一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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筆が乗ったので投稿。
明日の投稿は夕方になる予定。


ハーヴェストと宝くじ

 

 本日は月曜日。

 元気よくランドセルを背負って走る小学生たちの群れの中、学生服姿の男が二人。

 にまにました仗助と億泰が気もそぞろに学校へ向かっている。

 明らかに様子がおかしいが……未来視にて理由を知る俺はやれやれと半笑いで息をついた。

 当選宝くじを拾っちまった件、という奴だ。

 

 仗助、と承太郎が声をかければ一瞬ビクゥッと肩を揺らした後、カタカタと振り返った。

 

「あっ、じょ、承太郎さん。おはようございます。どっか行くんすか?」

「少しお前を探していてな。ちょうどよかった」

「俺?」

 

 目を瞬かせる仗助だが、まさに宝くじの件で俺たちは声をかけたんだよなぁ。

 仗助が冷や汗を垂らしているというのに手心の一つも加えず、承太郎は一刀両断した。

 

「他人の宝くじを拾った場合だが、それを警察に届けず換金すれば遺失物等横領罪に問われる危険性がある。お前まで前科一犯はジジイが喚くからやめておけ」

「げぇっ!?……み、【見】てたんすか!?って、お前まで?」

 

 ブッと吹き出す億泰。潰れたカエルみたいな声を出す仗助。

 現場は大惨事だ。

 というか、ジョセフさんに「息子から日頃の感謝を込めて肩叩きのプレゼント♡」とかやれば500万ぐらいはすぐに手に入るだろうに。

 ジジ活とか言ってはいけない。

 

 素早く精神を立て直した仗助が「お前まで」というツッコミポイントに気がついたらしく承太郎のほうへ向き直った。

 素晴らしい着眼点だ。

 俺はうんうん頷いて尖ってた頃の承太郎の黒歴史を赤裸々に晒した。

 

「承太郎も若いころは色々やってたってことだ。校区では有名だったぜ、承太郎の名を出せばチンピラ程度蜘蛛の子を散らすように逃げてくって」

「昔の話だ」

「昔で済ませていい武勇伝じゃねぇっすよね……なにしたんすか本当に」

「少なくとも食い逃げ、っつーか踏み倒しは俺が止めた。食堂のおばちゃん泣いてたろうがよ。ミシュランの味を一般定食屋さんに求めるんじゃねーよ金持ちめ」

 

 わかる人が見ればわかる苦い顔で──余人にはただの無表情にしか見えない──承太郎が言葉を濁す。

 

「余計なことを仗助に言うんじゃねーぜ」

「承太郎さん……」

 

 非常に反応に困った様子の仗助が所在なさげに視線を左右に向けた。

 かっこいい大人の知られざるやばい過去とか聞かされても困るよな。すまんかった。

 仗助の後ろで様子を窺っていた億泰君も「飯屋なら金は払わねーとなぁ」と真っ当な感想を呟いている。それはそう。

 

 ごほん、と承太郎が一つ咳払いした。

 

「そうだ、億泰。虹村形兆から伝言を預かっている」

「え、兄貴から!?」

「今日はビーフシチューにするからニンジンを買ってこい、だそうだ」

「オッケーだぜぇ。兄貴の作るビーフシチューうめぇんだよなぁ。親父も今日久しぶりに帰ってくるってんで豪華にしたのかもしれねーな」

 

 彼らの父、虹村万作は現在もSPW財団の監視がついている。

 監視とは言っても社会復帰を目指した福祉支援やらも含めてのものだから、意外と待遇は手厚いのだけれど。

 そのため月に一回程度しか本部から帰れない虹村万作が帰宅する日は、彼らにとっても特別な日だ。

 

 ほんのりと寂寞を感じる億泰の口ぶりに、承太郎がやや目を伏せてから言葉を紡ぐ。

 

「財団も元DIOの信奉者をそう野放しにはしておけない。お前たち兄弟には苦労を掛ける」

「別に俺も兄貴も気にしちゃいねーよ。親父も自分のしたことの責任は自分で取らなきゃならねーだろうしよぉ」

 

 あらゆる感情の入り混じった億泰の達観に、俺は重くなり過ぎた場を茶化すように明るくフォローする。

 

「と、この言葉が落とし物泥棒仗助に深く突き刺さるんだよなぁ」

「ちょっまっ、今それ蒸し返すのは卑怯っすよテラーさん!それに億泰も同罪ですし!」

 

 承太郎も俺の意を素早く汲み取り、するりと話題を変えた。

 

