方隣を歩いている徐倫はもう6歳だ。

 承太郎と手を繋ぎ、アイスを食べながらいい子に歩いている。

 

 学校帰りの学生たちのまばらな列を見て、承太郎はお目当ての人物を見つけて声をかけた。

 

「久しぶりだな、仗助」

「……あ!承太郎さんじゃないっすか!来てたんなら言ってくださいよ!徐倫ちゃんも久しぶり」

「仗助!ジョリーンは6歳になったよ!」

「おっきくなったっすねぇー。よいよいっと」

 

 ぽんぽんと手をハイタッチし合う仗助と徐倫の姿に、承太郎はわずかに顔をほころばせた。

 ちょくちょく杜王町には顔を出していた関係で、徐倫と仗助は今では立派な仲良しだ。

 徐倫も仗助のことを兄のように慕っているし、仗助も歳の離れた妹を扱うように面倒見がいい。

 日本に仕事に来る時、幾度か徐倫を預けたこともあった。

 

 俺は実在するアナコンダぐらいのサイズに縮んで承太郎の腕と首に巻きついていたところを、顔を上げて仗助に挨拶した。

 

「よう仗助、コントローラー作りの調子はどうだ?」

「テラーさんもどうもっす。コントローラーはもちろんバッチリですよ。テラーさん用に配置し「治した」NEWコントローラーを作成済みですから」

 

 コントローラーというのは勿論任◯堂64とPlayStati◯nのコントローラーのことだ。

 仗助の治す力の訓練も兼ねて、中の配線をそのままに外側の形だけ微調整してもらっていたのだ。

 蛇の体でもプレイしやすいように、という仗助の心配りだ。

 ありがたすぎて涙が出るぜ。

 

「やったぜ!じゃあ仗助んちでスマブラといこうぜ!」

「おっしゃ!負けませんよテラーさん!俺のカービィは強いっすからね!」

「やれやれだ。付き合いきれんから今日一晩蛇は仗助に【貸し出す】か?」

「いや、さすがにそれは徐倫ちゃんに悪いっすよ。それにアレ意外にしんどいですし」

 

 仗助は承太郎の発案をやや引き気味で辞退した。

 【貸し出す】というのは、俺、アルカナテラーのスタンド像を貸し出し相手に憑けることを指す。

 ただスタンド像を憑けるだけだから負担の大半は承太郎のままだし、【目】も使えない。

 喋って硬い蛇がそばにいるというだけの契約である。

 

 それでも大型スタンドたる俺を憑ける負担は相当であり、仗助ほどのスタンドパワーの持ち主でも三日もつければヘロヘロになってしまう。

 

「徐倫は1週間蛇をつけっぱなしにしたこともあるが?」

「いやいやいや、徐倫ちゃん体力ありすぎっしょ……慣れ?慣れの問題なのか?」

「必要なのは体力ではなく精神力だがな。それにだ」

 

 全てを支え切れるなら【目】も使えるかもしれないぞ?と承太郎はちゃめっ気たっぷりに言い放った。

 仗助は一瞬心惹かれるような顔をしたが、ぶんぶん首を振って煩悩を振り払ったようだ。

 【目】が使えれば賭け事で不正し放題、金儲け放題だからね……承太郎はあんまやらないけど。

 

「冗談きちィっすよ。そんなんやって俺が爆発四散したら承太郎さんのせいですからね」

「本人に無許可で売り買いしようとすんじゃねーよ。蛇さんそんな軽い蛇じゃないですことよ!」

「あ、そういえばなんすけど、テラーさんってメスなんですか、オスなんですか?」

「分からない。考えたこともなかった。オスじゃないか?」

「正解は雌でも雄でもない、です!つかスタンドに正確な性別とかねーから」

「それもそっか」

 

 実にどうでもいい日常会話をしながら、承太郎は徐倫の背を押して言う。

 徐倫は不思議そうな様子だ。

 

「──俺は少し仕事があってな。娘を頼みたい。お前なら万に一つも娘を危険にさらすことはないと思うが……」

 

 うげぇ、という顔をした仗助にすかさず俺はフォローに回った。

 

「SPW関係の仕事で俺のいない間娘を守ってほしい。お前の実力を信頼してるが、万が一があっても責める気はないって意味だ」

「同じじゃねぇっすか!どっちにしろプレッシャーだぜ」

「それはそう。つかプレッシャーかけてるまである。俺の娘に傷一つ負わせたならどうなるかわかってんだろうな的な意味で」

「徐倫は俺の娘だ。蛇、テメェのせいで一時期俺は徐倫にたまに来る変なおじさん扱いされた」

「実質俺が徐倫の父ですから。変なおじさんはすっこんでな」

「いい度胸だ。やるか?」

「なんで自分のスタンドと喧嘩してるんすか!?どう考えてもおかしいでしょ!?」

「冗談だ」

 

 承太郎がぱっと戦闘態勢を解くものだから、仗助はずっこけた。

 「変な冗談はやめてくださいよ!!!」と怒っている。イッツ蛇さんジョーク!

