一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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ジョセフ・ジョースター来日

 

 杜王町の港にて、くぅくぅと鳴く海鳥の声を背景に二人の男が海を眺めている。

 一人は空条承太郎。もう一人は東方仗助だ。

 

 仗助は疲れたのかヤンキー座りで一息つき、そろりと承太郎を見上げている。

 

「オレの親父、また来るんすか?」

 

 嬉しさともうっとおしさともつかない奇妙な感情の乗った声だ。

 小さいころこそ三日に一回ぐらいの驚異的な頻度で来ていたジョセフも、今は月に数回程度に落ち着きを取り戻していた。

 それでもアメリカから来るにしては頻度高すぎだろ、と仗助は思っている。

 多忙な不動産王がどうやってそんな時間を捻出しているのかは知る由もないが、少なくとも波紋にもスタンドにも分身する能力はない。

 

 ぼーーっと遠くから聞こえる汽笛の音に耳を傾けながら、仗助は思いにふけった。

 

 ちなみに今日一緒に来る予定だった広瀬康一は大事をとってSPW財団の息がかかった病院で検査入院中である。

 康一から「初めからそうならそうと言ってください!!凄いびっくりしたんですからね!?」と怒られ、承太郎は無表情ながら心なしかしゅんとして見えた。

 

 この人もたいがい欠点のわかりやすい人である。

 

「ああ、この街の対応に必要だと俺が判断した。探索特化のスタンド使い、というだけで街の抑止力にもなるからな」

「たしかに俺もよくガキの頃無くした文房具とか親父に見つけてもらったっすけど」

 

 ハーミットパープルは念写のスタンドだが、その応用は幅広い。

 

 最近だと失せ物をTVに映して見つけては「占い師も才能ありかものう!」などとのたまっているのだが、それを仗助は知らない。

 困り顔のアヴドゥルが「そうですねぇ」と全然心のこもってない同意をするというまったり漫才が繰り広げられているのを知るのははたで突っ込みを入れる承太郎のみである。

 

「でも今、親父修行中じゃなかったっすか?」

 

 しばらく前から、ジョセフはエア・サプレーナ島で再修業へと放り込まれている。

 ヘルクライムピラーは老体にはきつすぎるという事である程度は手加減してくれているらしいのだが、まぁ手加減の基準は現役波紋使い達のもの。

 当たり前のように石抱きのまま水上歩行させられ、ジョセフは泡を吹く一歩手前といった様相だったらしい。

 

 承太郎は一つ頷き、仗助の疑問に答えた。

 

「連絡は来ていて、一応しごきは終わったらしい」

「波紋かぁ……承太郎さんも多少はできるって聞きましたけど実際のところどうなんです?」

「──できるはできるけどな、承太郎はこんなナリで才能ナシだぜ?」

 

 もこっと服の袖から顔を出した蛇が仗助の方を向いてにやりと笑った。

 するすると腕を伝っていつもの定位置へと移動し、伸びをする。

 寒い日はいつもこうだ。承太郎の服の袖の中に潜み、暖を取っている。

 承太郎が蛇の後を補足するように言葉をつづけた。

 

「俺は才能がなかったからな。ピリリと来る程度の威力しか扱えない。その点、仗助は才能がありそうだ」

「一応内部ではきちんと波紋が練れているから、体外へ放出するのがド下手なだけみたいだけどな。仗助も一回やってみるといいぜ」

「あー、そういうパターンもあるんすね」

 

 自分で言っておいて、仗助は修行する自分を想像してはぁとため息をついた。

 ちょっとだけジョセフの修行風景を見たのだが、なにぶん見るからに修行がキツそうだ。

 

「健康でいられるのはいいんすけどねー……修行がキツすぎて俺にはとても無理…」

「そう言うな。自分を治せないお前が自身を治す手段を手に入れられるんだ。俺としてはありがたいことこの上ない」

「うーん。そこまで言うなら俺もチコっとやってみましょうかね」

 

 付き合い上での前向きなお返事、とやらをしていたところ、ちょうど船の走る低いモーター音が聞こえてきた。

 本船の方から降りた小型ボートが来たのだ。

 

