一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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プッチ神父

 グリーンドルフィンストリート刑務所に潜入を果たした徐倫の調査は、おおむね順調……とは言い難かった。

 

 自分を嵌めようとした恋人のロメオには思いつく限りの罵倒を言い放ち、議員や裁判官に圧力をかけようとする曾祖父ジョセフを必死で止め。

 大騒ぎのSPW財団と秘密裏に協議を重ね、なんとか平和に刑務所に収監されることとなったのである。

 あのクソのような弁護士が最後には顔を真っ青にしていた辺り、仕事で干されたのは確実だろう。

 色々と心労がかさみ、徐倫はもう幾度目になるかもわからないため息をついたのだった。

 

 また、刑務所に収監されてからも多少のトラブルがあった。

 人を人形の様に小さくするスタンド使いに絡まれ、やむを得ず戦闘になったのである。

 父の部下であるホルマジオでその手のスタンド使いに慣れていたので、軽く再起不能にしてやった結果、現在は舎弟のようにふるまっている。

 模擬戦とはいえ、スタンド使いとの戦闘にかけて徐倫の右に出るものはなかなかいない。

 父のスパルタ教育で定期的に手合わせさせられていたので、その多種多様な能力や自分のスタンドの扱いには十分に理解がある。

 

 

 と、そんな風にこの半年間を振り返っていたところ、看守がガンガンと乱暴に独房のドアを叩く音が耳に入った。

 

「………なに?」

「神父様がお前に会いたがっている。来い」

「神父様ァ?ああ、刑務所の教誨師さんね。いいわよ。でもなんであたしに?」

「いいから来い!口答えするな!」

「……はあ、わかりました」

 

 早くしろ、このクズが!と徐倫の身体を蹴り飛ばす看守にひそかに唾を吐く。

 迷路のような廊下をひた進み、時折外へ出て棟をまたぐこと15分。

 徐倫はグリーンドルフィンストリート刑務所の一角に立派に拵えられた教会へと連行された。

 

「いいか、神父様に失礼な真似はするなよ!!」

「………」

 

 横柄な態度の看守に「チッ」と短く舌打ちしてから、徐倫は教会の扉を開けた。

 重いばかりで手入れの行き届かない両開きの扉がぎしぎしと軋み、ゆっくりと開いてゆく。

 しかして。そこにいたのは。

 

「ああ、待っていたよ徐倫」

「え、あ、プッチ神父?ここに勤めてたのね」

 

 剃り込みを入れた徐倫の良く知る神父がそこにはいた。

 

 エンリコ・プッチ。

 徐倫が幼い頃からよく空条邸に来ていた人物で、私的に承太郎の助言を聞きによくアメリカの空条宅を訪ねてきていた人だ。

 よく幼いころ徐倫も遊んでもらった記憶がある。

 なんでも、プッチが学生時代に家族問題で困っていたとき承太郎の助言の通りにしたら問題が穏便に解決したとか。

 弟のドメニコ・プッチ、妹のペルラと共に日本にいる承太郎に遥々海を渡ってまで感謝しに来た過去があるらしい。

 

「話は承太郎から聞いているよ。刑務所内部のスタンド使いについて調査に来たんだろう?」

「そのつもりだけど…神父さんがいるんならあたしいらなくない?」

「承太郎が言うんだ。君は調査になくてはならない人物ということに違いはないだろう」

 

 断定形でプッチは言い切った。

 彼の承太郎への態度は盲目的で、言ってしまえば信仰に近い。いわく「天国に最も近い場所にいる人間、それが承太郎だ」とのこと。

 一時期DIOと交流があったとのことでSPW財団と揉めたが、その仲裁をしたのも承太郎だ。

 

「私が承太郎の力になれないのは辛いことだが、君がいるなら安心だ。徐倫」

「大丈夫大丈夫、父さんのことだから、また何か言ってなくて一人で抱え込んでるだけでしょ。それより何か変わったことってある?」

「囚人のスタンド使いは幾人か知っているが、これといった変化はないな。SPW財団の紹介で私のところに相談しに来る外部のスタンド使いもここのところいないようだし」

「そう……平和なのはいいことだけど、手掛かりなしってわけね。」

 

 現在、プッチ神父はSPW財団の紹介で自分のスタンドを扱いかねているもの、スタンドによって生活に支障が出ているものを対象にスタンドを預かるサービスを営んでいる。

 少数ではあるが、スタンドそのものが本体に害しか与えないようなものも中にはあるらしい。

 そういったスタンドを引き取って、安全に保管する。

 そのような唯一無二の働きができることを、プッチ神父は誇りに思っていると徐倫は聞いていた。

 

「というか、神父さん。あなた隈ひどいわよ?寝てる?」

「ああ。最近寝つきが良くなくてね。薬に頼るのもなんだし。枕が悪いのだろうか……」

 

 ふよふよと神父の隣に浮かぶ人型……ホワイトスネイクが疲れ果てたようにため息をつくポーズをした。

 プッチ神父が常に隣に自らのスタンドを浮かべているのは、元々は承太郎の影響があったのだという。

 運命の蛇、アルカナテラーを真似て隣人としてスタンドを扱うようになり、プッチ神父も思うことが増えたと言っていた。

 

「こんなところにいて体を動かす機会が無いのも気が滅入るものね。あまり無理しちゃだめよ」

「ありがとう、徐倫。気を付けるようにしよう」

 

 そう軽く挨拶して、徐倫は教会を後にする。

 ふと振り返った視界に映るプッチ神父の後姿に、扉が閉じる瞬間見えたホワイトスネイクの笑みに、徐倫はなんだか落ち着かないものを感じた気がした。

 ホワイトスネイクは、あんなふうに笑ったかしら。

 

 そんな、何とも言えない据わりの悪さを感じながら、徐倫は看守に連れられて元の独房へと戻っていった。

 




〜過去〜
プッチ「全世界アルカナテラー配布計画!」(善意)
承太郎「却下」
プッチ「(´ω`)」ショボン…
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