 

 と、そんなふざけ合いをしていたのが悪かったのか、徐倫がふと顔を上げた。

 羽ばたく蝶々を目で追い、ダッと走り出したのだ。

 

「あっ、ちょうちょさん!」

「っ!こら徐倫、走るな!車道に出るとあぶねーってば!」

 

 幸い車道の方に向かうことはなかったが、歩道をまっすぐに爆走したあげく、どん、と通行人とぶつかってしまう。

 やや低い背に優しそうな顔立ち。高校生の制服。

 それすなわち、第4部始まりの人にして黄金の精神の持ち主。成長の証。──広瀬康一君だった。

 

 康一君は転びそうになった徐倫を優しく抱き留め、穏やかにほほ笑んで言った。

 

「この先は車道があるから、走って行ったら危ないよ。気を付けてね」

「うん、お兄さん、ありがと!」

 

 その未来を、黄金の精神性をこの【目】で見て、俺は承太郎と一緒に思わず息を吞んだ。

 恐ろしい曼荼羅模様に浮かぶ一筋の芸術性。そういったものを見た気がしたからだ。

 仗助もそうだが、こういう人を町並みでふいに見つけると感動するものがあるな。

 

 仗助自身は眼を見開く俺たちを不思議そうに交互に見ている。

 

「あいつがなんかあったんすか、二人して【目】見開いてますけど」

「あったというかなんというか、野生の勇者に遭遇した気分っつったらわかる?」

「全然わかんないっすね!」

「正直だな仗助は。俺の蛇さんデンプシーロールをくれてやろう」

「うわ、ちょ、ま、痛たたたた」

 

 正直な仗助に鼻先での連続小突きをくらわせてやれば、擽ったそうな顔をして仗助は逃げ出した。

 俺らのじゃれ合いの間にも承太郎は康一君へと近づいて、すっと腰をかがめて視線を合わせた。

 

「うわっ、保護者の人ですか?」

「そうだ。空条承太郎という。さっきは済まなかったな。徐倫が迷惑をかけた」

「あ、その、広瀬康一です。いえいえそんな、当然のことをしたまでですよ」

「何か困ったことがあればここに電話してくれ。ともあれ君には助けられた」

 

 無理やり名刺交換の流れに持って行きおったぞこいつ。

 彼がこの先スタンド使いにならなくとも、その黄金の精神性に助けられる時が来るかもしれない。

 そう思えば承太郎の判断は正しい。

 

 そんなこんなで一時の邂逅は終わり。

 自宅へと帰る康一君を見送りながら、仗助は何気なしに聞いてきた。

 

「承太郎さん、この後コンビニによるつもりなんすけど、承太郎さんも来ます?」

「……いや、仗助はこのまままっすぐ帰れ」

「え、でも買いたいものが」

「人命がかかわる。家族は大切にしろ」

「……うっす。よくわかんないすけど、その【目】で見たっつーんなら間違いねぇ。俺は帰りますよ」

「それがいい」

 

 少しの冷や汗を流しながら、仗助はさっと身をひるがえした。

 仗助はもう幾度も【目】の能力を見ている。その正しさもだ。

 承太郎の言葉に一片の冗談や欺瞞が含まれていないことを理解した仗助は、その時点であらゆる予定を後回しにして予言に従うことに決めたらしい。

 

「ああ、それと」

 

 続く言葉にびくっと背を震わせる仗助。

 

「今日はいつものルートを通らず公園を左回りに遠回りして家に帰れ。ささやかだが良いことがあるだろう」

 

 緊張するだけさせておいて、承太郎はふっと笑ってアドバイスをした。

 「……グレート……さすが承太郎さん」と褒めてるんだか非難してるんだかわからないセリフを残し、仗助は学校かばんを小脇に抱えて駆けていった。

 

「ほら、いこう徐倫ちゃん」

「はーい、仗助!ダディは後でね!」

「ああ」

 

 右手を徐倫ちゃんとつなぎ、仲良くわいわい話しながら。

 きっと承太郎の言葉通り公園を左回りに遠回りして家へと帰ることだろう。

 

 俺は承太郎の首元でしゅーしゅーと鳴いた。

 

「で、どうするよ承太郎」

「決まっている。片桐安十郎はここで仕留める。」

「了解。俺が後ろから食うか?」

「お前に食わせると後が面倒だからな。俺がスタープラチナでやる」

「気取られる可能性が高いぜ?」

「勘づかれるほどスローな動きをするつもりはねぇさ。時を停滞させておくからな」

 

 背後にわずかにスタープラチナを顕現させ、承太郎は笑った。

 その美術的ですらある雄々しさ、優美さを誇るようにスタンドの腕を広げ、視線を彼方へと移す。

 

「かー、豪勢な死にざまだな片桐安十郎!最強のスタンド使いの一撃を拝めるなんてよ」

「その肩書の一角を担うのがお前だろう、アルカナテラー。最強の矛がスタープラチナだとするなら、最強の盾だと謳われる俺のスタンドよ」

「褒めても何も出ないぜ?」

「お前の教えに従って日頃の感謝を伝えただけだ」

「……ほんとさぁ、なんで俺とはそうやって喋れるくせに家族にはああなの?なんか機能制限でもかかってたりするの?無料版?プレミアム会員登録しないと無理?」

「俺は不足無く必要な情報は伝えたつもりだったが」

「なんで業務連絡にしようとすんだよ!?今回もさ、マジで仗助の家に着いたら絶対嫁さんに電話かけろよ。絶対だからな」

「…やれやれだぜ」

 

 やれやれはこっちのセリフなんじゃが。

 そろそろ蛇さん禿げそう。鱗が抜けて10円禿ができたら承太郎には責任もって治療費を出してもらおう、と心に決める。

 

 俺たちはコンビニへと歩を進めながらそんなこんなを語り合っていた。

 




実は二話の時点から書き溜め一個もないので毎日毎日が速度との勝負。
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