「大淀、済まないけどこれから言う艦娘を二階の多目的ホールに招集して『妙高、那智、足柄、羽黒、高雄、愛宕、最上、三隈、鈴谷、熊野、球磨、多摩、北上、大井、木曾、川内、神通、以上』頼む」
「了解しました」
大淀が館内放送で呼び出しを掛け始めた。
それから約30分後。
「提督、集合完了です」
大淀が報告した。
「揃っているね」
僕が多目的ホールに入ると、妙高が号令を掛けた。
「起立、提督に対し敬礼!」
僕は静かにそして短く答礼した。
「なおれ!」
「楽に」
「着席!」
妙高がキビキビと動いていた、流石だ。
「さて、皆に集まって貰ったのは他でもない、僕についてと、先日の件についてだが…おそらく何故経緯書だけで済んでいるのか疑問を感じているだろうから説明をしようと思ってね」
僕は備え付けのプロジェクターを起動させると、大淀にパソコン操作を任せた。
「先ず、足柄と羽黒についてだが、この2名は高雄以下の異変に気が付き対処した…がしかし僕への報告が無かった為だね、そして高雄と愛宕、鈴谷、熊野の4名については…長官が敵艦隊発見につき緊急出撃提督へは事後報告の線で強引にねじ込んでくれた…憲兵艦娘艦隊はこの鎮守府への視察へ向かう途中でという事にして落とし所をつけてくれた…と云うのが事の顛末になる、それに始末書となると正式に提出となるので誤魔化せないから、僕の処で保管の経緯書で済ませる事で終わらせた」
僕がそこまで話すと、
「提督…宜しいですか?」
「構わないよ」
「ですが、私達は提督を信用していません、なのにそんな寛大な処分で…」
高雄はまだ僕の事を信用していなかった、
「提督準備できました」
大淀がタイミングよくパソコンの準備完了を報告してきた。
「皆スクリーンを見てくれ、鈴谷と熊野は知っていると思うが、僕は金剛、最上、時雨とは姉弟妹の関係だ…それに僕達の両親はこの鎮守府で11年前にあった深海棲艦による襲撃事件で死亡した最上と艤装保管庫責任者の近松少佐だ…」
大淀が赤ん坊の頃の時雨を抱いた最上と3人の子供に囲まれた家族写真を映し出した。
「それじゃあ提督って!!」
愛宕が驚きの声を上げた。
「鈴谷覚えているかい、最初に会った時、僕は最上の制服着ていたよね?」
「確かにそうだったけど…それが?」
鈴谷はまだ理解していなかったが、熊野が何か思い当たったのか手を上げた、
「熊野」
「提督…まさかとは思いますが、男性型の艦息ではないですか?」
熊野が艦息という単語を口にした。
「男性型なんで聞いたことありませんわ」
高雄が驚いていた。
「男性型は重大な機密事項だからね、それに出現率は限りなくゼロに近い…」
そう言いながら僕は軽巡洋艦『最上』の艤装を展開させた。
「そんな…提督は私達と…提督、申し訳ありませんでした」
高雄が僕に頭を下げた。
「わかってくれたなら良いよ、あとの娘を達にも話して欲しい、但し男性型艦息の件については軍上層部でも長官とその周辺配置の艦娘と軍令部総長しか知らない事柄なので最上級の機密事項にあたる為、鎮守府内だけの話としこれ以降は口外禁止とする事、これは守ってもらいたい」
「はい」
全員が起立し敬礼で応えてくれた。
「失礼します」
会議室に比叡が1枚の書類を持って入ってきた。
「先程、長官より新規配属艦娘の辞令を受領しました」
僕は比叡から書類を受け取ると、内容を確認した。
「潜水母艦『大鯨』が配属か、潜水艦隊に配属旗艦とする、比叡潜水艦娘達に通知を」
「了解しました…それと金剛お姉様からでお昼は私達の部屋にとのことです」
「了解した、比叡まさかとは思うけど姉貴が作るとか言っなかったよね?」
僕は恐る恐る確認した、
「金剛お姉様ではなくて、私が気合い入れてカレー作りました!」
比叡が作ったと聞いた瞬間全員のカオが青ざめていった、
「ちょっと比叡…貴女提督を病院送りにするつもりですか!」
高雄が比叡に詰め寄っていた。
「大丈夫です、霧島が味見してOKくれたから」
霧島の許可が出ているならと全員が安堵の顔をしていた。
「これにて終了とする、各自この場にいない者への説明を、それと神通は駆逐艦娘達への説明をくれぐれも頼む以上」
「起立…敬礼…別れ!」
また妙高が締めてくれた。
「最上ちゃんのお兄さんなのね………フッフッフッ………チュ」
何だ最後の投げキッスは…ウン愛宕が最後に何をしたかったのかは理解に苦しんだ。
「提督…まさか男性型艦息だったなんて…私達の…」
神通が僕に対して改めて敬礼をすると、握手を求めてきた、
「神通これから宜しく」
僕は神通の握手に応えた。
そしてお昼。
「姉貴、来たよ」
僕は金剛型の部屋を訪ねた。
「さあ入るネー」
僕は姉貴に促されて部屋に入った。
「此処に座るネー」
そして此れまた促されて椅子に座ると、
「提督、どうぞ」
比叡が作ってと言っていたカレーが配膳された。
「味見み済ですから大丈夫です」
霧島が揚げたてのコロッケをトッピングしながら付け加えた。
「それじゃあいただきます」
僕は一口食べた。
「この味は…」
そのカレーは近松家の味だった、昔母さんがよく作ってくれた懐かしい味だった。
「金剛お姉様に教えて貰いながら作りました」
比叡が説明した。
「このカレーがまた食べられる…比叡ありがとう」
僕は思わず泣いてしまった。
姉貴が静かに僕を胸に抱くと優しく頭を撫でてくれた。
「比叡ありがとう、私には作れなかったから」
「金剛お姉様…」
僕は落ち着くと、
「比叡このカレーまだある?」
「沢山あります、おかわりですか?」
「いや、妹達にも食べさせてあげたい」
僕と比叡のやり取りを聞いていた榛名が、
「最上さんと時雨ちゃんの分です」
そう言うと、タッパーウェアにカレーを入れてくれた。
「榛名ありがとう」
その後、僕は金剛姉妹と食後のお茶を楽しんだ。