「おーい仗助ぇ!!お父さんじゃぞぉおおおお!」

 

 そして遠くからでも聞こえる溌溂とした声。

 全力で手を振る屈強な体つきの白髪の男性が、満面の笑みを浮かべてボートの後ろに立ち、仗助たちに手を振っている。

 

 ボートはほどなくして港へと到着し、そこからジャンプで飛び降りた男性──ジョセフが大声で「仗助!久しぶりじゃな!!!」と思いっきり抱擁を仕掛けてきた。

 絵面の圧がすごい。

 

「お、親父……もうちょっと声抑えて」

「なんじゃ冷たい!エアサプレーナ島で鍛え直した新生!おじいちゃん!…違った、お父さんの登場じゃぞ!?」

「そこまでにしとけよジジイ」

 

 仗助を哀れに思ったのか、無表情で承太郎が止めに入る。

 それに合わせてしゅしゅ、と鳴いた蛇も半笑いでジョセフへと声をかけた。

 

「息子にドン引かれてるぜ、パワフルおじいちゃん。それやって若き承太郎にも引かれてただろうが」

「えっ、承太郎さんが子供の時からこのテンションなんすか!?」

「そうだ。まったく歳をとって落ち着くかと思ったら…やれやれだぜ」

 

 本気で沈鬱な様子の承太郎に戦慄の走る仗助である。一体いつから元気なんだこの爺さん。

 仗助はぶるぶると首を振ってから、気を取り直してジョセフを家路へと案内する。

 こうして家まで案内するのも慣れたものだ。

 本人も仗助の家などとっくに覚えているだろうに、息子とのじゃれあいがうれしいのかこうして大人しく誘導されている。

 

「じゃあ、今のうちにウチにいきましょうか。じいちゃん今日は遅くなるって言うし」

「うっ……すまんのぉ仗助」

「朋子さんに挨拶し終わったらジジイはこっちで引き取る。ホテルをとってあるんでな」

「完全に悪い男に引っかかった娘を扱う感じだもんな、良平さん。実際悪い男……悪いお爺さんなんだけどさ」

 

 蛇の言葉になにおう、とジョセフがいきり立った。事実なので仕方がない。

 養育費含めた諸々は支払われているものの、だから無実というものではないからな。

 一応ジョセフの引っかかるところは「お爺さん」の部分だったらしく、ぷりぷり怒りながらそちらを否定している。

 

「当時はワシもイケイケじゃったわい!」

「【目】で見たことあるが……実際、波紋の呼吸でかなり若作りだったな」

「へぇー、そんな目に見えるほど効果があるんすね、波紋って。やっぱ俺も一回練習したほうがいいかなぁ」

「おお!仗助も興味あるか!ならワシが教えてやるぞ!」

 

 ほれほれ、と持っていた水筒の水を自在に動かしてみせる。

 ジョセフの十八番だ。

 承太郎がいやそうな顔でそれを否定した。

 

「ジジイは教え下手だ。教わるなら波紋の教練の専門家にしろ」

「腹に力を入れてコォォオオオ、で分かるやつはいねーんだよなぁ」

 

 生まれながらの波紋使いであるジョセフは教えるのに全然向かないのだ。

 感覚的な言葉ばかりで、本人としてもそれ以外の形容詞が浮かばないといった有様。

 それはジョセフも分かっていたらしく、「ふふふ、それはどうかなぁ?」とにやりと笑った。

 

「鍛え直しの時に改めておさらいしたから大丈夫じゃよ!この新生ジョセフ・ジョースターにドンと任せておけぃ!!」

「うーーーん、そこまで言うなら、俺もちょっと興味あるし」

「おお!仗助!我が愛しの息子よ!!!」

「なんだかんだ仗助ってジョセフさんに甘いよな。ほっとくとジョセフさんが無限に調子に乗り出すけど」

「やれやれだぜ」

そんなこんなで夕方の杜王町。

平和なジョースター家のじゃれあいが微笑ましいとある日である。

 




二週間後の訓練成果

・仗助
 小さな擦り傷を治すことに成功
・承太郎
 拳が激しく光るようになった(光るだけ)

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