一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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閑話
SPW財団スタンド使い懇親会


 

 イタリア支部ではスタンドユーザー部門の懇親会が執り行われ、ホテルのホールを貸し切った賑わいが場を満たしていた。

 

 あちこちに異形のもの──スタンド像だろう──が混じり、グラスを持たせたり談笑したりと各々にくつろいでいる。

 スタンドを自由に出しても良い、という宴だ。

 諍いもいいが、キレてもスタンドバトルだけは不可。

 そんなスタンド使い向けのルールが事前説明されている。

 違反者は今後宴会への出入りが禁止されるので、会場には比較的穏やかな空気が流れていた。

 

 そんな会場の一角、トイレ近くで元暗殺チームの面々は高級美酒と美食とに舌鼓を打っていた。

 

「大丈夫かイルーゾォ」

「まだだめだ…うぷ…くそ、ここのトイレなんで水洗なんだよ!」

「むしろ水洗じゃねーほうが少ないだろうが」

 

 ギアッチョのもっともなツッコミにイルーゾォは項垂れた。

 

「……おまえらだけ美味いもん食いやがって」

「あ、それ俺も思ってた。大変だったんだぜ、矢の運搬!それをお前、支給携帯で飯の写真送ってくるやつがあるかよ!」

 

 ホルマジオが半ギレで支給携帯の画面を突き出した。

 そこにはトニオのイタリア料理店でスタンド料理を存分に楽しむ3人組の写真が写っている。

 

 これはホルマジオが矢を狙う敵スタンド使いとの戦闘真っ最中に受信したものである。

 同じものを同時刻に受信したイルーゾォも「チッ」と舌打ちした。

 

 未だに、イルーゾォは渦を巻くものがトラウマで、見るとこうしてゲロゲロの様相になってしまうのだ。

 

「お前らは見てないから俺の苦しみは分からないだろうな!あんな、10年後にあれが実際に起こるってマジか?嘘だろ…」

「ああ、例の一人のスタンド使いが引き起こすという事件か。そんなに酷いのか?」

「リゾットも見てみろよ、酷いなんてもんじゃねーぜ。あんなの、SF映画かよ…」

 

 吐き気でまともに高級ホテルの飯も楽しめず、イルーゾォの気分は降下の一途を辿っていた。

 そこで、あ!とホルマジオが一点を見つめて声を上げた。

 

「あれは我らがボスじゃね?」

「ジョータローか?」

 

 見れば、見知らぬ男性と談笑している空条承太郎がワインを手にしている。

 見知らぬ男性の方はといえば、何故か巨大な石のようなものを抱いている。

 こちらに気がついたのか、承太郎たちがリゾットたちに近寄って来た。

 

「ああ、お前たちか。紹介しよう、彼はスコリッピ。スタンドユーザー部門未来・運命究明課に所属するスタンド使いだ」

「はじめまして、スコリッピだ。スタンドはローリングストーンズ」

 

これだ、と言って凶と彫られた石を見せた。

 

「うん?物質同化型か?」

「へー!兄貴、未来・運命究明課なんて初めて聞きますねェ!何するとこだろ?」

「ペッシ、テメェはパンフレットの組織図見てねーのか。俺らの人事やってるとこだ」

 

 どこから取り出したのか、ペッシに以前もらっていたパンフレットをすぐさま渡すプロシュートに、「そうやって甘やかすからペッシがマンモーニだったんだろうが」とホルマジオが呆れている。

 スコリッピはぱちくりと瞬いて「仲がいいんだね」とマイペースな意見を口にした。

 

「ぼくらは運命や未来に関係するスタンド使いで、その能力を駆使して危険な任務にあたるスタンド使いの人員選定を行っているんだ」

 

 死の運命しかわからないぼくには過分な仕事だけれど、というスコリッピの言葉を遮ったのは承太郎だ。

 

「いや。君には随分助けられている、スコリッピ。死の運命を避けるのは難しいが、不可能なわけではないのだから。それを知ることは人員の死を回避する上で非常に有用だ」

「ははは。ぼくは子供の頃からローリングストーンズと付き合っているけど、まず死の運命が避けられるだなんて思ってもみなかったよ」

 

 「実際貴方が運命を越えるのを見て、僕のスタンドも随分変わった。なにより僕の操作を受け付けるようになった」と感慨深く頷くスコリッピに、承太郎も穏やかに微笑んだ。

 

「あの銃のスタンド使いの人だよね、その運命を触れるだけでサッと変えて!本当に凄いスタンド能力だよ!」

「私のレクイエムで真実を上書きできるようでよかった。そうでなければ、彼らにバレないよう運命を変更することなど不可能だったからな」

 

 その言葉に反応したのはメローネだ。

 

