「こちらが事件発生から今日迄の調査資料になります」
青葉が僕の机に捜査資料の束を置いた。
「阿賀野型の矢矧が………だがうちには配属されてない筈だよね?」
僕も未配属の艦娘の事が気になった。
「はい問題はそこです、現在憲兵本部にて取り調べ中ですので判明次第連絡を貰える手筈になっています」
青葉はそう答えると、矢矧の配属鎮守府についての調査記録を僕に見せた。
「おかしいな…此処の提督は艦娘擁護派と聞いているけど」
僕は調査記録にある提督の写真と身上書を見ていた。
「そこなんです、この提督に限ってあり得ないというのが周囲の意見だそうです」
川内が矢矧が所属する鎮守府の提督についての報告書を受け取った。
「此方もまた疑問でしかないな…何故…」
結局何もわからず、僕達は憲兵本部からの取り調べ結果を待つしか無かった。
「提督、お体はもうよろしいのですか?」
扶桑と山城が執務室に入って来ると、僕の事を気遣ってくれた。
「もう大丈夫だよ、傷跡も残ってないしね、2人共ありがとう」
僕が2人にお礼を言うと、顔を赤くして俯いてしまった。
「私の提督に何かあったら…」
2人が同時に同じ事を口にした。
「私のって…」
僕は複雑な気持ちで2人を見比べた。
「おい提督には明石という婚約者がいるのだから、昼ドラの愛憎劇みたいな行動は控えないか」
長門が呆れながら2人を制した。
「まぁあとは憲兵本部に任せる事にして、お昼にしよう」
僕達は昼食を摂ることにした。
「笑顔が増えたね」
僕は笑い声と楽しそうな声が飛び交う食堂を見回した。
「そうだな…あのクズ野郎の時は、米軍から安く仕入れた不人気で不味く賞味期限ギリギリのレーションと月1くらいで出される冷や飯に漬物と冷たい味噌汁だけだったからな…」
長門がしんみりとしていた。
「そうよ、長門今はこうして温かくて美味しいご飯を毎日食べられるじゃない」
陸奥が長門の肩をぽんと叩いた。
「そうだな…」
長門はそう言うと、
「提督よ、悪いな…ご馳走になる」
とだけ言った………うん?ま…さ…か…!
「あらあら…提督ご馳走になっちゃうわね」
陸奥もちゃっかりとのっていた。
「提督、有り難うございます」
扶桑姉妹迄もだ…多分そうなると…、
「提督ご馳走になります」
やっぱり大淀もだった。
「…好きなのを」
僕は見栄を張るしか無かった。
「提督凄い人気ですね…でも浮気は駄目ですよ」
間宮が複雑な笑みを浮かべながら僕にそう一言付け加えた。
「浮気だなんて…」
僕はシドロモドロになっていた。
「冗談ですよ」
間宮が口元に手をやり笑っていた。
だがこの時、この後に起きる事件を誰一人予想してはいなかった。