とある姉弟妹が集まる鎮守府(改)   作:屋根裏散歩

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今回は金剛視点で進みます。


第16話 事件ですよ②

「運転手さんハリーアップネー」

 

私は運転手を急かした。

 

「お姉ちゃん…無茶言っちゃ駄目だよ」

 

時雨がなだめていたが、私の気持ちは一刻も早く病院への一心だった。

 

「お客様つきました、お代は既に受け取っていますから病室へ」

 

運転手さんが促した。

 

「ソーリーネー」

「運転手さんありがとう」

 

病院の玄関に明石が立っていた、

 

「金剛、此方!」

 

私達は明石に連れられて翔がいる病室へと急いだ。

 

「止まれ!」

 

病室の入り口に私服姿の憲兵が2名立っていて、私達を止めた、

 

「この3人は提督の鎮守府の艦娘です」

 

明石が憲兵に説明した、

 

「失礼しました、どうぞ」

 

憲兵が扉を開けて室内へ入れてくれた。

 

「翔!」

 

私の眼の前には沢山の医療機器が繋がれ眠る翔の姿があった。

 

「嘘っ…お兄ちゃん」

 

時雨が駆け寄ると、縋り付いて泣き出した。

 

「誰が…こんな事を」

 

最上が眠る翔の側で拳を握り締めていた。

 

「あっ大淀からメールが…『うちの鎮守府所属では無い艦娘の仕業だって…身柄は拘束して憲兵本部に移送中だって…扶桑姉妹が般若になってた』ってどういう事?」

 

明石が大淀からのメールでの報告を教えてくれた。

 

「山城迄般若って…扶桑を傷付けられたならわかるけど…この場合お兄ちゃんなのに…なんで?」

 

時雨が首を傾げていた。

 

「失礼します担当医です、ご家族でいらっしゃいますか今の状況についてご説明しますので宜しいですか」

 

私達は担当医について病室を出ると、診察室へと向かった。

 

「単刀直入にいいます、傷口の方は問題ないのですが、如何せん出血量が多すぎて今晩が峠です…緊急輸血もおこないましたが、なんとも手は尽くしたのですが」

 

医師の話を黙って聞いていた明石が、口を開いた。

 

「ねぇ可能性の話なんだけど、翔君こないだ最上の制服着ていたわよね?」

「それがどうかしたのよ!」

 

私は声を荒げた。

 

「金剛、冷静になって…翔君がこんな事になっている時だけど…あの最上の制服は軽巡洋艦『最上』の予備艤装用制服なのよ…普通の人間が着用する事は出来ないの…その意味解るわよね?」

 

其処まで言われてようやく私は明石が何を言いたいのか理解できた。

 

「修理用ドックと高速修復材!」

「そうよ」

 

何を言っているのか理解できていない医師に、明石が簡単に説明した。

 

「成る程それなら、その可能性に賭けてみましょう、直ぐに救急車の手配をします」

 

そう言うと医師が何処かに電話をし始めた。

 

「救急車の手配できました」

 

看護師が報告にやってくると同時に、

 

「患者さんの移送準備完了です、ご家族の皆さんは救急車に一緒に乗ってください」

 

病室担当の看護師もやって来た。

 

「間宮は私とタクシーに乗って」

 

明石と間宮の乗るタクシーが救急車を先導して鎮守府へと向かった、

 

そして…翔を修理ドックへと浸からせると…明石が適度な濃度に希釈した高速修復材を導入した。

 

「お願い!」

 

私はこの時ばかりは神様に祈った。

 

「金剛、カウンターがっ!」

 

私は明石の声にカウンターに目をやった。

 

「あっあっ!神様」

 

カウンターが8時間の数字を表示させるとカウントダウンが始まった。

 

「完全な艦娘ではない翔君にはこれ以上修復材を投入するのは危険を伴うので止めて様子見とするわね」

 

明石が翔の体の事を考えて、今の状況での完了を待つ事を提案した、勿論私はそれに異論は無かった。

 

「お願い…」

 

 

 

それから8時間後。

 

「金剛、翔君気が付いて医務室に移動しているから」

 

明石からのメールで、私は妹達と医務室へと急ぎ向かった。

 

「翔!」

 

其処にはドックから出て医務室のベッドで明石と話す弟の姿があった。

 

 

「姉貴…心配かけてごめん…」

 

私は弟を抱きしめた。

 

「姉貴…苦しい」

 

少し強く抱きしめすぎた。

 

「ソーリー」

 

その後、翔が気が付いたと知った艦娘達が入れ代わり立ち代わりにやってきた。

 

「提督!」

 

1番最後にやってきたのは、扶桑姉妹だった。

 

「幽霊じゃないですよね」

 

そう言いながら翔をサンドイッチにしていた…。

 

「扶桑さん…山城さん…翔君はわ・た・し・の恋人です!変な誘惑しないでくれませんか?」

 

あっ翔を巡る三つ巴の恋の戦いが始まった…私はその光景を呆然と眺めながらそんな事を考えていた。

 

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