「ん?オレの知る限り、貴方のスタンド能力は他人に付与可能な未来視だと思ったが」

「そうだ。まぁ、奥の手というやつだな」

 

 こともなげに承太郎が頷いた。

 「俺の知る限り」という言葉にイルーゾォがぎょっとしてメローネを見る。

 

「というかメローネも見たのか、もしかして」

「見た。一瞬美しい景色が見えたが、人間が見るものじゃないな、アレは。頭が吹っ飛ぶかと思ったよ」

「それで済ませられるお前もすげーよ」

 

 

 と、その時遠くから軽く駆けてくる影が三つ。

 

「あ、おーい、承太郎さん!」

 

 それは仗助、億泰、康一の3人組だった。

 あれから学年が上がり高校2年生になった彼らだが、バイトとしてSPW財団の活動に協力してもらっている現状だ。

 ほぼ将来はSPW財団職員の高給取りとして内定しているようなものだが、一応将来に悩んだり大学受験に向けて勉強もしたりとそれぞれの未来に向けて邁進している。

 

 彼らの姿を見てまず反応したのはプロシュートだった。

 

「ジョースケじゃないか!」

「あ、あの時のすげー怪我の財団員さん!久しぶりっすね」

「こっちこそ、お前がいなければ俺もペッシも再起不能だった。お前は恩人だ!ほら、ペッシ、お前も挨拶しやがれ!」

「お、おう!俺の両腕治してくれてありがとな!」

「そんな、俺のスタンド能力がちょうどよかっただけっすよ。あ、こっちは俺のダチの億泰と康一」

「おー、兄ちゃんたち。虹村億泰だぜ、こっちは俺のスタンドのザ・ハンドだぜ〜!」

「ひ、広瀬康一です。スタンドはエコーズっていいます。あ、承太郎さん、さっき向こうでアヴドゥルさんが呼んでましたよ。なんでも二次会の中華がどうのって」

 

 康一が指差した方向には、ポルナレフ、花京院、アヴドゥル、ジョセフ、そしてイギーの姿が見える。

 イギーは立ちテーブルの下で見るからに高級そうなステーキ皿とコーヒーガムの箱の山を堪能している。

 

「!そうか、ありがとう康一くん。すぐ行く」

「3部同窓会ってやつか。楽しみだな、承太郎。父娘コントとかで盛り上がれそうで」

「蛇、花京院にチクるのはやめてくれと言っただろう」

「いやもう手遅れだろ。ホリィさん経由でとっくに漏れてるって」

「……」

 

 などと自分のスタンドと会話しながら白いコートの後ろ姿が人波に消えていく。

 ホルマジオが高校生3人組をまじまじと値踏みするように見て、プロシュートに声をかけた。

 

「このジョースケというやつがお前らの怪我を治した治療系スタンド使いの?」

「ああ。こいつはスゲェぜ。足が崩れて原形無くなってんのに、巻き戻るように一瞬で治るんだ」

「俺も見てたが、ほとんど値が付けられねーレベルの価値がある超希少能力だ。ポルポの遺産が端金に思えるほどの巨万の富が服着て歩いていると言っていい」

 

 ギアッチョが深刻そうな顔で言い切った。

 まさに効果だけ見ればそれこそ至宝と言って差し支えないスタンド能力だ。

 その圧倒的希少性・重要性を理解し、リゾットが警戒するように周囲を見渡す。

 

「俺はリゾットだ。君、ここまで来るのに護衛は付いたんだろう?」

「ええ。一応財団職員さんに連れられて親父のプライベートジェットで来たっす。俺は別に普通に航空券取る気だったんすけど」

「危ないから絶対に一人で出掛けてはいけない。ジョータローに言って必ず腕利きのスタンド使いを一人、護衛に雇うんだ」

「は、はぁ…」

「1人と言わず3人でも5人でもいいと思う」

「いいこと言ったペッシ。そうだな、テメーの存在は金塊の湧き出る泉に近い。これを守らねーのはバカだけだ」

「そ、そこまで…???」

 

 おどおどする仗助に「自信持って!仗助君のスタンド能力は凄いよ!」「そうだぜ〜仗助、オレらで最強なんだからな!」と高校生2人が両側から声を上げる。

 仲睦まじい様子に、「SP付けたセキュリティガチガチの拠点に詰め込んどいた方がいいんじゃね?」「誘拐されると事だからな」「おまけにパンフにあったジョースターの家系らしいぜ」「嘘だろ」と、ひっそり裏社会感性で危機感を覚える暗殺チームの面々であった。

 





仗助「自分で近場のホテルの予約取ろうとしたら財団職員さんに止められた」
康一「凄いVIPルームになったよね…いくらするんだろ…」
億泰「部屋の前に黒服の兄ちゃんが2人も立ってて落ち着かねぇぜ…」
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