一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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ベイビィ・フェイス

 

 ブチャラティ一行がサルディニア島に着いた頃には日も暮れかかっていた。

 

 戦闘で傷ついた機体を隠し、ナランチャのエアロスミスと花京院のハイエロファントグリーンを先行させて島全体を探索する。

 万が一ボスの手下が島に先回りしていても、これなら奇襲を受けることもないとの判断があったからだ。

 

 エアロスミスで隠れた人間を探知し、それをハイエロファントの視界で具体的に確認する。

 お互いを補う構えだ。

 

 ナランチャは顔にレーダーを装備し、息をひそめてレーダーの状況に集中した。

 

「エアロスミスに反応あり!島の裏にある空き地に大人が二人、一人は逃走中だぜ!」

「こちらも確認した。一人は見るからに重傷のようだ。戦闘後なのかな。逃げてる奴は射程的にここからどんなに急いでも追いつけないだろうね」

「ならよぉ、エアロスミスで撃つか?」

「いや、今はいい。カキョーインが顔を覚えた。それよりもう一人の重傷の男の方に話を聞こう」

 

 ブチャラティの指示に頷き、急いで戦闘があったと思しき現場へと急行する。

 そこには血を吐いて倒れ伏す男──リゾット・ネエロと、そこに寄り添う一匹の鶏がいた。

 

「え、に、鶏?なんだありゃ?」

「たしかにエアロスミスのレーダーに小さい反応があったけど…野生動物じゃなかったんだな」

 

 その言葉に鶏はキッと振り向き、激怒したかのように首を激しく振り乱した。

 

「テメェ、今俺のことを鶏っつったか!?俺にはベイビィ・フェイスって立派な名前があんだよ、鳥如きと一緒にしてんじゃねぇぞダボがァ!!」

「この鶏しゃべりやがるぞ…!」

「あ、また…!!殺すッ!殺すッ!リゾット、俺はやるぞ!!!」

 

 てけてけてけてけ、と走ってきた鶏はミスタの足をその小さい嘴でつついた。

 

「あ痛っ、やめろよ痛いから!」

「オラオラオラオラオラァ!目にもの見せてやるぜ!!!」

「僕は一体何を見せられてるんです?」

「ジョルノ、言うな」

 

 フーゴが首根っこを引っ掴み鶏を持ち上げた。

 鶏はバタバタと悪態をつきながら暴れたが逃げられず、途中からしおしおと元気を失って萎れてしまった。

 

「俺は…こんなクソヤローから逃げることもできずに…ダメな子だ…すまねぇメローネ……」

「なんだこの怪生物は。スタンドか?」

「触れるから違うんじゃないです?」

「いや、そうとも限らないよ。物質同化型と言ってね、普通の実在するものにスタンド像を憑依させる形で使うスタンドもあるんだ」

「へぇ、ならコイツはどうなんだろうな」

 

 ワイワイと引っ掴んだ鶏を囲んで相談していると、背後より痛みを堪えるかのようなか細い声がかかった。

 

「ソイツを、虐めないでやってくれ。……見た目より繊細でな。自信を失ってしまう」

「っ!…意識があったのか!」

 

 一瞬で全員がスタンドを出して戦闘態勢に入った。

 血をぶちまけて死んだように横たわっていた男は、荒い息でなんとか上半身だけ起こして岩場に背を預けた。

 その体には無数の小さなスタンドらしき像が浮かび、せっせと何かを運ぶように動いている。

 

 ミスタが拳銃を、ナランチャがエアロスミスを、それぞれ男へと照準を合わせた。

 男は少量の血を吐きながら咳き込み、荒い息で震える手を胸の上に乗せたようだった。

 

「このスタンドは俺の治療のために出しているだけだ。お前たちに敵意はない」

「……てめー、何者だ?」

「俺はリゾット・ネエロ。元々はパッショーネの暗殺専門のチームに所属していた」

「っ!ということは、例の裏切り者のチームか!」

 

 アバッキオの言葉に、ブチャラティたちに動揺が広がる。

 情報を聞いた当時こそボスの意向に従って任務を続けていたが、今はブチャラティ達も裏切り者の身。

 

 敵の敵は味方とは上手くいかないだろうが、単なる敵と言い切るには事情が難しい。

 ナランチャは混乱して「ええと、じゃあ俺はどうすりゃいいんだ?」とエアロスミスを右往左往させた。

 

 と、そのタイミングでついに鶏がキレた。

 キイキイと甲高い声をあげて足と羽をばたつかせ、盛大に罵り出す。

 

「いい加減放しやがれクソ人間がッ!!」

「え、ええ…?」

「チクショー。リゾット、テメー無理してんじゃねーぞ!財団の医療チームが来るまで動くなよ!」

「ああ。すまない」

 

 フーゴがぱっと手を離せば、「うお危ねぇッ」と言いながらバタバタとなんとか鶏が地面に着地する。

 そしてそのままててててて、と鶏は男の方へと駆けていった。

 

 リゾットと名乗る男はフーゴが放した鶏を小脇に抱えてから、機嫌をとるように頭を撫でる。

 

「こんなんで許されると思ってんのかテメー!俺はな、俺はな、大変な目に遭ったんだよ!!」

「落ち着け、ベイビィ・フェイス。メローネが困っているだろう」

「ケッ、てめーもてめーだ!深入りするなって言われてたくせに大怪我しやがって!もしコイツらに問答無用で攻撃されてたらどうする気だよ!?」

「すまない」

 

 鶏はカンカンなようで、コケコケ鳴きながら激昂している。

 その気の抜ける様子にブチャラティ達も警戒が薄れ、どうしても銃口が下がる。

 

 トリッシュが恐る恐る口を開いた。

 

「貴方たち、一体なんの目的があってこの島に来ていたの?」

「ああ、それは──」

 

 リゾットは途中まで答えかけ、半ばで思いついたようにブチャラティたちをまっすぐに見た。

 

「お前たち、どうか俺たちを一緒に連れていってはくれないか?」

 




ベイビィ・フェイス
親:大切に育てられた名古屋コーチン(雌)
血:ディアボロ
能力:なし(追跡能力はある)
教育方針:財団の皆様に可愛がられ、ややメタボ気味
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