「大淀、1階の警備室に行ってくる」
僕は大淀にそう伝えると、警備室に向かう為に執務室がある階のエレベーターホールでエレベーターが来るのを待っていた。
「ぐっ!!………誰………何が…」
僕は背中に走る痛みを受けた。
「提督!…誰か救急車!、提督が!提督が!」
僕は朦朧とする意識の中で人を呼ぶ神通の声を聞いていた。
ーーーー青葉視点ーーーー
「提督が何者かに襲われて意識不明の重体です、犯人は現時点では不明」
私は大淀から報告を受けると、長門さんと金剛さん達に報告した。
「青葉どういうことだ!提督のご容態は?」
私からの報告を受けた長門さんが血相を変えて執務室にやって来た、
「青葉…質の悪いジョークはだめネー」
金剛さんや最上さん、時雨ちゃんが執務室に長門さんと同時くらいに入ってきた。
「残念ですが冗談ではありません…冗談ならどれだけ良かったか」
「そんな…翔の…翔の具合いは!」
金剛さんが私に聞いてきた…お願いして手を離して揺するのやめて!…頭がくらくらする…お願い。
「落ち着け…金剛、それ以上やったら青葉迄病院送りになってしまう」
長門さんが金剛さんを止めてくれた。
「長門さん、助かりました…犯人は不明ですが最初に発見した神通さんの話によると、ちらっとですが目撃していて犯人は艦娘らしいのですが…見たことの無い制服だったそうです、現在神通さんの協力で鎮守府内の監視カメラ映像を確認中です」
「お兄ちゃん…」
最上さんと時雨ちゃんは今にも泣きだしそうな顔をしていた。
「病院に付き添った明石からメールです」
私は明石からのメールを読み上げた。
「『何とか、一命は取り留めたけど…予断は許さない状況との事よ』だそうです」
「金剛…此処はいいから提督の側に行ってやれ」
長門さんが気を利かせてくれた。
「長門ソーリー」
金剛さん達は病院に行く準備を始めた、
「金剛さん、今タクシー手配したから」
大淀もまた気を利かせてタクシーの手配をしていた、
「大淀さん何があったのかしら、伊良湖ちゃんから執務室に急いで行ってって言われて」
間宮がわけが分からないという顔を執務室にやって来た。
「間宮さん、落ち着いて聞いてください…提督が何者かに襲われて意識不明の重体です…これから金剛さん達は病院に行きます…御一緒に行ってください」
「嘘っ!そんな………なんで翔君がっ!」
間宮が用意する為に自室へと戻っていった、
「タクシーが到着したクマ」
秘書官の球磨が報告してきた、
「そのまま少し待たせて」
「了解クマ」
球磨が受付警備と話していた。
「金剛さん、タクシー到着です、急いで」
大淀が、4人を急かした。
「運転手さん、総合病院迄お願いします」
大淀がタクシーの運転手に行先を告げていた、
「青葉、川内を手伝って」
「了解」
私は返事をすると、情報室へと急いだ。
「川内さんどう?」
私は部屋に入るなり川内さんに現状を確認した。
「駄目、全くね」
「すみません…後姿だけなもので」
神通さんが済まなそうに謝罪した。
「気にしないで…」
川内さんがフォローした。
「提督が襲われたのが7階のエレベーターホール…で…背後からとなると…」
私はホテルの館内監視カメラ配置図をもう一度見直すことにした。
「展望食堂側から来るとなると…この監視カメラの前を通らないとならない…でも映ってないとなると…でも此方からだとあっ!」
私はある事に気がついた。
「此方側からだと非常階段を使えば監視カメラには映らずに2階までは行けます!」
私と川内さん、神通さんの3人で犯人が逃走に使ったであろう非常階段を現場検証の為に降りることにした。
「でもさ、2階までは良いとして、その先は?」
川内さんが聞いてきた、
「2階から先は…」
私達は2階に到着した、
「青葉、此処に!」
川内さんが床に血痕を見つけた。
「やはり此処を通過したようですね」
神通さんがその先を睨んでいた。
「で確かこの先の部屋は空き部屋………まさか!」
私はスマホを取り出すと、大淀にメールを送信した、
『至急、手空きの戦艦艦娘を2階エレベーターホールに集合、提督襲撃犯が潜伏している可能性大なり』
それから直ぐに扶桑、山城、比叡、榛名、霧島、陸奥の6名がやって来た、
「それで…襲撃犯は?」
陸奥さんがこごえで聞いてきた。
「奥から2番目の部屋の前に血痕が少量ですが垂れていましたのでその部屋で間違いないかと…」
「そう」
陸奥さんの表情がとてつもなく険しくなった…犯人命無くなるかも…自業自得。
「もう待てない」
山城が部屋の扉を蹴破った。
「山城さん…無茶苦茶ですよ」
「扶桑姉さまが慕っている提督に傷を負わせたやつに情け無用!」
山城だけが暴走…次の瞬間扶桑もまた突入していった。扶桑さん、貴女も瞬間湯沸器ですか。
「私のお慕いする提督を…許す訳にはいきませんね」
扶桑が室内に潜んでいた襲撃犯を引き摺り出した。
「貴女は誰?何の為に私の提督を襲撃したのですか」
扶桑さん…恐い…ん?私の提督?…なんか提督の事私のとかお慕いとか聞こえたけど…考えるのは後にしよう。
私はタブレットを起動させると、艦娘一覧を選択起動させた。
「扶桑さん顔をよく見えるようにしてもらっても?」
「これでいいかしら?」
扶桑さんが不明艦娘の髪を掴んで顔を上げさせた。
「あった、『阿賀野型』2番艦の矢矧ですね…この鎮守府には配属の記録はありませんが?」
矢矧はただ黙っていた。