一人歩き型スタンドなオリ主と承太郎   作:ラムセス_

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レクイエムの帰結

 

「いくわよ、ストーンフリー!」

 

 指から出した糸を思いっきり引きしめる。

 通常であれば容易く千切れていたであろう糸も、アルカナテラーの硬さを手に入れた今は鋼のごとき強さで力を受け止めている。

 体に鋭く食い込んだストーンフリーの糸が、みしみしとメイドインヘブンを引き裂く。

 

『おおぉぉおのれおのれ、ジョリーン!!邪魔ばかりする小娘ェえええ!』

 

 メイドインヘブンが激しく首を振って、そのまま少し浮いて……加速。

 当然わが身を顧みない加速に四肢は千切れ、あらゆる箇所を黒糸によってぶつ切りにされる。

 それにもかまわず、ぼとぼとと体の部位を落としながらメイド・イン・ヘブンは加速した。

 取り残されたプッチ神父がフィードバックからか僅かに血を吐く。

 

 そう。

 細い細い黒糸の群れに拳大の大きさまでぶつ切りにされながらも、メイドインヘブンはドロドロと体液を垂れ流しながら動いていたのだ。

 それに引き寄せられるかのように、落ちた体の破片も宙を舞ってメイド・イン・ヘブンを追いかけてゆく。

 

「そんな、体がバラバラになるのを気にもせずに動くだなんて!」

「いや……見るんだ徐倫ちゃん!再生している!」

 

 尻尾文字の効果が切れたのか、どんどんと加速して行く動きに迷いはない。

 目で追い切れない超スピード。これまでの護衛を全て潰してきた、速度という暴力が今存分に力を発揮しようとしている。

 

「なら…スピード関係なくトラップを張るのみよ!ストーンフリー!康一さん、こっちへ!」

「っ!なるほど、わかったよ!」

 

 康一も一度見たことがある、かのDIO討伐部隊のメンバーだったという花京院典明の技──ハイエロファントの結界に酷似したそれ。

 徐倫の展開した黒糸の結界はまさにそれだった。

 攻撃と防御とを両立する攻性の結界に、康一は素早く内側に滑り込んで頷いて見せた。

 

 不意に蛇が徐倫の背で叫ぶ。

 

「っ徐倫!リキエルの奴をこっち側に20cm引っ張れ!盗られるぞ!」

「な…無茶言わないで!」

「リキエルさん、こっちに走っ……」

 

 ずぷり、と。

 黒糸の結界によって切り刻まれ腕だけとなったメイド・イン・ヘブン……否。ホワイトスネイクの掌が、リキエルの頭に突き刺さっていた。

 グロテスクに肉質的な音を立てながら抜き出されるDISCは一枚。

 

「ストーンフリー!!!」

 

 徐倫が絶叫と共に殴りかかるも、素早くメイド・イン・ヘブンの姿へと戻った怨念はケタケタと嗤ってその手から逃れてみせた。

 上空高くへと登ったメイド・イン・ヘブンは再びその形をボロボロではあるものの取り戻し、徐倫を一瞥した。

 

『DIO、DIO、DIO……小娘は後だ…』

「リキエル君のDISC返しなさいこのクソ野郎ッ!」

 

 徐倫の挑発を気にする素振りすら見せず。

 そのまま、怨念はボトボトとこぼした体液のみを残して空の果てへと消えたのだった。

 

 ふと、息荒く座り込んだ康一に徐倫は疑問に思う。

 康一はぴらぴらと手をふり疲れ果てた様子で徐倫に笑いかけて見せた。

 

「去り際のあいつに全力の尻尾文字を刻んでやったんだ。『へろへろ』。奴の中のエネルギーをどんどん減らす逸品だ」

 

 あの手の怪異は再生力も無限じゃないからね、と言って徐倫へと笑いかける。

 

「!……さすが康一さんだわ。あの一瞬でそこまでできるなんて」

「徐倫ちゃん、それよりリキエルさんとそこの男の人を病院へ運ばないと!」

「ッそうだ、リキエル君にプッチ神父!DISCを盗られて、早く財団に連絡!」

 

 

 そうして、二人は財団に保護され、財団によって事態の状況が共有される。

 逃走したメイド・イン・ヘブンがスカイ・ハイのスタンドDISCをもって逃走、手傷を負わせられたものの逃してしまったと。

 

 

 

 

 

「スカイ・ハイが盗られたということは……徐倫は、無事だな。康一君も健闘してくれたようだ」

「どうする承太郎。グリーン・グリーン・グラス・オブ・ホーム相手だと通常攻撃がまるで意味をなさなくなるぜ。俺のラッパの4と5は元々吸血鬼相手にゃ火力不足だけどよ」

 

 グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所、附属農場の上空にて。

 

 六つ首の巨大な竜の上に立つ承太郎は、竜の言葉に無言で右手のひらを握りしめた。

 遥か下には新たな力を携えた吸血鬼が悪辣な笑みを浮かべている。

 そこに寄り添うように佇むメイド・イン・ヘブンはゆらゆらとそのスタンド像を揺らし、不安定に明滅していた。

 

「私のレクイエムで行く。蛇、矢を出してくれ」

「!……負担が大きすぎる。おれが分体を吐き出して軽くなるまで待て。戦闘途中でぶっ倒れるつもりか?」

「いや。お前はその体で第3の毒を維持してほしい。流石に近接戦をするにあたって相手が万全ではスペック差で押し負ける」

 

 意思は固いようだ。蛇たる竜は大きくため息をついて半目で承太郎を睨んだ。

 

「その年で無茶しても良いこと無いぞ、おっさん」

「余計なお世話だ、蛇」

 

 ふっと笑いあう。

 それは年月を経た確かな絆である。

 

「それとこれからジョルノのところへ行くメイド・イン・ヘブンはそのまま手を出さず見送るが、いいな」

「勿論。ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムに刈り取ってもらったあとの渉外はSPW財団に任せるとして。ジョルノには個人的な迷惑料は払うべきだろうな」

「そうだな。……さて、あとは消化試合だ。20年間築き上げてきた戦いがようやく終わる」

 

 べろり、と中央の頭が口から出した矢を受取り、承太郎は感慨深げにつぶやいた。

 

「ここ一番でとちるなよ、承太郎。最後の締めはお前にかかってんだからな」

「誰に物を言っている。私はこのスタープラチナと、お前というスタンドで最強の名を冠するスタンド使いだ」

 

 背後に浮かび上がるは時を支配する最強の一角、スタープラチナだ。

 六つ首の竜がその乱杭歯をさらしてDIOへと吠える。

 

 矢が、スタープラチナの腕に突き刺さる。

 

「ならば、私に敗北などない。違うか?」

 

 ギラリとした光が一瞬光り、スタープラチナの身体に奇妙な文様を浮かび上がらせる。

 複雑に色合いが変わり、煌めき、ざわざわと髪がなびく。

 僅かな、しかし確かな変化が大きな大きな意味合いを伴って承太郎のスタンドパワーを変えていく。

 

 

「そのとーり!行くぜ承太郎、短期決戦だ。あの調子こいた吸血鬼に目にもの見せてやろうぜ!」

 

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