一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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花京院戦

 

 花京院の動きは初手から速攻、攻撃的だった。

 

「エメラルドスプラッシュ!」

 

 マシンガンのように射出される破壊エネルギーの塊を、尾を盾に弾き返す。

 金属板が爆ぜるような音を立てて、弾かれたエメラルドスプラッシュが虹村宅の家具を破壊していく。

 この程度ならば何の痛痒もないと分かっていたのか、承太郎の表情は崩れない。

 

「効かねぇぜ」

「っその余裕も今のうちだけだ!」

 

 一斉に四方八方へと触手が発射される。

 ハイエロファントの結界だ。触れればエメラルドスプラッシュが発射される360度の攻撃結界。

 それをさらに正面のスタンド像本体からエメラルドスプラッシュを発射することで、能動的に起動する。

 

「っテメェ!」

「くらえ!わがハイエロファントの結界を!」

 

 しかし、しかしだ。

 この身は暴走したスタンドパワーの塊、一人歩き型スタンドのアルカナテラーにて。

 素早く承太郎をとぐろを巻くように蛇体で囲えば、エメラルドスプラッシュで生み出された秒間100を超える結晶体の群れは容易く弾かれた。

 跳弾で部屋のあらゆる家具が、床材が、カーペットが切り裂かれていく。

 ごめん虹村兄弟、君らの家ボロボロ。

 

 まぁ、ともあれ。

 この鱗は固くしなやかで、かつ熱を通さない。

 有り余るスタンドエネルギーが詰まった鎧のような効果を持っているのだ。

 具体的には、シアーハートアタックの外殻に近い。

 

 スタープラチナのラッシュをものともしなかったシアーハートアタックの外殻を引き合いに出すからには、俺もこの鎧を結構自信に思っているということだ。

 

「その程度か、花京院?」

「馬鹿な、我がハイエロファントの結界がこうも容易く…ッ!」

 

 承太郎の挑発に、花京院はスタンド越しに苦り切った顔をした。

 ならば、と動揺する声色のまま倒れ伏す虹村万作へと触手を伸ばす。

 

「アルカナテラー!」

「ああ!」

 

 承太郎の鋭い声ですぐに意図を察し、俺は蛇の大口を開けた。

 スタンド使いにしか聞こえないスタンドの大声だ。

 

「アヴドゥルさん、道路を右にいって二つ目の十字路に敵スタンド使い!赤い髪に緑の学生服を着た高校生!」

「っなに!?わかった!」

 

 玄関ドアの向こうで突入する機をうかがっていたアヴドゥルは、少しばかり動揺した様子だったがすぐに切り替えて十字路へ向かって走り出した。

 マジシャンズレッドは火力がありすぎるからな、こういう狭い木造の場所だと本気で大火災になりかねない。

 

「どういうことだ!?!?」

「おっと、逃さねーぜ」

 

 驚愕するハイエロファントグリーンのスタンド像を蛇体でもって縛り上げれば、花京院はぐぅぅと唸ってから猛然と暴れだした。

 

「放せぇええええ!!」

「チェックメイトってな。諦めろ花京院君。さすがにこの状況で力負けするほど俺は弱くないんだよ」

「っぐ、う、うわぁぁあああ!」

 

 十秒ほどの抵抗ののち、するりとスタンド像が消え去った。

 どうやら本体が気絶したらしい。

 

 戦闘終了。

 あっけないと言えばあっけないが、それでよかったと一安心もできる。

 

 承太郎がどっかりと部屋中央のソファへと腰掛け、「テメーの鱗に助けられたな」とかすかに笑う。

 

「本体を守るのは当然だろ。いやはや、相性勝ちってこのことだな」

「しかしこいつ、かすかに【目】に見えたんだが本体の額に何か妙なものが付いてなかったか」

「あー、そうだな。それが問題なんだよな」

 

 と、そんな話をしているちょうどその時、本体たる花京院典明を肩で担いだアヴドゥルがしかめっ面で帰還した。

 目を伏せて沈黙し、ゆっくり丁重に花京院の体を床へ下す。

 その姿は弔っているようにすら見えて、承太郎は怪訝に思ったようだ。

 

「どうした、アヴドゥル」

「……承太郎が知らないのも無理はない。これを見ろ、DIOの肉の芽が埋め込まれている」

「肉の芽、だと?」

「DIOに従わぬものを無理やり従わせる、コントローラーのような役割を果たすものだ」

 これが埋め込まれたものは心を操られ、カリスマに心酔し忠誠を誓う。そしてそのまま脳を食い尽くされ、帰らぬ人となる。

 説明に承太郎は眉を顰め、「ゲスが考えそうなこった」と吐き捨てた。

 

「治療法は?」

「無い。普通に抜けば脳を傷つけるし、外科的な処置をしようにも抜こうとする者の脳に侵入してくる」

「………蛇、目を貸せ」

「良いけど、眼でどうにかなる代物じゃねーぞ?パワーと正確性を両立させなきゃならんから、精密動作性が低い俺じゃ無理だし、生身の肉体で抜くなんざもっと無理だ」

 

 それこそ、スタープラチナでもない限りな。

 

 声に出さなかったのは一抹の不安があったからだが、やはりこの男こそ黄金の精神を持つ男、空条承太郎。

 俺のちんけな抵抗なんてものともせず、手元にあった矢をつかみなおして掲げてみせた。

 

「なら、こうすりゃいいってことか。前に聞いたぜ。俺のスタンドはパワー、スピード、精密動作性に優れると」

「っ、待て、止めろ承太郎!50%の確率で死ぬ賭けを他人を助けるためだけに使うな!黙ってても6か月後にはお前はスタンドに目覚めるんだ、馬鹿なことは止めてそれを放、」

「喚くな。手元がずれる」

 

 なんの感慨もなかった。

 承太郎はぶすりとかけらの躊躇すらなく矢を己の二の腕にぶっ刺した。

 

そして次の瞬間には。

おおおおおおお、と。

咆哮を上げ。

 

 

 美しいギリシャ彫刻を思い起こさせるような肉体美を持つスタンド、今はまだ名もなき最強のスタンドがその姿を悠々と揺蕩わせていた。

 

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