一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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閑話
悪霊的失恋、完!


 

 仗助は街角のよく通っている喫茶店に、承太郎と見知らぬ男性、青年がいるのに気が付いた。

 カウボーイハットをかぶった壮年の男性は承太郎と顔見知りらしく、なにやら話し込んでいる。

 無視するのも難であるし、仗助は通りがてら挨拶をした。

 

「どもっす、承太郎さんと……」

 

 じろり、とむけられる視線は鋭いものの敵意は無い。

 

「ああ、噂の坊ちゃんね。どうも、俺ぁホルホースってんだ。よろしくな」

「ぼ、ぼ、ボインゴ……」

 

 ボインゴ、と名乗ったほうの青年は内気らしくこちらにまるで視線を向けようとしない。

 おどおどと持っている本のページをめくり、その内容をちらちらと確認しているだけだ。

 

 仗助は思わず本の中身を覗いた。

 そこには特徴的な絵柄の漫画が描かれているようだった。

 今風ではないので大衆受けはしないだろうが、だとしても一度見たら忘れられない、「芸術」と呼ばれるものの片鱗を感じる絵に見えた。

 あの岸辺露伴ならば興味を持ちそうだ。

 

 肝心の描かれている内容だが、大きな竜がニタニタと笑ってこちらを見ている見開きの絵だった。

 ファンタジーが題材なのだろうか。

 仗助は顔を上げてホルホースと名乗った男を不審そうに見返した。

 

「見ねぇ顔っすけど」

「彼らはこの街にオウムを探しにきたんだ。ただ、すでに俺が先回りして捕まえた後でな」

 

 仗助の警戒を見越してか、承太郎が補足するように口を出した。

 はぁ、とホルホースがため息をつく。

 

「全ての未来を見渡せる旦那にとっちゃあペット探しなんざ片手間で済む話でしょうがね、こちとら結構な時間をかけて日本くんだりまできてるんですよ」

「済まなかった、ここのところ忙しくて財団への報告が遅れていてな、お前達には余計な手間をかけさせた」

「まあ、被害が出ないのが一番だからいいっちゃいいですけどね」

「すまないな、ホルホース」

 

 その会話はそこそこに交流があるように見えた。

 一応のところスタンド使いの可能性も視野に入れて警戒していたが、承太郎がこの様子であるのなら特段の心配もいらなかったのだろう。

 仗助は肩の力を抜いて気になっていることを聞いた。

 

「えーっと、つまりペット探しっすか?」

「ああ。DIOによってスタンド使いにさせられたオウムだ。特別な調教が施されているため、通常なら危険はない」

「す、スタンド使いのオウムぅ!?」

 

 仗助が驚愕の声を上げると同時に承太郎は床から鳥籠をがしゃんと机の上にあげる。

 

「こいつだ」

「ちょっ、出していいんですか?」

「逃げ出すことはない。それに、偶には外の空気も吸わせてやらないと不健康だからな」

「そいつは…そうかもしれませんが」

 

 それに承太郎ならば逃げ出そうとしたオウム程度時留めによって一瞬で捕まえられるのだろう。

 腕に乗せたオウムはくえ、と鳴いてもそもそとオウム用のフードを貪っている。

 承太郎がそんなオウムの顎を指の背で優しく撫ぜ、穏やかな声を出す。

 

「人と違って彼らの脳の領域は少ない。スタンド能力が脳の容量を圧迫し自我も失いかけている」

「……今後どうするんすか?」

「育て主に返す予定だ。この子を息子のように可愛がっていた人がいてな」

「おいおい、ペットサウンズの飼い主の方にも顔を出していたのかよ」

「いや。俺はエジプトには行っていない。だがお前たちに涙ながらの訴えをするさまは【見】ていたさ。殺すのは忍びない」

「…そうかい。つくづく恐ろしい人だぜ、旦那は」

 

 ちらっと見降ろしてみると、ボインゴの持つ本の開かれているページが変わっていた。

 少しばかり前、つまりは過去のページなのだろう。

 見覚えのあるような気がする小道の先で、巨大なドラゴンがサラリーマン姿の男を丸齧りしている絵が描かれている。

 隣には女の子と犬もおり、にこにこ満面の笑顔だ。

 どういう状況だこれ?

 

「この後はどうする予定だ?」

「ああ、財団からの任務で〈スパゲッティマン〉とかいう間の抜けた名前の怪異を探しにいく予定ですぜ、旦那」

「……なるほど。なら、捜索の前に岸辺露伴のところへ寄っていくといい。決して深入りせず、予兆が見えたら俺のところへすぐに来るんだ」

 

 その言葉にホルホースの瞳がすっと細められる。

 

「もしかしてだけどよ、これ、ヤバい案件か?」

 

 承太郎は無言で頷いた。

 とぐろを巻いて机の上でうたた寝していた蛇がパチッと目を覚まし、くぁ、と大きなあくびをした。

 むにゃむにゃ眠そうにしながらホルホースへと助言する。

 

「ふぁぁ、うん、即死案件って奴だな。怪異ってそんなんばっかだぜ」

 

 承太郎が僅かに笑いながらからかうように口を開く。

 

「本来お前もそうだろう?」

「いーや、俺の全盛期はもっとすごいね。」

「くく、そうか。そうだな、だからこそ俺の最強の盾と呼ばれているんだ」

 

 焦って勝手に漫画本を開くホルホースをボインゴがじっと睨め上げた。

 悪い悪い、と言って返せばむすっとしてボインゴが「……ん」と言って本を押し返した。

 どうやらもう少し見ていいらしい。

 この二人もそこそこ仲がいいようだ。

 

「謝罪ついでにいいレストランを紹介しよう。「トラサルディー」というイタリア料理店でな、店主がスタンド使いという異色の店だ」

「それ、大丈夫なんです?」

「スタンド像を料理に混ぜることで食べた者のあらゆる病を治癒するという破格のスタンドだ。味も超一流。行って損はない」

「そ、そりゃすげぇ……!なるほど、あんたほどの人間がおすすめするわけだ」

「あ、あの、俺も……なんつって…」

「そうだな、仗助も来い。お前には世話になった」

「!やりぃ!ここのところ花粉症で目が痒くて痒くて、困ってたんすよね! 」

 

そんなわけで。

4人と2匹で味わう大所帯のトニオさん料理は絶品だったという。

気を利かせたトニオさんが動物用の料理も用意してくれる一幕もあり、「スタンド向けの料理」という人生初の試みに腕を振るうトニオさんと大満足の蛇がいたとかなんとか。

 

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