一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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DIOの子供達

 

 最近、SPW財団からの社会貢献活動という名の巨額の袖の下があり、その結果徐倫は携帯電話を持つことが許された。

 

 この背後にはいよいよ大富豪の曽祖父ジョセフ・ジョースターを抑えきれなくなった件があるようで、大きめの職員用の個室、月に一度の面会権、各種仕送りとどんどん豪華になっていった。

 一緒に暮らすペットの犬、なんてのもあったが、こちらに関してはちょっと事情がある。

 

 これは実は農場にてDISCを守っていたプランクトンのスタンド使い、F・Fなのだ。

 都合のいい死体もなく、戦闘に巻き込まれた警備犬をやむを得ず体として使用したまま、F・Fが馴染んでしまったという事情が背後にある。

 初めは「早く人間の体が欲しいー!」と言っていたFFだが、じきに考えを改めたのだ。

 

「この体スッゲー足速いし、それに水が飲みやすい!」

「地面から舐めるならそうかもね……」

 

 という会話があったとかなかったとか。

 

 

 さて、そんなわけで携帯電話を取り戻した徐倫だったが。

 おもむろにかかってきた電話に出れば、第一声目から危機的状況のオンパレードであった。

 

『徐倫!聞いてくれ、ウンガロのスタンド能力、ボヘミアンラプソディーが奪われた!ホワイトスネイクだ!』

 

 電話の相手はリキエル。DIOの息子にして徐倫の幼馴染だ。

 

「はぁ!?ウンガロ君の!?どうして、というかいつの間に、神父はこの刑務所を出てないわよ!?」

『どうもこうもない!変な馬に乗ってるみてーなスタンドがオレ達の前に超スピードで現れて、いきなり攻撃してきたんだ!』

 

 ウンガロ、ドナテロ、リキエルの三人はDIOの息子という事で財団の中でも風当たりが強い中、空条ホリィが引き取ったという経緯がある。

 その関係で、徐倫は三人とは昔から交流があった。

 性格は三者三様だが善良で、リキエルは少しおどおどしているものの芯の通ったしっかりした人間だ。

 

 徐倫よりも数歳年上の彼らは昔から皆そろって徐倫の兄としてふるまいたがったが、男勝りの徐倫にハチャメチャに敗北し、仲良く顎でこき使われるなんとも歪んだ兄妹関係を築くに至った。

 かつてはドナテロのアンダーワールドで程よく危険な記録を引っ張り出し、一緒に四人で探検するという遊びが定番だった。

 なおその後蛇に危険すぎる遊びが見つかり、大喝を受けるという諸々もセットである。

 

 今思えば、未来視があるアルカナテラーが徐倫の危険を見逃すとは到底思えないため、致命的な危険が無いのを確認したうえでわざと見逃していたのだろう。

 

「それで、ウンガロ君は今どうなの!?」

『意識不明でSPW財団の病院に運び込まれた。今はドナテロが付いてやってるが、外傷は無いのに意識が戻らねぇ!』

「そんな……」

『あのスタンド、ホワイトスネイクという名前のプッチ神父のスタンドなんだろう!?許せねぇ!財団でもDIOびいきの似非神父だか何だか言われてたし!俺は初めから信用してなかった!』

「……それは、」

『徐倫も気をつけろよ!絶対神父に近付くんじゃあないぞ!もし徐倫が傷一つでもつけられたら神父の野郎は俺がぶっ殺してやる!』

「ええ。気を付けるわ、ありがとうリキエル君」

 

 

 なんて電話をした翌朝、徐倫は朝の朝礼でエルメェスとFF相手に愚痴ったのだった。

 

「でも、あの農場にはウンガロ君のスタンドDISCは無かったのよ。ということは、別の場所に隠してあるか、手元に持ってるか、すでに誰かに差し込んだか」

 

 物憂げな徐倫の隣でペット用の水をぐびぐび飲み干すジャーマンシェパードのF・Fが「ぷはー」と息をついた。

 ぶんぶん振られた尻尾がぱたぱたと徐倫の靴にあたって音を立てている。

 思わず徐倫がF・Fの首元を撫でてしまい、「…うん?どうした徐倫、なんかあったか?」とF・Fに聞き返された。

 

「ええと、ゴホン。あのね、ウンガロ君の能力を街中なんかで使われたら大惨事よ。さすがにあれほど重いスタンドを然う然う使いこなせるとは思わないけど」

「へー、どんな能力だよ」

「キャラクターを実体化させる能力。空想を現実に持ってくる能力、と言い換えてもいいわね」

 

 エルメェスがそれを聞いてひゅう、と口笛を吹いた。

 

「何だそりゃチートじゃねぇか!」

「ゴジラとかエイリアンを実体化されたら普通にジエンドよ。一回間違ってジュラシックパーク実体化しちゃって大変だったんだから」

「うげぇー……パニック映画実体化か、考えたくもねーな。せめてマイリトルポニーとかにしろよ」

「私ピカチュウ派だったわ。色々具現化してもらって可愛がりまくったもの、懐かしいわね」

「へぇ、いいな、それ。スタンド能力ってそういう風にも使えるんだな」

 

 能力に目覚めてからというもの戦闘続きのエルメェスにとってはどちらかといえばスタンドは「戦闘に使うもの」であった。

 幼少期よりスタンド使いであった徐倫の言葉に、興味深そうに耳を傾けている。

 

「私の持論だけど、スタンド能力は戦闘の為じゃなくちょっとだけ生活を豊かにするための物よ」

「例えば?」

「ベッドに寝転がったまま離れた机の上にあるリモコンを取ったり。こっそり教師たちの話を盗み聞きしたり。子供のころなんかは川遊びで橋を作って渡ったわね」

「なるほどな。あたしのキッスならお前はどうする?」

「んー……酒を二倍にして飲んだ後シールをはがしたらどうなるのかしら」

「二倍の量飲めて酔いはそのまま…?それ良いような悪いような、微妙だな。つか瓶はどうなるんだ?一発勝負で試すにゃちと怖ぇな」

「なら実験してみればいいのよ。使いようによっては凄い能力よ、それ。私のストーンフリーだって、子供のころは周りのみんなに比べたらつまんないと最初は思ったわ」

 

 もっとずっと強く太い触手に結晶まで出せるハイエロファントグリーン。

 時の流れを遅くして、徐倫に海の波の一粒一粒の動きまで見せてくれたスタープラチナ。

 

「あたしにあんなふうに勝ったんだし、十分徐倫の能力は凄いと思うけどな」

 

 F・Fはきゅうんと鳴き、そう言ってお座りした。

 ペタッと耳が動く。うるうるとした瞳が徐倫達を上目遣いで見ている。

 徐倫は生つばを飲み込んだ。

 

「だめだ、F・F、あたしもう我慢できない。ものすごく撫でまくっていい?」

「?撫でてもなんにもでないぜ?さっきからどうしたんだよ徐倫」

「あ、あたしも!あたしも撫でる!」

「人間はね、犬を見ると撫でたくなる生き物なのよ。そういう生態なの。分かる?」

「へー……よくわかんないけど、いいぞ。乱暴はするなよ」

「勿論!」

 

 というわけで二人にもみくちゃにされる犬のF・Fがいたのであった。

 




F・F
薄い茶色と黒のジャーマンシェパード。
口で器用にキャッチボールもできる。
初めは前足にミットを装着して「あれ…難しいな」って言っていた。
犬の記憶は読みにくいらしい。
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