一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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トリッシュの保護者とは

 

 ギャング・パッショーネの数あるチームの一つ、ブチャラティ率いるチームはカプリ島まで来ていた。

理由は「亡き幹部・ポルポの隠し財産を回収するため」。

 

 おそらくポルポの死は情報管理チームや暗殺チームなど、他のチームにもすでに伝わっているはずだ。

 

 道中で遺産を狙う2人の野心家を退け、ようやく隠し場所であるカプリ島港近くの公衆トイレまでたどり着いたのだ。

 

 ポルポの遺産は約100億リラ。

 その全てを組織へ献上すれば、チームリーダーたるブチャラティは幹部に昇進できるだろう。

 幹部ともなれば組織から得られる情報は段違いだ。

 彼のこの地位を足がかりにボスへと近づく……そのような野心を、ジョルノは抱いていた。

 

 わざわざ赴いてくれたボスの信頼も厚い幹部、ペリーコロの目の前で隠し場所より取り出したポルポの遺産全額を渡せば、ペリーコロは深く頷いてみせた。

 

  「おめでとうブチャラティ。君を幹部の地位へ昇進させよう」

 

  同時に、幹部となったお前に一つ、仕事がある。

  喜びと同時にやってきたシトシトとした緊張の孕む言葉に、一同は身構えた。

  無能力者であるペリーコロだが、幹部たるに相応しい迫力と胆力とを持っていた。

 

「ボスの娘を命をかけて護衛せよ。それが、ボスからの指令じゃ」

 

 言葉と同時に進み出たのは、二人の男女であった。

 一人は癖のある赤の前髪を垂らしたすらりとした、東洋人らしき男。

 もう一人は、スタイルの良い年ごろの娘だ。

 

「まさか、この人がボスの…!」

 

 ジョルノの言葉に、チーム全員の視線が目の前に立つ娘へと集まる。

 

 「じゃあそっちにいるテメーは誰なんだよ!」と赤髪の男にナランチャが指を差した。

 東洋人らしい顔つきの男はにこりと微笑む。

 

「僕は花京院典明。彼女の保護者さ。彼女の母ドナテラさんとは5年ほど前から懇意にしていてね、今回トリッシュの父親が見つかったと聞いてトリッシュに同行させてもらったのさ」

「……そうか、ボスの娘をこれまで守ってくれたことには感謝する」

「いや、これは僕が好きでやっていたことさ。たとえ彼女の父親が誰であろうと、僕は同じことをしただろう」

「……そうだな」

 

 穏やかな言葉に、この東洋人が根っからの表世界の人間であろうことを理解する。

 ミスタもアバッキオも若干居心地が悪そうだ。

 「じゃあこの後は俺たちに任せて──」とブチャラティが言いかけたところで、花京院がすっと手だけで言葉を制した。

 

「僕も護衛に同行させてくれ」

 

 その言葉にブチャラティが思わず目を見開く。

 

「……俺達はギャングだ。お前がいかに腕がたつといっても命のやり取りには慣れないはずだ。危険過ぎる」

「待ってください、ブチャラティ」

「ジョルノ?」

 

 ジョルノが思わず口を挟めば、ブチャラティは驚いたようだった。

 ブチャラティの困惑に構わず、ジョルノは花京院へ質問を投げかける。

 

「花京院という人。あなた、スタンド使いですよね?」

 

 一同に瞬時に緊張が走り、ミスタが銃を構え、アバッキオが深く重心を落とした。

 ブチャラティが目を見開いて花京院を凝視する。

 

「なに!?」

「……よくわかったね。ああ、さっき周囲を偵察するために触手を出していたのを見たのかな」

 

 「お前も矢で……」と声に猜疑心の乗るナランチャの疑問に「矢?」と花京院はやや首を傾げた。

 

「僕は生まれつき、子供の頃からこの不思議な力……スタンドを使えてね。矢とやらは知らないけれど、この辺りには後天的にスタンド使いになったものも多いと噂で聞いたことがあるよ」

「生まれつきのスタンド使い…そんなことあり得るのか?」

「日本にも複数人、そういった先天的なスタンド使いがいると聞いてるけれど。こっちでは珍しいのかな」

 

 アバッキオがあくまで眉を顰めて疑問を口にするものだから、ついつい新入りであるはずのジョルノも横入りしてしまう。

 

「僕も物心ついた時からでしたよ、この力が使えたのは」

「嘘だろ、じゃああの入団試験どうやってパスしたんだよ!?」

「ええまあ。はい」

 

