一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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パッショーネの今後

 

 ジョルノが奥の豪華なソファに、花京院がドア側に座るその部屋。

 そこは品の良い花瓶や毛足の長い高級そうな絨毯といった一つ一つが財を感じさせる空間だった。

 

 あの短くも長い10日間で、ギャング・パッショーネの勢力図は大きく一変した。

 ディアボロという名の男は「ボスに成り代わって悪逆を働いていた側近」という事になり、その死はありふれた裏切り者の末路として処理された。

 そしてその悪逆に憤り表に出てきたボスこそが……若きボス、ジョルノ・ジョバァーナであった……という筋書きである。

 

 はじめは「ブチャラティこそがボスの座にふさわしいのでは」という話もあったのだが、ブチャラティは良くも悪くも顔が売れすぎていた。

 真のボスだった、と偽るにはブチャラティを知るものが多すぎたのだ。

 そこで次点としてレクイエムを持ち、直接ボスに手を下したジョルノに話が持ち上がってきたのだ。

 

 新人として「偽ボスの悪逆に憤って表に出てきた」とするにはぴったりなタイミングでもあったし、異例の早さでブチャラティが幹部の位を得ることができた理由にもなる。

 

 「まぁ、あとは実力を見せて足場を固めるのみですね」とは何処となく納得のいかないジョルノのボヤキである。

 

 彼らの困難はなおも続く。内部事情をなんとかすれば、次は当然渉外である。

 イタリアにも緻密なネットワークを張り巡らせる秘密結社、SPW財団を相手にシマの調整を行わなければならなかったのだ。

 彼らの行っていることはスタンド使い相手の警察に等しい。

 というのであれば、実際のイタリア警察と密な交流を図るように、新生パッショーネとしてSPW財団とも対話を図らねばなるまい。

 

 ……などと気をもんでいたところに気軽にやってきて「やぁ!トリッシュは元気かい?」と片手をあげて挨拶してきたのがこの男、花京院典明であった。

 応接室へと通された花京院は、おもむろにSPW財団の妙に友好的な言葉を伝えてきたのである。

 

 

「というわけで、僕らSPW財団は君たちパッショーネと秘密裏に協力関係を結びたいというわけだ」

「いいんですか?表の企業がギャングなんかと繋がって。事がバレれば世間からのバッシングは免れませんよ?」

 

 オカルト雑誌で特集が組まれるほど明らかに秘密結社なSPW財団だが、一応表の顔というものもある。

 特に福祉や医療の現場で多く目にするその財団は、多くの人がクリーンかつ健全なイメージを抱いているに違いない。

 それをギャングと蜜月、だなどと。

 もしバレればそれこそあらゆる表の界隈から締め出されること請け合いだ。

 

 ジョルノのもっともな質問に、花京院はからからと笑って挑戦的な笑みを浮かべた。

 

「バレなければいいのさ。それよりも、君達の力を借りられるメリットの方がずっと上さ」

「……ならば多くは問いません。僕らギャングは裏切りには死を以て答えます。あなた方が僕らを裏切らない限り、誠実に力を貸しましょう」

「ありがとう、ジョルノ君」

 

 花京院の礼にジョルノもわずかなほほえみで以て返した。

 ジョルノとしても、この飄々としているようでいて芯の通った気高い男を嫌いではなかったからだ。

 

「ところで、一つだけ気になっていた事があるのですが」

「なんだい?」

「あの男……空条承太郎は、結局何を目的にしていたんですか?僕らを助けたかと思えばコソコソと裏で動いて」

 

 花京院は「あーー」と、なんだかずいぶん困ったように眉間に手を当てた。

 ふぅ、と長い溜息をついてからちらっとジョルノの様子をうかがうように視線を向ける。

 まるで後ろめたいことでもあるかのようだ。

 ジョルノが鋭く目を細めて返答を待つと、長い沈黙の末絞り出すように花京院が口を開いた。

 

「これはあくまで僕の想像になってしまうんだけど、いい?」

「ええ」

 

 花京院は大きく長いため息をついた。

 

「承太郎は君たちに、できるだけ死の運命のないより良い未来を歩んでほしかったんじゃないかな」

「…………、……はい?」

「うん。いや、うん、分かるよその気持ち。何言ってんだテメーって思うだろう。でもそうなんだよ」

「……どうして、そう思うんです?」

 

 「うん、そのだね」と花京院は言いづらそうに一呼吸おいて話し出した。

 

「ジョースター一族ってさ、半分怪異が入ってるようなというか、血族同士で意味の分からない共鳴現象とか起きる変な一族なんだよ」

「は、はぁ」

「それで承太郎が君を見た瞬間、君がジョースターの血族だという事が分かって承太郎はえこひいきしたくなったんだよ」

「…………どういうことです???」

 

 ちょっと宇宙が背後に見えるジョルノの様子に、花京院は目元をもみほぐすような仕草をした。

 

「要はだ。親戚の子にお小遣いを上げる的な行動なんだよ、あれは」

「……ちょっと言っている意味が分からないのですが」

「君のレクイエムが見たかったとか、ボスのスタンド能力の観察がしたかっただとか、そういう目的も勿論あっただろう。パッショーネのスタンド使いと協力関係を結ぶことも視野に入れていたんじゃないかな」

「でしたら!」

「でも結局は、多分可愛がってたつもりなんじゃないかな。自分の娘も挨拶がてら見せようと思ってたと思う」

「……………」

 

 ついにジョルノは背後に大宇宙を背負った。

 

「未来視持ちって大変なんですね……???あと僕そういうのいらないんでって伝えておいてください。自分の道は自分で切り開くので」

「君ならそうだろうね。きちんと伝えておくよ」

「あと、もしかしてなのですが」

「なんだい?」

「貴方もそうやって運命を変えてもらえたから、生きているって人ですか?」

「……ッ!!」

 

 目を見開く花京院に、ジョルノは静かにソファへ体重を預ける。

 

「ブチャラティですよね。死んでたの」

「……どうだろうね」

「他は……わかりませんが。ブチャラティは間違いなく、あなたがいなければあの教会で死んでいました。違いますか」

「あいにくと僕には未来視は無いからね。憶測でものは語れない」

「悔しいですが、助かりましたって伝えておいてください。彼がいなくてはパッショーネのかじ取りはさらに難しいものになっていたでしょう」

「……ああ」

「運命が見えるって、難儀なものですね。誰からも理解されず、誰にも言うことができない。孤独だ。果てしなく」

「そう、だね」

 

 ジョルノは遠く窓の向こうを見た。

 未来視の男と違い、彼らに運命の先を見ることはかなわない。

 

 

「あなたのその孤独に免じて、パッショーネは未来に対し惜しみない支援を約束しますよ」

 

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