「提督…少しお時間宜しいでしょうか…その少し内密なお話なので…」
秘書官である妙高が声をかけてきた、
「構わないよ…内容によっては間宮達もいたほうがいいかな?」
「できれば…間宮さんと青葉、川内に同席してもらえれば…」
僕は名前の出た3名を会議室に呼び出した。
「提督何か…」
間宮が会議室に入ってきた、
「大淀、会議室外扉のカードリーダー無効にして誰も入れないように」
「了解しました」
僕は大淀に指示し誰も入れないようにすると、
「妙高それで話とは?」
少しの間を置くと、
「私達と提督との関係についてですが………一部の艦娘は…その…任務以外は顔を見たくないと、そのどうせ前任と同じでと」
妙高からの話は僕も予想はしていた事だった。
「まぁある程度予想はしていたけど…どれ位の艦娘が?」
妙高が反抗分子の名前を上げ始めた。
「巡洋艦は足柄、羽黒、高雄、愛宕、鈴谷、熊野、球磨、多摩、北上、大井、木曾、神通の12名…駆逐艦は朧、曙、漣、潮、白露、村雨、夕立、陽炎、不知火、黒潮、秋雲、浜風、雪風の13名…潜水艦は伊168、伊58、伊401、伊8、伊19の5名の30名です…」
僕はその人数の多さに驚いた。
「ほぼ半数ですか………まさか神通ちゃん迄…」
川内も驚いていた。
「提督、どうされます………このままでは」
青葉が聞いてきた。
「流石に半数近くいるとなるとなぁ」
僕も考え込んだ。
「ただ………提督に危害を加えるとかは考えていないようで、駆逐艦の大半はどちらかと云うと今は様子見のようです」
妙高が駆逐艦の内情を付け加えた。
「神通をこちらに引き込めば駆逐艦は………」
「はい、駆逐艦達も水雷戦隊旗艦である神通さんの言う事なら聞くかと…最大の問題は潜水艦です、旗艦不在なので、孤立化しているのが現状です」
妙高が潜水艦達の事を話した。
「旗艦となる潜水母艦の着任が火急の案件か…」
「はい」
そんな時だった。
「はい、第1会議室、はい提督に伝えます」
内線電話を受けた青葉が、僕に大淀からの要件を話した。
「大淀からで、複数の巡洋艦娘が鎮守府を無断離脱!」
僕は驚くと、
「この話は一旦ここまでとする、執務室に戻る!」
僕達は会議室から執務室に戻ると、大淀に離脱艦娘の詳細を聞いた。
「離脱艦娘は誰だ」
「足柄、羽黒、高雄、愛宕、鈴谷、熊野の6名です!」
僕は大淀指示を出した、
「大淀、鎮守府への復帰を説得し続けてくれ」
「はい」
「間宮は可能な限り彼女達の通信を傍受し続けてくれ」
「はい」
「川内は首謀者の割り出しを」
「はい」
「青葉は空母組を非常呼集」
「はい」
其々が僕の指示を受け実行しだした。
それから直ぐに鳳翔がやって来た、
「鳳翔以下、龍驤、隼鷹、飛鷹、千歳参りました」
鳳翔が僕に報告した、
「足柄以下の巡洋艦娘6名が鎮守府を無断離脱した、空母組に於いては艦載機による周辺海域の捜索を頼みたい」
「周辺海域の捜索了解致しました」
鳳翔が敬礼すると、他の空母艦娘に的確な指示をだし始めた。
「あとは………長官への報告か…」
僕は電話を取ると長官に掛けた。
「鎮守府の近松ですが、長官は?」
「お待ち下さい」
電話交換手が長官の執務室に電話を転送した。
「何事かな?」
僕は艦娘による鎮守府無断離脱の件を報告した。
「そうか………やはりな、近松大佐、24時間の猶予を与える、可能な限り説得を続けてくれ、期限以降は脱走兵として憲兵艦娘により対処する、以上だ」
僕は静かに電話を切った。
「長官からの話は『24時間の猶予を与える、可能な限り説得を続けてくれ、期限以降は脱走兵として憲兵艦娘により対処する』…との事だ」
そう脱走兵として対処それはつまり即時銃殺を意味していた。
「そう………ですか」
妙高が顔を曇らせた。
「大淀、人手を集めて休みなく呼びかけ続けてくれ」
「はい、了解しました」
大淀が必要な人員を集め始めた。
「妙高は特に執拗に声を掛け続けてくれ」
妙高は僕に返事をする間を惜しんで呼びかけ続けてくれた。
それからなんの応答も無いまま時間だけが過ぎていった。
「猶予時間迄あと2時間………」
執務室に重苦しい雰囲気が漂っていた。
「…こ…」
そんな時だった、無線に微かな応答があった。
「こちら鎮守府です!」
「こちら足柄…高雄型の説得に成功するも鈴谷と熊野は残念ながら…力及ばずでした」
僕は胸を撫で下ろした。
「足柄、貴女は!!そういう事なら前もって話しなさい!!」
妙高が涙目で足柄を叱っていた。
「鈴谷と熊野は…」
僕は直ぐに長官に報告すると、憲兵艦娘が動き出すのを一時的に待ってもら得るように頼み込んだ。
「長官、足柄が現在無断離脱艦娘の説得に成功し鎮守府への帰還中です…つきましては憲兵艦娘の出場を一時的に待ってもらえないでしょうか、お願いします」
長官は少し考えると、
「わかった…しかし鈴谷と熊野については無理と考えてくれ」
そして無常にも2時間が過ぎた。
「残念だが現時刻を以て鈴谷と熊野は脱走兵として憲兵艦娘の管轄となる…以「提督、足柄よりの緊急電!」」
「何事だ!」
慌ててやって来た大淀が緊急電を読み上げた。
「発『足柄』、宛『提督』憲兵艦娘を確認…発砲音を確認との事です」
発砲音…つまり砲撃戦が開始されたという事だ。
「残念だが…鈴谷と熊野は…」
執務室に重苦しい空気が流れた。
「提督、憲兵艦娘よりの緊急電が入電『鈴谷、熊野両名は鎮守府近海で深海棲艦機動部隊を発見交戦中、至急増援艦隊の手配を要請します』との事です!」
そこからは執務室は慌ただしかったが、何とか撃退に成功した。
結果から言うと、鈴谷が足柄から説得されている途中で深海棲艦の機動部隊に気が付き、熊野とそのままが真相だった。
「憲兵艦娘より追加電文入電『鈴谷、熊野の両名は脱走にあらず敵発見による緊急出撃との事』です」
僕は直ぐに長官に報告した、
「さて…なんの事かな、私は聞いておらんよ、偶々君の鎮守府を視察に向かった憲兵艦娘艦隊から深海棲艦機動部隊発見、鎮守府所属の重巡2名と交戦中との報告は受けたが…まぁ内々に経緯書提出でよかろう」
………結果今回は無断出撃による経緯書の提出だけで収めることが出来た。
「足柄以下6名には帰還後経緯書の提出を」
僕は大淀にそう指示を出すと床にへたり込んだ。
「今回は何とかなりましたけど…」
妙高も安堵の色を浮かべていた。