 ブラックサバスをぶっ飛ばした、とは言えず、ミスタの疑問には言葉を濁すしかないジョルノである。

 そして今更、ジョルノはあの入団試験の正解が「再点火してスタンド使いになる」だったと知ったわけだが。

 

 そんな混乱の中でも花京院とボスの娘は自分のペースを崩さないらしく、マイペースに談笑を続けていた。

 

「ノリアキ、あなたが私の父という事で良かったのに」

「さすがに歳が近すぎないかい?僕が何歳の時の子なんだ」

「そんなの些細なことよ」

「それより、向こうについても健康には気を付けるんだよ。もちろん毎月ジバンシーの2番のチークはプレゼントに送るから」

「ありがとうノリアキ。私、あなたのことママと同じくらい大好きよ」

 

 仲睦まじい様子に、その2人の絆が本物であることをブチャラティ達は感じ取っていた。

 

 前に進み出た花京院が、自らの足元から蛍光緑に光る触手を立ち上らせ、穏やかに微笑んで言った。

 

「ともあれ、僕もスタンド使いだ。トリッシュの護衛にぜひ連れて行ってくれ」

「それは……」

「頼むよ」

 

 その懇願には確かな情も入っていた。

 だからこそこの危険極まりない護衛任務に、ボスの娘の親代わりを連れて行くわけにはいかないとブチャラティは思っていた。

 死んでしまえば、ボスの娘──トリッシュは悲しむだろう。

 あえて裏に関わる必要のない、表の人間だ。

 だからここで別れて………と。

 

 その時。

 

 がさり、と乱雑に砂草を踏みしめる足音が背後から響いた。

 全員が瞬時に戦闘態勢に移行する。

 

「やっと見つけたぜぇ……!」

 

 スタンド名、クラフト・ワーク。

 本体の名をサーレー。

 相棒のズッケェロと共にポルポの遺産を狙っていた男だ。

 

 道中、ジョルノとナランチャが対峙して苦戦の末撃退したのだが。

 どうやらまだ生きていたらしい。

 ジョルノによって狂わされた生命力の過剰促進が時間経過で解除されたのだろう。

 ナランチャのエアロスミスで蜂の巣にされたはずだが、それすらクラフト・ワークの固定の能力で凌ぎ切り、動き出す生命力の高さよ。

 

「あいつ、まだやる気かよ!?」

「カキョーインさん、下がってください!」

 

 花京院とトリッシュを庇うようにジョルノ達が前に出る。

 

「あいにく、ポルポの遺産はすでに全て組織への献金として収めちまったぜ」

「関係ねぇな、パッショーネに黙って遺産をがめようとした時点で俺たちは組織の裏切り者だ」

「そうかよ、なら……」

 

 交渉決裂。

 ミスタがサーレーへ銃弾をぶち込もうとした、その瞬間。

 

「ッが!?」

 

 サーレーは悲鳴のように叫んで、前側に倒れた。

 両脚の太ももに大穴が空いて、そこから噴水のように血が噴き出している。

 

 その背後にいたのは、何の変哲もないカラスだ。

 先ほど飛んできたのだろう。

 その口がパカリとあき、中からずるずると蛍光緑に光るスタンド像が伸び出てくる。

 スタンド像の手は緑に光るエネルギーの痕跡が煌めいている。

 

 背後から音も気配もなく、弾丸を撃ち込むその絶技。

 

「我がハイエロファントグリーンは隠密性に優れる強襲のスタンド。本体が意識していなければいかなるスタンドであろうと攻撃を防ぐことはできない」

 

 弾丸のように静音で貫通性を増す加工をされた発射技「エメラルドスプラッシュ」。

 それは無音かつ鉄板を貫く速度をもって射出されるという。

 

「近接パワー型のスタンドを持つ友にも太鼓判を押されたよ。あらかじめ分かっていなければ防げないと」

 

 両足の太い血管を貫いたことによる多量出血で、サーレーは先の戦闘の疲労もあり再び気を失った。

 倒れ伏すサーレーを前に、花京院は表社会の人間らしい朗らかさで笑うのだ。

 

「どうだい、僕のスタンドは。あって損はないだろう?」

「……そうだな」

 

 酷いギャップに、ブチャラティは当たり障りのない返事をすることしかできなかった。

 





・ハイエロファントグリーン
 承太郎と戦闘研究しているうちに、「索敵・強襲特化で行こう!」と方向性決めに至った花京院です。
 生物の中に潜み、中から弾丸加工済みエメラルドスプラッシュを無音無気配で打ち込んでくる超一流のアサシン。
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