一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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「ブチャラティ達護衛チームがローマ・コロッセオへ向けて出発したぜ」

「そうか。見張りご苦労だったな、イルーゾォ」

「こんなん俺のマン・イン・ザ・ミラーにかかりゃ楽勝だね」

「心強いな、本当に。君のマン・イン・ザ・ミラーは条件によっては怪異すら退ける唯一無二のスタンドだ」

 

 場所はネアポリスにあるSPW財団イタリア支部。

 真新しい絨毯張りの廊下と白い壁が続くそこの一角、第三会議室にてふたりは情報交換していた。

 イルーゾォはスタンドを発動しっぱなしにしていた疲れから椅子に体を預け、承太郎は何か遠くを確認するかのようにブラインド越しに立って外を眺めている。

 

 承太郎がイルーゾォの方へと向き直った。

 

「予定通り彼らがコロッセオでポルナレフと合流するのは10:30ごろになるだろう」

「そのポルナレフっつースタンド使いは大丈夫なのかよ。パッショーネのボスと直接やり合うことになるんだろ」

「心配いらない。彼は戦闘経験豊富な近接パワー型スタンド使いだ。能力相性はあれど、すぐにやられるような事はないと断言しよう」

 

 「それにすでに一回、パッショーネと派手にやり合ったはずだ」と承太郎が言葉を続ける。

 派手に?とイルーゾォが思い出すように視線を下にやって、ふと半年前の大事件を思い出した。

 

「まさかそれって、一人のスタンド使いにA区からD区チームのスタンド使い全部やられちまったって噂の、あの!?」

「そうだろうな。ボスと派手にやり合ったとポルナレフは言っていた」

「嘘だろ、ボス親衛隊の連中まで一部被害が出たって話だったじゃねーか!それが本当に一人の仕業!?」

「ポルナレフは強いだろう?」

 

 やや自慢げな承太郎の様子に、「強いってレベルじゃねーだろうがよ」とイルーゾォは肩を震わせた。

 

「ところで、その、プロシュート達は無事なのか。手足、やっちまったって聞いたが」

 

 恐る恐るイルーゾォが問いかける。

 厄介な親衛隊との戦闘で手足を失う重傷を負ったとイルーゾォは小耳に挟み、今までずっと気になっていたのだ。

 特にペッシは手を失うだけでほぼ戦闘者として脱落したと見ていい。

 移籍してすぐにスタンド使いとしての強みを失ってしまい、万が一ペッシが財団に切り捨てられでもしたら。

 

 そんな不安がちらりと頭をよぎっていた。

 

 そんな不安を払拭するように、承太郎は力強く返答をする。

 

「それは先ほど財団の医療チームから連絡があった。医療特化のスタンド使いの治療を受け、無事全員四肢に異常はないそうだ」

「そうか!良かった──」

「念のため財団の息のかかった大学病院で検査をしてから、医療費補助と一ヶ月の傷病休暇が与えられる予定だ。保養施設を利用するようだから、どこを選んだか聞いてみるといい」

「………お、おお」

 

 何故か恐れるような声を出したイルーゾォに、承太郎は首を傾げた。

 

「な、なら一人でスタンドの矢の回収任務にあたってるっつーホルマジオの奴は?」

「そちらも無事対象を回収できたと連絡が来ている。途中無名のスタンド使いと戦闘があったようだが」

「!単独行動で大丈夫なのか、あいつ補助向きのスタンドだろ!?」

「ああ、うまく相手を無力化できたらしい。大きな傷もなく、病院で軽く傷の手当てをしているらしい」

「……ならいいんだが」

 

 各々の無事を確認し、イルーゾォはほっと息をついた。

 いくらSPW財団のバックアップが付いている分今までの仕事より楽だとはいえ、移籍後初の仕事にやはり不安はついて回っていたのだ。

 その不安が払拭され、イルーゾォは肩の荷が降りたような心地になった。

 

 そこでふと、前々から思っていた疑問が頭をよぎった。

 

「なあ、あんたは何故パッショーネを追うんだ」

「ん?何か疑問でもあったのか」

「俺たちには今までの不満という明確な理由がある。だが、あんた…引いてはSPW財団にはパッショーネを追う理由なんてないはずだ」

「ふむ」

 

 承太郎は少しだけ沈黙したあと、一つ頷いた。

 

「表向きはパッショーネの出した麻薬被害とスタンド使いによる被害の撲滅のため、だな」

「表向き?」

「俺の未来視もSPW財団の中で広く知れ渡っているというわけではないからな。表向きに動くための理由も必要だ」

「なら本来の目的はなんだ?」

「……未来で起こる破滅を、止めるためだ」

 

 承太郎の様子に嘘はなかったが、だからこそわけがわからなかった。

 未来で起こる破滅。

 具体的ではないし、それこそSF映画にでも出てきそうな題材だ。

 

 イルーゾォの疑問を承太郎も感じ取ったのだろう。

 つかつかと近づいてきて、座るイルーゾォをゾッとするほど静かな瞳で見下ろしてくる。

 

「な、なんだよ」

「百聞は一見にしかず、とも言うしな。実際に見た方が早いだろう」

「は?」

「お前ほどのスタンド使いならば気を失う程度で済むはずだ。今からお前が見るのは破滅の未来だ。世界の終焉だ。絶望せず立ち上がれ」

 

 瞬間。

 何かが、目に何かが飛び込んでくる。

 

「!?マン・イン・ザ……」

 

 反射で言い終わる前に、それは目の前に広がっていた。

 

 ぐるぐると世界が回る。高速で回転する。昼と夜が一瞬で切り替わる。

 たった一人のスタンド使いの手によって起こされたそれは、世界全てを巻き込んで終末を齎すのだ。

 早回し早回し早回しで、無限に加速するその先があと少しで見えそうで。

 

 そう。

 世界は一人のスタンド使いの手によって早回しの末に滅びるのだ。

 

 イルーゾォは、そこでプッツリと意識を失った。

 





仗助「SPW財団の人ってなんでこんなスゲー怪我ばっかなんすかね。別に俺のクレイジーダイヤモンドですぐ治るけど」(外傷治癒係)
トニオ「まあまあ。あのペッシという方の食べっぷりは素晴らしかったですし、作り甲斐はありましたね」(カビの悪影響排除係)
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