「ところでハーヴェストは強力だったか?」

「重ちーのスタンドの?」

 

 不思議そうな仗助の様子から、まだハーヴェストと敵対したことがないことを知った。

 

「ああ、まだ汎用性という面においてハーヴェストがいかに強力か体感する時が無かったのか。体感しないに越したことはないけどさ」

「兄貴と一緒の群体型ってやつだろぉ?でも兄貴のと違って攻撃力もそうなかったしよぉ」

「まあそうだな。射程的に正面切って戦うというより暗殺の方が得意だからな」

 

 承太郎も俺の意見にゆっくりと頷いて思考を巡らせた。

 

「アレがあの旅で俺らの敵だったとしたら、先手を取ってハーヴェストを展開される前に潰すだろうな」

「いや、未来視で対処するならスタンドなんて全部そうだろ?」

「なら……毒を盛られるのを防ぐため、一か所に集まって互いが互いを確認できるようにするしかねーな。その間にジジイのハーミットパープルで本体の位置を念写する」

 

 承太郎が瞳を閉じて考えに耽る。承太郎にしては珍しい長考だ。

 

「近接戦ではアヴドゥルに細かいのを焼き払ってもらうのが最善だな。は、思考実験とはいえなかなか骨のある戦いになりそうだ」

 

 と、そこまで考えたところで承太郎が頭を上げると、高校生組がドン引きしていた。

 

「ひょええ……」

「物騒なことよく考えますよね、承太郎さんもテラーさんも」

「いやいや、スタンド使いは惹かれ合うんだ。様々なスタンドの傾向をもとに戦いのすべを心づもりしておくのは重要だぜ」

「それはそうっすけど…」

 

 と、そこで俺はハッと「子機」からの信号を受信してそちらへと頭を向けた。

 

「……!無事に吉良に付けた俺の端末が行動を開始できたようだ」

「排除される心配は?」

「大丈夫、目の中にいる子機を打倒するすべはキラークイーンには無かったようだぜ。このまま精神エネルギーを吸ってやることもできるが?」

「それはいい。今は奴の動向を探ることが先決だ。射程は?」

「日本国内から出ない限り問題ないね。多少射程外へ出たとしてもエネルギードレインで維持もできる」

「そうか。ならスタープラチナのレクイエム化と合わせて逃げに徹されても確実に仕留められるな。それで、「運命」を突破する条件の方はどうだ」

「運命突破の条件……「袖のボタン」は今バーガー屋のゴミ箱の空袋の中に入ってるぜ」

「至急SPW財団を通して回収させる」

 

 俺たちのただならぬ様子に仗助たちの顔つきまで険しくなるようだ。

 敵を見据える目つきで仗助が問いかけてきた。

 

「吉良、っつーのは誰っすか?」

「お前たちにも教えておいた方がいいだろう。この街にはスタンド使いの快楽殺人鬼がいてな。その確保のため色々と手を打っているところだ」

「スタンド使いの……さつ、じんきィィイイイ!?大変なことじゃないですか」

 

 そんなんが杜王町にいんのかよ!?と驚愕する億泰を横目に捉えながら、承太郎が手帳に挟んでいた杜王町の地図を開いて二人に差し出した。

 

「ここのコンビニのオーソン横の小道をまっすぐ行って、そこの家にいる杉本鈴美という女性を訪ねてみるといい」

「あと、小道を歩くときは絶対に振り返るなよ。振り返ったらマジで俺らにもどうしようもねーからな」

「なんすかその完璧ホラーみたいなルール…。絶対振り返ったらやばいこと起きますよね?」

 

 さすが仗助。鋭い。

 

「おうよ。具体的に言えば俺でも確定で死ぬっていえばわかるか?」

「ヤバすぎっしょどんなトコに俺らを送り込もうとしてるんすか!?!?ぜってー嫌ですよンなとこ行くのは!?」

「怖いのか?振り返らなければ済むことだ」

「承太郎さんは煽ってんのかマジに疑問なのかどっちなんすか……。これが怖くなかったら人類じゃねーっすよ」

「そうか?」

 

 この場合の承太郎の意見は「振り返らなければ済むという対策が明確な事象をわざわざ怖がる意味が分からない」という純粋な心からの発言である。

 スタンド基準で考えんなや。

 

「なんにせよ、そこが殺人鬼・吉良吉影につながるもう一つのキーポイントだ。行って損はない」

 

 ごくり、と生唾を飲む若人たちをまったく考慮せず、承太郎はそう言葉を締め括った。

 

 やっぱ承太郎の育て方間違えたか、と内心反省する蛇さんなのであった。

 

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